2007年5月27日(日)掲載

◎北大水産学部創基100周年記念式典
 北大水産学部創基100周年記念式典が26日、函館市港町の同学部講堂で開かれた。関係者や来賓ら約350人が出席し、水産学研究などを通じ、長年地域を支えてきた同大の功績と伝統をたたえ、節目を盛大に祝った。

 式典に先立ち、同学部のオーケストラがオープニング演奏を披露し、祝賀ムードに華を添えた。関係物故者に対し、全員で黙とうをささげ、哀悼の意を示した。

 同学部の原彰彦学部長は「100年間の本学部の卒業生は1万3764人。(多くの関係者が)わが国の水産学教育の発展に寄与できたことを誇りに思う。今後もみなさまの協力の下、持続的水産科学の構築を図っていきたい」と式辞を述べた。続いて同大の佐伯浩総長があいさつし、西尾正範函館市長らが来賓の祝辞を述べた。

 功労者(地域水産関係者ら)や永年勤続者が表彰された。式典後は、管理研究棟正面玄関前で記念碑の建立除幕式が行われた。

 午後からは市内のホテルで同大OBの動物写真家、田中光常さんらを招いた記念講演会や北水同窓会総会、祝賀会が行われた。 (田中陽介)


◎西尾市長就任1カ月、副市長人事で改革色
 函館市の西尾正範市長(58)は、27日で就任1カ月となった。前市長との“庁内対決”で市政刷新を訴え、議会や経済界の一部も批判しながら、圧倒的な勝利を飾った。経済界との関係修復も表面上は進み、議会とも互いが一定の距離を置いた。特別職や幹部職員は全員留任させたが、副市長人事で民間人を登用する意向を示すなど、西尾カラーを出している。6月の定例市議会に提出する補正予算案で、どれだけ独自色を出せるかも注目される。

 市長はこの1カ月、公約や政策について職員に自身の考えを伝えてきたほか、あいさつ回りや来訪者の応対などで多忙な日々を送った。市役所幹部の机には市長選マニフェストのコピーが見られ、部局に関係する公約部分をマーカーで引いて確認する職員もいる。「市長の意向を確認しないと具体的な内容が分からない公約もある」との声が多くの幹部から聞かれる。

 「選挙中にあったことは一切水に流す。今後は地域の活性化に向け、どう考えるべきかを互いに調整したい」

 函館商工会議所の高野洋蔵会頭は今月9日、あいさつに訪れた西尾市長にこう伝えた。選挙のしこりから、会頭が不快感を示すことも予想されたが、大人の対応であっけなく「和解」した。「選挙が終われば敵も味方もなく、大同団結すべきだ」と出馬会見で述べた市長の考えと、見る限りでは同じ結果となった。

 議会対策も「“根回し”をあまり重要視しないタイプ」(複数の市議)であることが、逆に議会との緊張関係を生んだ。選挙の経緯から、保守系、民主系、公明、共産とも、はっきり「与党会派」とは言えない。各会派は西尾市政に「是々非々」の立場で、これも西尾市長が考えてきた議会関係と一致した形だ。阿部善一議長も「市長とは適度の緊張関係を持つ」と語る。

 「人事権は市長にあるから…。異論も出るだろうが、否決まではいかないのでは」―。22日に突然示した民間人登用の副市長人事に、ベテラン市議の1人はこう語った。市役所の改革、刷新を訴えた割に、特別職や幹部職員は全員慰留した。「改革色」が後退した形だが、副市長人事では大逆転劇とも言える決断を下した。

 30日からは改革実現に向けた補正予算の市長査定が始まる。「私が当選したからといって、すぐにお金がわき出るものではない」と、当選インタビューで語り、支持者を笑わせたが、公約実現に向けては笑い事では済まされない。

 子育てや福祉、教育関係の公約で、年間5億円から10億円の新たな財源が必要とされる。市立小中学校・高校の校長の裁量で自由に使える「知恵の予算」だけで7000万円以上が必要だ。

 財政フレームという「丼」に盛り込める事業や予算には限りがある。扶助費や人件費、継続事業、公債費など、どうしても盛らなければならない予算がほとんどの中、どれだけ公約実現に向けた予算をすくって盛ることができるのか。議会との本格的な論戦もこれからで、まずは6月定例議会をどう乗り切るかが最初の試練となる。 (高柳 謙)


◎桧山支庁、旅行モニター事業「マイルートひやま」 
 【江差】桧山支庁産業振興部は、個人やグループで桧山管内を訪れる旅行者を対象に観光地の評価や新しい周遊コースを提案してもらう、ユニークな旅行モニター事業「マイルートひやま」を支庁独自事業として実施する。

 管内で旅行を計画している個人やグループが対象。オリジナルのプランに沿って管内7町の観光地や宿泊施設を旅する。旅行先やコースは指定しない。

 従来型のモニター事業は、主催者が設定したプランに従い、参加者全員が同じコースを巡るものが大半だが、「独自の視点による個性的な観光ルートの提案で、多様な評価が得られることを期待している」(商工労働観光課)という。

 モニターはAコース(管内で1泊以上宿泊)、Bコース(管内で日帰り)の2コースで募集する。各コース定員25人。希望者は旅行レポートと自身を撮影した日付け入り写真を提出する。旅行ルートはモデルルートとして公表することもある。

