2007年5月18日(金)掲載

◎附属幼稚園児が野菜の苗植え
 道教育大附属函館幼稚園(山崎正吉園長、園児71人)は17日、敷地内の畑や園庭に設置したプランターに野菜の種や苗を植えた。園児は、ボランティアの市民や父母らの指導を受け、「早く大きくなーれ」「おいしく育ってね」などと声をかけながら丁寧に土をかぶせていた。

 環境美化と、園児に植物を育てる喜びや食べ物を大切にする心をはぐくんでもらおうと、同園とPTA厚生部が共同で実施。本年度から花壇の一部(15平方メートル)を畑として活用することにし、市内の柴田秀雄さん(66)と坂野昌司さん(69)に協力を依頼した。

 畑にはジャガイモの種イモを、プランターにはミニトマト、キュウリの苗とエダマメ、オクラの種をそれぞれ植えた。柴田さんや坂野さんらは「のどが渇くから水をあげようね」などとやさしく声を掛けていた。

 収穫は7月ごろの予定。園児は水やりや雑草取りを続け、8月の「お泊り保育」で、収穫したジャガイモを入れたカレーライスを味わう。

 佐藤銀河君(5)は「野菜は何でも好き。ジャガイモのカレーが楽しみ。頑張ってお世話するよ!」と張り切っていた。 (笠原郁実)


◎市営競輪、ファンサービス拡充
 車券販売の大幅回復を目指す市営函館競輪は本年度、専門情報誌の発行やメールマガジンの配信、定期的なイベント開催、選手会OBが中心になってのファンクラブの設立など、ファンサービスを拡充する取り組みを続けている。金堀町の本場には無料のマッサージチェアも備え、利用客に好評。「あの手この手」でファン開拓と収支改善を進める。

 過去10年の市営競輪の売り上げは、ふるさとダービー(GII)があった2001年度の318億円が最高。景気低迷やファンの高齢化などから減少が続き、05年度は144億円に落ち込み、昨年度は人気の高いレースの開催効果で201億円に回復した。本年度は8月4―7日のふるさとダービーに照準を絞り、当初予算で188億円の売り上げを見込んだ。

 月刊専門情報誌「はこだてSTAR☆LIGHT」は、5月号から発行を開始。函館競輪の1カ月分の出走者やレース展望、各種情報を掲載し、全国の電話投票会員向けの雑誌「ウイニングラン」に同封し送付している。本場や松風場外などで無料配布している。

 今季から始めたメールマガジン「STAR☆LIGHT」は、10日現在948件の登録があり、登録者のパソコンと携帯電話に各レースの狙い目、選手データなどを無料配信している。市競輪事業部によると、登録の大半が本州在住で、ファンが圧倒的に多い首都圏や関西周辺からの電話投票拡大が期待できるという。

 元選手のOB会も動き出し、7月1日をめどに「函館競輪ファンクラブ」の発足を目指している。サッカーのサポーターのような感覚で、地元選手全体のファンクラブをつくり、選手との交流や会員専用の情報誌発行などを企画。同部は「地元選手を盛り立てることで函館競輪の活性化を目指したい」と期待する。

 また昨年、飲食関係の団体からマッサージチェアの寄贈を受けたことから、本年度は同チェアを新たに2台、フットマッサージャーを4台、血圧計を4台それぞれ購入。本場に設置していて、無料で利用できる。競輪歴40年という市内鍛治2の男性(65)は「いつも利用させてもらい、おかげで左腕のしびれがなくなった」と笑顔だ。

 同部の酒井哲美部長は「ふるさとダービーの成功に向け、ファンサービスを充実させるとともに、個人だけでなく企業にも社冠レースの協力などを願い、ファンの開拓を図りたい」と話している。 (高柳 謙)


◎上ノ国土石流 地滑りは50万立方メートル規模か
 【上ノ国】上ノ国町の湯ノ岱国有林で発生した土石流の原因となった地滑りは、崩壊した土砂の体積が50万立方メートルに達する大規模なものであることが17日、分かった。

 檜山森林管理署などによると、地滑りは幅250メートル、長さ150メートル、最大で約40メートルの落差があった。土砂は少なくとも30―50万立方メートルに達し、このうち十数万立方メートル前後が土石流となって流出したとみられる。土砂が沢をせき止めている場所もあり、鉄砲水など2次災害の恐れもあるという。

 地滑りとともに消失した沼(長さ100メートル)の周辺には、幅約400?に達する大規模な地滑り跡があることも判明。沼は古い地滑りで生じた崩壊地の末端付近にあり、段差やくぼ地に水がたまったものとみられる。

 今回の地滑りは、雪解け水などの影響で過去のたい積物が再び滑り落ち、沼ごと崩落した可能性があるという。

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 同日午後、檜山森林管理署の許可を得て土石流が流下した湯ノ岱国有林に入った。

 大規模な地滑りが発生した「白水の沢」には約2キロの区間に10基余りの治山ダムがあるが、土石流はダムを次々と越流。最下流のダムで停止していた。谷沿いでは2?以上にわたり直径数?もの岩塊がうねり、表皮をむしり取られた巨木がなぎ倒されている。「ダムがなければ下流に大きな被害を与えた可能性もある」(同署)。

 崩落した沼の水を巻き込みながら谷を駆け下りたことをうかがわせるように土砂は強い粘り気を保っている。樹木の幹には7―8メートルの高さまで泥が張り付き、土石流のすさまじさを物語る。関係者は「山菜シーズンに土石流が発生していたらと思うとゾッとする」と語る。

