2007年5月23日(水)掲載

◎城岱牧場で放牧始まる
 【七飯】七飯町城岱牧場で21日、牛の放牧が始まった。

 同牧場は1974年に開場。市街地と町軍川を結ぶ農道「城岱スカイライン」の頂付近に約160ヘクタールの牧草地が広がる。5月から10月にかけて最低気温が5度、最高気温も22度までしか上がらず、真夏でも涼しい環境が保たれる。

 毎年、町内の30―40戸の酪農家から約550頭の乳牛や肉牛、馬を受け入れている。町は今年も例年通りの頭数を見込んでいる。

 この日は午前8時半ごろから受け入れを開始し、牛を乗せた酪農家のトラックが次々と到着。町職員が立ち会う中、荷台から放たれた牛は、草地に向かってゆっくりと移動していた。

 放牧は10月末まで行われる。(鈴木 潤)


◎函館市副市長に北ガス支店長・谷沢広氏、戦後初の民間起用
 函館市の西尾正範市長は22日、空席となっていた2人目の副市長に、北海道ガス函館支店支店長の谷沢広(たにさわ・ひろし)氏(58)を充てる方針を明らかにした。行政経験のない民間人を副市長(旧助役)に登用するのは、同市では戦後初。谷沢氏も要請を受諾しているという。6月末開会予定の第2回市議会定例会に人事案件を提出し、同意が得られれば、7月1日付で採用する。西尾市長は民間人の起用により、公約でもある職員育成や市役所の風土改革を推進したい考え。

 谷沢氏は1949年、函館市出身。函館工業高校機械科を卒業後、67年北ガスに入社。本社エネルギー営業部副部長を経て、2003年6月、函館支社長(現在は名称変更により支店長)に就任し、管内の天然ガス転換事業に携わった。商工会議所3号議員として活躍したほか、移住促進事業にも携わってきた。

 西尾市長は「私も工藤寿樹副市長も市役所出身であり、官民交流の上で民間からが望ましいと考えてきた。10年以上の付き合いだが、誠実で信頼のおける人物」と述べ、市長就任後、就任要請を続けてきたという。

 経済、建設、企業会計関係などを担当所管とする予定だが、細部は採用後に検討する。西尾市長は「視点や培ってきた人脈など、新しいプロジェクトで活躍いただけるはず。(行政経験はないが)大組織の中で切り盛りしてきたのだから対応は可能」と手腕に期待を寄せた。

 議会での選任同意の見通しについては「各会派の代表者には話をしてきた。ご協力、ご理解いただきたい」と述べた。

 谷沢氏は同日、「誠に光栄であるとともに身の引き締まる思い。これまで培ってきた民間のノウハウを生かし、新しい着眼点で、函館のため、市民のために精いっぱいの努力をさせていただきたい」とコメントを発表した。(今井正一)


◎函館で20度超え
 22日の道内は高気圧に覆われ、函館市内でも朝から晴れ間が広がり、気温は上昇した。日中の最高気温は午後1時に21・1度を観測。函館で20度を超えたのはことし初めてで、過去10年の中では最も遅かった。

 函館市西部地区の観光地では、脱いだ上着を手に歩く修学旅行生や観光客が目立った。旭川から訪れた高校生は「穏やかな天気でよかった。でも風は冷たく感じる」と話していた。

 この日は、道内各地で気温が上がり、帯広の27・0度をはじめ、33カ所の観測地点で最高気温が25度を超える夏日となった。道内で夏日を観測するのは昨年より12日遅い。

 函館海洋気象台によると、函館では天気の良い状態は24日ごろまで続くという。(山崎純一)


◎上ノ国土石流でタケノコ園の開園見送り
 【上ノ国】上ノ国町の湯ノ岱国有林内で大規模な地滑りに伴う土石流が発生したことを受け、桧山森林管理署(飯塚充由署長)は22日、2次災害の恐れが高まったとして現場に隣接する「上の沢タケノコ園」の開園を見送ることを明らかにした。林道入り口のゲートを施錠して入山を規制。現場付近に立ち入らないよう警戒を呼び掛けている。

