2007年5月10日(木)掲載

◎ケイエム飼料函館のイカゴロ再処理工場完成
 【北斗】飼料製造のケイエム飼料函館(北斗市七重浜1、金井正夫社長)が昨年9月に着工したイカゴロ(イカの処理過程で出る残りかす)の処理工場が9日完成し、関係者に公開された。同工場では、イカゴロを植物性タンパク質と混ぜて乾燥させ、養殖エビなどの飼料としてリサイクルする。道南全域の水産加工業者から排出されるイカゴロを引き受ける方針で、6月からの本格稼働を目指している。

 同社は、乾燥機械や産業廃棄物機械などの製造販売を手がけるオカドラ(横浜市、同社長)の関連企業として昨年3月に新設。これまでイカゴロの処理業務を担ってきた日本化学飼料(函館市浅野町)から業務を引き継ぐ。

 工場内には、原料となるイカゴロを貯蔵するタンクと、植物性タンパク質のもとになる大豆などをためる基材サイロがある。「サイクロンドライヤー」と呼ばれる3台の乾燥機で原料と基材を混ぜ、原料の水分を蒸発させる。出来上った飼料は25キロ単位で袋詰めする。

 また、脱臭装置で無害化して水蒸気として大気中に放出されるため、汚臭や廃水が出ないよう環境にも配慮。作業工程のほとんどがコンピューターで自動制御される。

 最大処理量は1日当たり60トンで、年間9000トンの飼料生産が可能。業者からイカゴロ1トン6000円で引き受ける。エビの養殖が盛んな東南アジアなどに高級餌料として輸出される。(今井正一)


◎改選函館市議会・民主、新生クが第一会派
 改選後の函館市議会の会派結成届が9日で締め切られた。民主・市民ネットと、旧市民自由クラブ系の議員に4人が加わった新生クラブが10人をそろえ、第1会派となった。旧はこだて市民クラブは、市民クラブとして6人で出発。保守系2会派の「大同団結」はならなかった。議長候補は、民主・市民ネットが当選4回の阿部善一氏、新生クラブは「会派内や他会派との調整などを経て決める」としている。臨時議会を21、22両日に開き、正副議長などを選出。全5会派とも西尾市政については是々非々の姿勢で臨む考え。

 公明党は改選前と同じ5人、共産党も同じく4人。初当選の三遊亭洋楽氏と当選3回の竹花郁子氏、返り咲きで当選3回の松尾正寿氏の3人は無会派となった。

 民主・市民ネットは当選7回の石井満氏が引き続き会長を務め、当選4回の能川邦夫氏が幹事長に就任。能川氏は後期2年間の議長候補に目されており、「市長は変わったが、これまで通り政策論争で是々非々の姿勢で臨む」と話す。

 新生クラブは、戸井選出の吉田崇仁氏(旧町から通算7選)を会長に据え、恵山選出の斉藤明男氏(同7選)と椴法華選出の村井正幸氏(同6選)、無会派だった当選13回の黒島宇吉郎氏も加わった。幹事長は当選4回の白崎憲司郎氏。当選回数などから女性議員が議長となる可能性もある。吉田会長は「保守系会派で第1会派であるという自覚を持ち、大所高所に立って市政を検証していく」と語る。

 市民クラブは、前副議長で当選8回の北原善通氏が会長に就任。旧会派会長だった当選6回の小野沢猛史氏が幹事長に回り、南茅部選出の佐々木信夫氏(同2選)が旧4町村議員から唯一会派に入った。北原会長、小野沢幹事長は「自由な雰囲気で、議員個々の思いを尊重したい」とする。

 公明党の瀬尾保雄議員団長(当選6回)は「基本的には是々非々で臨む考えだが、西尾市長の市政執行方針や代表質問で考えを聞いてから対応を決めたい」、共産党の高橋佳大議員団長(同3回)も「西尾市長は保育料引き下げや乳幼児医療費助成拡大など、われわれが主張してきたことを公約に掲げており、そうした積極的な姿勢は応援するが、良くないことは主張し追及する」との姿勢を示している。

 各会派とも、西尾市長の出方をうかがう構えだが、「西尾市長を支える」「市長選でねじれにねじれ、他会派や個々の議員が西尾市長とどのような関係か分からず、様子を見ることが必要」(各会派幹部)との声も聞こえてくる。(高柳 謙)


◎西尾市長が就任後初めて函館商工会議所を訪問
 西尾正範函館市長は9日、函館商工会議所を訪れ、高野洋蔵会頭らに就任あいさつをした。市長選で経済界首脳を批判したこともあり、両者の不協和音も心配されたが、「終わったこと」との考えで一致し、以前と変わらぬ連携態勢を取ることを確認した。

 市長選で同会議所の政治団体、日本商工連盟函館地区連盟(会長・高野会頭)は、現職だった井上博司氏を推薦。西尾氏は、井上氏と議会、経済界トップの関係を時代劇の「水戸黄門」になぞらえて批判したことで波紋が広がり、市長就任に際しては、関係修復が大きな課題の一つとなっている。

 同会議所では、高野会頭をはじめ、古川雅章専務理事、野崎隆夫事務局長が応対し、会談時間は約30分。西尾氏が選挙公約に掲げた、子育て支援や人づくりなどのソフト面に重点を置いていくことを説明したところ、同会議所側から一定の理解が得られたという。

