2007年5月12日(土)掲載

◎香雪園6月1日から市民に開放
 函館市が文化庁の補助を受けて、2004年度から復元整備を進めている「旧岩船家庭園」(見晴町、通称・香雪園)の園亭が6月1日から一般市民に開放される。市では、茶会や生け花、句会など、会合での利用を想定。四季折々の趣のある庭の景色や風情を味わえる。土木部緑化推進課では「たくさんの市民に利用してほしい」と話している。

 旧岩船家庭園は、道内有数の呉服商だった、故岩船峯次郎が1898(明治31)年ごろ、別荘地として造成した広さ約13ヘクタールの純日本庭園。大正期に京都から庭師を迎え本格的な整備を行った。1959年に見晴公園として公有化され、2001年には、国から道内唯一の名勝指定を受けた。

 04年度からの復元整備は、写真資料などを基に往時の姿に戻すことを原則に進められている。園亭部分では、こけらぶきの屋根の再現や、内装など、可能な限り当時の建築技術を用いた。

 また、庭の発掘では、大正初期の園亭の写真にあった灯篭(とうろう)の台座跡の発見や、日本庭園の専門家のアドバイスをもとに、樹木の間伐や枝打ちなどで、室内から見える景色を整えた。

 園亭周辺の工事は、井戸の屋根や入り口前の門、土橋の整備などが残っている。前庭の池にも本年度中に水が戻される。そのほか、公園内では、「一の池」周辺で池底のしゅんせつや橋の整備、庭石の調査などにも着手する予定。

 園亭は通年での利用が可能で、利用日の1週間前までに予約と使用許可申請が必要。料金は1日750円。市住宅都市施設公社花と緑の課TEL0138・40・3605まで申し込む。また、見学のみの場合は無料。11月まで開放する(12―3月は予約がない限り閉鎖)。いずれも時間帯は午前9時から午後5時まで。

 問い合わせは緑化推進課TEL0138・21・3431。(今井正一)


◎戦没者の冥福祈る 市内で箱館戦争の供養祭
 箱館戦争で新政府軍が総攻撃を行った11日、函館市内では戦没者の冥福を祈る供養祭が各地で開かれた。この日は、新選組副長・土方歳三の命日ともされる。参列者は奮戦の果てに倒れた戦没者に思いをはせ、霊を慰めた。

 五稜郭タワー(五稜郭町43、中野豊社長)では、箱館戦争で殉死した人々を慰霊する供養祭が行われ、市内の観光業者など約60人が参列した。

 新選組副長だった土方歳三の命日が11日にあたることから、同社の創業者、中野真輔氏(故人)が供養塔を建立して1972年から毎年実施。また、19、20両日に五稜郭などを舞台に開かれる「第38回箱館五稜郭祭」の協賛事業にもなっている。

 供養祭では、中野社長が祭文を奏上した後、観音寺(同町28)の中村裕康住職らが読経する中、参列者一人一人が焼香し、戦死者の冥福を祈った。終了後、中野社長は「ことしも多くの人に参列していただいたので、きっと良い五稜郭祭になるはず」とあいさつし、当日の好天に願いを込めていた。(浜田孝輔)


 函館福島県人会(熊坂成剛会長、60人)は午前11時から、船見町21の高龍寺(永井康人住職)にある「傷心惨目(しょうしんざんもく)の碑」前で碑前祭を行った。会員ら17人が参列。会津の戦場にいた白虎隊隊士の笹原伝八忠久の子孫にあたる佐藤ヒサエさん(84)も札幌から訪れ、箱館戦争で命を落とした会津藩士の霊を供養した。

 僧侶の読経に続き、参列者が焼香。碑前に手を合わせ、残虐な死を遂げた同郷の先祖の冥福を祈った。碑前祭に続き同寺で懇親会を開き、佐藤さんは「この場に来ることができ、うれしい」と感慨深げだった。

 碑前祭に毎年参加しているという同市本町の上田小八重さん(84)は「昨夜の雷雨で天気を心配したが、晴れてよかった。この天気のように先祖たちは心を安めているはず」と話していた。

