2007年5月30日(水)掲載

◎ツチクジラ肉店頭に
 ことし初めて道南で水揚げされたツチクジラが29日朝、函館市水産物地方卸売市場(豊川町27)で競りにかけられた。5社の業者が購入し、同市内・近郊にあるスーパーマーケットや鮮魚店などの店頭に並べられた。

 取引されたのは赤肉約1088キロ、小切れ肉約105キロで、1キロ当たりの卸値はそれぞれ1450円、1150―1100円。赤肉は昨年の初値(1400―1300円)を上回り、昨年の最高値に並んだ。小切れ肉は昨年の初値(980円)より大幅に高く、昨年の最高値だった1050円を更新した。

 高値の理由について同市場の卸売会社、函館魚市場(松山征史社長)は「ミンククジラが多く出回ったため、ツチクジラの卸値が下がるのではないかと心配していた。しかし、肉質も軟らかく、体長の割に小切れ肉が大きかった」と分析する。

 イトーヨーカドー函館店(同市美原1)内の藤原水産(藤原厚社長)では、約10キロの赤肉を仕入れた。年配者を中心に、約300グラムで買い求める客が多く、吉田浩店長は「反応はまずまず。刺し身や竜田揚げとして食べてもらえるよう、購入を勧めていきたい」と話していた。(浜田孝輔)


◎輸出先はアジアが中心…函館税関・道内の物流調査
 函館税関は、道内における輸出入貨物の生産地や消費地に関する「物流動向調査」結果を発表した。海上貨物は65万999トン、299億7300万円で、輸出は室蘭港、輸入は苫小牧港を中心に、輸出入ともにアジアが主なルート。航空貨物は重量が119トン、金額が18億7200万円で、輸出は成田空港、輸入は新千歳空港を発着地に、輸出先はアジア、輸入元はEU(欧州連合)が中心だった。

 調査は、国際化に伴う国内物流への関心の高まりなどを背景に、1993年から毎年実施。今回は、昨年9月1日から1週間にわたって、輸出入申告のあった普通貿易統計計上貨物(郵便物を除く)を対象に、申告書の調査符号欄を基に集計した。

 海上貨物の輸出は3万7709トン、50億3300万円。室蘭港が重量35・1%、金額26・8%とともに最多で、函館港は重量0・2%、金額0・2%だった。輸出先はアジアが最も多く、重量92・2%、金額67・9%。品目別では、重量が鉄鋼25・7%、金属鉱・くず24・0%、鉱物性タール・粗製薬品13・5%、金額が輸送用機器21・4%、鉄鋼15・7%、一般機械14・8%の順だった。

 輸入は、61万3290トン、249億4000万円のうち、苫小牧港が重量60・1%、金額76・2%で最多となり、函館港は重量0・3%、金額0・7%。輸入元では、重量がアジアで50・9%、金額が中東で45・1%と最も多く、品目別では石油・同製品が重量36・7%、金額55・7%を占めた。

 一方、航空貨物の輸出は47トン、10億1900万円。成田空港が重量72・5%、金額78・8%とともに最多で、新千歳空港が重量21・4%、金額15・4%で続いた。輸出先は、アジアが重量64・0%、金額60・3%で、ともにトップだった。品目別では、重量が電気機器34・5%、一般機械25・0%などで、金額が電気機器38・5%、その他雑製品16・5%などと続く。

 輸入は72トン、8億5300万円。空港別では重量で新千歳空港が44・2%と、成田空港の39・0%を上回った。逆に、金額は成田空港が76・5%、新千歳空港が20・5%だった。輸入元の重量は、EUが42・9%、金額はアジアが73・4%で、それぞれトップ。品目別では、重量で一般機械が26・4%、金額で電気機器が58・6%とそれぞれ最も多かった。(浜田孝輔)


