2007年3月23日(金)掲載

◎日露交流 写真や版画で…ロマノフ王朝近代日本展
 世界五大図書館の一つロシア国立図書館(サンクトペテルブルク)の収蔵資料を展示する、日露修好150周年記念「ロマノフ王朝と近代日本展」の函館巡回展(函館市、道立函館美術館など主催)が22日、同美術館で始まった。4月5日まで。

 同図書館収蔵品の海外展示は初めて。主にロシア帝政を起こした17世紀から20世紀初頭までのロマノフ王朝時代の作品が並ぶ。銅版の腐食を利用したエッチングなどさまざまな技法を使った精微な版画や、19世紀末のロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ2世が皇太子時代に鎌倉や東京を訪れた時の写真など、当時の印刷技術を駆使した美術品約300点が、日本とロシアの交流を伝える。

 函館を題材にした作品もある。函館山のふもとに寺社や民家が並んだ「箱館―在日本ロシア領事館所在地」(1862年)やA・Fモジャイスキーの原画「箱館の日本寺院の中庭」(57年)は、水と油の反発作用を利用した版画「リトグラフ」で、森や屋根など細部まで描かれ、当時の箱館の様子を知ることができる。美術品として高い価値があるものばかりだ。

 同美術館の地家光二学芸課長は「眺めるというよりも読み込むような美術展。美術のみならず歴史に興味のある人も楽しめます」と話していた。観覧料は一般600円、大学・高校生300円、小中学生200円。期間中の土・日曜は小中学生無料。問い合わせは同美術館TEL0138・56・6311。(佐々木 司)


◎知事選3氏立候補…統一選スタート
 【札幌】第16回統一地方選のトップを切って道知事選が22日告示され、予定された3氏が立候補した。3候補は、札幌の都心部で第一声を上げ、4月8日の投開票日に向け、17日間に及ぶ戦いの火ぶたを切った。

 立候補したのは、届け出順で、団体役員の宮内聡氏(43)=共産公認=、現職で再選を目指す高橋はるみ氏(53)=無所属、自民、公明推薦=、前衆院議員の荒井聡氏(60)=同、民主、社民、新党大地推薦。各陣営では、それぞれ選対事務所で出陣式を執り行った後、午前9時前後から第一声を放った。

 3候補は経済対策、地域医療の立て直し、福祉・医療の拡充、公共事業の在り方、夕張の再建策などの政策を訴え、集まった支援者は拍手や声援を送り、会場周辺は熱気がみなぎった。また、各政党は、応援演説で代表や幹事長などのトップ級を送り込み、北海道知事選を重視する姿勢を示した。

 選挙戦では、経済再建や雇用対策、財政難にあえぐ市町村の支援策などの課題をめぐって有権者の選択が問われる。また、12年ぶりに統一地方選挙と参院選が重なり、各政党は、知事選、札幌市長選を参院選の行方を占う重要な戦いとして位置付けている。


◎水族館建設は凍結…市長選で井上氏が公約
 4月15日告示、同22日投開票の函館市長選に立候補を表明している現職の井上博司氏(70)は22日、市内のホテルで公約を発表した。老朽化が進んでいる市民体育館の移転整備と市民会館の改築、乳幼児医療助成の小学校6年生までの拡大などを打ち出した。海の生態科学館(水族館)の建設は盛り込まなかった。

 一時凍結中の水族館整備は、財政再建後に市民の理解を得た上で進める考えだった。井上氏は、行財政改革による収支均衡が図られる年が2009年度の予定で、仮に当選しても任期が残り1年となることから、「あらためて市民に問うのはいかがなものか。4年間は凍結のままでいきたい。市民体育館の移転整備など新たなハード事業のニーズもある」と述べた。

 市民体育館の移転整備は概算で約60億円を見込み、コンベンション(会議や大会)機能を持たせる。次の任期で実施設計まで進める考え。また、体育館移転後に湯川町1の市民会館を建て替える計画で、事業費は概算で80―100億円。次の任期中に基本構想をまとめる。ともに市の負担が約3分の1で済む合併特例債の活用を目指す。

 このほか、国宝に指定された中空土偶を核とした縄文文化交流センターを南茅部地域に整備し、広域観光にも結びつける。奨学資金を大幅に拡充し、安心して子供を産み、育てられる環境づくりを進める。

 大型ハード事業の財源確保について井上氏は「事業費は毎年100億円程度を計上しており、健全財政を実現すれば間違いなく可能と考える」と答えた。

 施策の大綱として「市民生活の安定向上」「将来にわたって揺るぎない繁栄を続けるための基盤整備」の2点を掲げた。(高柳 謙)


◎函館市商業地 7年ぶり一部上昇…公示地価
 国土交通省は22日、1月1日現在の公示地価を発表した。渡島管内の1平方メートルメートル当たりの平均地価は5万3100円と、16年連続で下落したものの、下落率は前年比2・6%と1・0ポイント縮小。中でも函館市内の商業地では、本町や大門地区などの4地点で上昇した。同市内での商業地の地価上昇は7年ぶり。また商業地、住宅地を含めて横ばいの地点が多く、下げ止まり傾向が見られる。桧山管内の平均価格は2万7500円と、7年連続で下がった。下落率は前年比0・7ポイント減の3・9%だった。

