2007年5月15日(火)掲載

◎中空土偶が文化庁から“里帰り”
 道内初の国宝となる、函館市著保内野(ちょぼないの)遺跡出土の「中空土偶」が14日、4カ月ぶりに文化庁から函館市に返却された。国宝指定に向けた調査のため、1月15日から同庁に渡り、指定決定を受けて国立博物館(東京)で公開された後、“里帰り”を果たした。

 東京から空輸され、同日午後に当面の保管先となる市立函館博物館本館(青柳町17)に到着。同庁や市教委の職員が土偶の状態を点検し、報道陣に公開した。

 返却に立ち会った同庁の原田昌幸・文化財調査官は「国を代表する文化財として保管に万全を期し、南茅部の宝として広く公開してほしい」と期待。市教委文化財課の田原良信課長は「保管や取り扱いに細心の注意を払い、保存活用につながるよう万全の体制で多くの方に見ていただく機会をつくりたい」と話した。

 函館では6月1日から同3日まで、南茅部公民館(川汲町1520)で地元住民らにお披露目され、7月1日から8月19日まで同博物館での特別企画展で展示される。

 中空土偶は縄文時代後期(約3500年前)に作られたとみられ、1975年に旧南茅部町で発見、79年に国の重要文化財に指定された。

 縄文時代の精神活動や信仰を端的に表すとされる土偶の中でも、造形、構造的にもトップクラスの資料として評価され、3月16日に文化審議会の答申で国宝指定が決定。6月上旬までに指定される見通し。(宮木佳奈美)


◎2月の函館市内大型店売上高、44カ月ぶり前年上回る
 函館商工会議所(高野洋蔵会頭)が14日に発表した、2月の函館市内第1種大規模小売店(大型店)8店の売上高は、前年同月比0・1%増の36億4722万円で、2003年6月以来、44カ月ぶりに前年実績を上回った。「食料品」や「家庭用品」が好調で、主力の「衣料品」が前年割れこそ脱せずにいるものの、マイナス幅は縮小傾向となった。景気回復につながる兆しとなるのか、今後の動向に注目が集まる。

 品目別では、8品目中4品目が前年同月を上回った。「食料品」は同0・4%増の11億6523万円で、バレンタイン商戦などで盛り上がりを見せた。「家庭用品」は同8・6%増の1億8186万円で、ともに2カ月ぶりに好転した。

 クリーニングや遊戯場などの「サービス」が、同28・3%増の1億1278万円と大きな伸び。3カ月ぶりにプラスとなった。

 一方、減少した品目では、「衣料品」が、気温が高めに推移したことで、春物衣料を中心に動きがあったものの、同2・6%減の10億4308万円と12カ月連続の減少。しかし、マイナス幅は前月に比べて1・0ポイント改善し、昨年12月以降縮小傾向が続いている。

 このほか、「雑貨」は同2・3%減の4億62万円、「身の回り品」が同1・4%減の3億6968万円、「食堂・喫茶」は同1・6%減の4428万円だった。

 同会議所は「降雪量が少なく、外出のしやすさもあって、悪すぎた前年を上回る結果につながった」と分析。先行きは3月が前月の反動からか、マイナスに転じると見込んでおり、「完全に回復したとは言い難く、横ばいで推移しながら、境目を行ったり来たりする状態が続くのでは」とみている。(浜田孝輔)


◎函館市総合計画審、西尾市長へ答申書
 本年度から10カ年の新しい函館市総合計画の素案を審議してきた市総合計画審議会(奥平忠志会長)は14日、素案の内容はおおむね妥当であるとする意見をまとめ、谷口利夫副会長が西尾正範市長へ答申書を手渡した。西尾市長は「いただいた意見や提言を盛り込ませて原案を作成し、9月議会で決定したい」と述べ、謝意を伝えた。

 今年1月から全体会議や分科会を20回以上開き、素案を審議した。市は同審議会と市議会の意見、市民意見(パプリックコメント)に加え、4月の選挙で当選した西尾市長の公約を入れ、早ければ6月中にも原案を作成する。

 答申によると、計画全般に関しては「高齢化の進行は成熟した社会がつくられていくことで、プラス要因として考えていく必要がある」「旧市域と同様に東部地区(合併4地域)もその特色を最大限に生かし、振興を図る必要がある」とした。

