2007年3月30日(金)掲載

◎「函館にようこそ」…函館IC付近に観光歓迎塔
 函館新道沿い函館IC(インターチェンジ)付近(同市桔梗町435)に観光歓迎塔を設置した函館市は29日、完成を記念して同所でセレモニーを開いた。淡いブルーを基調とした高さ15メートルの歓迎塔は、七飯町方面側には「ようこそ函館」と書かれ、陸上の玄関口で観光客を出迎える。

 式典で桜井健治商工観光部長は「縦方向に伸びる美しいシルエット。形状は函館のともえ印をイメージした」と、観光塔の概要を説明した。この後、工藤寿樹助役や木村孝男函館空港ビルデング専務ら6人でテープカットし、完成を祝った。

 歓迎塔は鉄骨造りで、函館どつくが施工。外壁は銅板亜鉛メッキ仕上げで、函館の海をイメージした淡いブルーを基調とした。設置費2400万円のうち1800万円は寄付金で賄った。

 「函館」の文字部分には白色の発光ダイオード(LED)を使用。夜間でも文字がくっきり浮かび上がる。また、七飯町方面側には3基の照明灯を設置。日没から午後10時まではライトアップされる。(今井正一)


◎任期付き職員2人に…市の貿易振興組織
 函館市が4月から商工観光部商工振興室内に新設する貿易振興担当組織に、民間から任期付き職員2人が採用されることになった。当初は1人の予定だったが、「優秀な人材が集まり、2人となった」(市人事課)という。貿易対象は東アジアやロシアで、民間の経験やノウハウを生かした地域レベルの貿易を行政の立場から推進する。

 採用した職員は男性1人、女性1人で、任期は3年間。1人を課長職の参事、1人を補佐的な主幹とし、市職員の主査1人を置く予定。

 貿易担当職員の業務は▽貿易相手国の市場調査やニーズの把握▽海外取引に対する地元企業のニーズの把握や情報提供▽商談機会の設定や各種貿易振興施策の企画・立案―など。貿易対象はロシア極東と中国、台湾、韓国などを想定している。

 函館の個々の企業では、イカ釣りロボットなどを独自に輸出しているケースもある。ただ、ノウハウや経験不足から相手国の企業との商談から取引まではなかなか進まないのが現状。

 貿易業務の経験者を採用することで、商談の設定やその後のアドバイスなども期待できる。貿易を担当している市商業課は「相手国のニーズを調査し、水産物や水産加工品など、函館で生産されているもので貿易の対象となる商品を軌道に乗せ、少しずつ実績を増やしていくことができれば」と話している。

 任期は最大5年間まで更新できる。専門知識や経験を持つ人材を登用し、即戦力として業務に当たる。市の多様な職員形態の一つで、法律など他の分野への拡大も検討している。(高柳 謙)


◎道議選きょう告示
 道知事選に続き、いよいよ本格的な統一地方選突入となる道議選が30日、告示される。道南では函館市区(定数6)に9人、渡島支庁区(同3)に4人、新設される北斗市区(同1)に2人、桧山支庁区(同1)に2人と、それぞれ定数を上回る立候補者が予想され、混戦の様相を呈している。各候補予定者は、立候補を届け出た後、選挙事務所前などで第一声を上げ、8日の投開票日に向け9日間の舌戦に突入する。

 函館市区に立候補を予定しているのは、川尻秀之氏(61)=自民現・4期、平出陽子氏(58)=民主現・4期、斉藤博氏(55)=民主現・2期、横山信一氏(47)=公明現・1期、高橋亨氏(53)=民主現・1期、前川一夫氏(59)=共産現・1期、畠山博氏(62)=無所属元・4期、大日向豊吉氏(57)=無所属新、佐々木俊雄氏(56)=自民新=の9人。

 新設された北斗市区は、長尾信秀氏(61)=民主現・1期、長谷秀之氏(48)=自民現・1期=の2人。

 渡島支庁区は、川村正氏(66)=自民現・4期、岡田俊之氏(67)=民主現・2期、石田広紀氏(58)=自民新、冨原亮氏(34)=無所属新=の4人。

 桧山支庁区は、福原賢孝氏(59)無所属現・1期、佐々木俊司氏(41)=自民新=の2人。

 すでに水面下で激しい前哨戦が繰り広げられている。北海道新幹線着工という明るいニュースが伝えられる一方、先の見えない景気情勢、ますます加速する少子高齢化、教育と福祉をめぐるさまざまな問題点など、道南が抱える課題を解決するには、どの候補に大事な一票を託すべきか、有権者には慎重な判断が迫られる。(小川俊之)


◎新幹線新駅前の区画整理で北斗市へ職員2人派遣…函館市
 函館市は4月から、土地区画整理のノウハウを持つ職員2人を北斗市に派遣する。北海道新幹線新函館駅が設置される北斗市で、駅前の区画整理事業に対応できる職員がいないことから、海老沢順三市長が函館市の井上博司市長に要請し、井上市長が快諾した。

