2007年5月24日(木)掲載

◎函館市議会正副議長が会見「議会改革避けて通れず」
 函館市議会の正副議長に就任した阿部善一氏(民主・市民ネット)と斉藤明男氏(新生クラブ)が23日、記者会見を開いた。阿部議長は「地方分権という大きな時代の流れの中で、議会改革は避けて通れない。積極的に取り組む」と述べ、一問一答制の導入など、活発な議論が行われる市民に開かれた市議会実現に向けて意欲をみせた。

 阿部議長は議会傍聴者から「議会は読み合わせ会で緊張感がない」などと意見があることに触れ、「行政と議会は適度な緊張関係を保つ必要がある。市民から信頼されるために、討論をきちんとした議会にしていきたい」と述べた。

 具体的には、答弁を可能な限り簡素化し、議論の時間を長くすることを挙げ、「過度な答弁調整をやめるなど、議会運営委で話し合い、(市に)申し入れもしなくてはならない」と述べた。一問一答制の導入についても、議員の理解は進んでおり、実現は可能であるとの認識を示した。

 また、正副議長の選出方法で、第一会派から議長、第二会派から副議長を選出する慣例については「会派として提案した立候補制は、時間を掛けて実現するつもりだ」と述べた。

 一方、斉藤副議長は「町議会では24年間キャリアあるが、市議としてはまだ不慣れな面もあり、勉強していきたい。議会は、行政に対するチェックと監視機能、条例の提案ができないと、住民要望に応えられない」と述べた。地域の一体感については「まだ時間がかかる。(市民の代表者である)全体の市議としての意識付けはできている」と述べた。

 そのほか、市の現状や課題については、財政問題のほか、基幹産業である水産業と観光の融合や、少子高齢化対策、雇用問題などを挙げた。西尾正範市長とも適度な緊張関係を築いていくとした。

 斉藤副議長は「水産関係では、後継者問題も深刻。適切な施策を講じなくては、国際・水産海洋都市構想も足踏みとなるので、市全体の問題として取り組む」と述べた。(今井正一)


◎野外劇20周年記念事業発表/土方の末えいなど出演
 NPO法人(特定非営利活動法人)市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)は23日、創立20周年記念事業を発表した。7月6日から開かれる公演には、東京在往で土方歳三の兄の6代目にあたる土方愛(めぐみ)さんなど、登場人物の末えいなどがゲスト出演するほか、フランス最大の野外劇「ル・ピディフ野外劇」と相互に訪問団を派遣し交流を深める。

 劇の登場人物ゆかりの人が出演するのは初めて。ゲスト出演は土方さんのほか、高田屋嘉兵衛の8代目、高田嘉七さん(東京)、榎本武揚の4代目、榎本隆充さん(同)、日本で初めて西洋帆船を作った続豊治の8代目、続雄人さん(札幌)。このほか、石川啄木の出身地、岩手県渋民村(現盛岡市)から盛岡市商工観光部ブランド推進室長の坂田裕一さんの計5人。それれぞれ期間中、1回だけ出演する。榎本さん、坂田さんにはそれぞれ当人の役を演じてもらい、土方さんは新選組の隊員の予定。

 出演を交渉したところ、全員が快諾したという。同会の輪島幸雄理事長代行は「東京、札幌、盛岡と幅広い地域から集まってもらうことで、それぞれの地域で函館野外劇のPRにつながる」と話している。

 ル・ピディフ野外劇への訪問は6月7日、輪島さんを団長とし13人が参加。ル・ピディフ側は7人が7月31日に函館入りし、8月4、5日の公演を観劇する。来函は5年ぶり。輪島さんは「4年前にリニューアルしてから初めて観劇してもらう。内容に驚くでしょう」と自信をみせる。

 函館とル・ビディフの両野外劇は、1988年に姉妹提携を結び、相互交流を続けている。函館側は2004年7月以来の訪問。今回は野外劇を観劇し、野外劇のテーマパークを訪問する予定。

 ことしの函館野外劇公演は、7月6日から8月5日までの10日間。7月は金、土で8月は土、日に開かれる。(山崎純一)