 Aコース参加者には管内産の活アワビLLサイズ14個、Bコース参加者には今金産のジャガイモ10キロとコメ5キロ(おぼろづき)をプレゼントする。

 応募対象は管外在住の18歳以上。グループの場合は1人だけ応募できる。旅行期間は7月20日から11月20日まで。出発地と帰着地も管外で、桧山管内の2町以上を訪れることが条件。募集は6月30日まで。問い合わせは商工労働観光課TEL0139・52・6643。応募用紙などはホームページでダウンロードできる。アドレスはhttp://www.i―hiyama.net/ (松浦 純)


◎石川真理愛さん新曲完成
 作詞・作曲に取り組む函館市北美原の主婦、石川真理愛さん(56)が今月中旬、2枚目の自主制作CD「あんたが私を捨てたから」を完成させた。尊敬する歌手、吉幾三さんが歌う姿をイメージして作曲。石川さんをバックアップする音楽関係者が増え、上々の仕上がりとなった。「夢に向かうことに年齢は関係ないとあらためて感じた。吉さんに聞いて、歌ってもらえる曲ができるよう頑張りたい」と話している。

 石川さんは、詞を書き、メロディーは口ずさんでまとめ、曲にしていく。譜面に落とすのは習っているピアノの先生という。昨年7月、念願のファーストCD「夜明けまで」を完成させた。

 ことし2月、道南で音楽活動をする人たちでつくる「道南ミュージシャンクラブ」のメンバーが集う同市内の喫茶店で、石川さんの活動が話題になった。同クラブの中澤春雄副会長が「夜明けまで」を聞いた時、「曲の発想は、われわれにはないもの。型破りで独創的なところがとても良い」と気に入った。

 しばらくして、同店で石川さんは中澤さんと初対面。中澤さんは、夢を追い続ける石川さんの姿勢に感心。当時、制作中の「あんたが―」を聞かせたところ編曲を買って出た。「曲に込められた石川さんの思いを大切にするのに苦労した。自分も久しぶりにいい曲づくりに携わった思い」と振り返る。

 石川さんについて「勢いのある人。最近少なくなってきた、記憶に残る曲を作れる素質を持っている。このような人が函館にいたとは」と高く評価。

 「あんたが―」は、女心を男性が歌う。タイトル通り、別れた男性に対し、女性が憤り、憎む気持ちが込められている。歌謡曲とラブソングの中間のような感じだ。昨年12月、約3時間で詞とメロディーが完成したという。

 石川さんは約4年前、同市内の飲食店で吉さんと友人関係にある音楽家、津島一郎さんと出会い、完成した新曲を津島さんに送った。「もしかしたら吉さんが聞いてくれるかもという気持ちでいっぱい。いつかは吉さんが歌う曲を作ることができれば」と胸を膨らませている。 (山崎純一)


◎イカ漁の豊漁と安全願い祈願祭
 道南に初夏の訪れを告げるスルメイカ(マイカ)漁が解禁されるのを前に、函館市漁業協同組合の函館小型いか釣部会(佐藤豊次部会長)は26日、同市入舟町の函館漁協で大漁祈願祭を開いた。色とりどりの大漁旗を掲げた漁船が並び、漁業関係者や周辺住民ら大勢の人が訪れ、今季の豊漁と安全を祈った。

 山上大神宮(同町)の宮司が神事を執り行い、漁協関係者や漁業者、渡島支庁、函館市職員らが、玉ぐしをささげた。神事の後、恒例のもちまきも行われ、訪れた子どもたちや市民が歓声を上げ、もちやお菓子などを拾い集めた。

 水産総合研究センターが4月末に発表した日本海全体の、スルメイカ長期漁況予報によると、来遊量は全体では近年の平均並みで昨年をやや下回り、魚体も小型が多いと予測。

 佐藤部会長は「昨年の津軽海峡での漁はあまり良くなかった。燃料も高く、経費に占める割合が高くなっている。船を出さないわけにもいかないので、近場で安定した漁ができれば」と話していた。 (今井正一)


◎「リーダーバンク」見直し2カ月、23分野に21人登録
 函館市教委が3月から新規募集している「生涯学習リーダーバンク(指導者登録制度)」の登録者は21人(23日現在)で、押し花や書道など23分野の指導者が集まった。6月から毎月、登録者を講師に体験講座を開くため、さらに多くの分野で登録を募っている。体験講座の第1回は初心者向けの登山を企画。市教委は「講座を通じて登録制度をもっとPRしていきたい」(生涯学習課)と話している。

 リーダーバンクは地域の人材活用と生涯学習の参加機会拡大が狙いで、1995年に制度を導入した。登録内容を更新するため、3月に見直し、新規登録を始めた。

 文化やスポーツなどさまざまな分野で活動する個人や団体の知識・技能を、大人から子供まで生涯学習に参加したい人に活用してもらう仕組み。登録者はサークルや各種団体から依頼を受け、講演会での講話や学習の手ほどきをする。登録内容は3年ごとに更新する。

 市教委が主催する体験講座の講師も務める。第1回は6月10日に函館山を登る「登山の基本を学びましょう」を実施。制度見直し前から登録する函館岳友会会長の石田稔さんが講師を務める。

 初心者が楽しく登山できるよう疲れない歩き方やリュックサックの詰め方などの基本を伝授。登山と健康との因果関係も説明する。

 午前8時半から午後3時ごろまで。定員は小学生以上(低学年は保護者同伴)で先着30人。参加無料。昼食などは各自持参。

 問い合わせは同課TEL0138・21・3445。