2007年4月21日(土)掲載

◎函館山登山道開通
 冬期間通行止めとなっていた函館山登山道(道道立待岬函館停車場線、5・8キロ)が20日午前11時、約5カ月ぶりに開通した。新緑が芽吹き始めた春の木々を眺めながら、待ちわびた市民や観光客らが早速、山頂までのドライブを楽しんだ。

 今年は雪解けも早く、昨年より1日早く開通。函館市青柳町5の登山道ゲート前では、開門前から約30台の車両が列をつくった。地元の青柳町会は手作りの交通安全マスコットをドライバーに配布。同市北消防署の職員や元町婦人防火クラブのメンバーら約20人も、パンジーなどの鉢植えを手渡し、火の取り扱いに注意を呼び掛けた。

 毎年注目を集める一番乗りは、いずれも同市八幡町の大学生、三川徹さん(21)と山之内宣史さん(20)。昨年の新聞記事を読み返し、1週間前から“戦略”を練った。この日は午前9時前に到着。「車やロープウエーで10回以上は上っているけど、一番乗りは初体験。気分は最高」と喜びをかみ締めていた。

 同登山道は夜景見物の渋滞防止のため、25日から10月15日までの間、午後5時から同10時まではバスとタクシーを除く一般車両は通行禁止となる。 (森 健太郎)


◎函館市長選あす投票、激戦のまま最終局面
任期満了に伴う函館市長選と厚沢部、今金両町長選、在任特例終了に伴う函館、北斗両市議選などは22日、投票が行われ、即日開票される。統一選最終ラウンドは、道南で3首長選と11議員選が行われており、いずれも激戦。現職と前助役の対決となった函館市長選は、最後まで両候補が競り合う形で最終局面に入った。4年間のかじ取り役を誰に託すのか、有権者の判断が注目される。

 市政の継続か刷新か。函館市長選は、無所属の現職で3選を目指す井上博司氏(70)と、長年にわたり井上氏を補佐してきた無所属の新人で同市前助役、西尾正範氏(58)が対決する異例の構図。保革新人5候補の中から井上氏が初陣を飾った1999年の市長選と同様、激しい攻防が繰り広げられている。

 井上氏は2期8年の実績から、自民党と民主党道8区総支部が推薦、公明党が支持。ただ、民主党支持者や保守の一部が西尾氏支援に回り、磐石とは言い切れない戦いで、西尾氏の批判には応酬しない態度を貫く。

 北海道新幹線の着工や市町村合併などの実績を訴え、3期目は子育て支援の充実や観光を基盤とした産業振興、市民体育館の移転整備、新幹線時代に対応したまちづくり、行財政改革の推進などを掲げる。市民生活の安定向上と、将来の発展を築く基盤づくりを3期12年の総仕上げとする。

 西尾氏は昨年末、井上氏の市政運営を批判し助役を辞職。福祉施設問題の告発などから市政刷新を訴え、革新系の支持が井上氏より厚い。組織や団体に頼らない「草の根選挙」を掲げるが、水産関連の業界団体が支援に回り、攻勢を強める。

 函館の未来と再生は人づくりから始まるとし、人材育成や子育て支援の充実、教育予算の拡充を掲げる。情報公開の推進や組織機構の再編も公約とし、井上氏の公約である市民体育館の建て替えや市民会館の将来的な改築を「ハコもの行政」と批判し反対する。

 厚沢部町長選は無所属の現職、澤田孝一氏(73)と、無所属の新人で厚沢部町元助役の渋田正己氏(63)による一騎打ち。前回と同じ対決で、澤田氏は健全財政の堅持や給食センター整備の検討などを、渋田氏は1次産業の振興や子育て支援の拡充などを訴える。 今金町長選は無所属の新人で元町議の湯浅秀夫氏(66)と、無所属の現職で2選を目指す外崎秀人氏(57)の対決。

 函館市議選は旧函館区(定数34)に現職27人、元職3人、新人11人が立候補。現職が優勢な選挙戦となっている。旧4町村地区(各定数1)は、戸井区が現職2人、恵山区が現職と新人の2人、椴法華区が現職3人と新人1人、南茅部区は現職2人の対決となり、激戦に加え、市長選への対応で旗色を出している候補もいる。

