2007年4月4日(水)掲載

◎ラサール中・高で入学式
 道内のトップを切って函館ラ・サール中学・高校(フェルミン・マルチネス校長、生徒944人)で3日、入学式が開かれた。中学生122人、高校生216人が、希望や期待を胸にラ・サールファミリーの一員として学校生活をスタートさせた。

 中学生は真新しい制服を、高校生はスーツを身に着け、緊張した表情で入場。保護者らが見守る中、一人ひとりの名前が読み上げられ、元気よく返事をして起立した。

 マルチネス校長は「日々の勉学はもちろん、人間として成長できるよう創造力を高め、いつも神様がいることを胸に成長することを願っている」と式辞。同校同窓会の斉藤裕志会長が真新しいロウソクを新入生の未来に見立て、希望の光となる炎をともした。

 新入生を代表して阿部太洋(たいよう)君が「個性を伸ばし、知性をはぐくみ、未来に貢献できるよう明るく真っすぐに歩んでいきたい」、高校生の朝倉崚介君はこれから始まる生活を木々の早春に例え、「先生方の教えを栄養とし豊かに実り、大切な何かを一つでも多く得ながら、一歩一歩進みたい」とそれぞれ力強く誓った。(笠原郁実)


◎混戦のまま後半戦へ…道議選折り返し
 8日投開票の道議選は3日、前半戦を折り返した。道南の4選挙区はいずれも混戦模様で、元職や新人が攻勢を強め、現職が危機感を強めている。各候補は個人演説会や街頭演説をこまめにこなし、知事選と連動した選挙戦を繰り広げるなど、支持拡大に必死だ。(道議選取材班)

 ■函館市区

 定数6に9人が立候補。「有力候補がそろい、誰が落選してもおかしくない」との声が各陣営から聞かれる。

 届け出順に、横山信一氏(公明・現)は街頭演説や個人演説会を精力的にこなし、北海道新幹線着工や国際水産・海洋都市構想推進などの実績や政策をアピール。陣営は「候補のまじめな人柄も大きな魅力。だが、票を食われている」と危機感を募らせる。

 平出陽子氏(民主・現)は街頭演説で、道行く人に格差社会の是正や福祉制度の拡充などを訴えた。2日から個人演説会を開き、政策を懸命に伝えている。選対幹部は「必死でやっているが、ふたを開けてみなければ分からない」。

 前川一夫氏(共産・現)は5日間で約85回の街頭演説をこなした。1年間の実績を交え、若者の雇用問題や旧4町村を利用した地域活性化政策を訴えている。選対幹部は「予断を許さない状況だが、手応えは感じている」と攻めの姿勢。

 大日向豊吉氏(無所属・新)は自民党の公認を得られなかったが、政党色が薄まったことを逆手に、無党派層の取り込みを狙っている。後援会幹部は「政治に無関心な層を掘り起こし、選挙率が高まれば可能性は広がる」とみている。

 川尻秀之氏(自民・現)は3月31日に市内のホテルで個人大演説会を開いた。道新幹線の建設促進と1日も早い札幌延伸、景気回復による雇用の安定などを訴えるが、後援会幹部は「全くの横並び。何とか抜け出す」と手綱を緩めない。

 畠山博氏(無所属・元)は3日夕、「ようやく(選挙活動への)反応が出てきた」と笑顔で事務所に戻った。陣営も「手応えは十分」と言うが、油断の色はない。6日夜の個人演説会も含め、終盤戦に向けて支持層の引き締めを図る。

 斉藤博氏(民主・現)は過去2選に比べ、「車から降りて、きめ細かな運動に終始している」(選対関係者)。繁華街中心だった遊説を、2日からは支援する市議らの地元町会での個人演説会や企業訪問主体に切り替え、基礎票固めに躍起。

 佐々木俊雄氏(自民・新)は水産のエキスパートとして、各漁協からの支持を固めた。辰村和子後援会長の幅広い人脈を生かし、女性票の取り込みにも懸命。後援会幹部は「現時点では五分五分の厳しい状況。後半戦に勝負をかけたい」。

 高橋亨氏(民主・現)は市内11カ所で順次、個人演説会を開催する。有権者と接し、医療、福祉、教育などあらゆる分野で「人に温かい道政」の実現を訴えている。選対幹部は「本当に厳しい戦い。最後まであきらめずに戦う」と力を込める。


◎道議選折り返し/しのぎ削る各候補(北斗市区、渡島支庁区、桧山支庁区)
 ■北斗市区

 今回から定数1で新設され、一昨年の渡島支庁区補欠選挙で勝利した現職2人がしのぎを削っている。

 長谷秀之氏(自民・現)は2日の演説会で「新幹線は新函館駅(仮称)までを札幌より早く開通させ、単なる通過駅にしない」と経済政策を強調。「自民と民主、上磯と大野の戦いでなかなか厳しい選挙だが、自信はある」とした。

 長尾信秀氏(民主・現)は連日、市内全域を満遍なく遊説。第1次産業の振興、道新幹線を核とした地域振興策などを訴え、幅広い支持を呼びかける。選対幹部は「票が読めず厳しい選挙。全力を尽くして戦い抜く」と力を込める。

