2007年3月3日(土)掲載

◎盲学校で卒業祝いバイキング給食
 函館盲学校(澤田勝昭校長、園児・児童・生徒17人)は2日、中学部3年、幼稚部年長の計3人の卒業を祝い全校で「バイキング給食」を行った。アナゴちらし寿司やミートローフ、蒸し野菜の明太子ソースなど彩り豊かな7品がずらり。デザートには調理員手製のハート型ケーキも並び、児童らは笑顔で一つひとつの料理を味わった。

 ゲームや合唱で卒業生を送る「お別れ会」に合わせ2004年度から実施。管理栄養士の門馬則子さんがひな祭りや卒業に合わせたメニューを考え、調理員が腕を振るった。

 細工を施したイチゴが愛らしいケーキは初めてのメニューで調理員の竹内ひでさん(59)は「普段、ケーキを出す機会がなかったので盲学校を忘れず、卒業後も思い出してほしいとの気持ちを込めて作った」とニッコリ。

 卒業生は栄養バランスを考えながら料理を盛りつけ、お世話になった教員と机を並べ会食。同校に12年間通い23日、中学部を卒業する白川健人君(15)は「どれもおいしい。盲学校の思い出を胸に卒業後は、札幌の学校で運動や絵を頑張りたい」と声を弾ませていた。(笠原郁実)


◎渡島・桧山管内でドラッグストア進出相次ぐ
 函館市内を中心とした渡島・桧山管内で、ドラッグストアの進出が相次いでいる。スーパーマーケットやホームセンターなどが立地する複合商業施設の一角をはじめ、住宅地では郊外にとどまらず、同市西部地区にも出店している。今後も大手各社は店舗数の拡大で顧客獲得にしのぎを削り、競争が一層激化する様相を示している。

 サッポロドラッグストア(札幌)は1998年7月、管内第1号店の「函館富岡店」(同市富岡町1)を開店。その後、1―2年に1店舗のペースで拡大してきた。しかしペースを速め、一昨年には3店舗、昨年は、大野店(北斗市本郷47)や七飯桜町店(七飯町桜町111)、宝来店(函館市宝来町10)など5店舗を新規出店させ、管内では16店舗を構える。

 同社によると、近年の出店ラッシュは「それまでは単独での立地条件が多かったが、スーパーマーケットなどとの共同出店のパターンが増えたため」と説明。4月からの新年度については、「函館を重点地区のひとつにしており、まだまだ出店の余地はある」と強気の姿勢を見せる。

 一方、ツルハホールディングス(札幌)は、1月に開店したばかりの亀田本町店(同市亀田本町39)をはじめ、調剤薬局3店を含む、10店舗を展開。さらに同市千歳町22に建設中の千歳店は、敷地面積約1663平方メートル、店舗面積は約849平方メートルで、4月中のオープンを目指している。

 同社は、今期(2006年5月16日―07年5月15日)に営業エリアである道内、東北、関東で80店舗の新規出店を計画。来期(07年5月16日―08年5月15日)は、100店舗を想定しており、函館地区でも「商圏を見ながら、決めていきたい」と新たな出店の可能性を模索している。(浜田孝輔)


◎道議選企画「激戦」函館市区・上…「3人公認」なお可能性
 「函館支部では3人目の追加公認はなかったが、自民党にとって今回の選挙は知事選必勝と党勢拡大がかかっている。その観点から函館市区での3人公認は検討課題として残っている」―。

 地元の自民党関係者はこう説明し、公認問題はまだ終わっていないことを強調する。

 前回は定数6に自民・保守系が5人出馬し、自民党は3人を公認。結果は現職の川尻秀之氏のみの当選で、公認の2人を含む4人は共倒れした。

 「前回は共産党が漁夫の利を得た。今回も保守系が4人。本当に厳しい選挙だ」と川尻氏。前回公認の畠山博氏は、わずか12票差で共産党の日高令子氏(故人)に競り負け次点。昨年1月の補選(欠員2)でも自民・保守系3人は民主党と共産党に敗れた。勢力図は結局、4年間変化がなかった。

 2度にわたる失態から自民党函館支部(支部長・川尻氏)は、2月14日の役員会議で畠山氏と大日向豊吉氏を公認しないことを決めた。意見が割れたため、川尻氏を除く出席者8人による無記名投票での結果だった。現時点での公認は川尻氏と新人の佐々木俊雄氏の2人。

 函館支部の結論は果たして動かないのか。川尻氏は「支部で決定済みのこと」と口を真一文字に結ぶ。上部組織の道8区支部も「基本的に函館支部の意向を尊重する」(中村勉支部長)が、道連は「高度な政治判断になる」と含みを持たせる。

 自民・保守系は、獲得票数では民主党を上回る。民主党は前回、悲願の3議席を獲得し、3候補の合計得票は約4万4000票。一方の自民・保守系は約5万3000票だった。自民は乱立さえしなければ2議席はもちろん、3議席も狙える。ただ、今回は4人。

 佐々木氏の陣営は「3人目の公認の話は聞いていないが、もし公認追加になれば自民党支持票が割れることになり、影響がないとはいえない。特に実績があり知名度が高い畠山氏が公認されると、これまで以上に厳しい戦いは避けられない」と危機感が漂う。

 その畠山氏は「道連の判断であるし、公認が出る出ないにかかわらず、選挙に出るのは決まっていること。市内を回ってみても、政党にこだわる人は少なくなった感触はある」と冷静に受け止める。後援会幹部も「公認が出るのであれば、早いほうがいいのだが、あまりこだわってはいない。われわれは人物評価を前面に、運動をするだけだ」と話し、陣営のムードの良さを強調する。

