2007年5月29日(火)掲載

◎NZ産イカ水揚げ、1ケース1600円で取引
 水産総合研究センター開発調査センター(横浜市)の調査を兼ね、ニュージーランド(NZ)水域でイカ釣り漁を終えた「第8白嶺丸」(276トン)が28日、函館港西ふ頭でイカの水揚げ作業を行った。1ケース8キロの冷凍されたイカが次々とベルトコンベヤーで船内から運び出された。同日午前9時半からは、函館市水産物地方卸売市場で入札が行われ、1ケース平均約1600円で取引された。

 NZ水域のイカ漁は1970年代に本格化し、ピーク時の88年には約5万トンの漁獲量があった。その後、南大西洋やペルーの漁場にシフトし、89年以降急速に衰退。NZから函館港に直接水揚げされるのは19年ぶりという。

 同センターは、漁場再開発を目的に2002年から調査を開始。昨年までは青森県の八戸港に水揚げされていて、函館への入港は今回が初めて。NZのスルメイカは、加熱加工し、冷めても肉質が柔らかく、イカめしや酢イカなどに利用されるという。

 水揚げ作業は30日まで続き、計6万4000ケースが市場に出回る。この日の入札で、1ケース26―30匹のサイズが1410円、36ー40匹のサイズが1795円などの値が付いた。函館魚市場によると、八戸での単価より高めだったという。

 同船で調査に従事していた同センターの底魚・頭足類開発調査グループの高山剛さんによると、主に3カ所の漁場で全体の約81%を漁獲。「資源水準は低いが上向きつつある。今年のペースなら採算が取れる」と話していた。また、同グループリーダーの小河道生さんは「NZには片道約20日間ほどで行ける。函館は水産加工場も盛んで、日本の船の製品を高く評価してもらいたい」と話していた。(今井正一)


◎桧山北高を視察、激励…高橋知事がまちかど対話
 【せたな】高橋はるみ道知事は28日、再選後初の「まちかど対話」開催のため桧山入りした。せたな町では、農業や看護・福祉などでユニークな教育に取り組む道立桧山北高校(加藤和美校長、生徒360人)を訪問。食品加工実習を行う生徒を激励した。

 同校の食品加工実習棟では、町内産の「鶴の子大豆」を使った豆腐作りやアイスクリーム加工を視察。白衣姿の生徒と対話しながら原料や製法について熱心に質問した。

 2002年に総合学科に転換した同校は、進学を重視した授業の選択制をはじめ、地域の基幹産業である農業を学ぶ多彩なカリキュラムを設けた。地域や校内の農場で生産した農産物を使った食品加工実習では、生産、加工から販売まで一貫した農業教育を展開。ヨーグルトやソーセージなどの製品は、町内外で販売して好評という。

 瀬棚港で取材に応じた高橋知事は「地域の努力は道政の参考になる。町と学校による総合学科の新しい試みは有意義だ」と感想を述べた。

 また、再選後初の「まちかど対話」を桧山管内で開催したことについては「寺島光一郎道町村会長から首長との双方向対話について強い提言があった。早い時期に『地域づくり推進会議』を桧山で開きたいと考えていた」と話した。

 高橋知事は同日夕、瀬棚港から奥尻町に入った。29日はフェリーで江差に入り「地域づくり推進会議」で、管内7町長と産業振興をテーマに意見交換する予定だ。(松浦 純)


◎ツチクジラ初水揚げ
 渡島半島沖日本海で捕獲されたツチクジラが28日午後10時25分ごろ、函館市豊川町の豊川ふ頭に初水揚げされた。ツチクジラは早速、同市内の水産加工業者の処理場に搬送され、解体。ブロック状に切り分けられたクジラ肉は、29日朝に市場で競りにかけられた後、同市内・近郊の小売店で販売される。

