2007年3月31日(土)掲載

◎上ノ国、早瀬トンネル着工へ
 【上ノ国】桧山管内南部と木古内町を結ぶ道道江差木古内線改良工事の一環として、上ノ国町で新年度から「早瀬トンネル(仮称)」の建設工事がスタートする。工事期間は3年間。道は2009年度の供用開始を予定している。

 函館土木現業所によると、工事区間はJR湯ノ岱駅から約2キロ宮越側。トンネルは全長511メートル。車道部分は幅6メートル。トンネルへの取り付け道路を含む整備区間は延長830メートル。総事業費は約22億5000万円。トンネル部分は19億8000万円。

 同区間では04年2月、道路沿いの急斜面で岩盤崩落が発生。函館土現で対策を検討していた。道道は崩落が発生した斜面と、河川やJR江差線の線路に挟まれており、道路の拡幅や移設が困難なことからトンネル建設を決めた。本年度は坑口周辺の整備を行った。

 江差木古内線の改良をめぐっては、北海道新幹線の新駅が設置される木古内町とのアクセス改善に向け、上ノ国、木古内、江差の3町が整備促進期成会を組織。国や道に上ノ国・木古内町境の稲穂峠や湯ノ岱地区などの急カーブ解消、橋の改修、トンネル断面が狭く大型車との交差が困難な「吉堀トンネル」の拡幅などを要望している。

 上ノ国町は「早瀬トンネルの整備を通じ、檜山管内にとって大きな課題である江差木古内線の安全性や利便性の向上が進むことを期待している」と話している。 (松浦 純)


◎道議選告示・道南4選挙区に予想の17氏立候補
 道議会議員選挙が30日告示され、既にスタートしている道知事選とともに、4月8日の投開票日まで9日間にわたる舌戦に入った。道南では函館市選管、北斗市選管、道選管渡島支所、同桧山支所で立候補の受け付けが行われ、函館市区(定数6)は現職、元職、新人の9人、新設された北斗市区(同1)には現職2人、渡島支庁区(同3)は現職と新人の4人、桧山支庁区(同1)は現職と新人の2人の予想された顔ぶれが立候補した。統一選後半の市町村長・議員選や夏の参院選を占う選挙で、各候補は午前8時半からの届け出終了後、選挙事務所前などで第一声を上げ、遊説に飛び出した。

 (道議選取材班)

 長引く不況を反映し、景気回復や雇用拡大、福祉政策の充実、格差社会の是正などを公約に掲げる候補が多い。各候補は第一声で、地域経済の活性化や第1次産業の振興、少子高齢化対策の充実、北海道新幹線の建設促進や高規格道路整備などを訴えた。

 函館市区はいずれも一定の地力を持つ候補がそろい、道内有数の激戦区となった。元職、新人の攻勢が活発で、現職が危機感を強めており、当落の行方は全く予断を許さない。

 届け出順に、横山信一氏(公明・現)は前回のトップ当選から2選をかけ、全く気の抜けない戦い。平出陽子氏(民主・現)はただ一人の女性候補で、ベテランとして落とせない。前川一夫氏(共産・現)は昨年1月の補欠選挙勝利で勢いを付け、道南を挙げて議席死守を図る。大日向豊吉氏(無所属・新)は前回に続き、保守系が多数立つ中で堂々と戦う。

 川尻秀之氏(自民・現)は党函館支部長として、自身の当選と党勢拡大がかかった選挙。畠山博氏(無所属・元)は前回、補選に続く道政復帰をかけた決戦で、自民推薦を得た。斉藤博氏(民主・現)は道警の裏金問題追及など、中堅議員として気を吐く。佐々木俊雄氏(自民・新)は昨年の補選落選の雪辱を期し、渡島東部旧4町村への浸透にも余念がない。高橋亨氏(民主・現)は昨年の補選勝利から初めての本選挙で、力量が問われる。

 北斗市区は、一昨年の渡島支庁区補選で当選した現職2氏が激突。長谷秀之氏(自民・現)は補選の得票で2位に甘んじた雪辱を期す。長尾信秀氏(民主・現)は参院選も視野に、1人区での勝利が命題。

