2007年4月9日(月)掲載

◎函館市区、佐々木氏が雪辱/新設・北斗市区は長尾氏/“七飯対決”は冨原氏…道議選
 統一地方選の前半戦、道知事選と道議選は8日投票が行われ、即日開票の結果、函館市区(定数6)は自民党新人、佐々木俊雄氏が昨年の補選敗退の雪辱を果たし初当選した。公明党現職、横山信一氏と自民党現職、川尻秀之氏は順当勝ち。民主党現職の高橋亨氏、平出陽子氏、斉藤博氏も再選を果たし、民主が3議席を死守。無所属元職の畠山博氏と共産党現職、前川一夫氏が敗れた。新設の北斗市区(定数1)は民主党現職、長尾信秀氏が自民党現職、長谷秀之氏を下した。渡島支庁区(定数3)は民主党現職、岡田俊之氏、自民党現職、川村正氏、無所属新人、冨原亮氏が当選。桧山支庁区(定数1)は無所属の現職、福原賢孝氏が自民党新人、佐々木俊司氏を退けた。

 知事選は民主党推薦の荒井聡氏が敗れたが、道議選の道南11議席では、民主党が推薦を含め過半数を超す6議席を獲得。夏の参院選につながる結果を出した。

 定数6に9人が立候補した函館市区は、前回に続き道内有数の激戦区となった。昨年の補選で当選した前川氏と同補選で落選した佐々木氏、畠山氏が競り合った。

 横山氏は公明・学会票を手堅くまとめ、陣営は最後まで危機感を持って戦い、議席を守った。北海道新幹線の着工や水産学博士としてのガゴメのブランド化などの実績を掲げ、優位に立った。

 川尻氏は現職の強みを発揮。建設業界や水産業界のほか、飲食・サービス業界などの各種団体から広く推薦を受けた。佐々木氏と競合する水産・漁業団体でも票の流出を抑え、旧4町村地域での反応も良かった。

 高橋氏は最大労組の市職労をバックに臨んだ。昨年の補選でトップ当選したものの、本選挙が試金石。前回の市職労出身候補は民主3人目の当選で、陣営は大きな危機感をバネに奮起し、市役所OBなどの力も受けた。

 平出氏は出身の北教組を母体に、弱者に優しい政治の実現などを訴えた。危機感を結束に変え、個人票のほか得意とする医療・福祉関係からも支持を受けた。

 斉藤氏はNTT労組を中心とした戦いで、民主党北海道代表の鉢呂吉雄衆院議員や横路孝弘衆院副議長らがてこ入れ。足がかりのない旧4町村地域でも一定の支援を広げた。

 佐々木氏は前渡島支庁副支庁長で、水産のエキスパートとして、補選の雪辱に燃えた。市内の有力企業グループや漁協から支援を受け、終盤に猛烈な追い上げを見せた。

 畠山氏は8年前の函館市長選出馬で道議を辞職。前回と昨年の補選でいずれも次点に泣いた。道議4期の知名度と実績を糧に、陣営が結束。自民党推薦も追い風となり、ムード良く選挙戦を進めたが、土壇場で佐々木氏に逆転され、今回も次点。

 前川氏は、昨年の補選で故日高令子氏の議席を死守。道南の共産党を挙げて臨み、街頭演説を約140回こなすなど徹底的に政策を訴えたが届かなかった。

 無所属新人の大日向豊吉氏は、前回に続いての出馬。社会福祉法人理事長として福祉政策の充実などを訴えたが、保守がひしめき合う中で埋没した。

 北斗市区の初代議席を獲得した長尾氏は、1次産業の振興を訴えた。出身の旧大野町地区だけでなく旧上磯町地区の民主支持層のほか、漁村部、農村部などに浸透した。

 敗れた長谷氏は、自民党公認や「旧上磯対旧大野」をアピール。七重浜・久根別地区などの新興住宅地を重点的に回った。保守系北斗市議が陣営を固めたことが功罪相半ばしたとの声もある。

 渡島支庁区トップ当選の岡田氏は、八雲・長万部の渡島北部2町を地盤に、民主党唯一の候補であることから優位に立った。旧熊石町や森町、渡島西部4町村などにも浸透を図った。

 川村氏は渡島西部4町村のほか、候補が立たなかった森町に精力的に足を運んだ。現職の強みを生かし、手堅く勝利。

 冨原氏は前七飯町議の実績に若さと行動力をアピール。高校を含め一貫して七飯町で過ごしたことから、同年代の若年層に人気があり、このほか中高年、高齢者にも支持が広がった。

 自民党新人の石田広紀氏は、七飯町の主要課長を歴任した行政手腕から即戦力を訴えたが、冨原氏と比べ若年層の支持が薄く、涙をのんだ。

 桧山支庁区を制した福原賢孝氏は、民主党と新党大地から推薦を受けた。自民党の候補擁立が越年し、早くから管内全域で臨戦態勢を整えた。地元の上ノ国町をはじめ江差町などで一部保守層にも食い込んだ。

 佐々木俊司氏は出馬表明が2月末と出遅れた。党道8区支部長の中村勉氏が先頭に立ち、道町村会長の寺島光一郎乙部町長らとともに桧山の保守層の大同団結を訴え猛追したが、準備不足は否めず競り負けた。(道議選取材班)


◎函館市は58・44%/新設の北斗は62・84%…道議選投票率
 8日、投開票が行われた道議選の投票率は、函館市区が58・44%で前回(2003年、合併前の区割り)の57・27%を1・17ポイント上回った。渡島支庁区は67・81%で0・84ポイント減、桧山支庁区は77・92%で0・16ポイント上昇。新設された北斗市区は62・84%だった。

 このうち期日前投票者は函館市区が1万5734人で有権者数の6・55%、北斗市区が2497人で同6・40%、渡島支庁区が7415人で同8・47%、桧山支庁区が5472人で同14・15%といずれも前回の不在者投票数を大きく上回った。

 前回21市中18位と投票率が低迷した函館市では、渡島支庁などと協力し、街頭啓発などで有権者に投票を呼びかけたが、期待されたような効果は得られなかった。新設の北斗市区も60%をわずかに超えるにとどまった。

 函館市の当日有権者数は24万421人で、旧4町村との合併で1万371人増加。このうち14万494人が投票した。男女別の投票率は、男性58・50%、女性58・38%だった。北斗市区の当日有権者数は3万8985人で投票者数は2万4499人、渡島支庁区は8万7531人で投票者数は5万9357人、桧山支庁区は3万8670人で投票は3万132人。

 一方、知事選の投票率は函館市区が58・52%で、前回(57・33%)を1・19ポイント上回った。北斗市区は62・91%、渡島支庁区は67・93%(前回68・73%)、桧山支庁区78・07%(同78・90%)だった。(道議選取材班)