2007年5月16日(水)掲載

◎道南の田植えスタート
 【木古内】道南の田植えが15日、始まった。代かきを終えた水田にはたっぷりと水がたたえられ、青々とした苗を満載した田植え機が静かに行ったり来たりを繰り返している。

 渡島管内のトップを切ったのは、木古内町鶴岡の東出雅史さん(41)方。午前9時から家族とパート合わせて6人で作業を始めた。この日のためにハウスで丹精込めて育てた道南産のブランド米「ふっくりんこ」や「きらら397」の苗は10センチほどに成長。ぴんと上を向き、気持ち良さそうに日差しを浴びていた。

 道渡島農業改良普及センターによると、ことしの道南の田植えは、4月下旬から5月上旬の天候が良かったことや、作業人員が順調に確保される見通しであることなどから、例年並みの出足。5月下旬にピークを迎える。(小泉まや)


◎函館市発注工事 06年度は410件、80億1300万円
 函館市財務部は、2006年度の業者別工事関係受注金額をまとめた。水道、交通、病院を除く市の発注件数と総額は410件、80億1300万円で、前年度より80件(16%)、9億8300万円(11%)減少した。受注金額1位は竹中工務店北海道支店の7億9380万円だった。

 市の工事や、工事関係の委託業務(設計や測量、コンサルタント)の発注・受注実績で、業者の受注は一般競争入札、指名競争入札、随意契約などさまざま。06年度は件数、金額とも減少したが、1件平均の受注金額は1954万円で、前年度より119万円増加した。工事が継続事業の場合は複数年度分の金額となる。

 市調度課によると、受注金額1位の竹中工務店道支店は、JV(共同企業体)のメーン会社として、箱館奉行所庁舎復元工事を7億9300万円で受注した。2位は地元の加藤組土建で、奉行所復元工事のJVサブとして2億9700万円や市立函館高校校舎改築工事で1億3000万円などを確保。3位も奉行所復元工事のJVサブとして2億9700万円などを受けた石井組。

 4位は曲小小倉工務店で、亀田港児童館新築その他で1億2000万円など、5位は今井工務店で市営住宅日吉3丁目団地11号棟新築で1億3700万円など、6位は高木組で市立函館高校校舎改修工事として1億4900万円を受注した。

 ともに9位の野辺工務店と明匠建工は、奉行所復元工事のJVサブで1億3200万円、11位の小泉建設は函館臨海研究所新築工事を1億2200万円で受けた。12位以降の斉藤組、NIPPOコーポレーション函館営業所、川村組土建、鈴木道路、アロー建設、共成舗装土木は道路の舗装工事関係の工事を請け負っている。

 1億円以上受注した企業は前年度12社だったが、06年度は14社に増えた。

 同課によると、公共事業縮減の流れで事業費は年々減少傾向にあり、過去10年間では2000年度の208億円が最高。同年度は日乃出清掃工場のダイオキシン削減対策改造工事で94億2000万円、あさひ小学校校舎新築で10億円などの発注があった。

 01年度は157億円、02年度に99億円と100億円台を割り、03年度68億円、04年度99億円、05年度89億円と推移している。(高柳 謙)


◎新川汲トンネル貫通
 函館市中心部と旧南茅部地区を結ぶ道道函館南茅部線の川汲峠付近(函館市鉄山―川汲)に建設が進められている「新川汲トンネル」(延長2056メートル)の貫通式が15日、同トンネルの南茅部側口で行われた。関係者は工事の区切りを祝うとともに、一日も早い開通を誓った。

 同地域には、1968年に建設された延長1150メートルの川汲トンネルがあり、現在も利用されている。旧規格での構造のため大型車の通行が困難で、避難路としても、海産物の運行経路としても支障を来していた。このため函館土木現業所が工事主体となり、2003年10月に新トンネル工事に着手した。

 06年5月には、基準を超える重金属を含んだ掘削土砂の処理をめぐり工事が一時中断。新トンネル供用後にすべての土砂を適切に処理することで地元住民と合意し、同10月から本格的に工事が再開された。

 この日の貫通式には函館土現、函館市、地元関係者、工事を請け負っている戸田・岩倉・奥村特定建設共同企業体などから関係者約250人が出席。貫通発破の儀では、武田準一郎函館土現所長、秋田孝函館市土木部長、梅田誠二函館市南茅部支所長が同時に発破ボタンを押すと、大きな爆発音とともに幕が下ろされ、南茅部側口から太陽の光が差し込んだ。

 あいさつに立った梅田支所長は「長年にわたる地域住民の願いがいよいよ実現に近づき、関係者には敬意と感謝を送りたい。旧4町村の経済の活性化に大いに期待したい」と話した。

 函館土現は、08年度内の全面供用開始を予定している。(小川俊之)


◎富岡同居男性殺害長男に実刑判決「悪質だが同情に値」
 母親(46)と共謀して同居する無職男性(当時41)を殺害、遺体を空き地に捨てたとして、殺人と死体遺棄の罪に問われた函館市内の無職の長男(17)に対する判決公判が15日、函館地裁で開かれた。柴山智裁判長は「強固な殺意に基づく冷酷かつ悪質な犯行だが、被害者からの暴力に対する憤まんや、窮状の母を助けたいという心情は同情に値する」とし、懲役2年6月―3年6月(求刑懲役3―5年)を言い渡した。

