2007年4月1日(日)掲載

◎「第2回はこだて湯の川オンパク」開幕
 道内有数の名湯・湯の川温泉街を主会場にした体験型イベント「第2回はこだて湯の川温泉泊覧会(はこだて湯の川オンパク)」(実行委主催)が31日、開幕した。同温泉発祥の地・湯倉神社(函館市湯川町)で、地元のホテル・旅館、商店街、町会の関係者ら約30人が出席して神事を行い、16日間にわたるイベントの安全と成功を祈った。

 初日に企画されたのは11プログラム。このうち、予約開始初日に定員に達した「女将(おかみ)の日本舞踊&竹葉新葉亭ランチ」は20人が参加。丸仙旅館の佐藤てる子さんによる華麗な舞を竹葉新葉亭貴賓室で鑑賞した後、旬の食材を用いた特製弁当、温泉入浴を満喫した。

 湯の川観光ホテル(同)では、3組のミュージシャンが出演する「第2回オンパクオープニングLive」を開催。函館出身のシンガーソングライター、う〜みさんが湯の川応援ソング「湯の川湯良遊楽―ゆらゆら」を披露したほか、太鼓楽団「ひのき屋」や、アフリカンパーカッショニストの山北紀彦さんの演奏に合わせ、来場した約200人が手拍子を打つなど盛り上がりを見せた。

 このほか、マグロの名産地・青森県大間町を訪れる日帰りツアー「海を越えて・オーマの休日」、「歴史探訪四稜郭から五稜郭へ」、「学生と歩く湯の川」は天候にも恵まれ、参加者は早春の景色を楽しみながら歴史や文化に触れていた。

 実行委の刈田眞司委員長は「地元の方が、わが町を盛り上げようと真剣に取り組んでいる姿が日に日に見受けられるようになったのが、何よりうれしい。天気の良さと相まって良いスタートを切った」と話していた。

 30日までに実行委事務局に寄せられた予約は定員の76%に達した。予約に関する問い合わせは、同事務局TEL0138・59・3789。予約は専用ダイヤルTEL同36・6111など。(浜田孝輔)


◎全盲の澤田校長、札幌に転出
 函館盲学校の全盲の校長、澤田勝昭(まさあき)さん(57)が1日付で道高等盲学校(札幌)に転出する。「視覚を除く聴覚、嗅覚(きゅうかく)、触覚、味覚の4感をすべて足して新たな6感を育てることがわたしたちの仕事」と函館で過ごした3年間を振り返った。

 澤田さんは1952年、苫小牧市生まれ。小学部から専攻科を修了するまで札幌盲学校(江別)で過ごし、74年、東京教育大教育学部理療科教員養成施設卒業。同年から道高等盲学校で理療科教諭として勤務し、2002年同校教頭と附属理療研修センター副所長を兼務。04年から函館盲学校校長となった。

 校長としては初めての勤務地となる函館で過ごす戸惑いもあったが、「函館は盲学校に理解のある地域」と澤田さん。同校は1895年の開校後、早くから後援会(若山直会長)が立ち上がり、学校を応援。近隣の亀田小、桐花中、大川中、五稜中と学年間交流も続けられ、児童・生徒のコミュニケーション能力の育成に一役買っている。

 また、田家町会(後藤信夫会長)は点字ブロック上に停車する車に注意するなど地域一体となり、きめ細かなサポートが続けられているという。

 函館盲学校の通学区域は渡島・桧山管内。視覚障害は、徐々に理解されつつあるが、盲学校の存在や学習内容は、必ずしも十分には周知されていないのが現状。同校では弱視などの視覚障害についても同様に受け入れていることも知ってもらいたいという。

 同校で過ごした日々を「適切な指導で、子どもの伸びがまったく違うことを実感した。1年間で見違えるように成長した児童もおり、うれしい“驚嘆”だった」と振り返る。同校職員は渡島・桧山地区の公立学校で教育相談にも応じており、「受け持つ教員には視覚障害児の実態や能力をもっと知ってもらいたい。見えないから何もできない、ではなく、工夫すれば伸びる子だということを理解して」と切望する。

 現在、全国で全盲の校長は澤田さんを含め3人。「わたしたちは風の方向、葉の音、人の微妙な息づかい…状況把握のため、持っている情報をどう使うかがうまくなるんです。豊かに生きるため、子どもたちにはそこを伸ばしてもらいたい」(笠原郁実)


◎道立函館美術館「ロマノフ王朝と近代日本展」9日目で1000人突破
 道立函館美術館(函館市五稜郭町37)で3月22日に始まった特別展「ロマノフ王朝と近代日本」展(函館市、同美術館など主催、5日まで)は31日、開催から9日目で入場者数が1000人を突破した。

 日露修好150周年を記念した特別展で、日本、函館とロシアとの交流を紹介する写真や版画など約300点が展示されている。

 節目の入場者となったのは、同市人見町の洞野綾子さん(33)。8年前に国際ボランティアでロシア人の知人ができるなど、ロシア極東地域に興味があり、友人と来場した。大台を記念して市国際課の平沢輝茂課長からロシア人形や特別展の図録が入った記念品が贈られ、「良い思い出になりました」と喜んだ。

