2007年4月17日(火)掲載

◎ナイター競輪が開幕
 函館けいりんの目玉となるナイター競輪「スターライトレース」が16日、市営函館競輪場で開幕した。肌寒さが残る中、午後3時半から第1レースが始まり、全11レースが行われた。完全に太陽が沈んだ第6レース終了後の同5時45分ごろに照明が点灯。バンクと選手たちが鮮やかに照らし出された。

 ナイター競輪は函館けいりんが発祥地で、1998年に導入。以来人気を集め、現在は全国7カ所(函館を含む)で行われている。

 今年は57日間の開催予定で、10月中旬まで楽しめる。昨年は他競輪場の開催と重ならないように日程を組んだことなどが奏功し、売り上げが前年度より40%増と大幅に伸びた。

 夏に向け、夜の涼しい風を浴びながらの観戦は、一層盛り上がりを見せそうだ。(小林省悟)


◎函館市長選企画「私の主張」・井上博司氏(無所属・現)/生活安定図り経済発展
 ――3期目の決意は。

 市長就任以来2期8年間、全力で市政運営に当たってきた。多くの市民から、雇用や経済を安定させ、函館を発展させてほしいとの声をいただいた。そうした願いを実現させるため、出馬を決意した。「活力と魅力にあふれ、国際性豊かな中核都市はこだてをめざして」をキャッチフレーズに、各種施策を進めたい。

 ――2期8年間の評価と課題は。

 市営バスや保育園の民営化、学校給食調理の民間委託、職員削減や給与制度改革などを進めてきた。行財政改革は1000人の削減目標に対し730人減らした。あと2年間で270人は削減できるが、当選したらその後も500人を削減できるよう目指したい。北海道新幹線の着工や国際水産・海洋都市構想の推進、中央図書館整備、ソウル便の就航など、広範な取り組みができたと思う。ただ、行財政改革で浮いた財源を市民サービスに充てる予定が、国の交付税削減の影響で十分できず、残念。少子化対策も大きな課題だ。

 ――政策の柱は。

 公約を大きく柱立てすると「市民生活の安定向上」「将来にわたって揺るぎない繁栄を続けるための基盤整備」に集約される。福祉・文化関係では医療費助成の小学校6年生までの拡大、小中学生の社会教育施設利用の無料化、国宝に指定された中空土偶を核にした縄文文化交流センター整備などを進める。

 市民や体育関係者から要望の強い市民体育館の移転改築を進め、アリーナを持った総合体育館にコンベンション機能を持たせたい。体育館は次の任期中に完成することはないが、移転後は市民会館の規模を大きくして建て替える計画も進めたい。いずれも市の負担が約3分の1で済む合併特例債の活用を目指す。「ハコもの行政」との声については、老朽化や狭あい化した施設を、市民の要望で建て直すということで、全く新規に施設建設をするものではない。そういう意味で「ハコもの行政」とは違う。

 新幹線時代に対応したまちづくりや高速道路交通網整備、観光振興で1次産業を含め他産業の振興も図るなど、地域の発展に向けた基盤づくりを進める。1期目に種をまき、2期目に芽を出し、3期目に大輪の花を咲かせ、函館が揺るぎない繁栄を続ける基盤を子供や孫たちに引き継ぎたい。 ――前助役との選挙戦となったことについて。

 前助役が係長の時代から、長年にわたって苦労を共にした。大変複雑な思いだ。

 ――政治信条は。

 「市民本位」を基本にしている。函館に生まれ育った者として街を愛する心を大切に、初心を忘れず法令を順守し、公平・公正な市政運営に持てる力を尽くす。(聞き手・高柳 謙)

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 中核市・函館の4年間のかじ取り役を選ぶ市長選がスタートした。立候補した2氏に抱負や公約、信条などを聞いた。



◎きょう桧山3町で町長選告示
 統一地方選後半戦は17日、町長・町議選が告示される。道南では市町村合併などの影響で、町長選は桧山管内の厚沢部、乙部、今金の3町のみ。厚沢部、今金両町は現職と新人が一騎打ち、乙部町は無投票当選となる公算が大きい。いずれも投開票は22日。

 厚沢部町では4選を目指す現職の澤田孝一氏(73)と、前回選挙で138票差で破れた渋田正己氏(63)が再び激突する。

 澤田氏は健全財政を背景に、近隣町と共同運営している給食センターの単独化、新町市街地線の整備継続、地区集会施設の改築とともに、北海道新幹線開業に向けた国道227号の改良促進などを掲げる。

 渋田氏は、相次ぐ建設事業に伴う起債(借金)の増加が町財政の悪化をもたらすと指摘。新町市街地線整備の在り方にも疑問を示すなど対決姿勢を明確化。公共事業の見直し、町政の刷新と世代交代を訴える。

 乙部町では、7選を目指す現職の寺島光一郎氏(62)以外に出馬の動きはなく、無投票当選が濃厚。

 今金町では2選を目指す現職の外崎秀人氏(57)と、新人の湯浅秀人氏(66)の一騎打ち。外崎氏は、「今金ブランド」の確立や商品開発、1次産業の担い手育成などを掲げる。湯浅氏は1983年以来2度目の出馬。町長給与の50%削減、農産物や薬草を生かした新産業創造や食品産業の誘致などを打ち出している。

 桧山管内では、江差町を除く6町で町議選が行われる。16日現在、上ノ国町(定数12)15人、厚沢部町(同12)15人、乙部町(同10)11人、今金町(同12)13人が立候補の予定。合併で在任特例を適用したせたな町(同16)では22人が挑む。11人が出馬予定だった奥尻町(同10)は1人が取りやめ無投票の公算が大きい。乙部町も候補が減る可能性がある。

