2007年3月9日(金)掲載

◎多い漁船衝突 再発防げ…函館地方海難審判庁が分析集作成
 函館地方海難審判庁(井上卓庁長)は、2001年から05年までの5年間に裁決した漁船関連の海難事故について、実態や原因をまとめた分析集を作成した。同庁が言い渡した裁決のうち、漁船絡みの海難は258件と約8割を占め、道内での漁船事故の多さがあらためて浮き彫りとなった。同庁は「この分析集を教訓に、海難の再発防止に役立ててほしい」と話している。

 実態調査は再発防止を目的に、02年度から毎年テーマを変えて実施。今回は例年相次ぐ「漁船関連の衝突海難」に焦点を当て、A4判、カラー21ページにまとめた。海保や漁協など関係機関176団体に随時送付している。

 裁決件数は340件。このうち漁船が関連した海難の中で、衝突事故によるものが81件、総船舶数163隻中、漁船が127隻(78%)だった。

 海域別では恵山岬から納沙布岬が33件(41%)でトップ。津軽海峡やその東側、西側海域も12件(15%)と多かった。また、貨物船との衝突18件のうち8件(44%)は同海峡周辺で発生。同庁は「津軽海峡は外国大型貨物船の要衝となっている上、毎年6―7月に濃霧が発生し、イカ釣り漁の最盛期と重なるため特に注意が必要」と警鐘を鳴らす。

 海難発生時の天候を見ると、意外にも晴れや曇りなど視界良好時に多発していることが分かった。「雨天時に比べ注意力が散漫になり、周囲を一見しただけで他船がいないと思い込んでしまう」(同庁書記課)のが主な要因。当直者が十分な見張りをしていなかったり、居眠りをしたりしたことが原因の海難は半数以上あった。

 同課の高田浩樹専門官は「衝突海難は見張りが十分に行われていれば防げたものばかり。前だけでなくきちんと周囲を見渡し、自動操舵(そうだ)やレーダーを過信せず、見張りの重要性を再認識してほしい」と呼びかけている。

 分析集は同庁のホームページ(http://www.mlit.go.jp/maia/10zenkoku/1hakodate/hakodate.htm)で公開しているほか、要請があれば分析集を教材に漁協や海運会社などで講習説明会を開くという。問い合わせは同庁書記課TEL0138・43・5045。(森 健太郎)


◎湯の川温泉 湯量減少対策、早急に…市議会
 函館市は、湯量の減少が指摘されている湯の川温泉の恒久的な資源維持対策を早期に実施する。道立地質研究所に委託している温泉資源の実態調査の結果が3月末に示される予定で、市議会や湯の川温泉旅館協同組合などの関係団体に結果と指針を示し、対策に乗り出す。

 8日の市議会一般質問で、阿部善一氏(民主・市民ネット)の質問に、井上博司市長と木下修一水道局長が答弁した。

 湯の川温泉は水位が低下し自噴がなく、各旅館やホテルに供給される湯はポンプでくみ上げている。市は1998年度に温泉供給条例を改正し、同温泉の揚湯(ようとう)量の縮減を始めた。94年のピーク時にはホテルや旅館、公衆浴場、一般家庭など185件に1日約6600立方メートルを供給していたが、今年2月現在では130件、同4900立方メートルに減った。

 ただ、温泉ブームで市内の源泉数は増加している。2000年度に50本だった旧市内の源泉は05年度で55本に増え、このうち湯の川温泉には市水道局所有で22本、民間所有で14本の計36本がある。

井上市長は、湯の川や谷地頭など古くからある温泉のほか、最近では柏木町やJR函館駅周辺などで掘削されていることを指摘。「温泉は長期的には循環再生が可能な資源だが、過剰な利用がされた場合、水位低下や泉質変化などの衰退、枯渇減少を招く恐れがあり、対策を講じる必要がある」と述べた。

 木下局長も、道立地質研究所から示されるデータ解析に基づく報告書を受け、貴重な観光資源でもある温泉資源の保護に向けた協議を早急に始める意向を示した。

 同日はこのほか、本間新氏(はこだて市民クラブ)、竹越勝昭氏(南かやべ議員団)、佐藤末光氏(恵山議員団)が質問に立った。予定していた黒島宇吉郎氏(無所属)は質問を取りやめた。


