2007年3月21日(水)掲載

◎超低床電車「らっくる」運行開始
 函館市電の新型車両「超低床電車9601号」の営業運行開始を記念して、市交通局は20日、駒場車庫前で記念式典を開いた。市民から公募した愛称は、同市本町の幼稚園教諭、鈴木恵子さん(31)が考案した「らっくる」号に決定。関係者が見守る中、井上博司市長や地元の保育園児らがテープカットやくす玉割りを行い、路面電車の新たな歴史を祝った。

 提案した愛称が採用された鈴木さんは、乗り降りの利便性と、2連接式の車両からフタコブラクダをイメージし、「楽に迎えにくる」から「らっくる」と名付けた。北斗市内の幼稚園に勤務し、「選ばれるとは思いませんでした。長く愛されて、子どもたちにも親しみを持ってほしい。遠足で園児たちを乗せてあげたい」と笑顔を見せた。

 式典で井上市長は「市電は観光資源としても地域経済に貢献してきた。すべての人が利用しやすい超低床電車は、福祉の発展にも貢献する。多くの市民に市電の良さを再認識してもらいたい」とあいさつ。福島恭二市議会議長、谷口利夫市社会福祉協議会会長が祝辞を述べた。

 営業運行は同日午後零時45分にスタート。約50人が同車庫前に集まり、記念の「乗車証明書」を職員から受け取って車内へ。

 初便に孫と乗車した佐藤邦子さん(66)は「スムーズな発進で乗り心地も良くて孫も喜んでいました」と話し、孫の啓太君(6)は「かっこよくて楽しかった。また乗りたい」と目を輝かせていた。

 超低床電車は、函館市電では11年ぶりの新車両で、純国産メーカー製造では初の2連接式車両。全長は約13・3メートル、幅約2・3メートル、高さ約3・7メートル。車内の床を全面平らにしたほか、電停からの乗降口段差を極力解消した。最大定員は62人。車いす客の専用スペースを2台分設けた。購入価格は約2億370万円。 (今井正一、田中陽介)


◎函館市幹部人事 財務部長に中林氏 議会事務局長は対馬氏
 函館市は20日、4月1日付の部長・次長職人事を発表した。定年退職する吉田明彦財務部長の後任に中林重雄議会事務局長(58)を充て、中林氏の後任には対馬長敏会計部長(57)、対馬氏の後任に菅原尋美市教委生涯学習部参事1級(58)が回る。定年や勧奨退職の部長が8人、3月末で任期を終え、退任する特別職の旧4町村支所長が部長ポストになることから、部長昇格者は11人、次長昇格者は12人となった。

 吉田氏以外の部長退職者は、三佐川稔農林水産部長、若松勝忠土木部長、野々宮勇都市建設部長、丸山泰三都市建設部参事1級、里見滋港湾空港部長、田島基義病院局管理部長、小野知博総務部参事1級。

 後任の農林水産部長に上戸慶一同部次長(54)、土木部長に秋田孝同部次長(55)、都市建設部長に山本真也企画部次長(52)、都市建設部参事1級に荒井俊明同部次長(55)、港湾空港部長に渡辺宏身同部次長(55)がそれぞれ昇格。病院局管理部長に斉藤真博水道局管理部長(57)が就く。斉藤氏の後任は藤森和男病院局管理部次長(56)、生涯学習部参事1級は池田英治同部次長(57)。総務部参事1級は置かない。

 また、福祉部参事1級に佐々木健裕福祉部次長(57)が昇格し、市社会福祉協議会に派遣、事務局長に就任する。社協の事務局長は従来次長職だが、部長職として体制を強化する。

 特別職(参与)の吉沢慶昭戸井支所長、工藤篤恵山支所長、船木英秀椴法華支所長、細井徹南茅部支所長が退任。同じく参与の副支所長4人、戸井と南茅部の教育事務所長2人が退任し、副支所長は置かず、教育事務所長は課長職となる。

 支所長は、戸井が伊藤修農林水産部参事1級(56)で、伊藤氏は合併前の戸井町助役。恵山は坂本幸春総務部次長(57)、椴法華は三輪秀悦椴法華教育事務所長(56)、南茅部は梅田誠治企画部地域振興室長(57)が昇格する。

 次長職では、企画部次長に高橋良弘企画管理課長(50)、地域振興室長に佐藤洋一同室地域振興課長(54)、総務部次長に川越英雄行政改革課長(50)、福祉部次長に中川純吉福祉推進課長(55)、横山晋福祉部参事2級(59)は市社協派遣を解く。農林水産部次長に山田潤一水産課長(50)、土木部次長に小上一郎土木部管理課長(51)、都市建設部次長に平井等住宅課長(52)、港湾空港部次長に対馬正樹港湾課長(57)、病院局管理部次長に渡辺史郎街づくり推進課長(50)が昇格。

