2007年5月20日(日)掲載

◎「箱館五稜郭祭」開幕
 戊辰(ぼしん)戦争の最後の戦地となった五稜郭を題材にしたイベント「第38回箱館五稜郭祭」(同祭協賛会主催)が19日、開幕した。戦没者をしのぶため、函館市内5カ所を巡る碑前祭を皮切りに、五稜郭タワーアトリウムでは、派手なパフォーマンスで順位を競う「土方歳三コンテスト全国大会2007」や、園児による「ちびっ子土方コンテスト」が行われ、熱のこもった迫真の演技に観客から大きな拍手がわき起こった。

 午前10時、官軍にふんした一行は、中島三郎助父子最後の地碑(中島町)を出発し、碧血碑(谷地頭町)、土方歳三最期の地碑(若松町)を巡礼。新政府軍と旧幕府軍が戦争終結の誓約をした「開城会見の地」・亀田八幡宮(八幡町)では、同祭実行委の中野豊実行委員長らが、神事に臨んだ後、最終地の同タワー前にある箱館戦争供養塔で献花をした。

 午後1時半からは、同アトリウムで「土方歳三コンテスト全国大会2007」。20回目の開催で、道内外から女性4人を含む17人が出場した。弁天台場が新政府軍に包囲されたのを受け、榎本武揚と土方歳三が会話を交わす場面で、出場者は思い思いのセリフや刀さばきなどを披露した。

 優勝したのは、市内広野町の公務員阿部裕太さん(23)。初出場とは思えない、堂々とした演技が審査員から高く評価された。阿部さんは、土方について「新選組としての信念を最後まで貫いた人で、共感している」と話した上で、「大きな声を出すことと、派手な倒れ方をするのがうまくいった。うれしいの一言」と優勝の喜びをかみしめていた。

 また、同市と七飯町の2つの幼稚園から6チームが出場した「ちびっ子土方コンテスト」では、舞台上で息の合った演技が目を引き、観客から歓声が上がった。優勝は七飯南幼稚園の「スーパースターズ」だった。

 最終日の20日は、地元の中学・高校と社会人ブラスバンド10校・チームによる音楽パレードが午後1時に千代台公園を、維新行列は同1時10分に中島町廉売通をそれぞれ出発。両軍による白兵戦は、同2時すぎに行啓通で披露される。同3時ごろから、同公園内で開城セレモニーを行い、祭りは幕を閉じる。

 問い合わせは同祭協賛会事務局(同タワー内)TEL0138・51・4785。(浜田孝輔)


◎北海道新幹線・長万部駅「駅部調査」決定記念講演会 小里衆院議員が講演
 【長万部】北海道新幹線の新函館―札幌間に建設が予定される長万部駅の「駅部調査」の決定を記念した講演会が19日、長万部町福祉センターで行われた。講師の自民党整備新幹線等鉄道調査会の小里貞利衆院議員は「札幌延伸を実現するには、地元の熱意を中央に伝えることが大事」と訴えた。

 道新幹線は、2005年に新青森―新函館間が着工しており、15年前後の開業を目指している。新函館以北の札幌ルートは、06年度に「整備新幹線建設推進高度化等事業」として国の予算が盛り込まれ、07年度中に長万部駅の「駅部調査」が実施される。

 講演会には一日も早い本着工を実現させようと、高橋はるみ道知事や道南選出道議をはじめ、上田文雄札幌市長、西尾正範函館市長、山田勝麿小樽市長ら沿線自治体の首長らが出席。地元住民らと合わせ約800人が会場を埋めた。

 長年、地方における整備新幹線の必要性を訴えてきた小里氏は「日本列島は縦に長いので、新幹線によって国土軸を強化することで、日本全体に一体感が生まれ、産業や経済の活性化が期待できる。整備新幹線は日本の将来にとって大切な国家的プロジェクト」と強調。「(道新幹線の)札幌延伸を実現するには、今年の夏から来年の春にかけてが勝負の時期。地元の熱い思いが中央に届けば、2009年からの本格着工も不可能ではない」と語った。

 最後は道新幹線建設促進長万部町期成会の岡田圭一会長が「新函館までの早期開通と札幌延伸の早期実現に向け、各期成会の連携を強化していこう」と決意表明すると、会場からは大きな拍手が起こった。(小川俊之)


◎函館物産協会、物産展売上高20億円突破
 函館物産協会(石黒義男会長)の2006年度の売上高が過去最高の20億4956万円(前年度比10・6%増)に上った。02年度以降毎年売り上げを伸ばしており、初めて20億円の大台を突破。同協会事務局は「北海道物産展は全国でも依然高い人気を誇っている。食の宝庫としてのイメージが強いのでは」と話している。