 北斗市は、現JR渡島大野駅に建設される新函館駅の駅前約14ヘクタールの区画整理を計画している。計画期間は開業前の2014年度までを予定。市新幹線対策課によると、道路や公園、駅前広場、宅地などを整備する計画で、派遣職員2人を含め、同課の7人体制で事業を進める。

 要請を受け、函館市は都市建設部の課長職1人と係長職1人の派遣を決めた。地方自治法の職員派遣の規定に基づき、派遣職員の給料や手当などは北斗市が負担する。期間は2年間を予定しており、4月1日に両市で協定を交わす。

 函館市の協力について海老沢市長は、先に函館市内で開かれた公明党副代表らに対する新幹線建設促進に関する要望で、「地域が連携して新幹線に対応したまちづくりを進めていきたい」と語り、井上市長にも謝辞を述べた。(高柳 謙)


◎「50年前から飾っていた」…民家で不発弾保管
 【北斗】28日午後2時半ごろ、北斗市七重浜4に住む無職の男性(69)から「自宅に不発弾を保管している」と函館中央署に通報があった。処理要請を受けた陸上自衛隊第11師団(札幌)が同日夜、砲弾を回収。同署は男性を一時避難させたが、大きな混乱はなかった。

 同師団広報室などによると、見つかった不発弾は旧日本軍の「75ミリ砲弾」で全長26センチ、直径8センチ、重さ6キロ。発射された形跡はなく、信管付きで火薬が残ったままの状態だった。「大きな衝撃があれば爆発する可能性もあった」と同広報室。不発弾は男性宅の1階和室に飾られていたという。

 道警函館方面本部からの要請を受け、同師団の弾薬処理班の隊員2人が同日午後10時ごろ、現場に到着。砂が入った木箱の中に防護マットに包んだ砲弾を入れ、隊員が手作業で撤去した。不発弾は5月、島松演習場(恵庭市)で爆破処理される予定。

 同署によると、男性は「先祖から引き継いだもので、50年ほど前から自宅に飾っていた」と話し、危険性について認識はなかったという。十勝管内浦幌町立博物館などで旧日本軍の不発弾が発見されたという報道を見た男性が、自宅にある砲弾を不安に思い、同署に届け出た。

 函館新聞社が29日までに、渡島・桧山管内の市町教委などに確認したところ、公共の資料館などで砲弾を展示、保管していたのは市立函館博物館五稜郭分館、松前町郷土資料館、北斗市郷土資料館、七飯町歴史館、江差町の開陽丸青少年センター、厚沢部町郷土資料館の6カ所。いずれも箱館戦争(1868―69年)などで使われ、十勝管内で発見された不発弾よりも古い。既に信管や火薬は取り除かれ、安全が確認されているという。

 同署は「不発弾を見聞きしたり、自宅に保管したりしている場合、速やかに警察や自衛隊などに届け出てほしい」と話している。(森 健太郎)


◎同居女に懲役7年 函館地裁判決…富岡町殺人事件
 長男(16)と共謀し、同居していた無職男性(当時41)を殺害し、遺体を空き地に捨てたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われていた函館市富岡町、無職の女(46)に対する判決公判が29日、函館地裁で開かれた。柴山智裁判長は「強固な殺意に基づく冷酷かつ悪質な犯行。分別が十分とは言えない長男を巻き込み、厳しい非難を免れない」とし、懲役7年(求刑・懲役9年)を言い渡した。弁護側は判決を不服として即日控訴した。

 判決で柴山裁判長は「被害者には責められるべき大きな落ち度があった」と、ドメスティックバイオレンス(DV)を認めながらも、「警察に申告するなど合法的な手段を選択するのは客観的に容易で、あえて殺害に及んだのは短絡的」と非難。「事前に殺害方法や役割を決め、あらかじめ睡眠薬で被害者を眠らせ、外出時に殺害されたと見せかけるため、被害者の服を取り替えるなど、犯行は計画的で刑事責任は重い」と断罪した。

 弁護側は「被告らは日ごろから、同居男性の執ようなDVに悩み、精神的に追い詰められていた」と指摘。「犯行前日も被害者男性が女らへの暴行に着手し、眠って一時停止しただけで、犯行当時も暴行は続いていた」と過剰防衛を主張し、殺人罪での刑の免除を求めていた。

 柴山裁判長は「被害者は被告人らによる犯行の3時間前から眠り続けており、差し迫った身の危険はなく、過剰防衛が成立する余地はない」と退けた。

 判決によると、女は昨年10月19日午前零時半ごろ、長男=同罪で起訴済み=と共謀し、自宅1階和室で同居する無職男性(当時41)の左胸を小刀(刃渡り13・5センチ)で刺し、首をネックレスで絞めるなどして殺害。遺体を近くの空き地に放置した。

 長男の初公判は4月17日に同地裁で開かれる。