2007年4月30日(月)掲載

◎GW臨時開館で見学者 水産・海洋の研究に期待…臨海研
  函館市は大型連休中、国際水産・海洋都市構想の研究拠点となる市臨海研究所(大町13)を臨時開館している。1926(大正15)年に建築された旧函館西警察署庁舎の外観を忠実に復元し、古さと新しさが融合した施設。内部には最新の機器がそろい、訪れた市民からは水産・海洋の研究進展や新商品開発などを期待する声が寄せられている。

 4月1日にオープンし、市内と道内外の6研究機関が入居。健康食品や養殖礁、小型魚群探知機などの開発や、ガゴメなどの海藻類に含まれる機能性成分(体に良い作用が見込まれる成分)の分析などを進めている。

 ガラス越しに各研究機関の顕微鏡などの機器や試作品が並び、研究内容を紹介する映像やパネルなどもある。市内山の手から訪れた会社員門脇猛さん(51)は「階段などに当時の材を使い、新しさの中にもレトロな趣が感じられる。ガゴメはブームになってからよく食べており、新たな健康食品などが誕生するよう、市民として期待している」と話した。

 研究の進展のほか、函館全体の活性化などを期待する声もあった。市内中島町の自営業佐藤稔さん(62)は「研究機関としてはスタートしたばかりだが、これを契機に『水産海洋都市・函館』のイメージが広く定着するよう期待している。イタリアのナポリのような雰囲気がもっと身近に伝われば、市民も海洋構想に関心を持ち、まちにも活気が生まれるのでは」と指摘。

 市国際水産・海洋都市推進室は「オープンして間もなく、広く市民や観光客の皆さんに施設をご覧いただきたい」と話し、来場を呼びかけている。(高柳 謙)


◎大沼に観光シーズン…駒ケ岳と湖水の安全祈願
 【七飯大沼の観光シーズン幕開けを告げる駒ケ岳・大沼湖水安全祈願祭が29日、湖上や湖畔沿いの駒ケ岳神社で開かれた。地域住民と近隣市町から約150人が参加し、大沼の水上安全と駒ケ岳の沈静を願った。大沼観光協会、山川草木を育てる集い大沼本部、自然公園財団大沼支部の主催。

 本来は大沼観光のシーズン到来と駒ケ岳の山開きをする行事だが、駒ケ岳の火山活動の活発化で入山規制されているため、1998年以降、安全祈願祭として行っている。

 参加者は遊覧船に乗って駒ケ岳神社に移動。途中、湖上で神事による湖水開きが行われ、関係者が鍵形のプレートを湖面に投げ込み、大沼を“開錠”した。

 神社での安全祈願祭では大沼観光協会の堀元会長や中宮安一七飯町長らが玉ぐしをささげ、今年1年の大沼、駒ケ岳の安全を祈った。

 あいさつで堀会長は「(安全確保に)十分知識のある人のサポートを得て観光協会として駒ケ岳の体験登山会を実施したい」と述べた。

 終了後、参加者は大沼湖畔道路のごみを拾いを行い、環境美化に努めた。(鈴木 潤)


◎クマ目撃情報相次ぐ
 【函館・七飯】29日、函館市内と七飯町内でクマの目撃情報が相次いだ。

 同日午前8時10分ごろ、同市東畑町の汐泊川沿いでクマ1頭が下流方向に走り去るのを、川の対岸の同市米原町71を犬と散歩していた近くの主婦が発見、函館中央署亀尾駐在所に届け出た。

 同署によると、クマは体長約1メートルで年齢、性別は不明。現場は道道函館南茅部線から約500?で、付近に民家などはない。同署員2人が付近を捜索したが発見できず、パトカーで付近住民に注意を呼び掛けた。

 また、同日午後1時45分ごろ、七飯町西大沼10の山林にクマ1頭がいるのを、国道5号を森から函館方向に車で走行中だった北斗市職員の男性(34)が発見、同町役場に連絡した。

 同署、同町によると、クマは体長1・5メートルで、性別、年齢不明。ハンター5人と町職員、同署員計8人が付近を捜索したが、クマや足跡などは見つからず、同4時半で打ち切った。