 新総合計画は今後10年間のまちづくりの基本姿勢や発展方向を定め、具体的な事業計画は本年度から策定する「まちづくり3カ年計画」の中で示していく。

 西尾市長は「少子高齢化など、これからの地方は未曾有の厳しさがあり、若い人を育て、団塊の世代の知恵を借りるなどしてまちを元気づけ、市民が誇りを持って住んでいける函館にしたい」と述べ、公約に掲げた人づくりなどを計画原案に盛り込んでいく考えを示した。(高柳 謙)


◎「放課後子ども教室推進事業」あさひ小でスタート
 放課後の学校に子どもたちが安心・安全な活動拠点をつくる「放課後子ども教室推進事業」が14日、函館あさひ小学校で始まった。本年度から事業主体が文部科学省から函館市に移行。コミュニティ「あさひ」広場運営委員会(小玉陽造委員長)の指導員らが見守る「夕焼け広場」では、約70人が体育館やグラウンドで元気いっぱい身体を動かしていた。

 実施主体は市教委で、今まで通りボランティアを中心とした地域住民が運営に当たる。「夕焼け広場」は昨年度より4人多い計30人のスタッフが週5日、交代で子どもたちを見守る。

 本年度から放課時間の遅い高学年も参加できるよう活動時間を30分延長。プログラムも、週3回の運動の日には体育館とグラウンドの2会場を同時に開放したり、野球やテニポンなど新たな球技を加えたりした。さらに、週2回の室内遊びには現行の昔遊びのほか、元教員や大学生による学習補助も新たに行う。

 この日、新1年生は初めて仲間入りを果たした。最初はもじもじして隅にいた児童も慣れるに従ってさまざまな遊びに挑戦し、終了間近には上級生とボール遊びを楽しむ姿も見られた。

 参加した山崎彩果さん(6年)は「延長され、小さな友だちとたくさん遊べるのがうれしい」、妹の瑠果さん(1年)も「マットやボールで遊んで楽しかった」と声を弾ませていた。(笠原郁実)


◎函館税関などが密輸阻止街頭キャンペーン
 7日から6月6日までの「薬物及び銃器取り締まり強化期間」に合わせ、函館税関と函館通関業会(兵頭法史会長)は14日、JR函館駅前で密輸阻止街頭キャンペーンを実施した。旅行客や観光客に啓発グッズを配り、不正薬物などの密輸の摘発につながる情報提供を呼び掛けた。

 毎年同期間に行っていて、函館税関、同協会から約10人が参加。一般市民からの情報を受け付ける「密輸ダイヤル」の番号を載せたチラシやボールペンなど計600セットを配布。麻薬探知犬をモデルにした税関のマスコットキャラクター「カスタム君」の着ぐるみも登場し、愛きょうを振りまいた。

 同税関によると、北海道内と東北3県の同税関管内で、麻薬や覚せい剤などの社会悪物品の密輸の摘発件数は、昨年1年間で16件。ことしは1月から3月までに6件あった。同税関は「不正薬物を水際で防ぐために、市民からの情報は貴重。ぜひ寄せてほしい」と話している。

 情報提供は密輸ダイヤルTEL0120・461・961(フリーダイヤル)。(原山知寿子)


◎江差署管内、青色回転灯装備車両20台に
 【江差】江差署(芳賀政男署長)管内では、住民らが青色回転灯を装備した車両で、犯罪や交通事故に目を光らせる「自主防犯パトロール隊」の登録車両が従来の8台から20台に増強された。道警函館方面本部管内全体でも、青色灯装備車両は2005年の制度発足から3年間で総勢204台に拡大。同署は「警察とパトロール隊がタッグを組んで明るいまちづくりに取り組みたい」と期待を寄せている。

 14日に同署で行われた出動式で芳賀署長は「地域では人間関係の希薄化が進み犯罪や事故の増加に結び付いている。パトロール隊の活動の輪が広がり定着しつつあることは極めて意義深い」と激励。新たに登録された同隊のメンバーにパトロール実施者証を手渡した。

 続いて芳賀署長、林政信・江差地区防犯協会長らが、駐車場に勢ぞろいした車両を視察。青色灯を点灯させて街頭に出動する車両を拍手で見送った。

 青色灯を装備した一般車両による防犯パトロールは04年12月、道路運送車両法の保安基準が緩和されたことで実現。江差町など同署管内5町では05年10月、町役場、町内会、ボランティア団体など6団体・8台の車両が登録された。

 本年度は新たに江差町町内会連合会、上ノ国町防犯協会が同隊を結成。江差6台、上ノ国5台、乙部町教委の公用車1台が参加して合計12台が新規登録され20台となった。(松浦 純)