2007年4月28日(土)掲載

◎函館市営熱帯植物園オープン
 昨年9月から改修工事のため休業していた函館市営熱帯植物園(湯川町3)が27日、オープンした。一般開放に先立って記念式典が開かれ、木下修一水道局長が「オープン以来37年間、500万人以上の市民に長く親しまれてきた。あらためて市民に植物園の良さをアピールでき、湯の川温泉にも寄与できる」と述べ、幼稚園児や関係者とテープカットを行い、施設の完成を祝った。

 温室の改修工事では、老朽化した鉄骨部分や展望台などを整備。約300種3000本の熱帯植物が楽しめるほか、前庭には、温泉を利用した足湯や、ぬくもりベンチを設置するなど、施設の刷新を図った。

 式典には、高丘幼稚園の年長園児43人や、市や市議会、近隣町会などから関係者ら約60人が出席。式典後、新しくなった温室内を見学した。同幼稚園の永谷泰雅君(5)と佐藤愛華ちゃん(5)は「中は暑かったけれど楽しかった。大きい木がいっぱいあった。また来たい」とにっこり。

 28、29両日はオープン記念イベントが開かれ、来場者プレゼントや販売コーナー、吹奏楽演奏などが楽しめる。

 時間は午前9時半から午後6時まで。入場は一般305円、小中学生100円。

 問い合わせは植物園TEL0138・57・7833。(今井正一)


◎西尾・函館市長が初登庁 福祉施設問題追及せず
 函館市長選(22日投開票)に初当選した西尾正範市長(58)が27日、初登庁し、就任記者会見を開いた。福祉施設建設をめぐる問題について西尾市長は「前市長が行政の長として整理したこと。その判断は尊重しなくてはならない」と述べた。さらに「水に流せとは言わないが、過去については市民の審判が下った。これから起こった問題についてはわたしがすべての責任を取る」と述べ、この問題は今後、追及しない方針を示した。

 西尾市長は1月末に開いた記者会見で、昨年7月20日に福祉施設の建設許認可をめぐり、前市長が福祉部幹部に対し、道に提出する意見書の差し替えなど、再検討を指示したと指摘。その際に前市長や議長らとのやり取りを記したとされるメモの存在を明らかにした。

 2月の定例市議会で市が示した「再検討の指示は一切ない」「メモは備忘録であり、公文書ではない」との結論は、議会を通じての市の公式見解であり、現市長として覆すのは難しいと判断した。その一方、「1月末の会見が真実」と述べ、「今後は、情報公開と公明正大な行政を約束する」とした。同問題に関与する地元政財界情報誌に関しては「(ブラックジャーナルと批判してきた)認識に変わりはないし、わたしは付き合う気はない」と言明。

 副市長人事は民間も含めて庁内外から検討する考えをあらためて表明した。工藤寿樹副市長の進退問題については「(公約や行革の遂行には)知力と腕力が必要で、私個人だけではできない。庁内に不可欠な人材が何人かいるが、その中心にいるのが工藤副市長だ。よく話し合いたい」と慰留に努める方針を示した。

 公約のうち、子育て推進室の設置や、農林水産部と商工観光部の再編などの機構改革については「6月議会に間に合わせたい」と意欲を見せた。近隣市町との乳幼児医療費助成制度については、市の負担額検討が必要とし、財源の見通しを立てた上で進めるとし、開始時期は周知期間を含めて、早くても10月以降になるとの見通しを示した。

 経済界とは、「地域課題に力を合わせていくのはいろいろな分野で絶対不可欠だが、連携しながらも自立すべきで、うやむやの中で介入されるのは避けるべきだ」と述べ、一線を画しつつ、協力関係を築くとした。(今井正一)


◎南茅部高校が千歳科学技術大学と高大連携
 南茅部高校(工藤慶明校長、生徒122人)と千歳科学技術大学(千歳市、雀部博之学長)の高大連携教育協定の調印式が27日、同高校で開かれた。同協定は同高校にとっては初。同大は木古内高校、八雲養護学校などに続いて13校目。今後、同大が開発した情報プログラム「e―ラーニング」を軸に連携を図る。

 調印式には両校から11人が出席。工藤校長と雀部(ささべ)学長が協定書に署名した。協定書には(1)デジタルコンテンツ開発や利用を通じた新しい教育システムの普及(2)教職員と学生の交流―が盛り込まれている。

 調印を受けて工藤校長は「地方の小規模校は教員数に限りがあり、個別に対応するシステムは多くの生徒の『希望の力』となる」、雀部学長は「多くの人がシステムを使って学習意欲を向上させ、多いに活用してほしい」と述べた。

 式後、2年生20人を対象に同大の今井順一講師がシステムを紹介するデモンストレーションを行った。生徒はインターネット上のサイトで数学、英語、理科、情報から科目を選択し、問題に取り組むなどした。習熟度に合わせてヒントや解説を見ながら「紙と鉛筆を使った」(今井講師)学習を進め、教師は生徒の学習の記録を確認しながら指導に役立てる。

 数学で同システムを活用した小田原美樹さん(16)は「最初は難しそうだと思ったが、使ってみると分かりやすい。数学以外の科目でも活用したい」と話していた。(笠原郁実)