 北斗市議選は、第1選挙区(旧上磯町地区、定数20)に現職16人、元職1人、新人6人の計23人、第2選挙区(旧大野町地区、定数6)に現職11人が立候補。現職同士の熱戦となった第2区の結果が注目される。

 任期満了に伴う町議選は、渡島が七飯、森、木古内、長万部、檜山が上ノ国、厚沢部、乙部、今金、せたなの計9町で火花を散らしている。 (統一地方選取材班)


◎井上、西尾両氏が集会 井上「3期目預からせて」 西尾「改革の夢たくさん」
 函館市長選(22日投票)を前に、現職の井上博司氏と新人の西尾正範氏の両陣営はともに20日午後6時半から、市内のホテルで大集会と個人演説会を開き、会場を埋めた支持者らに支援の拡大を求めた。選挙期間中最大の集会で、応援弁士も熱弁を振るい、投票箱のふたが閉じるまで全力を尽くすよう呼びかけた。 (高柳 謙、今井正一)

 井上氏はホテル函館ロイヤルで大集会を開き、約1300人が出席。自民、民主の道議の応援に続き、公明党道本部顧問の吉田恵悦氏(元道議)が「(西尾氏の)ひぼう中傷の嵐は卑劣極まりない。王道が非道に負けてはならない」と断じた。

 自民党道連会長の橋本聖子参院議員も急きょ出席し、「地域を考えている井上市長しか頼る人はいない」と述べ、全力での支援を約束。井上氏は、観光振興や新幹線時代に対応したまちづくりなどを訴え、「大変厳しい戦いで、皆さんの絶大な支援に感謝します。3期目の市政を預からせてほしい」と訴えた。

 高橋はるみ知事も電話で会場に応援メッセージを届け、連合北海道函館地区連合会の渡部正一郎会長が「一党一派に偏せず、行政遂行能力がある井上さんでなければ市政は混乱する」と述べ、「頑張ろう」を三唱した。

 西尾氏は湯の川観光ホテルで演説会を開き、約500人が出席。西尾氏と親交があるフィギュアスケート銀メダリストの伊藤みどりさんや民主党の平出陽子道議、保守系元道議らも訪れた。元函館YWCA責任幹事の星野花枝さんは「人材育成にお金をかけるという西尾さんの約束を支持する。薄汚い雲をふり払って青空にしてほしい」と応援演説。

 西尾氏は「沿道から市政を変えろとシグナルを送ってくれている」と手応えを語り、子育て支援や人材育成などの政策を40分以上にわたり熱く訴えた。「市民のために働く若い職員を育てる。改革の夢はまだまだたくさんある。最後は声をからして頑張る」と力強く結ぶと、聴衆は立ち上がって大きな拍手を送った。

 最後は、齊藤裕志選対本部長の「頑張ろう」コールで人さし指を突き上げて結束を確認した。


◎選挙企画・連呼の狭間「合併」  選挙への期待と恐れ
 旧恵山町(現函館市)に生まれ、地元の高校を卒業後、家業の漁業を継いだ男性(28)は、間もなくシーズンを迎える養殖コンブ漁への準備を進める。

 「生まれ育った地域で自分の仕事をこなすのは自然」。穏やかな口調だ。しかし、まちへの思いを語ると寂しげな表情を見せる。「にぎわいが足りない。魅力あるものを探すのが難しい」。地域活性化を願う気持ちは強く、「まちの明るい将来を考える上でも投票には必ず行く」。

 まちづくりを託す市長・市議会議員を選ぶ選挙への期待と裏腹に「恐れ」も抱いている。「心配なのは選挙後の地域住民の和が乱れること」

 恵山地区は合併前の2002年6月の町長選で、町を二分するほどの激しい選挙戦が展開された。また、賛否が渦巻いた風力発電や病院建設などの公共事業に端を発し、町政が混乱し続けた過去もある。「もうまちの混乱は見たくない」との声は切実だ。だれもが笑顔で、元気になれるような活性化を願う。

 連日、選挙カーが仕事場周辺を走り回る。「連呼されるのは候補の名前や『市議会に送り出してください』などの言葉ばかり。具体的な公約が見えてこない。住民が望む声と公約が合っているのか」と疑問を抱く。

