2007年4月18日(水)掲載

◎市内小学校、1年生初めての給食
 小学校生活をスタートさせたばかりの新1年生が17日、初めて給食を味わった。白衣を着て給食当番も初体験。大きな口でほお張り「レストランみたい」「おいしい」と笑顔を見せた。

 函館弥生小学校(佐野太三校長、児童185人)の1年生41人は午前11時40分すぎから、準備を開始。教室中に広がるおいしそうなにおいにうっとりとしながら、当番からハヤシライスや牛乳などを受け取った。準備が整うと全員で手を合わせて「いただきます」。

 担任の中村文子教諭が「バランス良く、よくかんで食べてね」と指導すると、児童はスプーンで上手にライスやキュウリのあえ物を口に運んだ。おなかをペコペコに空かせた児童は、瞬く間に食べ終え、お代わりの列に並ぶなどおう盛な食欲を見せていた。

 青山怜央(れお)君(6)は「給食はずっと楽しみだった。ハヤシライスがおいしい。家で食べるよりおいしいかも」とニッコリ。

 児童は6日に入学。学校生活にも徐々に慣れ、この日までにほとんどの学校で給食が始まった。(笠原郁実)


◎町長、町議選告示/厚沢部、今金で一騎打ち
 統一地方選の最終ラウンドとなる町長・町議選が17日、告示された。道南では3町の町長と10町の議会議員が任期満了となり、このうち厚沢部、今金の2町で町長選、七飯、森など9町で議員選に突入した。厚沢部、今金の町長選はいずれも現職と新人の一騎打ち。乙部町長選は無所属の現職、寺島光一郎氏(63)以外の立候補がなく、無投票での7選が決まった。町議選は10町136議席に、合わせて160人が立候補。奥尻では定数と同じ立候補者となり、現職10人が無投票当選を決めた。投開票は、15日に告示されている函館市長・市議、北斗市議選と同じ22日に行われる。

 乙部町長選の無投票は、寺島氏が2選を果たした1988年以来6期連続。

 厚沢部町長選は前回に続き、4期目を目指す無所属の現職、澤田孝一氏(73)と、無所属の新人で厚沢部町元助役の渋谷正己氏(63)が立候補。前回は澤田氏が138票差で競り勝っており、今回も再び激しい火花を散らしそうだ。今金町長選は2期目を目指す無所属の現職、外崎秀人氏(57)に、無所属の新人で元町議の湯浅秀夫氏(66)が挑む。

 町議選は渡島管内が木古内、七飯、森、長万部の4町で行われる。立候補者は木古内13人(定数12)、七飯23人(同18)、森25人(同22)、長万部13人(同12)。

 このうち森は在任特例が終了し、森・砂原合併後初の選挙。定数は旧町時代から10減となり、森地区と砂原地区の議員が選挙区なしで争う。定数6減となった七飯は、現職18人と新人5人が18の議席を競う。

 桧山管内では上ノ国15人(同12)、厚沢部15人(同12)、乙部11人(同10)、今金13人(同12)、せたな22人(同16)が立候補。定数を12から10に減らした奥尻町では、現職11人が立候補の意向を示していたが、1人が出馬を取りやめ、町議選では道南唯一の無投票当選となった。同町議選の無投票は91年以来16年ぶり。(統一地方選取材班)


◎函館市長選企画「私の主張」・西尾正範氏(無所属・新)/市民自治を打ち立てる
 ――出馬の動機は。

 福祉施設をめぐる問題など、一連の経過を発表したが、その小さなつぶやきが大きなうねりとなった。今の密室の中でよどんだ一部特定の人たちの権力から、市民のための権力、市民自治を打ち立てていくという考えで決意した。

 ――函館市の課題は。

 人口減少が深刻。少子化に加え、生産年齢人口が首都圏や愛知など都市部に流出し、地域が空洞化している。病院と競輪事業を再生させることは今後の大きな課題。

 政治倫理の問題は、職員が公平公正な行政や社会正義を踏まえて決定したことに対し、トップがぐらついた。政治倫理を語る以前に常識的にあり得ないことだ。

 ――政策の柱は。

 3つの柱で政策を組み立てた。まず、「子ども達の笑顔のために」ということで、健康推進室や市長直結の子育て推進室設置、周辺市町との医療費助成制度の均衡、第2子、第3子以降の負担軽減など具体的に踏み込んだ。市民の安心、若い人の安心を支援していきたい。

 次に「地域の未来のために」。理念としては、中国東北部やロシアなどを含めた極東アジアのセンターにしたい。観光や教育、学術研究など都市づくりのモデルとし、価値を創造できる函館を目指す。また、商工観光部と農林水産部を、観光コンベンション部、産業政策部に再編、雇用問題には労働政策室を設置して対応したい。

 3つめは「市民自治の拡大」。各分野の人材育成のため、「人づくり知恵の予算」や、行財政改革も正規雇用につながるアウトソーシングを実施する。旧4町村地域は、2地区に分けて特別職を置き、広域自治体的に発展できるようにしたい。

 争点だが、現職とはハコものに対する考え方が違う。水産海洋の研究センターなど、必要な施設は造るが、地域が置かれている状況を考え、人材育成を重点的に4年間の市政を進めていきたい。

 コンベンションホールには、函館の優位性の検討や市場調査が必要。市民会館や体育館の建て直しは理解ができず、2000人規模のコンベンションの機会は少ない。施設が大き過ぎると、使い勝手が悪い。規模は議論が必要だが、大沼セミナーハウスを少し大きくしたような、質の高い施設がよい。