 ■渡島の住宅地

 渡島管内の平均価格は4万2300円で。8年連続で下落。下落率は前年より0・3ポイント縮小して3・5%だった。

 函館市の平均価格は5万6000円。9年連続で下がり、下落率は3・6%。中心市街地で、利便性が高い地域では下落幅が横ばいもしくは縮小傾向だが、郊外や環境が劣る地域では下落率が高い。

 函館市周辺地域では、七飯町が低額な分譲地供給の影響で下落率5・2%と高かった。北斗市は利便性の高い旧上磯町地域の同1・4%に対し、旧大野町地域は同4・4%と内部格差が広がっている。

 ■渡島の商業地

 渡島管内の平均価格は8万2300円。15年連続のマイナスながら、下落率1・0%と、昨年の同3・1%から大幅に縮小。道新幹着工により域外企業などのホテル需要が高まった影響から、JR函館駅前と本町の地価が上昇。また長期的な地価下落により、商業地の地価が背後の住宅地に接近していることも下落幅縮小につながっているとみられる。

 ■桧山の住宅地、商業地

 住宅地の平均価格は2万3200円。5年連続で下がった。下落率は3・0%。地価1位は江差町上野町35―5。前年比3・5%減で3万8800円。商業地の平均価格は3万6200円。7年連続で下がった。下落率は5・6%。地価1位は江差町新地町50―1内。前年比9・9%減で5万9000円。

 1次産業を取り巻く経済環境の悪化や断続的な人口減少により、経済基盤が弱体化していることが、下落率拡大につながっていると考えられる。


 公示地価 地価公示法に基づき国交省の土地鑑定委員会が毎年1回、標準値の1平方メートル当たりの価格を鑑定評価し公表する。2007年の標準値は全国で3万地点、道内は1557地点、渡島管内は102地点、桧山管内は9地点(小川俊之)


◎米軍が緊急着陸…函館空港
 22日午前10時50分ごろ、米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が、訓練中に燃料系統のトラブルが発生したため、函館空港に緊急着陸した。男性パイロットにけがはなかった。同基地所属の米軍機は昨年11月にも同空港に緊急着陸したばかり。今回は到着便の時間帯と重なり、滑走路の一時閉鎖を迫られるなど民間航空機にも影響が出た。

 東京航空局函館空港事務所によると、同10時47分、同空港から南南西に約56キロ離れた津軽海峡上空で同機が緊急信号を発信。受信した同空港の管制レーダーが着陸を許可し、同機は同53分、一緒に訓練していたエスコート機は同11時16分に西側滑走路から着陸した。

 トラブルが発生した戦闘機には男性パイロット1人が乗り込んでいた。着陸後は同空港の東側誘導路に駐機している。同事務所によると、機体後方から燃料が漏れ出していたという。この影響で、同空港は同10時53分から約50分間にわたり滑走路を閉鎖した。

 このため、丘珠発函館行きの全日空(ANA)4813便が上空で一時待機し、約40分遅れで到着。折り返し便も約35分遅れて出発し、合わせて72人に影響が出た。

 同基地は緊急着陸の理由について「機体とパイロットの安全確保を最優先するため、最寄りの空港に着陸した」と説明。同基地から派遣された整備士ら8人が同日夜、点検した。

 函館空港への同基地所属の米軍機の緊急着陸は今回で5回目。2004年8月には燃料タンクの不具合、06年11月には照明装置の発火など、機体トラブルを理由とするケースが頻発している。

 今回の事態を受け、道や札幌防衛施設局は22日付で、三沢基地の司令官に対し、原因究明や再発防止を求める申し入れ書を送付した。


◎マンモス議会にお別れ…市議会閉会
 函館市議会の第1回定例会が22日、閉会した。4月の改選で定数が38となり、議員数は現在の76人から半分になる。道内市町村で最多の議員がひしめく議場を見る機会は、臨時会が招集されない限りなくなった。旧4町村出身の議員は約2年間の議会活動を「地域の声を届ける責任は果たした」と異口同音に振り返り、議場を後にした。

 2004年12月の合併で誕生した新函館市の議会は、各町村議員に在任特例を適用。議員数は、旧市34、旧4町村47の計81人だった。現在は任期中の辞職や死去などで76人。定例会閉会後、退任のあいさつをした福島恭二議長は「極めて活気ある議会だった。マンモス議会も、皆さんのおかげで順調に進めることができた」と感謝した。

 改選後は旧市区の定数が34、4町村地区は各地区1で、合わせて38。地域の声を届ける4地区選出の議員責任は重くなると同時に、旧市の議員が4地域に果たす役割も大きくなる。今期で引退を決めている各町村議員は、今後も地域の課題解決に尽力したいと抱負を語った。

 といグループの宇美兼松氏は「力が足りなかったと感じるが、合併協議から始まり、議員として地元の意見を伝えてくることはできた。戸井は以前から生活面で函館と違いはなかったが、議員を辞めても地域振興に努力したい」と話した。

 恵山議員団の田中博氏は「元気ある函館であってほしい。地域が元気になれば、函館も元気になる。恵山は宝の山。水産もそうだが、風光明美な所を活用し、全国に発信してほしい」と語った。

 南かやべ議員団の杉林幸弘氏は「函館の会派制は、制約を受けた部分や難しさもあった。議員同士で研さんや交流を重ね、相互理解は図られたと思う。旧市の市議はこれからも4地域に関心を払ってくれる」と期待する。

 椴法華クラブの中村美津子氏は「地域には高齢者や自営業の人が多く、福祉や年金など、気がかりな点がある。何らかの形で働きかけたい」と話した。(今井正一)