 現場は児童自立支援施設の道立大沼学園から西側に約100メートルの国有林内で、同町は現場付近に立看板1基を設置し、同園にも注意を促した。


◎3、4日に「いにしえ夢街道」
 【江差】江差町のいにしえ街道を舞台とするイベント「第15回春の江差いにしえ夢開道(ゆめかいどう)」(実行委主催)が、5月3・4の両日に開かれる。歴史的景観がよみがえった街道沿いで2日間にわたり多彩なイベントを繰り広げる。

 両日とも午前10時から。町内の飲食店や食品店などによる「いにしえ茶屋」をはじめ、フリーマーケット、姥神大神宮による舞楽の公開練習、陶芸や絵画の展示、音楽演奏、函館在住の画家、瀬戸英樹さんによる江差をテーマにした絵画展(風の待合所、1―7日まで)などを行う。江差港では4日に江差海保署所属の巡視船・かむいの一般公開も行う。

 イベントに合わせて、同3―6日には町会所会館(中歌町)で「体験・実演 江差手ほどき工房館」も開催。和小物、裂き織り、陶芸、ネーチャークラフトなどが体験できる。

 4年目を迎える「江差朝市・新鮮組―北のめぐみ愛食フェア2007」(実行委主催)も同3日に同神宮前広場でスタートする。3・4の両日は午前10時―午後3時まで。地場産の農水産物を格安で販売する。ことしは5―9月までの第3土・日曜と、10月6・7の両日の開催を予定している。出店者は随時募集している。

 また、朝市会場では檜山支庁が、商品の味覚やデザインなどを対象とするアンケート調査と結果の集計を行い、今後の商品開発に生かしてもらう「商品マーケティングテスト」の実施を計画。檜山管内(旧熊石町を含む)の食品業者や女性グループを対象にテスト参加者を参加者を募集している。イベント・朝市の問い合わせは江差商工会TEL139・52・0531。マーケティングテストの問い合わせは檜山支庁農務課TEL同・6571へ。


◎全国の陶器集合 じっくり品定め…展示販売にぎわう
 全国陶器祭振興会(愛知県)主催の「函館市全国陶器まつり」が28日、函館市八幡町3の亀田八幡宮駐車場特設会場で始まった。全国の名だたる陶器を一堂に集め展示販売。格安の日常食器から高級美術品まで幅広い作品が並び、初日から大勢の市民が訪れにぎわいを見せている。5月6日まで。

 日本陶器の長い歴史と優れた技術を紹介し、人とのふれあいを深めることなどが狙いの全国巡回展。北海道の皮切りとなる函館では、毎年この時期に開かれている。

 10社が有田焼(佐賀県)、美濃焼(岐阜県)、益子焼(滋賀県)などの食器を中心に、市価の3―5割り引きで販売。

 会場には、100円からの茶碗や湯のみなど、手ごろな価格コーナーのほか、花瓶や置物なども。

 毎年、来場しているという同市大川町の飛内章宏さん(42)は「数と種類が豊富で見ているだけでも楽しい。気に入った品があれば買いたい」と話していた。

 同振興会代表の若林義治さん(59)は「全国の陶器祭りを凝縮した内容。店との値段の交渉も楽しんでもらいたい」とt来場を呼び掛けている。

 時間は午前10時―午後6時。(田中陽介)


◎北海道新幹線新函館駅・開業効果アンケート(上)■新幹線の利用意向
 道や経済団体などで構成する「北海道新幹線開業効果拡大・活用検討会議」はこのほど、昨年12月にインターネットを通じて行った「北海道新幹線『新函館(仮称)駅』開業に関するアンケート調査」(道外在住5278人対象、回答2140人・回答率40・5%)の結果をまとめた。主要な設問を抜粋し、@道新幹線の利用意向についてA道新幹線による訪問希望地についてB宿泊地やおみやげについて―――の3回に分けて紹介する。

 @新幹線の利用意向について

 2015年度末の開業が予定されている道新幹線(新青森―新函館)について「開業後、北海道を訪れる機会は増えると思うか」という問いに対し、「増える」は23・5%、「増えない」は25・9%、「わからない」は50・6%だった。回答者を来道回数別に見ると、来道経験のない層の「増える」が26・1%と高く、初めて北海道へ訪れるための動機づけとして有効なことを示している。地域別では青森、岩手、秋田などの北東北地域の「増える」がいずれも40%以上となっており、東北・北海道圏の交流促進に期待が高まる。

