2007年4月6日(金)掲載

◎遺愛学院のクロッカス満開
 函館市内の遺愛学院(杉並町23)内にある国の重要文化財、旧遺愛女学校宣教師館(通称・ホワイトハウス)周辺で、クロッカスの群生が満開を迎えている。美しい白壁の建物の周りを、紫や白の素朴な花が彩っている。

 クロッカスはアヤメ科の多年草。同学院でも春の訪れを告げる花として親しまれており、ことしも例年とほぼ同じ3月下旬に咲き始めたという。

 一般の見物もでき、同学院は正門の警備員に見学での来校を告げるよう呼びかけている。(山崎純一)


◎函病の入院・外来未収金、2億8400万円 回収不能
 外部監査による函館市の「歳入項目の収納事務および債権の管理」に関する報告書がまとまり、市に提出された。2005年度までの市立函館病院の入院・外来費の未収金のうち、2億8400万円が06年度末で時効となり、回収不能となる可能性が高いことなどが指摘された。報告を受け、市は07年度中にも債権管理体制の確立を目指す考え。

 報告書によると、入院費の未収金件数1282件のうち、入金額が0円の件数は05年度で1151件。このうち金額が1万円までは359件、1―5万円は430件と、請求額が少額のケースが大半を占める。このため包括外部監査人の鎌田直善会計士は、未収金発生の理由を「必ずしも患者の経済的理由に帰するものではない」と判断。

 入金が一度もない入院・外来の未収金額は1995年度―06年11月末で約6億円。判例で公立病院の診療債権の消滅は、時効の中断がない限り3年と解釈されているため、05年度中に2億2500万円が回収不能となった可能性があると指摘している。未収金は、04年度約7100万円、05年度約9000万円で、すべてが回収不能とした場合、08年度末で回収不能見込額は累計4億3000万円に上る見通し。

 同病院では休日(土・日曜、祝日)に退院する患者が全体の3割で、会計業務が休みのため、後日請求書を送付。退院当日に請求書を発行していないことが未収金をつくる原因の一つとし、徴収の徹底を求めている。鎌田会計士は「場合によっては診療券の自動受付停止などの措置も考えられるはず」と話す。

 生活保護費返還金収入や国民健康保険事業特別会計など、全9項目に対し、計165件の指摘、意見を付けた。市税の項目では、滞納者の動産差し押さえ実績がないと指摘。不動産を差し押さえた場合、登記上に記録が残るため、「自動車の差し押さえを導入すれば、けん制効果は高い」(鎌田会計士)と助言する。

 監査結果について小柏忠久総務部長は「負担の公平性を確保しなければならない。早急に改善するよう、全庁で総合的な債権管理体制を07年度中に確立できるよう検討したい」と述べた。

 包括外部監査は中核市や政令市に義務づけられ、函館での実施は05年度に続き2回目。専門的、独立的立場で、信頼性、透明性の高い監査を実施している。(今井正一)


◎公明党函館総支部が井上氏支持
 公明党函館総支部(志賀谷隆支部長)は5日、函館市長選(15日告示、22日投開票)に立候補を表明している現職の井上博司氏(70)を支持することを決定した。複数の関係者によると、公明党の支持母体である創価学会も支持する方針。

 井上氏からの推薦申請を受け、5日に党函館支部(茂木修支部長)が井上氏と政策面で協調できると判断し、総支部が支持を決めた。

 市長選告示まで10日間と迫り、「期間が短いため、支持にとどめた」(党関係者)とするが、創価学会も党函館総支部の方針に同調するとみられ、事実上、強い支援を受ける形となりそうだ。

 3選を目指す井上氏は自民、民主、公明の3党に推薦申請し、自民党と民主党道8区総支部は推薦を決めている。ただ、民主の一部には対応に乱れが見られる。

 市長選には井上氏と前助役の西尾正範氏(58)が出馬表明しており、両氏の一騎打ちとなる公算が大きい。(高柳 謙)


◎吉田幸子さんがかつて芸者を務めた尾形京子さんの半生つづる
 函館市在住の吉田幸子さん(62)が、芸者として活躍した後、同市宝来町でおでん屋「冨茂登(ふもと)」を創業した尾形京子さん(86)の半生をつづった冊子「花はくれない柳はみどり」を完成させた。人や地域の歴史を掘り起こし、語り手の肉声のまま後世に残す「聞き書き」を駆使し、忘れ去られつつある花柳界の華やかさや気品高さを如実に伝えている。