 柴山裁判長は「母親らとともに被害者から繰り返し暴力を受け、許せないという気持ちになり、母親が自分を頼りにしているなどと考え、殺害を決意した」と動機を指摘し、「人命を軽視する姿勢がうかがわれる」と非難した。

 また、「事前に母親と殺害の方法や役割を話し合うなど犯行は計画的」と述べ、「被告は母親に実行を促し、積極的に殺害行為を遂行するなど、各犯行で重要な役割を果たし、刑事責任は重い」と断じた。

 弁護側は「被害者から自分や母親らへの暴力の差し迫った危険があった」と、過剰防衛を主張し殺人罪での刑の免除を求めていた。柴山裁判長は「被害者は殺害行為の3時間以上前から眠り、(暴行行為の)そぶりも見せていなかった」などと退けた。

 一方、被害者について「極めて重大な落ち度が認められる」とし、長男の行為を「利欲的、自己中心的な動機による犯行とは明らかに罪質が異なる」と判断。「短絡性は被告が未成熟であったことの表れともとらえられ、家庭環境は過酷だった」と酌量減軽の理由を述べた。

 判決によると、長男は昨年10月19日午前零時半ごろ、同市富岡町の自宅で1階和室で、母親=同罪で函館地裁で懲役7年判決、控訴中=と共謀し、同居していた無職男性の左胸を小刀(刃渡り13・5センチ)で刺し、鼻や口をタオルでふさぐなどして殺害。遺体を近くの空き地に捨てた。


◎レニーさんしのぶ
 明治から大正、昭和にかけ函館で英語教育などに力を注いだカナダ人宣教師ウィリアム・レニーさんをしのぶ祈念会が15日、午後1時半から函館市時任町にあるレニー氏の石碑前で行われた。雨の中、集まった教え子ら30人はレニーさんの慈悲深いエピソードに耳を傾け、当時を懐かしんだ。

 祈念会は1972年に建立された顕彰碑の前で毎年、レニー氏を慕う教え子有志らが命日に開いており、ことしで36回目。日本キリスト函館教会の松木進牧師が会を執り行い、参加者は碑に花を手向けたり、賛美歌や聖書の言葉をささげたりした。

 松木牧師が「レニーさんはわがことのように困った人に寄り添っていた。足跡をたどるとキリストの愛を知る」と述べると、参加者はそっと目を伏せ思い出に浸っていた。

 レニーさんは06年に函館へ渡り、現在の中部高校、商業高校、工業高校などで英語教師を務める一方、キリスト教伝道に力を注ぎ41年に帰国した。有志らは、碑近くにはカナダ国旗にも使用されるルブルムカエデ3本を数年前に植栽。当時50センチほどだった木は現在6メートルほどに育ち、毎年、秋には顕彰碑を赤く彩る。(笠原郁実)


◎東日本フェリー新高速フェリー「ナッチャンRera」
 東日本フェリー(函館市港町3、古閑伸二社長)は15日、函館―青森間で9月に就航する高速フェリーを「ナッチャンRera(レラ)」と命名し、実際の船体デザインを発表した。海の生物を色彩豊かに描いた図柄が目を引き、親しみやすい仕上がりとなっている。

 デザインは、京都市に住む女子小学生のイラストを採用。「海や自然と人間とのふれあい」をイメージし、友人や海の仲間たちと一緒に楽しい旅をする様子を描いたという。

 船名は、小学生の愛称と、アイヌ語で「風」を意味する「レラ」に由来。気軽に呼べる親しみやすさと、風のようにそう快に航行するフェリーにしたいとの思いが込められている。

 なお、同船は本年度と来年度に各1隻を導入する計画で、1隻当たりの建造費は約80億円。1隻目は、発注先のオーストラリアで建造が進められていて6月に進水、7月に竣工する予定だ。

 船内はバリアフリーで、座席のタイプはエコノミー、ビジネス、エグゼクティブ(シングル、ラバーズシート)。定員は800人。カフェやバー、ショップ、キッズルームも備える。両区間の運航時間は、従来の3時間50分から1時間45分に短縮される。(浜田孝輔)


◎極東大でキャリアサポートセンター開所式
 ロシア極東国立総合大学函館校(イリイン・セルゲイ校長)で15日、同校学生を対象に就職支援を行う「キャリアサポートセンター」の開所式が行われた。

 学生や教職員ら20人が出席。イリイン校長が「昨年は就職率が100%で、ロシアとかかわる仕事を選び、就職できたのはうれしい。貿易関係のほか、日本語教師などいろいろな分野で仕事がある。就職活動には必ずこの部屋が必要になるので、ぜひ活用してください」と呼び掛けた。

 同室は求人情報や参考書、専用パソコンを配備し、学生が自由に出入りできるよう常時開放。センター長に就いた小笠原雅事務局長が学生に助言する。

 小笠原センター長は「皆さんが希望職に就けるよう、できるだけ時間を取って常駐し、一緒に考えたい。要望も取り入れていくので、有効活用してください」と話した。

 開所式に出席したロシア地域学科(4年制)2年の石郷岡慧さん(20)は「まだあまり就職について深く考えていなかったが、卒業後は東京へ出ようと思うのでセンターを活用し、進学も視野に情報を集めたい」と気を引き締めた様子。就職活動中のロシア語科(2年制)2年の大野陽華さん(19)は「情報が得やすくなってよかった。頻繁に活用したい」と語った。(宮木佳奈美)