 ことしの捕獲枠は、昨年、一昨年に続いて10頭。25日に漁が解禁となったが、しけのため出港を見合わせていて、4日目で初めての捕獲となった。

 操業した和歌山県の小型捕鯨船「正和丸」(15・2トン)は、28日午前3時40分に松前港を出港。同11時58分に2頭で泳ぐツチクジラを発見し、松前沖約25キロ、小島の北でこのうちの1頭を捕らえた。

 水揚げされたのは体長約9・5メートル、重さ約8・5トンの雌。同ふ頭では関係者らが見守る中、クレーンで大きな魚体をつり上げてトレーラーに積載し、同市港町の兼八水産の処理場に運んだ。

 道南での操業は6月30日まで続けられ、捕獲枠に達した時点で終了となる。(浜田孝輔)


◎「函高専地域連携協力会」を設立…会員を募集
 函館工業高等専門学校(高専)と地元企業の連携強化を目的に、卒業生でつくる発起人会が「函館工業高等専門学校地域連携協力会」を設立した。発起人代表を務めるのは、自動車機器製作・販売「メデック」(函館市鈴蘭丘町3)社長の漆嵜照政さん(54)。卒業生に限らず、会の趣旨に賛同する道南の企業や個人に広く入会を呼びかけ、同高専を資金的、人的に支援する体制をつくる。6月8日に設立総会・懇談会を開く。

 漆嵜さんによると、苫小牧、釧路、旭川では数年前から同様の組織が設立され、地元企業が高専に対し、資金を援助するなど地域との密接なつながりがある。道南ではこれまで、産学連携などで地元企業との共同研究は進められているが、函館高専の取り組みを支援する体制は取れていない状況という。漆嵜さんは「道南唯一の理工系高等教育機関である函館高専を企業サイドで応援し、地域でバックアップすることが一番の狙い」と説明する。

 具体的には同高専で本年度から実施する、文部科学省の就業者への教育事業「プロジェクト型教育プログラム」へ会員企業が講師を派遣するほか、インターンシップ(就業体験)の積極的な受け入れ、研究費や設備費の補助など、資金・人材面で協力する。

 また同高専では卒業生のほとんどが道外へ就職し、地元に残る割合は2%程度にとどまる。こうした現状から、地元企業が同高専から人材確保できるよう、会員企業による就職説明会を実施し、学生への情報提供の機会を設ける。共同研究推進での技術支援をはじめ、技術相談などで同高専と企業が密に連携できる体制を構築する。

 同会は道南を中心に企業100社、個人50人の会員を集める予定。函館・北斗両市長、七飯町長に顧問就任を要請中で、函館、七飯からは了解を得ている。年会費は企業が1口2万円、個人は1口5000円。申し込み・問い合わせはメデック(漆嵜さん)TEL0138・52・9775。(宮木佳奈美)


◎体験型観光PR…主要航空会社など「函館・南北海道観光視察会」
 国内の主要航空会社や旅行代理店8社の商品企画担当者ら18人が28日、函館入りした。3日間にわたって渡島・桧山管内に点在する観光名所の見学や観光業者との交流などを通じ、旅行商品をつくる上での参考にする。

 函館国際観光コンベンション協会(沼崎弥太郎会長)が、道観光連盟道南地域部会(中野豊部会長)の協力を得て企画。「函館・南北海道観光視察会」と題し、集客性の高い首都圏の旅行関係者を招待した。昨年12月に続いて2回目の開催。

 空路函館入りした一行の最初の訪問地は、七飯町大沼。カヌーやモーターボートの乗船、自転車での湖畔周遊など、豊かな自然に囲まれながらの体験型観光を中心にPRした。

 2日目は、江差や松前、最終日は、函館市南茅部や恵山地区などを巡るほか、同市内のホテルで地元観光業者らとの意見交換会も予定されている。

 同協会誘致宣伝委員会の大桃泰行委員長は「市町単独での観光誘致が厳しい状況にある中、道南での広域連携を前面に出しながら、夜景以外の良さを周知していければ」と効果に期待を寄せていた。(浜田孝輔)