 吉田さんが「聞き書き」と出合ったのは2002年。人の話を聞くことで自分の本質を知るきっかけにしようと、日本聞き書き学会(事務局・札幌)が開いた講座を受けた。対象にしたのは、後志管内黒松内町に住む女性。戦後、サハリンから引き揚げてきたエピソードをまとめた作品は、大賞に輝いた。

 この冊子を手にした1人が、吉田さんの出身大学の後輩で、京子さんの二男有司さん(56)。市内で開かれた、同大の校友会を通じて目を通し、感動した。昨春、京子さんの荷物を整理していた際に発見した芸者時代の手紙を手に、吉田さんに製作を依頼した。

 高齢の京子さんから話を聞き出すのは思った以上に困難を極め、吉田さんも一度は断念。しかし、祖母と母の生きてきた姿を残したいという有司さんの熱意と、京子さんを取り巻く関係者の手助けもあり、昨年6月から作業を本格化させた。

 手紙は、京子さんが小樽で修業していた際、芸者だった母マスさん(1979年に他界)と交わしていたものが中心。遠方のわが子を案じる母親の心情や、けいこの楽しさを報告する文章を基に聞き書きは進められた。北洋漁業で隆盛を誇った函館のにぎわい、芸者引退後に出店にかける思いなどが、函館なまりの京子さんの口から切々と語られ、半年かけて録音したテープは60時間以上に及んだ。

 編集に際しては、タイトルを茶掛けの「柳緑花紅」から引用したほか、写真や字体、細部にわたるデザインなど、吉田さんのこだわりが凝縮している。冊子はA5判の65ページで、700部発行。有司さんが営む料亭「冨茂登」で1冊1200円で販売している。

 吉田さんは「昔を思い出しながら家族で過ごす楽しい時間を第三者として、立ち会えたことに喜びを感じる。聞き書きの素晴らしさだけでなく、花柳界の奥深さを少しでも多くの人に伝えていければ」と話している。

 本の購入に関する問い合わせは、料亭冨茂登TEL0138・26・3456。(浜田孝輔)


◎函大で入学式
 函館大学(小笠原愈長)で5日、本年度入学式が行われた。真新しいスーツに身を包んだ商学科143人、英語国際ビジネス学科27人に編入生4人を加えた計174人が出席。商学士取得を目指し、希望と期待に胸をふくらませながら学生生活の第一歩を踏み出した。

 保護者や講師陣が見守る中、一人ひとりの名前が呼ばれると、新入生は壇上の小笠原学長に深々と頭を下げ、入学の決意を示した。

 式辞を述べた小笠原学長はカリキュラムなどを紹介しながら「他者とともに生きることを実感しながら感謝の心を身につけること、専門知識やスキルを磨くこと、問題解決や解決能力を身につけることを常に意識してほしい」と語りかけた。

 新入生を代表して函大付属柏稜高校出身の武田絵美さん(18)が「建学の精神である報恩感謝・常識涵(かん)養・実践躬行(きゅうこう)―をよく理解するとともに、具体的心情としての知情意を大切に人格を高める努力をしていきたい」と力強く宣誓した。(笠原郁実)


◎横断歩道の塗り替え進む
 函館市内一円で横断歩道の塗り替え作業が進められている。毎年、入園・入学シーズンを前に行われ、道警から委託された業者の作業員が、冬期間に塗料がはがれるなどした横断歩道上に、手際よく真っ白なラインを引いている。

 業務を請け負っている佐藤塗装工業所(同市松陰町)によると、白線に使われる塗料には、今年からホタテの貝殻粉末が使用されており「雨にぬれても滑りにくい素材」という。夜間、車のライトに反射するよう、細かなガラスビーズも含まれているという。

 5日午前には、同市宮前町―梁川町付近の道道函館五稜郭線の横断歩道で作業が行われた。片道2車線で、横断歩道1カ所当たり作業時間は15分ほど。作業員らは道行く車を誘導しながら迅速に塗り替えを行っていた。作業は5月上旬ごろまでに終了する予定。(今井正一)