 渡島支庁区は北斗市区の独立で、定数が1減の3となった。石田広紀氏(自民・新)は七飯町の主要課長を歴任した経験や実績、自民公認を武器にしている。川村正氏(自民・現)は渡島西部4町を地盤に、ベテランの立場からも議席を落とせない。岡田俊之氏(民主・現)は地盤の渡島北部から旧熊石町、森、七飯などにも浸透を図る。冨原亮氏(無所属・新)は前七飯町議の実績や人脈を生かし、幅広い層から集票を目指す。

 桧山支庁区は現職と新人の一騎打ち。福原賢孝氏(無所属・現)は激戦を制した前回同様、自民公認候補とのし烈な戦いで、民主と新党大地から推薦を得た。佐々木俊司氏(自民・新)は告示直前の2月末に擁立が決まり、桧山の保守勢力の大同団結を図り、現職に挑む。

 期日前投票は31日から4月7日まで、各市町で行われる。時間は午前8時半から午後8時までだが、投票場所によっては時間が異なる場合がある。場所や時間の問い合わせは各自治体の選挙管理委員会へ。


◎道議選告示・市民ら願いさまざま
 道議選が告示された30日、道南でも各選挙区で各候補が第一声を上げ、舌戦を繰り広げた。格差社会が叫ばれる昨今、地方では景気回復の遅れや人口減少、医師不足など多くの課題を抱える。出陣式に駆け付けた支持者や選挙カーを見つめる市民からは、医療・福祉の充実や雇用対策などさまざまな願いが聞かれた。一方で「選挙には関心がない」という若者の声もあり、投票率の低迷が懸念されている。

 候補の演説を聞いた函館市深堀町の男性会社員(36)は「格差社会の中で弱い人に目を向ける政治が必要。人口減少が続く函館市では活性化に向け、子どもへの手厚い助成や地域活動の支援を充実させてほしい」と注文。七飯町中野の主婦(32)は「子どもが病気になると仕事を休まなければならず、育児中の母親の就職支援制度を望む」と話した。

 函館市東雲町の男性会社員(44)は「中央依存だった地方自治体が自立するための体制づくりが求められる。道新幹線の開業を見込んだまちづくりや高齢社会への対応など、各候補の政策を参考にしたい」と見極める。

 声を張り上げる候補たちとは対照的に、冷めた若者の姿も。ある候補の出陣式に参加した同市内の男性会社員(25)は「勤め先に行けと言われて来たが、あまり興味はない。景気が良くなり遊ぶ場所や仕事が増えればいいが、今回も投票には行かないだろう」。

 こうした関心の低さを心配する声もある。投票日には93歳の母と近所の70代女性と投票に行くという同市陣川町の主婦(59)は「知人や近所の人たちから『誰が当選しても同じ』との声もあり、選挙への関心は少し落ちているように感じる」と指摘。「せっかくの1票を無駄にしないよう投票を呼び掛けたいが、主婦同士では選挙の話がしづらいこともある」と表情を曇らせた。

 同市堀川町の団体役員の男性(72)も「周囲の関心は低い。投票率(前回は函館市区で57・27%)が極端に上がるとは考えにくいが、今後の盛り上がり次第だろう」とみる。「今回、地元から候補が出ないので少し残念」という森町森川、無職の男性(73)の声も。

 高齢化が進む中、福祉政策の充実を求める声とともに、有権者自身も選挙権の行使で願う政治の実現を図るべきとの声もあった。函館市石崎町の無職の男性(79)は「函館は4人に1人が高齢者の町。お年寄りがもっと積極的に政治に関心を持たなければいけない」。

 候補を選ぶ基準では、七飯町大沼、団体職員の男性(35)は「政策や人柄を見る。地域から道議の働きがいまひとつ見えないので目に見える政策、活動をしてほしい」と注文を付けた。函館市柏木町、女性会社員(57)は「行動力と粘り強さを重視したい」と話し、選挙カーを見つめていた。 (道議選取材班)


