2007年3月25日(日)掲載

◎スギ、シラカバ花粉、今年は少なめ?
 渡島保健所は、渡島合同庁舎(函館市美原4)の屋上に設置した花粉捕集器でスギやシラカバの花粉飛散調査を行っている。スギ花粉は4日に初飛散が観測されたが、その後は不安定な天候のため、記録上、飛散開始日には至っていない。同保健所は「暖冬の影響で飛散時期は早まっているが、全体量としては昨年を下回るのではないか」とみている。

 同保健所は2000年から花粉飛散調査を実施。捕集器にワセリンを塗ったスライドガラスをセットし、毎日午前9時から24時間放置した後、1平方センチ当たりの花粉量を顕微鏡で測定する。

 ことしは3月初めに捕集器を設置。4日に昨年より20日早く、1平方センチ当たり0・3個のスギ花粉を初観測した。ただ、飛散開始日とするには1平方センチ当たり1個以上の飛散が、2日連続で確認されなければならない。5日以降、冬に逆戻りしたような気候が続いたため、ほとんど飛散は認められていない。

 05年、06年とスギ花粉の飛散量は平年の約3倍という大量発生が続いた。今年は記録的暖冬だったため、3年連続の大量発生も心配された。しかし、飛散量は前年夏の日射量と降水量に関連すると言われ、昨夏は8月を除くと長期的に低温傾向が続いたことから、平年並みかそれ以下の可能性が高いと考えられている。

 同保健所は「気象条件だけでは説明できない場合も多く、飛散量を予測することは難しい。今後は天候の回復が見込まれるので、花粉症予防には気をつけてほしい」と話している。

 例年、スギ花粉は4月上旬から中旬をピークに5月上旬まで飛散が続く。スギ花粉と入れ替わるように、4月後半からシラカバ花粉の飛散が始まり、6月上旬まで続く。(小川俊之)


◎早い雪解け…早まる山菜シーズン 遭難どう防ぐ
 【上ノ国】暖冬の影響で檜山管内南部では、春の山菜シーズン到来も例年になく早まることが予想される。江差署管内では昨年4―6月に6件の遭難事故が発生。上ノ国町では1人が行方不明のままだ。関係機関はシーズン本番に向け、遭難防止に向けたPR活動や対策の検討を本格化させている。

 雪解けが早い桧山南部では“キトビロ”の愛称で親しまれるギョウジャニンニクが芽吹き始めた地域もあり、既に愛好家が入山を始めている。遭難原因のトップ・タケノコも「シーズンは半月ほど早まるのでは」(愛好家)との観測もある。

 同署管内では昨年、4月に厚沢部町でギョウジャニンニク採りの男性が死亡。続いて上ノ国町では、6月8日―19日にタケノコ採りに伴う遭難事故が5件発生。女性が心臓発作で死亡。町内の男性は行方不明のままだ。

 この間、町、警察、消防、自衛隊の捜索人員は延べ800人を超え、捜索費用も数百万円規模に達した。町内では費用の本人負担を求める声も根強いが、町は「人命尊重の観点から困難」と慎重だ。負担がのしかかる町は、シーズン到来を前に、広報紙で遭難防止やマナー向上をPRする2?の特集を組む異例の対応も。

 このうち3件の遭難事故が続いた、湯ノ岱国有林内の「上の沢タケノコ園」は、捜索態勢の不備などが指摘され、昨年はシーズン途中で休園。同園を管理する檜山森林管理署は22日、同町役場で町、警察、消防の3者で再開の是非を話し合う初めての協議会を開いた。

 同園は入山料を徴収して歩道の管理や巡視を行っており、関係機関から管理責任の明確化や遭難策の強化が求められている。同管理署は歩道の再整備や看板・ロープの設置など、再開に向けた対策強化案を提示。一方で全面閉鎖した場合は、昨年の休園期間中に相次いだケースとして@悪質入山者によるゲート破壊A不正入山者と一般愛好家の不公平感―などの問題も生じると指摘した。

 参加者からは「入山届提出の徹底が必要。遭難者の人数把握や身元確認が遅れる」「管理署も最大限の捜索人員を確保してほしい」「捜索開始が夜間になるため閉園時刻を早めるべきだ」などの提案があったという。

 同管理署は「100パーセントの遭難防止は難しい課題。新たな対策で再開に向けた課題をクリアできれば。雪解けも早まっており、開園の是非を早期に判断したい」(星育男次長)と話している。(松浦 純)


◎有志20人「お化粧隊」結成、来月から老人福祉施設訪問
 メークで笑顔と元気を届けたい―。函館市内・近郊に住む会社員やエステティシャン、理容師ら20人が、福祉施設を訪問して高齢者に化粧を施す「お化粧隊」(岡田朋子代表)を結成した。4月から本格的に活動を始める。