 退職する和田幸彦環境部次長の後任に塚谷善次交通局管理課長(54)、同じく退職の坪谷正一商工観光部次長の後任は備前悟企画部参事3級(53)。

 機構改革で教育委員会は庶務担当の学校教育部学校管理課を廃止し、生涯学習部管理課に一元化する。学校教育部次長を廃止し、生涯学習部次長を2人置き、清水広美学校教育部次長(58)と鈴木敏博人事課長(52)が就任する。

 退職や異動する部長、次長の後任は、同部や同部局の経験者からの昇格が多い。小柏忠久総務部は「適材適所に配置し、行政課題や懸案事項に対応する」と説明した。 (高柳 謙)


◎知事選あす告示 経済や雇用、財政争点
 【札幌】統一地方選のトップを切り、道知事選(4月8日投票)が22日、告示される。立候補を予定しているのは、現職の高橋はるみ氏(53)=自民、公明推薦=、荒井聡氏(60)=民主、社民、新党大地推薦=、宮内聡氏(43)=共産公認=で、3人とも札幌市内で第一声を予定している。低迷する道内経済の活性化や雇用創出、財政再建問題などが焦点となりそうだ。

 高橋氏は北海道の自立に向け、産業振興や一次産業の強化・発展、地場産業の活性化、新幹線や道路、空港、港湾などの社会資本整備、産学官連携による新技術や新産業づくりなどを重点項目に掲げる。

 4年間で実行する政策として、力強い産業構造の構築や農林水産業の振興による地域の活性化、安心の雇用環境、北海道の未来を切り開く人材育成、環境を重視した美しい大地づくりなどを打ち出した。優位性のある「食」と「観光」の振興にも力を注ぐ。

 荒井氏は、北海道の再生に必要なキーワードとして「人材の活用」「自立型経済への転換」「市町村との協働」を挙げる。

 地域や地方を重視した姿勢を打ち出し、統廃合の方向にある支庁機能の拡充・強化や、道と国の責任を明確にした夕張市の再建を訴える。道の自立に向け、地場産業や中小・中堅企業の育成強化、雇用の創出とセーフティーネットの充実、温かい道政として、安心できる地域医療の確立や障害者に優しいまちづくりなどを掲げる。

 宮内氏は道政刷新を訴え、道民の暮らしと地域を守っての北海道再生をアピールする。「難病患者の助成切り捨てなど、高橋道政の4年間で庶民の痛みは増すばかり」と批判。自民、民主も改憲を主張しているとし、荒井氏に対しても対決姿勢を鮮明にしている。

 道政の転換に向け、福祉、医療、教育の充実や雇用の安定などを掲げ、格差社会の是正も挙げる。大企業優先でなく、中小企業や商工業者、農業、漁業者が元気になる地域づくりを訴えている。


◎全国情報公開度ランキング、函館市23都市中6位
 道南市民オンブズマン(大河内憲司代表)は20日、全国市民オンブズマン連絡会議(名古屋市)による「第11回全国情報公開度ランキング」の任意参加市部門の結果を公表した。函館市は、交際費や政務調査費など6項目の総合点数が45点で、政令市を除く全国23都市中で6位だった。昨年度の1位(31都市対象)から後退したことについて大河内代表は「評価項目を変えただけで結果が違った。函館の遅れている点が見えてきた」と話している。

 ランキングは47都道府県と15政令指定都市、任意参加市が対象。▽交際費(10点)▽再就職情報(24点)▽予定価格(10点)▽政務調査費(30点)▽議会委員会(20点)―などを100点満点で採点した。任意の参加市では、新潟市が59点で1位だったほか、柏市、山形市などが続いた。

 交際費の項目は、インターネット上で市長交際費の日時や相手名などの情報を公開しているかで判断。函館市は公開していないため0点。大分市が10点、山形市が8点で、公開が進んでいる市もあった。

 清掃業務委託に関する予定入札価格の公表項目では「情報公開請求があれば公開する」で6点。課長級以上の退職者の氏名や再就職先団体名などの把握状況を評価した項目では、大河内代表らの情報公開請求の結果「資料不存在だった」として0点だった。

 政務調査費は30点満点中23点で、任意の参加市23市中1位で、政令市15市を加えた38市の中でも2位だった。全般的な活動成果項目で記載がなく0点だったほかは、高い評価を受けた。

 議会委員会の項目は、常任委員会の傍聴制度と議事録ネット公開の有無で採点。傍聴は満点だったが、議事録の項目は0点だった。

 大河内代表は「政務調査費以外の公開は進んでいない。情報公開は(選挙後の)新市長にも求めていきたい」と話している。 (今井正一)