◎亀田農協1億円窃盗初公判、被告に懲役6年を求刑
 函館市亀田農協(同市昭和4、山岸栄一組合長)の金庫室から現金約1億円を盗んだとして、窃盗などの罪に問われている同市西桔梗町、元同農協金融部運用課長で無職の男(58)に対する初公判が30日、函館地裁(岡田龍太郎裁判官)で開かれた。検察側は「金庫室を開けられることを悪用し、帰宅するふりをして建物内に潜むなど犯行は計画的で巧妙。被害金額は大きく、農協の社会的信用を失墜させた」として、懲役6年を求刑して結審した。判決は4月24日に言い渡される。

 検察側は冒頭陳述で、犯行の経緯や手口を明らかにした。「仕事で金庫の開閉や警備装置の設定を何度もしたことがあり、金庫のダイヤル番号のメモを職場の机のマットにはさんでいた」と、業務で知った情報で犯行に及んだと指摘。計画したのは犯行数日前で、身を隠すつもりだった2階にいる同農協幹部が忘年会で早く退出する日を選んだとした。

 犯行時、警備会社からの電話に「忘れ物を取りに来た」と答えたため、怪しまれないよう店舗のシャッターを開けたり、事務室の電気をつけたりする偽装工作をしたことも明らかにした。盗んだ現金は、320万円を抜き出して自宅裏の畑に埋めたが、借金返済や趣味のレースばと購入などに使い、再び1月1日ごろに約250万円を掘り返したなどと詳述。

 被告は起訴事実を認めた。ギャンブルや住宅ローンで約4290万円の借金があり、返済が追いつかず顧客の貯金を横領、穴埋めのために犯行に及んだとし、「そういう(金融関係の)仕事をしていたので、家族らに借金のことを相談できなかった。農協には非常に迷惑をかけた」と述べた。

 論告などによると、被告は昨年12月4日午後7時半ごろから同8時15分ごろまでの間、同農協金庫室内で現金約9996万円などを盗んだ。また、昨年10月24日、同市内の無職女性(当時78)に架空の国債購入を持ち掛け、現金150万円をだまし取った。


◎はこだて検定722人が合格
 函館商工会議所は30日、「第1回函館歴史文化観光検定(はこだて検定)」初級試験(11日実施)の結果を発表した。受検者907人に対し、合格者は722人に上り、合格率は79・6%だった。

 試験では設問87題について100問を回答。70点以上で合格する。申し込みのあった1002人のうち、受検した907人(男性620人、女性287人)の平均点数は78点で、最高点は98点だった。

 合格率を男女別で見ると、男性が82・6%、女性が73・2%。年代別では、60代が94・9%と最も高く、70代以上が85・7%、50代が85・6%、40代が80・9%で続いた。

 職業別では、無職・その他が85・0%、会社員や自営業などの就業者が78・9%、学生が50・0%。地区別では、函館市が609人、北斗市が26人、七飯町が18人、その他道内が44人などだった。

 全受検者にこの日、結果を発送。合格者には合格証が同封され、五稜郭跡をモチーフにした直径2センチ大の認定ピンバッジ(1000円)や、カードホルダーを備えたストラップ(600円)を販売する。 次回試験は、11月11日に初級と上級を実施する予定。 (浜田孝輔)


◎北電知内発電所データ改ざん問題、点検結果報告書を渡島支庁に提出
 北海道電力知内発電所(知内町元町)が環境測定データを改ざんしていた問題で、北電は30日、再発防止策などをまとめた点検結果報告書を渡島支庁に提出した。北電は「今後、こうした事態が生じないよう、全社員が一丸となって取り組み、地元市町村はもとより、道民からの信頼回復に努めたい」としている。

 知内発電所では@冷却海水量A温排水温度差Bボイラー排出ガス量C発電機出力―のデータが改ざんされていたことが判明。道は2月の立ち入り検査で事実を確認するとともに、原因解明と再発防止策を報告するよう文書で行政指導を行っていた。

 報告書によると、知内発電所では新たに「航路ブイ設置に伴う申請漏れ」が判明。再発防止対策として「倫理教育の徹底やリスク管理能力の徹底」「業務品質管理の徹底」「地元との信頼関係構築の取り組み強化」などを挙げ、社内に企業倫理委員会を新設し、取り組みを徹底することを明記している。

 報告書を受けた道は「内容を精査した上、立ち入り検査等を実施するとともに、再発防止に向けた北電の対応を注視していく」としている。(小川俊之)