◎磯焼け対策、森林再生 桧山管内町長 道に支援求める…地域づくり推進会議
 【江差】高橋はるみ道知事は29日、江差町のホテルニューえさしで、2期目の重点施策としてスタートした「地域づくり推進会議」を開いた。桧山管内の各町長は、漁業振興に向けた日本海の磯焼け対策や沿岸の森林再生に向けて道の支援などを求めた。

 同会議は22日の旭川市、23日の釧路市に続いて3回目。道側からは高橋知事、武内良雄桧山支庁長が出席。管内7町長と産業振興をテーマに意見交換した。

 寺島光一郎乙部町長と工藤昇上ノ国町長は、海草類が死滅して海底が石灰化する磯焼けへの対策として、上ノ国沖で昨年から集魚目的で試験を始めたイカゴロ(イカ内臓)の海中投入の本格化を要望。工藤町長は「環境調査では油膜の拡散などの問題はなかった」と説明。寺島町長は「漁業者の経験則としてイカゴロは海藻の生育に有効。道庁でも水産と環境サイドで温度差があり総合調整が必要」と求めた。

 道水産林務部長に就任する武内支庁長は「全道で磯焼け問題を洗い出す。9月に北大でシンポジウムも計画している」と抜本的な取り組みに意欲を見せた。

 また、工藤町長は昨年度、日本海沿岸の森林回復に向け、カシワの実(ドングリ)や苗木を沿岸に植える「日本海グリーンベルト構想」が町内でスタートしたことを紹介。活動を本道日本海沿岸に拡大するよう支援を求めた。高橋知事は取り組みを評価した上で「道もサポートしたい。日本海全体で話を聞いて道も協働して頑張りたい」と答えた。

 高橋知事は、道が検討に入った「森林税」の導入についても「来年のサミット(主要国首脳会議)に環境問題を本道から発信するため森林税を考えたい。道民の抵抗感はあるがチャレンジする価値はある」と強調。寺島町長は道町村会長として「新税には反対だが使い道を緑の回復に限定するならあってもよい」との考えを示した。

 一方、濱谷一治江差町長は、胆振管内洞爺湖町で開かれるサミットで、各国の首脳に江差追分を披露することを提案。渋田正己厚沢部町長は、札幌酒精工業厚沢部工場を中心とした契約栽培や雇用創出による町内産業の活性化に向けた期待を語った。(松浦 純)


◎山菜採り行方不明今月既に6件…道警函本管内
 山菜採りで山林に入り行方不明になる人が、昨年以上のペースで発生している。道警函館方面本部管内では28日現在、昨年の1人を上回る6人が行方不明になり、警察、地元の消防や役場などが捜索活動に当たった。うち1人は死亡、1人はいまだに行方が分からないまま。6月中旬にかけてタケノコ採りシーズンが本格化することから、同本部は「1人で山に入らず、十分に注意を」(地域課)と呼び掛けている。

 管内では八雲町で2件、函館市、長万部町、後志管内島牧村、今金町で各1件発生。2人は救助、2人は自力下山した。が、6日、函館市鈴蘭丘町で山菜採りに入ったまま行方不明になった男性(76)は遺体で見つかり、25日に長万部町の写万部山(498メートル)に入った札幌市内の女性(76)は発見されていない。

 6人は50歳代、70歳代がともに3人ずつと中高年ばかり。単独行動は1人だけで、残りは家族など複数で入山していた。いずれも山菜採りの経験は多いが、夢中になるあまり方向を見失うケースが後を絶たない。警察や地元消防など延べ約130人が出動、道警本部のヘリコプターも3回捜索に当たっている。

 昨年は1年間で14件で、5月中は1件だった。「ことしは暖冬で雪解けが早く、シーズンが早まっているためでは」(同課)と分析。一方、今月は週末に悪天候になることが多いものの「強行して道に迷うケースもある」といい、無理のない行動を訴える。

 タケノコ採りの入山者が今後、増えることが予想され、同課は「単独行動は控え、行く場所を家族に伝えてから出かけてほしい。万一迷ったら、体力を消耗しないようあまり動かないこと。山菜やタケノコより大切なのは命」と、入山時の慎重な対応を求めている。(原山知寿子)