 ■渡島支庁区

 定数3に現職と新人の4人が立候補。自民、民主の現職2人と自民党新人、保守系新人の2人が激しく競り合っている。

 石田広紀氏(自民・新)は地元七飯を軸に、渡島北部と西部を交互に巡り、行政マンの実績と経験をアピールしている。選対幹部は「楽観視はしていないが上昇ムードだ。後半戦、1票でも多く積み上げていきたい」と追い込みに入る。

 川村正氏(自民・現)は漁業や経済振興を掲げ、渡島西部4町の地盤固めに奔走する一方、南部の票田森町と八雲町旧熊石地区を中心に重点攻勢。後援会幹部は「対立候補も勢いが増しており、油断できない」と最後まで気を抜かない。

 岡田俊之氏(民主・現)は第1次産業と中小企業を重視した地域の基盤づくりなどを掲げ、前半5日間で選挙区をほぼ二周りした。後援会幹部は「新人2人が立った七飯地区の情勢が気にかかる」。その七飯では4日に個人演説会を予定。

 冨原亮氏(無所属・新)は渡島全域をくまなく回り、時折、選挙カーを降りて徒歩で遊説するなど若さと行動力を前面に出している。選対幹部は「有権者の反応も良く、手応えを感じる。最後まで気を緩めずに戦う」と攻勢を強める。


 ■桧山支庁区

 定数1で、現職と新人による一騎打ち。民主党から推薦を受けた現職を、自民党の新人が猛追している。

 福原賢孝氏(無所属・現)は1日、新党大地代表の鈴木宗男衆院議員の応援を得て江差町で演説会。鈴木氏と手を携えて一党一派に偏らない「桧山党」をアピール。選対幹部は「手応えは十分。後半戦で一気に突き放したい」と自信を見せる。

 佐々木俊司氏(自民・新)は知名度アップが至上命題。3月31日は“小泉チルドレン”の杉村太蔵衆院議員と桧山南部で遊説。議席奪還にかける党の決意を強調した。選対幹部は「優勢な高橋知事との連動で旋風を吹かせる」と意気込む。


◎「両者とも無難な回答」…市長選立候補予定者アンケート結果公表
 道南市民オンブズマン(大河内憲司代表)は3日、函館市長選(15日告示、22日投開票)の立候補予定者アンケート結果を公表した。対象者は、3選を目指す井上博司氏(70)=無所属・現=と、函館市前助役の西尾正範氏(58)=無所属・新=の2人(50音順)。回答結果について大河内代表は「両者とも無難な回答。具体策を示してほしい」と要望した。

 アンケートは3月14日付で発送し、28日までに回答を得た。質問は市政運営の基本姿勢、緊急の重要課題など10項目。近く、同オンブズマンのホームページで公開する予定だ。

 市政運営の基本姿勢について井上氏は「市民の心と目線を大切に、街の発展に意を注ぐ」、西尾氏は「市役所の文化・風土を改革し、正直で誠実な市政を実現」とした。緊急の課題は、井上氏は「少子高齢化と人口減少への対応、地域経済の活性化」、西尾氏は「地域を支える人材育成、若者が夢と希望を持てるまちづくり」とした。

 人口減対策の具体策として井上氏は「観光をはじめ、企業誘致、地場産業振興などによる雇用創出と定住化」とし、西尾氏は「子育て支援の大幅な拡充、産業・雇用・労働政策の充実と強化」を挙げた。

 コンベンションホールについては、井上氏は「コンベンション機能を持つ体育館を優先整備、次に市民会館を改築」と回答。西尾氏は「今あるものは大事に使う。必要な施設は規模を慎重に検討すべきだ」と具体策は避けた。

 中心市街地の活性化について、井上氏は「住宅供給など定住策とコンパクトシティーの形成による都市機能強化」、西尾氏は「空き地・空き家対策強化と、大規模土地所有者対策による土地流動化」とした。

 政治倫理条例の制定について、井上氏は「公正な市政運営に検討が必要」、西尾氏は「条例制定前に指導者が高い倫理観を持つことが必要」とした。

 大河内代表は「函館の沈滞した空気を変えるには、力強いメッセージがなくては伝わらないのでは」と感想を述べた。(今井正一)


◎防災拠点の完成祝う…北消防署亀田本町支署新庁舎落成式
 函館市北消防署亀田本町支署(亀田本町4、亀井一成支署長)の新庁舎落成式が3日、同支署で開かれた。市や市議会、地域住民ら関係者約70人が出席。最新の設備や機能を配した防災拠点の完成を祝った。

 同支署は消防組織機構再編計画に基づき、旧西消防署港出張所と旧亀田本町出張所を統廃合する形で改築された。鉄筋コンクリート造り2階建て延べ約940平方メートル。亀井支署長以下36人が勤務し、ポンプ車、化学消防車、高規格救急車など車両4台が配備されている。

 式で井上博司市長は「亀田本町や港町など北部地域の消防力が強化され、市民が安心、安全に暮らせるような防災体制が確立された。消防職員は地域の信頼と負託に応えてほしい」とあいさつ。来賓の福島恭二議長が祝辞を述べた後、同支署の幹部職員が紹介された。

 式典後、出席者は震度6、7の地震でも崩れない耐震強度を誇る施設内を見学。市民向けの防災、救急講習が開催できる講堂のほか、事務室や消防車などを興味深げに見て回った。

 同支署の管轄地域は亀田本町、富岡町、田家町などの住宅地のほか、港町、浅野町など函館港に面した工業地区など計17町。北消防署管内最大の約1万8600世帯、3万7500人が対象となっている。(森 健太郎)