◎西尾市長訓示「すべて忘れ仕事を」
 西尾正範函館市長は27日午前10時に初登庁し、工藤寿樹副市長、多賀谷智教育長、近江茂樹企画部長、小柏忠久総務部長ら特別職、幹部ら大勢の職員が拍手で出迎えた。西尾市長は女性職員から贈られた花束を大きく掲げ、笑顔で拍手に応えた。職員と握手を交わしながら庁舎に入り、市長室がある6階でも職員たちが拍手で迎えた。

 西尾市長は中島町の自宅から徒歩で出勤。市長室は前市長が使用していた部屋(108平方メートル)を使用せず、隣にある市長応接室(48平方メートル)を充てた。約束通りドアを取り外し、「新市長の象徴みたいなもの。通勤は今後も徒歩か妻の車、タクシーなどを利用し、(朝一番の仕事で)遠い場所には公用車を利用したい」と述べた。

 同11時から8階大会議室で行った職員への訓示では、現職市長と前助役という選挙になったことについて「皆さんに大変苦しい思いをさせ、心が痛む思い。すべてを忘れ、一緒に仕事を始めよう」と呼び掛けた。

 人口流出の抑制など掲げる政策の実行に向け、協力を求めるとともに自身も幹部職員らとよく相談して市政を進める考えを伝えた。また「市民に思いやりと優しさを持った市役所の実現」などを訴え、古いしきたりをなくすことを強調。「若手職員は会議でも(上司と)対等に自由にものを言って、みんなの“権力”をつくろう」と訴えた。

 5月21、22日に臨時市議会を予定し、正副議長などを選出。6月下旬開会予定の第2回定例市議会で市政執行方針を述べる。(高柳 謙)


◎渋田・厚沢部町長が初登庁し訓示「情熱持ち全力で」
 【厚沢部】厚沢部町長選(22日投開票)で初当選した渋田正己新町長(63)が27日、町役場に初登庁した。

 午前8時半、渋田町長は紺のスーツ姿に、長女から贈られたという紫色のネクタイを締め、緊張した面持ちで町役場に到着。町長選出馬のため助役を辞職してから4年ぶりに古巣に返り咲いた。町職員の拍手で迎えられさっそうと町長室へ。机上に置かれた町長のネームプレートを目にすると初めて表情を崩した。「4年前と室内も変わったようだね」

 山村開発センターで行われた登庁式では、整列した町職員を前に「町政の未来と町民の思いを託された。責任の重さに身の引き締まる思いだ。町長、町議、職員が協力して魅力あふれる厚沢部町にしたい。町政を担う誇りと情熱を持って職務に全力を尽くす。町民に優しく明るく対応してほしい。今後一層の協力をお願いします」と呼び掛けた。

 登庁式に続いて渋田町長は早速、町長室で書類決裁や入札、業務打ち合わせなどの執務を開始。1期目の渋田町政が本格的に始動した。(松浦 純)


◎春の褒章、道南から4人
 政府は27日、2006年春の褒章受章者を発表した。全国の受章者は761人で、このうち道内は42人。道南からは渡島管内から4人が栄誉に輝いた。業務に精励した黄綬褒章が1人、公益の利益に尽力するなどした藍綬褒章が3人。29日に発令する。


◎企画「ザ・チャレンジ」アップルパイ作り
 リンゴの栽培が盛んな七飯町鳴川地区。果樹園が並ぶ一角、農業生産法人石井農場(同町鳴川5、石井昭夫代表)では、農場産のリンゴを使ったアップルパイ作りが体験できる。「ホクホクの生地、甘酸っぱい風味…」。自称・食べ物番記者は、焼き上がりの香りと味を思い描きながら農場へ。

 生地、中のリンゴジャムとも農場手作りだ。ジャムには加熱しても崩れにくい品種「ハックナイン」を使用。素材の風味を楽しむため、大きめに切っている。出来上がりを待ち切れず、ついジャムだけパクリ…。

 まずは生地作り。直径8センチほどの生地をのし棒で円形にのばす。手前から奥に向けて勢いよく棒を転がし、生地の向きを変えてまたゴロゴロ。「あれれ。丸にならない」。無計画な作業で生地はだらしなくのび切り、厚みもなくすでに修正不可能に。

 はみ出した生地は後で型に合わせて切り落とすので、ひと安心。深さ約3センチの型に生地を敷き、ジャムを入れ、再び生地のばし。また失敗し平行四辺形のようないびつな形をジャムの上にかぶせて「本体」が完成。直径16センチにそろえ、余った生地で表面を飾り、オーブンに運命を託した。

 小学生から高校生まで修学旅行生の体験も多い。飾り付けが自由にでき、失敗がないのが人気のようだ。焼き上がりを待つ間に他の観光地を見学することもできる。「家族らへのお土産にする人も多い」と同農場。

 待つこと50分。香ばしく甘い香りのマイ・アップルパイと“再会”。飾りのハートや飼っているインコをイメージした小鳥はゆがんでいたが、それも「素朴な風合い」としておこう。地場産品と手作りが相まって何とも温かい味がした。(原山知寿子)

 〈メモ〉体験は午前11時、午後1時からで要予約。所要時間は製作40分、焼き上げ50分ほど。料金は1人1575円。月・火曜定休(30日は営業)。午前10時―午後5時。TEL0138・65・2880。

 大型連休が到来し、道南の観光・レジャーシーズンが始まった。多種多様なニーズに応えようと、観光施設などでは、道南の自然や産物などを生かしたさまざまな体験メニューを用意している。記者が実際に挑戦し、五感で探ったその魅力を紹介する。