 国有林では今月上旬、崩壊量30―50万立方メートルに達する大規模な地滑りが発生。土砂が土石流となって渓流沿いに約2キロ流下した。

 タケノコ園のエリア内には、地滑りが発生した山腹や土石流が流下した白水の沢が含まれるほか、登山者に人気がある「七ツ岳大沼」がある上の沢林道からも接近が可能という。

 同署が運営するタケノコ園は5月下旬に開園。昨年は入山者が相次いで遭難したため、今月下旬の開園に向けて安全対策の強化を進めてきた。

 同署の現地調査によると当初、地滑りで崩壊したとみられていた山腹の沼(長さ100メートル、幅50メートル)は崩落を免れていたことが判明。しかし、U字形に広がる地滑りの頂部が沼の縁から約10メートルの距離に迫り、中間の地盤には多数の亀裂が発生して沼の水が染み出ている。さらに、三日月形の沼の両端にも地割れが生じていて決壊の危険性が高いという。

 同署は「不安定な地盤が再崩落するのは時間の問題。土砂崩壊や鉄砲水など2次災害が発生する可能性が高い。現場には絶対に近づかないでほしい」と訴えている。(松浦 純)


◎北斗市の資材置き場から1100万円相当の鋼鉄製パイプなど盗まれる
 【北斗】北斗市添山にある、掘削会社(北斗市東前)の資材置き場から、掘削作業用の鋼鉄製パイプなど約230本が盗まれていたことが22日、函館中央署の調べで分かった。盗まれた管の総重量は約50トンに達し、被害金額は約1100万円に上るとみられる。現場の状況などから、同署は金属を狙った組織的な犯行とみて、盗みの疑いで調べている。

 同署によると、盗まれたのは長さ約6メートル、重さ約100―300キロ、直径15センチで、先端の形状などが異なる円柱型のパイプ194本と、パイプ同士をつなぐジョイント40本。いずれも野積みされていた。

 社員が最後に確認した5月1日午前11時半ごろから、同9日午後1時半ごろまでの間に盗まれたとみられる。大型連休で休業した後の同日午後に気づいた社員が同署に届け出た。

 資材置き場は国道228号沿いの北斗郵便局から北西方向に約2・5キロの市道沿い。敷地は幅約30メートル、奥行き約180メートル。出入り口に柵などはなく、通常は無人。周辺は畑に囲まれ、民家や人通りは少ない。

 現場には4トントラックとみられる車両のタイヤ跡も発見された。同署は、転売目的で、クレーン付きのトラックなどで大量のパイプを運び出した可能性もあるとみて調べている。


◎道救急医学会救急隊員部会研修会、救急医療の現状探る
 道内の救急隊員らで組織する道救急医学会救急隊員部会(徳増澄夫部会長)の研修会が22日、函館市若松町の函館ハーバービューホテルで開かれた。医師による特別講演や救急隊のデモンストレーションを通じ、救急医療の現状や課題について探った。

 研修会は救急活動の技術や知識の向上を目的に1990年度から毎年開かれ、今回で18回目。函館での開催は初めて。この日は現場で活躍する道内各地の救急隊員のほか、医療関係者ら約250人が出席した。

 特別講演では札医大の浅井康文教授が「北海道における救急医療の経験と展望について」と題して講演。実体験に基づいた災害医療の事例などを報告した上で、「北海道はへき地や離島からの急患搬送に問題点が多い。そのためにも救急隊や医療機関、市民らが連携した“救命の連鎖”が不可欠。市民への救急医療の啓もうを」と説いた。

 このほか、函館市消防本部の救急隊員3人が救急活動のデモンストレーションを披露。市立函館病院の救命救急センター長・武山佳洋医師の助言を受けながら、除細動や薬剤投与の手順を大型スクリーンを使って紹介し、出席者はビデオ撮影するなどしながら耳を傾けていた。(森 健太郎)