 町長・町議選を行う桧山管内6町では、22日午後7時半―9時に開票が始まり、同10時―10時半前後に終了する。候補者数が多いせたな町でも同11時半ごろに結果が判明する。

 渡島管内では木古内、七飯、森、長万部の4町で町議選が告示される。(松浦 純)


◎選挙企画・連呼の狭間で(1)雇用/働き口の少なさ実感
 函館公共職業安定所で函館市内の男性(21)は、求人情報が張り出されたコーナーを見て回り、バインダーを広げ、目を走らせる。週1回ほど通い始めて約3カ月。同じように職を求めて通っている人たちの中には、顔見知りになった人もいる。

 生まれも育ちも函館。高校時代、進学か就職か迷い、結局どちらも選ばずに卒業した。程なく、市内の機械組み立て工場に「契約社員」として採用された。製造ラインに立つ毎日。夜勤と日勤が交互にあり、体調を崩して1年ほどで退職。以来、次の仕事を探している。

 これまで3社ほど受けたが、いずれも採用には至らなかった。希望は事務職。が、面接を受けながら男性の自分は特に門戸が狭いと感じる。以前の職場は収入面では余裕があり、その蓄えを取り崩して生活費などに充てる毎日だ。

 「今から進学すべきか」「求人が多い医療、福祉関係の仕事に就くため、介護系の資格を取ろうか」「地元にこだわらず本州で働こうか」。いろいろな考えが頭をよぎるが、決断できない。「職種にこだわらなければ就職できると思う。でも、以前のような激務は…。長く働きたい」

 函館・道南の雇用情勢は「依然一進一退」(同安定所)。1月の有効求人倍率は前年同月を0・03ポイント下回って0・55。全国の1・09と大きく差がついている。「建設業など業種、職種とも明るい材料はない。正社員ではなく契約、パートなどの募集が多く、“質的”にも厳しくなっている」(同安定所)。

 「働く場が少ない」。男性が職探しを通じて痛感する故郷の印象だ。「今はまだ焦りはないが、先が見えないのがつらい」。選挙のたびに繰り返される「地域振興」のスローガン。「函館に残って安定した仕事に就きたい。雇用につながる、目に見える形で活性化してほしい」

 統一地方選挙後半戦として、身近な市政の担い手を選ぶ函館市長・市議選が始まった。選挙カーが連呼を繰り返す中、有権者はどんな思いで選挙戦を見つめているのか。福祉、観光、産業、雇用…。有権者の願い、声を聞いた。



◎来月、客船入港時に遺愛高生らが英語で観光案内
 函館市は、5月7日に函館港に初入港する「スタテンダム」(オランダ船籍、5万5451トン)の乗客向けに観光案内所を設置する。スタッフとして、函館遺愛女子高校(野田義成校長)の英語科と特進科の生徒らが参加。観光ボランティアらとともに、乗客に函館の見どころを英語でPRする。市港湾空港部では「若い世代が参加することで、国際観光都市函館としてのホスピタリティー(もてなしの心)向上や、市民意識の醸成にもつながる」と期待している。

 スタテンダムは米国の客船運航会社「ホーランド・アメリカ・ライン」所有の豪華客船。乗客約1400人、乗員約560人の計約2000人が来函する。函館港に寄港する客船では、総トン数、乗員乗客数とも過去最大規模。入港は午前7時で、市は、同8時から同船前で歓迎セレモニーを予定。出港に合わせて午後4時半から「いか踊り」で見送る。

 観光案内所は、同船が接岸する港町ふ頭や函館山、五稜郭タワーなど5カ所に設置。市内の通訳団体「善意通訳会」や観光ボランティアらも参加。同校生徒は、JR函館駅内に開設する書道や着付けなど日本文化体験コーナーでも通訳を担当する。

 同校は「大勢の外国人と接し、勉強成果を言葉で伝える良い機会」として、市の依頼を快諾。川嶋聡教諭(42)は「乗客は年配の人が多いと聞いているので、世代を超えた触れ合いや出会いを通じ、函館の歴史や自分のことを見つめ直す機会にしてほしい」と話す。当日は約100人の生徒が参加する見込みだ。

 同部管理課では、出港時のいか踊りへの参加を呼び掛けているほか、客船入出港情報を無料で提供する「クルーズサポータークラブ」の会員登録も合わせて募集している。

 問い合わせは同課TEL0138・21・3493。(今井正一)


◎函館市教委などが高校生に喫煙防止啓発
 函館地方たばこ販売協同組合や函館市教委など主催の未成年者喫煙防止活動が16日、市内の高校で始まり、参加団体・機関の関係者が生徒に喫煙防止を呼び掛けた。5月7日まで順次、市内全17高校で実施する。

 初日は函館、函館中部、函館工業、遺愛女子、函館大妻、函大付属柏稜の6校で行われた。各機関・団体の関係者が登校した生徒に声を掛け、啓発用ポケットティッシュを配布した。

 啓発活動は喫煙による健康被害の防止を目指すWHO(世界保健機関)の「たばこ規制枠組み条約」の発効を踏まえ、昨年度から始まった。本年度は啓発用ポケットティッシュを1万個用意し、関係者約40人が参加する。

 同組合の米沢忠夫理事長は「全世界的なキャンペーンとして、未成年者の喫煙防止に向けこまめに訴えていきたい」と話していた。(宮木佳奈美)