◎3年間で栽培面積倍増 乙部のブロッコリー
 【乙部】乙部町契約野菜生産出荷組合(林義秀組合長)は、新年度のブロッコリーの栽培面積を約23・9ヘクタールとすることを決めた。2005年度に11・8ヘクタールからスタートしたブロッコリー栽培は、3年間で面積が倍増。スイートコーンやカボチャを加えた同組合単独の生産額も1億円の大台を超える見込みで、町内農業の中核を占める存在になる。

 7日に千岱野研修会館で開いた定期総会で、新年度の事業計画を決定。栽培計画はブロッコリー23・9ヘクタール、スイートコーン6・2ヘクタール、カボチャ(坊ちゃん、白い九重栗など)4・9ヘクタールで、カリフラワーの栽培にも着手する。生産額はブロッコリーの8213万円を筆頭に合計1億317万円を見込む。組合単独の生産額が初めて1億円の大台に乗る。

 05年に発足した同組合は、大手農産物卸売商社のベジテック(東京)との契約栽培で初年度は11・8ヘクタールのブロッコリーを作付け。06年には19・1ヘクタールに拡大した。町は、野菜類との輪作体系を確立するため極小粒黒豆・黒千石などを栽培する大豆プロジェクトも推進。合計生産額は3年目で1億円を超え、面積も05年度約33ヘクタールから07年度には約60ヘクタールと倍増する。

 総会で林組合長は「組合の活動が一層拡大し、産業として自立できる農業に発展させ、新規就農者や農業後継者の道筋となれば。乙部のブロッコリーは最高と評価されるよう努力したい」と話した。

 檜山管内では、大豆価格の低迷から、新年度から厚沢部町など複数の町でブロッコリーへの転作が始まる。同組合は3年間の実績を生かし、他産地との差別化や高付加価値化を図る考えだ。

 町は栽培面積の倍増に対応して、製氷器の大型化など集出荷施設(姫川)の設備増強に向けた財政支援を検討。12日開会の第1回町議会定例会に関連予算案を提案する。(松浦 純)


◎最多出席者らを表彰…「夕焼け広場」修了の集い
 函館あさひ小学校(伊藤皓嗣校長)を開放し、放課後の子どもたちに遊び場を提供する「夕焼け広場」の修了の集いが8日、同校で開かれ、出席率の高い児童らが表彰された。

 本年度の活動はこの日が最終日。昨年5月から3月までに155日開催し、全校児童285人の73%に当たる207人が参加。最多出席者を表彰する「夕焼け大賞・準大賞」や、跳び箱など各種目別の優秀賞、下級生の面倒を見たことをたたえる模範賞などに35人が輝いた。

 約90人の児童が出席。表彰された子どもたちは「やったー」などと歓声を上げた。出席率94%で夕焼け大賞を受賞した大井麻緒さん(2年)は「自分だと思っていなかったからうれしい」と喜んでいた。

 同広場は遊びを通じて異世代間の交流を図り、豊かな心をはぐくむのが目的。文部科学省の地域子ども教室推進事業の委託を受け、町会関係者らでつくるコミュニティ「あさひ」広場実行委員会が2004年度から始めた。小玉陽造委員長は「3年目になると、子どもたちが自然に一体感を保てるようになり、やってきた意義を感じる」と話していた。

 委託は本年度で終了するが、新年度も継続される予定。(宮木佳奈美)


◎台湾で函館PR…観光客誘致が出発
 函館市や経済界などでつくる東アジア地域観光客誘致訪問団が8日、台湾のマンダリン航空のチャーター便で函館空港から台北市に向けて出発した。

 同空港で行われた出発式では、函館国際観光コンベンション協会副会長で函館商工会議所副会頭の柳沢勝団長が「限られた時間で成果を挙げられるよう、観光客誘致のプロモーション活動を展開したい」と意気込みを語った。

 一行は3泊4日の日程で滞在し、航空会社や旅行代理店を訪問。中華航空とマンダリン航空には、チャーター便運航のお礼と、将来の定期便化などを要請する。函館側から訪問団とツアー客ら約160人が満席状態で台湾入りすることで、函館の熱意をアピールする。

 また現地の旅行代理店に対し、新五稜郭タワーや箱館奉行所着工など新たな要素を含めた函館観光をPRする。(宮木佳奈美)