 また、大日向氏は「議員活動をしていく上で、無所属と自民党では力が全然違う。函館のために活躍したいと思っているので、目に見えない力をいただきたい」と話し、期待を寄せる。

 10日には自民党の武部勤前幹事長が函館入りする。「公認問題は10日を軸に動きがある」と指摘する関係者もいる。

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 30日の道議選告示まで1カ月を切った。定数6に対し9人が名乗りを上げ、道内有数の激戦区として注目されている函館市区の情勢を探る。(道議選取材班)



◎函館 過去4番目の暖かさ…道南・冬期間気象状況
 函館海洋気象台は2日までに、函館、江差の冬期間(昨年12―2月)と、道南各地の2月の気象状況をまとめた。この冬は全国的に暖かく、道南でも58年振りの暖冬になった。江差では3カ月間の平均気温は1・8度で、1949年と同じ戦後最も暖かかった。函館市美原は同0・2度で、過去4番目の高さだった。また、江差では、2月1カ月の平均気温が平年より2・6度高い1・8度となり、過去最高となった。

 今冬の日本の平均気温は平年より1・52度高く、1949年と並び最も暖かい冬となった。気象庁は、暖冬の原因について、地球温暖化の影響のほか、寒気が南下しにくい大気の流れが続いたことと、エルニーニョ現象の影響で、冬型の気圧配置が現れにくかったことが重なり、記録的な高温と少雪になったとしている。

 道内でも、22ある観測地点で平均気温が平年より高かった。最も差が大きかったのは函館市美原で2・1度高かった。

 降雪量は、函館で157センチ。平年309センチの半分だった。江差は84センチにとどまり、平年298センチの3分の1以下。

 道南で、2月1カ月の平均気温が過去最高となったのは、江差のほか、せたな町の0・5度(平年との差2・3度)。このほか、ほとんどの地点で平年より2度以上高くなった。

 雪は各地で少なく、八雲町熊石では過去最少の42センチだった。函館市美原は30センチで、過去10番目の少なさ。

 札幌管区気象台が2日発表した、3月の1カ月予報によると、高温傾向はまだ続く見込み。

 前半は、気温は高いものの、発達した低気圧の影響で全道的に雨や雪となり、大荒れとなる恐れがあるとしている。天気は数日の周期で変わり、気温は中ごろにやや下がり、後半はほぼ平年並みになるとしている。(山崎純一)


◎27年間ありがとう…海保巡視艇「すずらん」解役式
 函館港や津軽海峡を守り続けて27年―。函館海上保安部の巡視艇「すずらん」(40トン、5人乗り組み)が老朽化のた任務を終えることになった。函館市海岸町の函館港岸壁で2日、解役式が行われ、北村禎(あつし)船長(39)ら約20人が別れを惜しんだ。

 「すずらん」は1979年7月、函館海保に配属。翌80年のリベリア船籍の貨物船衝突事故では、沈没した貨物船から大量に流れ出した油の除去作業に当たった。また2002年の噴火湾でのウニ密漁事件では、暴力団員ら7人を検挙するなど活躍した。

 総航行距離は24万9955キロ。地球を約6周した計算になる。海難出動件数は128件。全長18メートルの船内外に残る多くの傷みが、これまで21隻47人を救助した実績を物語っている。

 式では船に掲げられていた国旗と庁旗が降ろされ、代市修同海保部長に返納された。最後に、乗組員が船首部に書かれた船型番号をペンキで塗りつぶし、27年余りの歴史に幕を閉じた。

 「引退を迎えられて、うれしい反面、一抹のさみしさも感じる。近代的な船のようにスピードも出ず、操船も難しい。それでも30年近く無事故で任務を終えられたことに感謝したい」。14代目となる北村船長はこうすずらんをねぎらった。

 すずらんの後継となる巡視艇は、第2管区海上保安本部八戸海上保安部所属の巡視艇「むつぎく」(40トン、5人乗り組み)で、同日付で「すずらん」に船名を変更し、配備された。(森 健太郎)


◎中身が飛び出すしかけ絵本15点展示…中央図書館企画展
 函館市中央図書館で1日、入館者数100万人達成記念の企画展「しかけ絵本を楽しもう!」が始まった。ページをめくると本の中身が飛び出すしかけ絵本15点が展示され、来館者の目を楽しませている。15日まで。

 昨年12月、市内の車体整備事業者らでつくる函館アウダ同好会からしかけ絵本32点が寄贈されたのを機に、入館者数100万人達成記念に合わせてお披露目された。

 展示されているのは、同図書館所蔵のしかけ絵本約70点のうち、寄贈分が中心。主に洋書で360度開く仕掛けの「ウインターワンダーランド」やページを開くと朝、午後、スコール、夕暮れ時に場面が移り変わる「サファリ」などがあり、本を開く前には想像できない繊細で思いがけない仕掛けが好奇心をそそる。

 日本でしかけ絵本ブームの火付け役となったアメリカの絵本作家、ロバート・サブダ氏の作品もそろう。ダイナミックで緻密(ちみつ)な仕掛けが特徴で、「不思議の国のアリス」では無数のトランプがアリスの頭上を舞う場面が見られる。

 3、4日はお話しの部屋で午前と午後の2回、約20点のしかけ絵本に触れられる。問い合わせは同図書館TEL0138・35・6801。(宮木佳奈美)