 会談を終えた西尾市長はインタビューに応じ、「地方都市は苦しいという共通認識の下で連携していく。選挙は選挙ということで整理した」とコメント。高野会頭も「選挙中にあったことは一切水に流すと話した。今後は地域の活性化に向け、どう考えるべきかを互いに調整していきたい」と話した。(浜田孝輔)


◎北斗市議会、新議長に小泉氏
 【北斗】改選後初の北斗市議会が9日開かれ、議長と副議長を選出した。議長には元上磯町副議長で民主系の小泉征男氏が、副議長には花巻徹氏が就任した。

 議長・副議長選挙は全26議員の投票で実施。議長選は小泉氏が15票を獲得し、11票の水上務氏を押さえた。小泉氏は、所属会派の穂青(すいせい)会(旧市民クラブ)に旧大野町議を取り込んで拡大し、一部の保守系会派や共産党の支持を得て手堅く票をまとめた。

 副議長選は花巻氏が13票で、菊地金吾氏が11票、高橋陽子氏が2票だった。

 就任あいさつをした小泉氏は「公平公正を意識しながら、誠心誠意職務を全うしたい」と決意を述べた。さらに「議会の役割を十分果たしながら市民の期待に応えていく。変えるべきものは変えたい」と議会改革に前向きな考えを示した。

 小泉氏は1986年に初当選し、6期目。2004―06年に旧上磯町議会副議長を務めた。(小泉まや)


◎函館水産物商業協同組合「魚魚(とと)の日」を制定 第1弾として15日に「ピリ辛サンマ」販売
 函館水産物商業協同組合(藤原厚理事長)は、魚食普及に向けた新たな試みとして「魚魚(とと)の日」を制定し、旬の海産品を特価で提供する。第1弾として15日に函館市内・近郊の鮮魚店・スーパーで「北海道産ピリ辛サンマしょうが風味」(1袋3尾入り)を通常価格480円のところ280円で販売する。

 同組合は30年ほど前に「魚の日」を定め、近郊でとれた魚介類を中心に販売拡大を図った。その後、各店独自に曜日や日付にちなんだ「魚の日」に取り組むようになったことから、所期の目的を達成したとして数年前から休止している。

 今回、名称を変えて再スタートする背景には、消費低迷に悩む水産業界を再興させる狙いがある。「魚魚の日」は不定期の開催とし、商品は高品質を追求するため、同組合の魚食普及委員会で試食し、合意を得た上で選定する。

 「北海道産ピリ辛サンマしょうが風味」は3月に釧路の水産加工業者が発売した。使用しているサンマは1匹180―200グラムと大型で、脂乗りが良く、すりおろしたショウガなどを加えたことでより良い風味に仕上がっている。

 同商品は8000袋を仕入れ、同組合加盟の小売店のうち、「魚魚の日」のポスターを掲示した約200店舗で取り扱う。藤原理事長は「自信をもって勧められる商品なので、ぜひ食べてほしい」と話している。

 問い合わせは同組合TEL0138・22・5804。(浜田孝輔)


◎市内の百貨店など母の日商戦
 13日は「母の日」。函館市内の百貨店やスーパーでは、母の日用のプレゼント専用コーナーが設けられ、「お母さんありがとう」の気持ちを託す贈り物を探す客でにぎわっている。ことしは、定番の花に加え、高級感を出した食品が注目されているという。商戦は週末にかけてピークを迎える。

 丸井今井函館店(本町32)では「『ありがとう』はギフトで絆(きずな)になる」と銘打ち、各売り場でプレゼント品を陳列。「ハンカチフラワー」(840円から)はハンカチを花のように織り込んでいて、人気を呼んでいる。

 ことし初めて企画した「母の日御膳(ごぜん)」は、4月下旬の予約開始から好評で、販売予定数を増やして対応。市内の割烹料理店やすし店が手掛ける高級弁当。人気の理由について販売促進室の矢野隆之係長(35)は「母親を主役に、家族みんなでおいしく楽しめるからでは」と推測する。

 イトーヨーカドー函館店(美原1)では、2日から地下催事場の専用コーナーを拡大。近くの幼稚園児が描いた「お母さんの似顔絵」を展示し、和やかな雰囲気を演出する。

 同店ではフラワーギフト関連品を例年の2倍ほどにした。家庭用品担当マネジャーの福島雅則さん(31)は「花はいつの時代も人気で誰にでも愛される。花とエプロンやバッグなどを組み合わせてプレゼントする人も多い」と話す。

 ガーデンショップきこうえん(中島町38)も毎年この時期、母の日用の花束などの予約が集中する。最近は、カーネーションのほかに、数種類の花を組み合わせた「寄せ鉢」が人気で、遠方に届けるサービスも利用されている。

 同店従業員の大釜いそ子さん(62)は「20―30代の夫婦で、自分の母と義母に同じ種類のプレゼントを届ける人が多い。感謝の気持ちを真心とともに花に託してほしい」。同店では例年、母の日当日に大勢の小学生がカーネーションを買い求めに訪れ、にぎやかになるという。(田中陽介)