◎函館バス ロケーションシステム稼働 運行情報、携帯で一目
 携帯電話やパソコンなどでバスの運行情報を検索できるサービス「バスロケーションシステム」が20日、稼働を開始した。JR函館駅前にあるバス案内所で関係者によるセレモニーが行われ、乗客の利便性向上に向けて気持ちを新たにした。

 同サービスは、2001年度から函館市営バス事業を引き継いだ函館バス(函館市高盛町10、寺坂伊佐夫社長)が開発に着手。市などからの補助金を含む総事業費約2億4000万円で導入した。

 セレモニーには、同社社員をはじめ、市や道運輸局函館運輸支局の職員ら約50人が出席。寺坂社長は「バスを身近に感じる一つの方策として、より便利に使ってもらえるよう、今後も利用者の目線に立ったサービスを提供していきたい」とあいさつした。

 寺坂社長ら4人が点灯式に臨み、スイッチを押すと同案内所内に設置された大型ディスプレーに、乗り場別の出発予定時刻が映し出された。通常の大きさの約30倍に当たる携帯電話によるデモンストレーションも行われ、同支局の本間孝一支局長が乗降車地を入力して、到着予定時刻を表示させた。

 このほか、市内22カ所の停留所で到着予定時刻を表示するようになったほか、同駅と函館空港には時刻表だけでなく、観光施設の情報を検索できる専用端末を設置。同社によると、午前8時ごろにアクセス数は1000件を超えるなど、利用者の関心の高さがうかがえた。

 パソコンの場合のアドレスはhttp://hakobus.jp 携帯電話はhttp://hakobus.jp/m

 問い合わせは、同社函館営業所TEL0138・51・3137。 (浜田孝輔)


◎母校の記憶いつまでも 函館北・東高で閉校式
 新年度に統合し、「市立函館高校」として開校する函館北・東両高校は20日、各校で「閉校式」を行った。函館東(森武校長)は在校生や卒業生、旧教職員、市関係者ら約1000人が参加。校歌合唱やスライド上映などで別れを惜しみ、67年間の歴史に幕を下ろした。

 森校長は「歴史の変換期に必要なのは若者のエネルギー。新しい高校では今まで以上にワクワクするものを創造してほしい」と新しい高校への期待感を込め、平沼冠三同窓会長(新制18回生)は「心の中には『青雲魂』『青雲の志』が残り、消えてなくなるものではない」と話し、統合後も変わらず支え続ける思いを語った。

 在校生代表の早川裕香さん(2年)は「先輩方や地域への感謝の気持ちを北高の人と共有し、素晴らしい1ページを刻める学校づくりを行いたい」と新設校1期生としての決意を述べた。

 放送局(熊田雅章局長)が編集した約30分間の「思い出」のスライドが上映された。学校生活や校舎、部活動、あんどん行列の歴史を約400枚の写真で紹介すると、会場からは歓声や懐かしむ声が上がった。

 全員で校歌を合唱後、森校長は函館市教育委員会の新里光代委員長へ校旗を返納。来場者は寂しさをにじませながらも、笑顔で式を締めくくった。

 「市立函館」の開校式は4月9日、函館市民会館で行われる。 (笠原郁実)


◎江差高生徒会 ベトナムに運動靴贈る
 【江差】江差高校生徒会(若山恭也会長)は20日、貧困に苦しむベトナムの子どもに役立ててもらおうと、卒業生の運動靴50足を現地に発送した。

 発送したのは今春卒業した3年生が使っていた上靴や運動靴など50足。函館北高などの活動を参考に、卒業とともに捨てられていた運動靴を生徒会の呼び掛けで回収。「汚れや傷みが少なくまだまだ使える物も多い」(生徒会担当の大硲正典教諭)という。

 初めての発送に向け、副会長の西舘拓郎君(2年)、只野彩子さん(同)、太多諒君(1年)が丹念に箱詰めを行った。バレーボール部から提供された、規格変更で試合や練習で使われることがなくなったバレーボール9個も一緒に納めた。

 3人は「日本では簡単に捨てられてしまう靴でも、はだしで暮らしている子が少なくないベトナムでは高価で重宝される。自分たちの靴も大切に使うことでベトナムに送れるようにしたい」と、活動の継続に意欲を見せた。生徒会では新年度、缶ジュースのプルタブやベルマークの回収といったボランティア活動にも力を入れる方針という。

 ベトナムまでの送料は、学校祭で開いたバザーの収益金を充てる。靴とボールを納めた段ボール2箱は同日、国際郵便でベトナムに向けて発送。ベトナム中部のフエ市で、ストリートチルドレンの自立支援活動に取り組む「ベトナムの『子どもの家』を支える会」(小山道夫代表)の現地事務所に郵送され、同会を通じて現地の子に配られるという。 (松浦 純)