 「漁師は自然相手の仕事。生活していくだけで精いっぱいの時もある。その懸命さを候補に感じてもらい、行政に反映させてほしい。地域住民の幸せづくりは正しい行政から」。地域の未来を見据える若者が一票に込める思いだ。

 04年12月に旧4町村と合併した新生函館市が迎える初めての市長・市議会選挙。「より良い生活」を求めて投票に期待が膨らむ半面、小さなまちほど、日ごろの利害関係に頭を悩ませる。

 投票日はあす22日。男性は「一番の願いは公正な選挙」とつぶやく。 (田中陽介)


◎江差手ほどき工房館 今シーズンの公開スタート
 【江差】江差町内に伝わる多彩な職人技や手工芸の体験や作品の展示、販売を行う「体験・実演 江差手ほどき工芸館」は20日、今シーズンの公開を始めた。

 「工芸館」は江差観光コンベンション協会(打越東亜夫会長)が運営。北前船時代の景観をよみがえらせた「いにしえ街道」に面した町会所会館(中歌町)を会場とし、観光客にさまざまな職人技の世界を体験してもらおうと昨年5月にオープンした。

 初日の20日には、運営に携わるスタッフと打越会長らが、町会所会館の正面玄関に「工芸館」の看板を掲げてオープンを祝った。

打越会長は「函館をはじめ全道では体験観光の充実で観光客が増えている。江差追分という貴重な観光資源を中心に『工芸館』を新しい体験型観光の中心として、町内観光を下支えして江差を盛り上げてほしい」とあいさつした。

開催期間は10月末まで。入場時間は金・土・日曜の午前10時から午後3時まで。大型連休中は27―30日、5月3―6日は無休。4月は古い和服を再利用した和小物、裂き織り、町内産の陶石を使った陶芸、天然素材を使ったネーチャークラフトなどが体験できる。場内では創作活動の見学、作品の展示、販売も行っている。入場無料。工芸体験ではブースごとに材料費などが必要になる。問い合わせは同協会事務局TEL0139・52・4815。 (松浦 純)


◎花時計運転開始
 20日は二十四節気の一つ「穀雨」。穀物の成長をはぐくむ雨を意味し、田畑に新芽が出始めるころとされる。函館市民会館前庭では、カラフルな花壇にある花時計が本年度の運転を開始。近くにある噴水も運転を再開した。冬の間静寂に包まれていた周辺は活気づき、訪れた利用者は春の訪れを実感していた。

 運転開始のセレモニーには、近くの深堀保育園(嶋田英司園長)の園児21人が参加。園児代表が花時計の運転スイッチを押すと秒針が動き、園児たちは「動いた」と歓声を上げた。引き続き、近くでこいのぼりを揚げたり、噴水の運転開始を見物。「また見に来ようね」などと話しながら笑顔を振りまいていた。

 花時計の花壇は、直径6・9メートル。現在は赤、青、黄、白のパンジー約800株が植えられ、夏にはベゴニアなどが、秋には葉ボタンが植えられる。噴水は直径20?。ともに10月下旬から11月中旬まで運転される。 (山崎純一)


◎春の火災予防運動スタート
  春の火災予防運動が20日、全道一斉に始まった。函館市内の福祉施設に勤務する女性4人が市消防本部の「一日消防官」に委嘱され、同本部(東雲町5)などで消防業務を体験。設備や資機材を見学して防火意識を新たにした。

 委嘱されたのは、市内のグループホームや特別養護老人ホームに勤務する20―40代。長崎県の高齢者向けグループホームで昨年1月、7人が死亡した火災を受け、防災意識を高めてもらおうと企画した。

 同本部の小西克男消防長が、緊張した面持ちで消防官の制服に身を包んだ4人に委嘱状を交付。「職場や家庭で今回の経験を役立ててほしい」とあいさつ。続いて市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で消防車を使った放水や救助訓練を見学した。

 同本部の通信指令室では、通報場所が自動表示される最新のシステムを学び、実際に119番通報も体験。参加者から「一日にどれくらいの出動があるのですか」との質問に対し、職員が「夜間当直の救急隊は布団を敷いても寝られないくらい」と回答すると驚いた様子だった。

 同本部は30日までの同運動期間中、市内の事業所での避難訓練や消防団員による町会への防火訪問など、各種啓発活動を展開する。 (森 健太郎)