2007年4月19日(木)掲載

◎井上、西尾氏、精力的に演説会…函館市長選折り返し
 函館市長選は18日で前半戦を折り返した。無所属の現職で3選を目指す井上博司氏(70)と、無所属の新人で函館市前助役の西尾正範氏(58)が激しく競り合っている。両氏とも個人演説会や街頭演説などを精力的にこなし、残り3日間の後半戦で新たなうねりを生み出そうと必死だ。

 井上氏は遊説と市議候補の個人演説会出席、企業回りなどに加え、選対が女性集会を初開催するなど、活動や支持の幅を広げている。

 17日に開催した女性集会には、20代から年配まで約260人が出席。井上氏は冗談を交えながらも、「函館は新幹線開業などを控え、道内他都市からうらやましがられている。子育て支援や産業振興を進め、繁栄を築く基盤を子供や孫に引き継がせたい」と3期目の決意を熱く訴えた。応援弁士が「どうも相手方は井上さんの批判ばかりしている」と語ると、出席者から「そうだ」との声が響く場面も。出席者全員と積極的に握手を交わし、支持拡大に懸命。

 選対幹部は「井上氏は元気で非常に明るい。不安材料は浮動票で、どこまで掘り起こせるかが課題。最後の最後まで気を緩めずに戦う」と語る。20日午後6時半からホテル函館ロイヤルで大集会を開き、勝利へ結束を固める。

 西尾氏は、選挙カーを降りると、走りながら市民の中に飛び込み、若さをPR。遊説活動も徐々に慣れ、演説にも手応えを感じている様子。「みんなと一緒に泣いて笑える市長になる。そんないい街を必ずつくるから」と呼び掛ける表情は真剣そのもの。事務所を構える中島廉売内では、買い物に来た主婦らと話し込む姿も。着々と支持層を広げつつある。

 18日の遊説は函館水産物地方卸売市場でスタート。「地域の元気は、若い人から始まる。函館は沿岸漁業の街。水産加工業も日本一にしたい」とアピール。集まった約80人から拍手が鳴り響いた。「大将、頑張って函館を元気にしてくれよ」と威勢の良い声を掛ける市場関係者もいた。

 選対幹部も「支持の広がりはあるが、まだまだ追いついてはいない。残り3日、すそ野をさらに広げたい」と話す。20日午後6時半から湯の川観光ホテルで個人演説会を開き、最後の追い込みをかける。(高柳 謙、今井正一)


◎定置網に混入したネズミイルカ 発信機付け放流…北大などの研究グループ
 北大の松石隆准教授や九州大、日本鯨類研究所の研究員らが18日、函館市臼尻町の臼尻漁港沖合の定置網で混獲されたネズミイルカの放流実験を行った。同大生の研究団体「北大鯨類研究会」も研究に携わり、この日は10人が参加。イルカの体長などを記録後、追跡調査に使用する発信機器を取り付け、船上から静かに放流した。

 松石准教授らが2002年度から取り組む「定置網に混入するネズミイルカに関する研究プロジェクト」の一環。ネズミイルカは沿岸近くを回遊すると考えられているが目撃数は少なく、個体数や行動について謎が多い。そこで、混獲したネズミイルカの行動を観察したり、網混入の経緯について調査を進める。

 このうち、05年から始まった放流実験は4例目。同実験ではイルカの一部に電波発信機を装着。発信器の出す信号を人工衛星で受信することでイルカの位置を知ることができるバイオテレメトリー(生物遠隔測定)という手法を使用する。

 研究の一環として、会員は4、5月にかけ約1カ月間、臼尻漁港の水産会社2社の協力を得て会員が毎日、乗船し、大型の定置網に混獲するネズミイルカを確認。今回、研究対象となったのは13日に入網したオス(体長126センチ、30キログラム)。舌の形状から推定1、2歳と見られている。入網確認後、北大内の松石研究室で保護され、会員が世話してきた。

 この日、通常の乗船調査を終えた午前8時すぎから放流するネズミイルカの体長などを計測。1年ほどで外れるプラスチック製のボルトを背びれに固定し、フロート(浮き舟)付きの受信機を装着した。その後、沖合5キロ、水深80メートルの地点で、学生らの手によって放流。