 高齢者との会話を楽しみながら、口紅などの簡易なメークを行う。釧路市の市民団体が同様の活動を行っていることを知った道国際交流センター(HIF)の職員らが中心メンバー。有志を募ったところ、20歳代から60歳代の男女が協力を申し出た。

 訪れるのは同市内・近郊の老人ホームやグループホームなどの福祉施設。メンバーの専門分野を生かし、化粧のほか、理容師による顔そり、高校指導助手によるコーディネートなどさまざまなサービスを考えている。実施日は平日昼間、平日夜間、土・日曜などから選べる。事前に施設関係者と打ち合わせを行い内容を確認する。

 現在、メンバーは専門家からメークの特訓中。メンバーの一人で元化粧品販売員の平子由美子さん(60)=同市在住=は「女性にとって、化粧は1日の始まりを意味する大切なもの。鏡に映った自分の顔や、『すてき』という声で若さを保ってもらいたい」と意欲を見せる。

 訪問メークの希望施設、ボランティア参加者は岡田代表TEL0138・22・0770(HIF内)。(笠原郁実)


◎「多重債務110番」市民らの相談続々
 函館司法書士会(石川博康会長)は24日、函館市千歳町の桐朋会館で「全国一斉多重債務110番」と題した相談会を開いた。市内外の多重債務に悩む人らが訪れたり、電話をかけてきたりし、債務返済などに関する相談が続々と寄せられた。

 貸金業法改正を受け、債権者側への対応などにも当たる司法書士の役割を知ってもらおうと、日本司法書士会連合会の呼びかけで全国一斉に実施。同会の司法書士5人が交代で応じた。午前10時の受け付け開始とともに、2回線設けた電話が鳴り響いた。

 同会によると、かつては破産に直結するケースが多かったが、利息制限法に基づいた計算で払い過ぎが判明する場合が増えているという。このため、借りる側の関心も高く、相談も増加傾向にあるという。この日は電話が十数件、面談が15件ほどあった。司法書士は債務状況などを聞き取り、アドバイスした。

 同会は月2回、予約制で有料の相談を実施しているが、8割が多重債務に関する内容という。石川会長は「1人で抱え込み、行き詰まる人が多い。家族も債務者を突き放したり、責めたりせず、冷静になって相談してほしい」と話していた。 (原山知寿子)


◎五稜郭タワー・クンシラン展示
 五稜郭タワー(函館市五稜郭町43)のエントランスホールに、見ごろを迎えたクンシランの鉢植えが展示され、来場者の目を引いている。オレンジや黄色の花々は、本格的な春の到来を感じさせるかのように、館内を温かく彩っている。

 鉢植えは、クンシランの栽培歴40年を数える深見欣一さん(67)=同市山の手3=が、丹精込めて育てているうちの34鉢。2月に同タワーを訪れた際、ツバキが飾られているのを目にし、観光客らを出迎える一助にと、同タワーに呼び掛けたところ快諾された。

 種をまいてから花が咲くようになるまで5年はかかるというクンシラン。深見さんは、代表的な種類の達磨(だるま)や黄花などを交配しており、花の色の濃さや葉のしま模様は独特の色合いを醸し出している。

 30日まで展示。深見さんは「たくさんの人に春らしい雰囲気を楽しんでもらえれば」と話している。 (浜田孝輔)


◎函館市緑化審議会、元町公園を視察
 本年度第1回函館市緑化審議会(委員15人)が23日、開かれた。市の緑化推進事業の進ちょく状況を確認するため、整備中の元町公園などを視察。同公園では市緑化推進課職員が「公園前の電柱は来年には地下に埋設する予定。晴天なら駒ケ岳も見えます」などと説明した。委員らは展望広場から函館湾を見下ろす風景や、車いす用スロープなどの設備を見学した。

 同日は委員11人が出席。委員交代後、初の開催で、新会長に道教育大函館校教授の長谷昭氏、副会長に樹木医の館和夫氏を互選した。

 同公園の整備工事は2005年度からの2カ年計画。既存の0・7ヘクタールの敷地に旧市立函館病院跡地0・3ヘクタールを利用し、拡張工事を進めてきた。工事費は約3億円。

 園内には野外イベントが開催可能なステージ広場や、旧函館区公会堂側に展望広場を設け、両スペースを結ぶ階段部分にはこう配約4%のスロープを設置。車いす利用者にも配慮した。イベント時には、階段は観客席としての利用も想定している。

 このほか、多目的利用が可能なトイレや噴水、花壇など、ユニバーサルデザインに配慮した設備が整っている。

 工事はほぼ完成し、植栽や清掃が残るだけ。27日にも完了する予定で、4月2日からの供用開始を目指している。 (今井正一)