 数メートルもの厚さがある土砂の間を蛇行しながら流れる水は、泥や粘土を多く含み、白く濁っている。雨脚が強まると、乳白色の流れは音を立てて山を下った。本流の天の川と合流した濁水は約30キロ離れた日本海に流れ込み、海面を白く染めている。漁業者は「魚介類はエラに土砂が詰まると窒息する。粘土が多い土砂は川や海でヘドロになる。魚類やウニ・アワビなど水産資源に影響が出なければいいが」と表情を曇らせた。

 町は漁業被害の防止に向け、国などに対策を求める方針だが、崩壊地やダムにたい積した土砂は膨大で、水質汚濁の原因となる土砂や粘土の微粒子は除去も困難だ。谷底を黒々と埋めた巨大な土石流を前に、打つ手を見いだせない関係者は苦悩の色を深めている。(松浦 純)


◎DIGネット函館「セーフティプログラム」スタート
 函館市内・近郊に住む人の防災意識の向上を目指す「DIG(ディグ)ネットワーク函館」(河瀬亨哉代表、会員12人)は17日、全4回の「函館セーフティプログラム」をスタートさせた。函館市中央図書館で第1回が行われ、20人が参加した。

 同プログラムは市民一人一人に災害時の対応を身につけ「もしも」の時、自ら行動できるように企画。来年2月まで、消防士や看護士、教員などさまざまな職業のDIGファシリター(指導者)が、AED(自動体外式除細動器)を使った救命方法や応急処置のほか、搬送法などを指導する。

 DIG(災害図上訓練)では、道路や避難場所などを地図に書き込みながら、災害時の迅速な対応を話し合う。この日は参加者が4グループに分かれ、震度5の地震が1分間続いたと想定し、DIGを実践。「地震が起こった直後の行動」「1時間後の行動」「避難場所へ持っていく物」などについて意見を交わした後、主要道路、避難場所、病院を地図に書き込んで避難経路を確認した。

 市内高校に勤務する女性養護教諭(49)は「日ごろ意識しない点を確認できて満足。災害時に使えるよう蘇(そ)生法や搬送方法をしっかり身につけたい」と話していた。

 プログラムは次の通り。

 ▽初期消火・防災(8月23日)▽AED・救命法(11月15日)▽搬送法・病院選び(08年2月21日)で1回だけの参加も可能。前日まで電話で申し込む。問い合わせ・申し込みは道国際交流センター(池田さん)TEL0138・22・0770。 (笠原郁実)


◎6月に「商業統計調査」実施
 卸、小売業者を対象にした商業の国勢調査に当たる「商業統計調査」が6月、各市町村を通じて全国一斉に実施される。各事業所の年間販売額や従業員数などを調べ、流通業界全体の状況や地域経済の景気動向を把握する指標とする。来年3月末に速報値として公開され、その後、地域ごとの詳細なデータは順次公表される予定。各自治体の商業施策の基礎データとなるため、函館市も調査への協力を呼び掛けている。

 商業統計は5年ごとに本調査、中間年に簡易調査を実施。今回は2002年以来の本調査。函館市では、172人の調査員が25日から市内約4500事業所(卸売約1000、小売約3500事業所)に用紙を配布。各事業所は、6月1日現在の事業概要を記入し、同月中旬までに提出する。

 調査項目は、従業員数や事業所数、会社の資本金、年間商品販売額、売り場面積など。さらに、年間商品販売額では、商品分類別の売上額や商品の仕入れ先別の割合なども記入する。

 これまでの統計によると、市の年間商品販売額は1991年の約1兆3000億円をピークに減少。2002年の本調査では9618億5600万円、04年の簡易調査では9522億2300万円だった。また、廃業や経営統合などにより、市内の営業所を廃止し、他都市に拠点を移すなど、事業所数も減少を続けている。

 調査結果を基に、地域経済の状態や他都市との比較、圏域の動向などを分析し、商店街振興やまちづくりなどの各種施策に反映させる。

 調査全般の問い合わせは総務課統計係TEL0138・21・3651。 (今井正一)


◎函館ベンチャー企画企業組合など、22日から東京で函館フェア開催
 企画会社の函館ベンチャー企画企業組合(大久保彰之代表理事)や公立はこだて未来大学(中島秀之学長)の学生らは22日から7日間、東京・浅草でパンフレットを配布したり、特産品を販売したりして函館をPRする。「函館フェア」と銘打ち、イカやコンブなど函館を代表する商品約30点を持ち込む予定で、客の動向や売れ行きを見ながら、定期的な開催に向けて足掛かりとする。

 同社と鈴木克也同大教授のゼミ生はこれまでにも、函館観光を紹介する映像を共同制作し、函館空港とJR函館駅を結ぶバス内で放映するなどの取り組みを行っている。今回は、首都圏で函館の良さを周知して来函者増につなげるのが狙い。得意としてきた情報発信に物販を加えることで相乗効果を図る。

 前段として、渋谷で3―5日に開かれたイベント会場で同様の展示や販売を実施。約10万人の来場者が行き交う中、北海道出身者や在住経験のある人から声を掛けられるなど、一定程度の手応えをつかんだことから、品ぞろえを増強して臨むことにした。

 出品するのは、イカ墨のインクを用いてイラストをプリントした手ぬぐいや、昆布巻き、はこだてわいんのジュース、五島軒のクッキー・カレーなど。現地に出向くのは総勢10人で、浅草にある道内の名産品を扱うショップ「まるごと北海道」の店内外で、午前10時から夕方まで物販やパンフレット配布を行う。

 大久保代表理事は「函館の情報発信手段として、定期的に開催するのが目標。首都圏には道南出身者や未来大の卒業生も多いので、函館のネットワークを形成していきたい」と話している。 (浜田孝輔)