 高龍寺は、旧幕府軍負傷兵の仮病院となっていた。11日の箱館総攻撃では、新政府軍が乱入。傷病兵らを殺傷、寺に放火、多数の会津藩士が犠牲になったとされている。石碑は1880(明治13)年、旧会津藩士有志の手で建てられた。(田中陽介)


◎春の全国交通安全運動スタート
 春の全国交通安全運動(20日まで)が11日、スタートした。今回は全道一斉の地域安全運動と日程が重なり、道警函館方面本部や渡島支庁などは同日、五稜郭公園で両運動の総決起大会を開いた。参加者は期間中、事故防止や街頭犯罪の抑止に力を入れ、関係機関・団体が一丸となって取り組むことを誓った。

 同公園内の広場で開かれた総決起大会には関係機関・団体などから約400人が参加。「交通安全」や「防犯」ののぼりが立ち並ぶ中、主催者を代表して成田一憲渡島支庁長が「昨年は2年連続で交通事故による死者数の全国ワーストを返上できた。引き続き気を緩めることなく、悲惨な事故を1件でも減らそう」とあいさつした。

 続いて、函館大学付属有斗高校や道教育大函館校の学生らが大会を盛り上げる吹奏楽演奏を披露。このほか、函館千代台小の1年生が事故や犯罪に巻き込まれないための誓いを述べた。

 最後に、参加者は白バイを先頭に本町交差点までパレード。一日警察官に任命された道教育大函館校のミスキャンパス、山田ちえみさん(20)=教育学部3年=らが、リフォーム詐欺や振り込め詐欺への注意を呼び掛けるパンフレットを市民に手渡した。(森 健太郎)


◎適正配置計画案 公立高存続訴え
 道教委が昨年8月に策定した「新たな高校教育に関する指針」に基づく2008年度から3カ年の高校適正配置計画案発表を前に、福島町(村田駿町長)は11日、「地域別懇談会」の実施を決めた。18日午後3時から福島町福祉センター(同町三岳32)で開き、木古内、知内、福島、松前の渡島西部地区4町の町長や教育長をはじめ教育関係者、市民らが出席し、道教委幹部らに地域の実情を含め、公立高校存続を訴える。道教委では「08年度以降の配置計画案の見通しに関し、自治体が自主的に懇談会を設けた例はない」としており、道内で初めての実施となる。

 同指針では1学年3学級以下の学校は地域の実情に応じて再編することなどを打ち出しており、道教委は中学校卒業予定者数を踏まえ、「08年度から10年度に渡島管内で4―6学級の削減が必要」との見通しを示している。

 対して4町は、大森伊佐緒木古内町長が各管内で数回にわたり行われた道教委実施の地域別懇談会、検討協議会などで、「小さな自治体にとって高校は重要な役目を担う。地域の声を聞く場を設けてほしい」と訴え続けてきたほか、主催する福島町も道教委に対し、「地域に高校を残してほしい」という住民の署名を提出。各町の思いが合致、連携して会実施を決めた。

 懇談会では、道教委の新しい高校づくり推進室参事や渡島教育局主幹が公立高校配置計画の考え方について説明するほか、渡島学区の現状と課題について、参加者に意見を求める予定。福島町教委は「地元の高校存続は各地域にとって重要問題。当日は町民や商工会会員なども参加する予定。地域で存続を強く訴えていきたい」と話している。(笠原郁実)


◎春季道高校野球大会支部予選が開幕
 第46回春季道高校野球大会函館支部予選(道高野連など主催)は11日、オーシャンスタジアムで開幕し、1回戦3試合を行った。函商は序盤から集中打で着実に加点し、昨秋のブロックベスト4校の函水に7回コールドの9―2で快勝した。函西はわずか3安打ながら四球などに6犠打を絡めて大野農に8―3で逆転勝ち。桧山北は相手投手の乱れに乗じて大量点を挙げ、南茅部に5回コールドの11―1で大勝した。南茅部の猪股巧主将(3年)は4回、今大会第1号となるソロ本塁打を左翼席にたたき込んだ。