 ――現職と選挙戦になったことについて。

 井上市政は、時代感覚に合っていない上、市民のために機能していないと考えている。残念だけれどもやむを得ない。

 ――政治信条は。

 地方自治体の長は、市民生活に立脚し、市民とともにあるべきだ。わたしは「正直と誠実」を掲げ、情報を公開して「現状はこうだ」「これしかできない」と誠実に申し上げる者でありたい。(聞き手・今井正一)


◎寺島乙部町長が無投票7選
 【乙部】17日告示の乙部町長選で現職の寺島光一郎氏(62)=無所属=が無投票で7選を決めた。2期目以降は無投票当選を重ねてきた寺島氏だが、告示日は欠かさず町内全域をくまなく巡る。午後5時すぎに無投票当選の連絡が入ると、同町緑町にある選挙事務所では大きな歓声が上がった。

 午後からは町内北部を中心に遊説した寺島氏が農村地帯の姫川地区を経て、トラック型の選挙カーで事務所に到着したのは同5時半すぎ。感無量の表情で荷台から降り立つと、大勢の支援者から祝福を受けた。事務所前には勤務を終えた町職員や濱谷一治江差町長、工藤昇上ノ国町長の姿も。

 寺島氏は「皆さんの熱烈な支援をいただいて当選できた。これからの4年間も全国に誇れる豊かな郷土建設にまい進する。町議選は一転して選挙戦となったが、志を同じくする町議候補への支援をお願いします」とあいさつ。妻直子さん(60)とともに、万歳を三唱する支援者に向けて深々と頭を下げた。

 寺島氏の当選は町議選開票日の22日に開かれる選挙会で正式決定する。(松浦 純)


◎選挙企画・連呼の狭間で(2)育児/障害児に厳しい現状
 長男(6)がこの春、函館市内の特別支援学校小学部に入学した同市内の主婦(35)は、週に幾度となく障害児の託児、余暇支援サービスを行う施設兼事務所を訪れる。障害児を持つ親が集まることが多く、意見や悩みを交流できる数少ない場所だ。

 夫の転勤に伴い道内を転々とするうちに、長男が自閉症と判明。実家に近い函館に移住した。学童保育所の受け入れや生活支援、就労などで悩みが尽きない。長女(4)と長男が受けられるサービスをどうしても比べてしまう。市は学童での障害児受け入れを可能とするが、実際は指導員の不足で難しいと断られた。「なぜ、より多くの支援が必要な障害児の親が安心して働けないのか」

 市が小学校卒業時までに支給する児童手当は月額5000円(第3子以降と3歳未満は各1万円)で、受給者は1万4852人(3月末)。障害のある20歳未満が受け取る特別児童扶養手当受給者は411人(同)。だが、月約5万円の手当は長男の将来のために貯金し、決して使うことはできないという。だからこそ、安心して子どもを預けられる場を増やしてほしい。

 一般の子育てサークルも決して多くはない。障害児を持つ親が集える会はさらに少なく、数えるほどだ。にもかかわらず、移住当初は、サークルの場所、相談の場所すら分からなかった。また、市の広報誌では育児のページと障害児は別の扱い。障害があろうとなかろうと「育児」に変わりはない。多くの人に障害児の現状を知ってもらいたい。

 「障害があるないにかかわらず、住んでいる人を流出させない施策を求めたい。20―30歳代の若い世代が住みやすい、魅力的なまちをつくらないと、素敵なところだけにもったいない」(笠原郁実)


◎富岡町同居男性殺人、長男 起訴事実認める
 母親(46)と共謀して同居する無職男性(当時41)を殺害、遺体を空き地に捨てたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われている函館市内の無職の長男(17)に対する初公判が17日、函館地裁(柴山智裁判長)で開かれた。長男は「間違いないです」と起訴事実を認めた。

 検察側は冒頭陳述で、男性との同居が始まって間もない2002年ごろから続いていた、母親や長男らに対する暴力が動機につながったと指摘。「長男は犯行約10日前に母親から『殺すしかない』と打ち明けられ、翌日『一緒にやる』と母親に告げ、殺害を決意」と経緯を明らかにした。

 その後、2人は殺害方法や遺体の遺棄場所などを打ち合わせ、母親が複数回、睡眠薬を食事などに混ぜて男性に飲ませたほか、携帯電話のメールなどで連絡を取り合い殺害の機会をうかがっていたことなどを指摘。犯行が計画的だったとした。

 弁護側は「男性からの自分や母親への暴力を恐れた」として過剰防衛を主張、殺人罪での刑の免除を求めた。

 弁護側証人として出廷した母親=同罪で函館地裁で懲役7年判決、控訴中=は「男性からの日常的な暴力で、家族が屈辱的な生活をしていると悟り、殺害を決意したと思う。結果的に犯罪に巻き込んでしまい申し訳ない」などと語った。

 公判は、争点や証拠を事前に絞り込む公判前整理手続きを経ており、柴山裁判長は争点を過剰防衛の成否と情状面とした。23日の次回公判で被告人質問、検察側の論告求刑などが行われ、結審する予定。

 冒頭陳述などによると、長男は昨年10月19日午前零時半ごろ、同市富岡町の自宅1階和室で、母親と共謀し、同居していた無職男性の左胸を小刀(刃渡り13・5センチ)で刺し、鼻や口をタオルでふさぐなどして殺害。遺体を近くの空き地に放置した。