◎金属盗多発 昨年から道南で被害9件1500万円
 北斗市の資材置き場から大量の鋼鉄材が盗まれた事件に関連し、昨年から今年5月上旬までに、同様の金属窃盗事件が道警函館方面本部管内(渡島・桧山と後志支庁管内の一部)で9件発生し、被害総額が約1500万円に上ることが、同本部捜査課の調べで分かった。五輪や万博を控えた中国での金属需要の増加に伴う高値取引などが要因とみられる。同課は流通経路などの警戒を強めているが、業界関係者には決め手となる対策がなく、困惑の色も浮かんでいる。

 同課によると、金属窃盗の統計を取り始めた昨年、同本部管内での被害は北斗市、森町、函館市、長万部町、八雲町の2市3町。数十キロから1トン超までの電線や銅線くずが主で、被害総額は6件で320万円以上に達した。

 今年に入っても被害は続き、函館市内の会社敷地内にあった鉄製コンテナに保管中のステンレススクラップ1・3トン(52万円相当)がコンテナごと盗まれたほか、水道の蛇口が被害に遭うケースもあった。いずれも換金目的の窃盗事件とみて、各警察署が流通ルートなどを洗い出し、捜査を進めている。

 また、22日には北斗市添山の掘削会社「新和物産」の資材置き場で、温泉掘削用の鋼鉄製パイプなど約230点(1100万円相当)が盗まれていたことが判明。同社は「何年も前から野積みして保管していた。まさかこんなものが持って行かれるとは思ってもみなかった」と戸惑いを隠せない。道内の金属窃盗事件では最高の被害額とみられる。

 全道でも今年に入り、道警の認知件数だけで計64件、被害総額は4500万円近くに上る。昨年1年間の被害(44件、計約2900万円)を早くも上回り、「例年にないペースで増えている」(同課)という。道内の検挙者の中には「高く売れると思った」との供述もあり、相次ぐ被害が新たな金属盗の発生を呼んでいる可能性もある。

 函館市内の金属リサイクル業者は「ここ数年で買い取りを求めて金属材を持ち込む個人客が増えた」と話す。個人客からの買い取りには身分証の提示を求めているが、「盗品かどうかの判別は難しい。あくまで商取引なので…」と、対策に苦慮しているのが実情だ。

 日本鉄リサイクル工業会(東京)によると、2008年の北京五輪や10年の上海万博を開催する中国で、鉄や銅などの需要が高まり、金属価格が高騰しているという。鉄の買い取り価格(1トン当たり)でみると、01年の約5000円から、今年5月には2万円程度まで跳ね上がっている。(森 健太郎)


◎リンゴの花満開
 【七飯】七飯町内のリンゴ園では、リンゴの花が満開となり、各農家で花摘み作業が急ピッチで行われている。

 リンゴの花は1カ所に多数の花が咲き、全部の花が実になると樹に負担がかかる。花摘みは中心花を残してまわりの花を摘む作業。

 10日ごろから日当たりの良い場所を中心に開花していたが、ここ数日の好天で白い花が一面に咲き誇り、道行く人の目を楽しませている。

 同町鳴川の宮田果樹園では、ツガルやレッドゴールド、王林などを栽培。パートの女性たちが、脚立に上り、手際よく花を摘んでいた。同果樹園の宮田彰さんは「平年通りの開花。花が咲くといよいよという感じ。このまま順調に育ってほしい」と話していた。(鈴木 潤)


◎北斗市のタケノコ園26日にオープン。上ノ国は開園中止に
 道森林管理局函館事務所渡島森林管理署は、北斗市中山の「上二股タケノコ園」を26日にオープンする。同署内のオープンは24日の八雲町上八雲の「ペンケルタケノコ園」に続き2カ所目。今月下旬には今金町種川の「上ハカイタケノコ園」も開園を予定している。

 同事務所では、1992年から毎年この時期にタケノコ園を開園。当初は檜山森林管理署管内の「上の沢タケノコ園」(上ノ国町湯の岱)の開園も予定していたが、天の川上流の湯ノ岱国有林で土石流が発生し、利用者の安全確保が困難であることから中止となった。

 開園時間はいずれも午前6時から午後2時まで。入園料は1人700円(中学生以下は無料)。各園には管理員を配置し、駐車場と簡易トイレを設置している。上二股は6月上旬まで、ペンケルと上ハカイは同中旬までの開園を予定している。

 同事務所では、ヒグマに遭遇したり遭難する危険性もあるので、出発時には必ず家族に行き先を知らせ、入林の際には必ず複数で互いの位置を確認しながら移動することを呼びかけている。

 問い合わせは渡島森林管理署(TEL0137・63・2141)。