 現在、道外から来道時の交通手段は飛行機が80%を占めているが、「道新幹線開業後、来道にはどの交通機関を利用したいか」との問いに対しては、「往復新幹線」が49・0%で「片道新幹線・片道飛行機」の22・5%を合わせて新幹線利用希望者は70%を超えている。また現在、飛行機を利用している層のうち、41・1%が、道新幹線開業後は「往復新幹線」と答えており、飛行機に比べて新幹線の利便性や快適性を支持する率が高いことを表している。地域別ではやはり青森、岩手、宮城、秋田などの東北圏の「往復新幹線」がいずれも7割を超えるほか、栃木、茨城、埼玉も60〜70%と高い数値となっているのが興味深い。

 また「来道に新幹線を利用することを選択する理由は」(複数回答)の問いに対しては、「旅費が安くなるから」が1022件(66・8%)とトップ。これは現在の東京―函館間の飛行機運賃が、繁忙期と閑散期によって大きく変化することへの不満や、新幹線開業により価格競争が発生することへの期待も含まれていると見られる。また「乗り換え等が少なく移動が楽になる」が678件(44・3%)と高いが、新函館駅からのアクセスが悪ければ期待を裏切ることになるため、高速道路や在来線への乗り継ぎなどの2次交通網整備の充実が不可欠となる。また「悪天候に左右されにくい」「新幹線の方が安全だと思う」などの新幹線ならではのメリットも評価されており、これまで飛行機による来道を敬遠していた層へのアプローチにも期待がかかる。 (小川俊之)


◎企画「ザ・チャレンジ」ヘラブナ釣り
 釣りの世界には「ヘラに始まりヘラに終わる」という言葉がある。ヘラブナはどこでも誰でも気軽に釣れる。それでいて奥が深く、初心者から経験豊富な太公望まで興趣に尽きない、というわけだ。「小ブナ釣りし…」と故郷に思いをはせながら、七飯町大沼町297にある民宿・釣具店「巨べら屋」のご主人、藤原黄門さん(71)を訪ねた。

 25日午前10時―。鏡のような湖面が姿を現す。森から響く鳥のさえずり。朝の大沼・小沼を包む静寂は、仕事のストレスや街の喧噪(けんそう)を忘れさせる。水辺の木立を黙々と分け入る藤原さんの背中を追い、小沼・鹿園新堀のポイントにたどり着いた。

 大沼・小沼は全国有数のヘラブナ釣りのメッカ。産卵を控えたこの時期は良型で食い付きもよいとあって、道内をはじめ関東、東北地方からも常連が駆け付ける。道具一式はすべて「巨べら屋」でレンタル可能。手ぶらでも楽しめる。

 藤原さんのヘラブナ釣り歴は50年以上。愛好家の間で“夢の50a”といわれる52aの記録を持つ名人だ。「最初は質より量。アタリや引きの感触を味わってごらん」。だが、すぐにさおは出せない。水深を測り、何種類もの粉末のmノを調合して練り、沼底に群生する藻を刈り取り…。時間がかかる。だから面白い。

 ヘラブナは好奇心旺盛だが、警戒心も強い。mノを吸い込み、違和感を感じるとすぐにはき出す。その一瞬の浮き2_の動きが勝負だという。「目には見えないけど、水面下の魚の動きやmノの溶け方なんかを想像するんだよ」。藤原さんは優しい語り口で簡単に言うが…。

 突然、隣にいた同僚記者の右手が素早く上がった。「ビュッ」とさお先の空気を切る音が伝わってくる。弓なりにしなるさおは獲物の大きさを予感させた。尺上(しゃっかみ)と呼ばれる30aを超す大物を平然と釣り上げてみせた。「今回の主役は自分なのに…」と苦虫をかみつぶす。

 それでも約3時間でヘラブナよりやや長細い「マブナ」を中心に約10匹の釣果。上出来だ。勝負に負けても水面(みなも)を渡る春風がそっと慰めてくれる。大自然の懐に身を委ね、じっと浮き一点を見つめるのも悪くない。

(森 健太郎)

 〈メモ〉午前10時―午後3時までの間に電話予約を。道具一式のレンタル料は4000円、藤原さん同行の場合は6000円(遊漁料500円を含む)。年中無休。宿泊も可。TEL0138・67・2887。