 位置情報の観測期間は約1カ月。インターネット上から情報を確認し、データ化する。松石准教授は「研究結果から、個体の保全対策、漁の被害の軽減などに役立てたい」と実験に期待を寄せている。(笠原郁実)


◎学校間の交流を提案…シンガポール政府観光局北ア局長 タン氏が市役所訪問
 シンガポール政府観光局北アジア局長のポール・タン氏が18日、函館市役所を訪問し、工藤寿樹副市長と懇談した。ポール氏は「若い世代の交流が大切。昨年、函館を訪れた子どもたちが、大変感動していた。学校間の交流はできないだろうか」と提案。工藤副市長も「中学生の海外派遣事業に組み込めるのでは」と前向きに回答した。

 ポール氏は、2月に日本に着任し、今回は就任あいさつを兼ねて来函。函館との交流は、今年で活動15年目の函館シンガポール協会(柳沢勝会長)が中心。同観光局主催の観光大賞受賞者らが研修のため、毎年函館を訪れている縁もある。また、工藤副市長は「交流が長く、太く続いている」と述べ、柳沢会長も「シンガポールのように函館もきれいな街になってきている。秋にはチャーター便で現地に行きます」と話した。

 ポール氏は「観光大賞受賞者は、函館で勉強したサービスレベルの高さを、国内でも宣伝しています。函館に興味を持つ人も増えるでしょう」と話していた。(今井正一)


◎「登記所備付地図」作成へ…函館地方法務局
 函館地方法務局は本年度、函館市内の川原、柏木、乃木の3町を対象に「登記所備付地図」を作成する。対象地域の土地ごとの境界を約80年ぶりに現状に合った内容に更新し、正確な土地取引や境界紛争の未然防止を図る。土地調査には土地所有者の立ち会いが必要なことから、20日から22日まで対象地区の地権者を対象に説明会を開催し、実施内容や立ち会い協力を求める。

 同局では、明治から大正末期に北海道庁が作成した土地連絡整理図を謄写したものを備え付け地図として使用。しかし1960年代半ば以降、市街地化や宅地化で土地が細分化されるなどし、土地の分割などを地図上に正確に反映することが困難になっているという。

 このため、同局は1999年から新たな登記所備付地図を順次作成している。本年度の対象地域は面積が1平方キロ、土地数は2881、地権者数は1983。現地調査、測量、地権者らの縦覧と異議申立を経て、本年度中に新しい地図が完成し、旧地図と差し替える。

 5月下旬から行う土地の境界や地番、地目を確認する一筆地調査と、9月上旬に予定している復元測量後の再立会調査は、土地所有者か代理人の立ち会いが必要。地権者に文書を送付するほか、説明会で作成スケジュールを紹介する。同法務局登記部門は「立ち会いがないと筆界未確定となる。作成趣旨を理解いただき協力を」と呼び掛けている。

 説明会は柏木町会館で開き、20日午後6時から、21、22両日は午前10時、午後6時からの2回。申し込みは必要なく、1時間半ほどを予定している。問い合わせは同部門TEL0138・23・9529。(原山知寿子)


◎「ブナの森100年観察林」ガイドマップ作製…渡島西部森づくりセンター
 【福島、松前】渡島西部森づくりセンター(松前町朝日、成田政勝所長)は、福島町松倉(通称=千軒地区)内の道有林「ブナの森100年観察林」のガイドマップを作製した。

 100年観察林は、道有林創設100周年にあたる昨年4月に同地区の約32ヘクタールに設定。樹齢200年の高齢木や幹周り355センチの巨木などの13本を観察木に指定し、同センターと地域住民が一緒になってブナ林の生長過程を見守るとともに、千軒地区の貴重な自然を守っていく場所と位置づけた。

 今回完成したガイドマップは「夫婦ブナ」「鼻曲がりブナ」など観察林内の25カ所の見所を写真と地図で紹介するとともに、ブナの豆知識や、「千軒ブナの会」などによる観察会の様子なども紹介。同センターでは「このマップを有効に利用して、観察会などに役立ててほしい」と話している。

 A3版両面カラーで1000部を印刷。福島町役場などで無料配布している。また渡島支庁のホームページでも公開している(アドレス=http://www.oshima.pref.hokkaido.lg.jp/ds/smc/rikatuyou/kansaturin)。(小川俊之)