 事務局によると、1997年度の売り上げは12億1812万円だったが、2002年度以降着実に伸ばしてきた。02年度は13億4544万円、03年度は15億3141万円、04年度は17億1847万円、05年度は18億5343万円で、伸び率は平均で11・1%。

 06年度は、道や百貨店などが各地で主催した北海道物産展など、約200会場で参加したほか、単独でも物産展を開いている。会場は、青森県から沖縄県まで。4―6月と10、11月に集中し、各会場の期間は1週間―10日ほど。全国的に人気が高く、西に行くほどその傾向が強くなるという。

 函館や道南の製品で根強い人気があるのは、海産物や水産加工品。魚卵やイカ製品、コンブなど。秋開催では、正月の食材用に買い求める客が多いという。近年、女性をターゲットにしたスイーツ類の需要も高く、若い人の来場も目立つという。

 また、同協会は毎秋、市内で商談会を開き、豊富な商品を全国の百貨店などのバイヤーにPR。定番商品から新製品までが並び、協会に加盟する地元業者が直接商品を売り込んでいる。こうした活動も売り上げ増の要因と考えられる。

 事務局は「物産展を楽しみにしている固定客が全国各地にいる。北海道のクリーンで新鮮な素材というイメージと、函館の知名度が、売り上げを伸ばしているのでは」と話している。(今井正一)


◎「チャイルドラインはこだて」電話の受け手養成講座
 子どもの悩みを電話相談で受け付けるなどの活動を展開する「チャイルドラインはこだて」(小林恵美子代表)は19日、函館市地域交流まちづくりセンター(末広町4)で電話の受け手養成講座「こころの時代」を開いた。函館渡辺病院の三上昭廣院長を講師に招き、悩みを抱える子どもへの対応法を学んだ。

 講座は、電話で子どもの心が理解できる受け手を養成しようと開かれ、約40人が参加。小林代表は「助けを求めている子どもはたくさんいる。私たちが、子どもから教えてもらうことの方が多い」とあいさつした。

 三上院長は「こころの時代」と題して講演。「子どもは本来、ストレスを抱えないはずだが、生活が豊かになって人間関係が希薄化し、社会性が未熟なため、孤立する人が増えた。悩みや寂しさ、悔しさなど、嫌な気分を自分のものとして受け止め、辛抱強く抱える姿勢は子どもや大人にも大切」と説いた。

 次回の公開講座は、6月2日午後2時から同センターでNPO法人(特定非営利活動法人)ウィメンズネット・マサカーネ理事(室蘭市在住)のグドール・ジョイさんを講師に迎えて開催する。参加費は800円(学生は600円)。問い合わせは小林代表TEL0138・40・0084。(小橋優子)


◎高専公開講座・「館跡」巡り中世史学ぶ
 函館高専公開講座「渡島半島東部の中世館跡をめぐる旅」が19日、函館市から知内町一帯で開かれた。45人が参加し、同高専の中村和之教授(北東アジア史)と北斗市教委主査の森靖裕さんが、志海苔館(函館)や茂別館(北斗)などを案内し、歴史を解説した。

 渡島半島には中世(鎌倉―戦国時代)の「道南12館(だて)」といわれる砦(とりで)の跡があり、館を通して道南中世史の理解を深める目的。

 志海苔館、箱館の見学後、参加者は北斗市総合文化センターで同市内の矢不来館と茂別館について学習。矢不来館は道南13番目の館ともいわれ、1999―2000年に一部発掘調査が行われた。

 森さんが調査結果を解説し、「志海苔館の出土品は白磁が多く、矢不来館はそれよりも時代が新しい青磁が見られる。茶つぼのほか、釉薬(ゆうやく)が厚く塗られた磁器などから、平民ではなく武士が使用していたのではないか」と述べた。

 火山灰の地層や出土した古銭などから、矢不来館は15世紀中ごろから16世紀初めにかけて造営されたとみられる。茂辺地川左岸にある茂別館(国指定史跡)の発掘調査はまだ行われておらず、今後の調査で矢不来館との関係や茂辺地川を通した交易などが明らかになる見通しという。

 参加者は出土品を見学し、函館市山の手の無職の男性(73)は「今から5―6世紀前に高度で精巧な磁器が作られており、驚きを感じる」と話していた。中村教授は「ペリー来航以降の函館の歴史はよく知られているが、函館・道南にも中世の遺構や遺物が数多くあることを知ってもらいたい」と期待していた。

 参加者はこの後、茂別館、脇本館(知内)、中野館(木古内)などを訪れた。(高柳 謙)