◎土砂災害 迅速に避難…江差で全国統一防災訓練
 【江差】国土交通省や総務省などが全国で実施する本年度の「土砂災害に対する全国統一防災訓練」が29日、江差町円山地区で行われた。

 豪雨に伴う土砂崩れが発生したとの想定で、江差町、警察、消防、渡島・桧山支庁、函館海洋気象台などの防災機関が、気象警報や災害対策基本法に基づく避難勧告・避難指示などの情報伝達などを訓練。午後2時からは、町の広報車や消防車による住民への避難広報が行われ、住民18人が避難所に指定されている江差中学校の体育館に徒歩で避難した。

 避難所では、函館土木現業所の職員が、土砂崩れや土石流の危険性とともに前兆現象などについて解説。町建設課は、町内の知的障害者入所更生施設・あすなろ学園が製造し、全国に向けて発信している災害備蓄用パンを紹介。参加者は関心を示していた。

 町や函館土現によると、住宅の背後に急傾斜地がある同地区は、土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域に指定される予定。これまでに土砂崩れや土石流による大きな被害はないが、豪雨時に土砂が住宅裏に流れ出すこともあるという。

 同土現の鐙谷定之治水課長は「斜面の防災工事などハード面での対策が講じられるまでは、避難や情報伝達などソフト面での対策も並行して実施することで住民の生命を守ることが必要」と話している。(松浦 純)


◎青空の下元気いっぱい…市内小学校で運動会
 函館市内の多くの小学校で29日、雨や寒さで延期となっていた運動会が開かれた。開催を待ちわびた児童は、澄み切った青空と汗ばむ陽気の中、かけっこやリズム体操、運命走などで元気にグラウンドを駆け巡った。

 本年度、開校20周年を迎えた函館北星小学校(福嶋功校長、児童141人)は「みんなでがんばろう」という1年生の長谷川みなみさんと伊東璃菜さんの宣誓で開幕。プログラムには節目にちなんだ種目も盛り込まれ、2年生の運命走では最終走者がくす玉を割り、「20周年おめでとう!」の垂れ幕が登場した。

 初めて参加する1年生31人はかけっこのゴール地点を間違えるハプニングもあったが、2年生17人とともに挑戦したリズム体操「HONEY BEAT(ハニー・ビート)」では黄色の“ポンポン”とバンダナを身につけ、会場を盛り上げた。愛らしいダンスに会場からは声援が起こりアンコールの2曲目は、保護者らはグラウンド間近でわが子を撮影。児童は父母らの姿を確認し、うれしそうな笑顔を見せていた。

 市内の小学校では、3日まで運動会が予定されている。(笠原郁実)


◎大学間学術交流協定調印式…未来大、北陸先端科学技術大学院大
 公立はこだて未来大学(中島秀之学長)と北陸先端科学技術大学院大学(石川県、潮田資勝学長)は29日、未来大で大学間学術交流協定に関する調印式を行った。両大にとって国内2大学目の協定締結。学生や教員ら人材交流をメーンに連携を深める。

 調印式には両大から14人が出席。中島学長と潮田学長が協定書に署名し、握手を交わした。

 調印について中島学長は「学生や教員の人材交流を大切に、実質的な交流ができれば」、潮田学長は「どちらもユニークな大学。距離は遠いが、ネットワーク上でも交流は可能。互いに行き来も盛んにしたい」と述べた。

 両大は今後、教員の研究内容を共有するなど、連携体制の充実を図る。

 この日は初めての連携事業として、北陸科学技術大の二木(ふたつぎ)厚吉教授(情報システム学)が「ソフトウェア工学と形式手法―ソフトウェアに強くなる―」をテーマにシンポジウムを開催。二木教授はソフトウェアの特質やソフトウェア工学について詳しく説明した。(笠原郁実)