 入場者数が落ち込みがちな年度替わりの時期としてはハイペースで増えているという。同課の倉田有佳主査は「版画や写真、絵画、挿し絵など歴史的な資料も多く、郷土の歴史に興味がある市民も楽しんでいるようです」と話していた。

 1日は午後2時から同館講堂で函館市市制施行50周年を記念した「函館市民の船」でロシア極東を訪問した時の映像が上映されるほか、午前11時から午後3時にはロシア民族衣装試着体験も開かれる。

 問い合わせは同館TEL0138・56・6311。(佐々木 司)


◎朝市にイカモニュメント、東邦商事が寄贈
 函館駅二商業協同組合(藤田公人理事長)は31日、函館朝市の「えきに市場」(函館市若松町9)で、店舗用ディスプレー業の東邦商事(末次廣憲社長)から寄贈された、高さ3・2メートルのイカモニュメントの披露式を行った。表面はイカの内臓に含まれる成分を用いることで温度によって色が変化するとあって、子どもたちがもの珍しそうに触れていた。

 モニュメントは、函館らしさを象徴する商品にしようと同社が昨年6月に開発。2003年8月に同市場に設けられた「イカ釣り堀」を目当てに訪れる観光客も多いことから、観光振興に役立ててもらい、同社製品のPRにつなげようと、1基(130万円相当)を贈ることを決めた。

 セレモニーで藤田理事長は、同社に感謝状を授与し、「買い物客により喜んでもらえるような市場づくりに活用させてもらいます」と礼を述べた。観光客らが見守る中、テープカットも行われ、函館の観光名所として名高い朝市に新たな見どころが誕生した。

 同社の石川義雄財務課長は「市民から愛称を募集すると聞いており、どのような名前がつくか楽しみ」と笑顔で話していた。(浜田孝輔)


◎ガゴメお茶漬け発売
 健康に良いとされるフコイダンやアルギン酸などを含むガゴメ(トロロコンブの仲間)を使用したお茶漬け「海乃(の)鐵(てつ)人」がこのほど、発売された。さけ茶漬けをベースにした味付けで、まろやかな“とろみ”が特徴だ。

 長年ガゴメを好んで食していた亀田コンクリート工業所専務の岡本敏市さんが、約2年半前に道立工業技術センター研究開発部の宮嶋克己部長に提案したのがきっかけ。

 同センターや民間企業約70社が参画し、文部科学省の補助を受けて推進している「都市エリア産学官連携促進事業」のネットワークを利用して商品化にこぎ着けた。同事業ではこれまで、ガゴメを生かしたチョコレートやカレーパンなど50品目以上の商品化に成功している。

 海藻の調査研究を進める鉄組潜水工業所(静岡)の子会社で海藻類の商品開発などに取り組むアイアン函館支店(函館市宝来町23)がガゴメを提供し、食品加工の北海大和(札幌)が製造分野を受け持ち、共同で研究を重ねた。

 アイアン函館支店新市場開発部の吉川誠主任は「とろみとさらさら感のバランスに苦労した」と開発過程を振り返る。商品名は各分野で活躍する海のプロフェッショナルが協力してできたとの思いを込めて命名。価格は1箱500円。1人分6グラムで、1箱は5人分入り。賞味期限は約1年間。

 発案した岡本さんは「今までにない食べ方だと思うが、気軽に食べてほしい」と話し、宮嶋部長は「ようやく形になった。おいしく食べることができ、体にも良い。ガゴメの知名度アップにつながれば」と期待を込める。

 取り扱いは、アイアンが運営する海藻専門店オーガニックケルプのホームページ(HP)をはじめ、梶原昆布店本社(函館市豊川町23)と十字街店(同町7)で販売している。今後、販路として土産品店に協力を呼びかけていく。

 問い合わせは、アイアン函館支店TEL0138・26・7255。オーガニックケルプのHPアドレスはhttp://group-iron.qp.tc(工藤康行)


◎五稜郭タワー・初年度の搭乗客数111万8713人
 昨年4月に新装した五稜郭タワー(中野豊社長)が31日、本年度最後の営業を行った。新タワー初年度(2006年4月―07年3月)の搭乗客数は、111万8713人で、過去最高だった1992年の93万9273人を大きく上回る記録を打ち立てた。

 月別で見ると、4月は前年同月の2・8倍強に当たる7万8925人と幸先の良いスタートを切った。大型連休を含む5月には18万3774人と、月間では92年8月(15万5人)を上回る過去最多を記録すると同時に、5月4日は1日当たりの搭乗者数としては最多の1万1009人が訪れた。

 6―10月は10万人台を確保し、前年度比60―70%台増で更新。観光オフシーズンとなる11月は6万5618人で10万人台を割ったが、前年同月比では50・2%の増。年明けの1月4日には年間搭乗数が、64年の創業以来初となる100万人を突破した。1、2月は前年実績の2倍近くで推移し、3月は前年同月比48・7%増の5万1754人だった。

 中野社長は「市内・道内からの来場が多かったのは、五稜郭の素晴らしさ、歴史に残る特別史跡への理解の深さの表れ。今後、昨年12月に完成したアトリウムを楽しい集いの場にできるよう力を入れていきたい」と話している。(浜田孝輔)