2007年5月31日(木)掲載

◎大韓航空の函館―ソウル間就航1周年 大森洋治函館支店長に聞く
 昨年6月に就航した大韓航空(韓国)の函館―ソウル線が、あす1日で1周年を迎える。ことし4月末までの搭乗者数は2万7437人(函館発1万3891人、ソウル発1万3546人)。平均搭乗率は57・1%(函館発57・8%、ソウル発56・4%)と、目標の70%を下回っている。道内では旭川の旭山動物園や知床の世界遺産、道外では首都圏や沖縄など、観光地として注目を集める国内の都市に太刀打ちでき、かつ函館からソウルを経由して世界各地へと導くための策はあるのか。同社の大森洋治函館支店長に就航からこれまでを振り返ってもらい、今後の課題や見通しについて話を聞いた。

 ――就航から1年たっての感想は。

 ソウルでの販促強化が奏功し、インバウンド(入国)は集客性に乏しいと思われた冬場でも、利益を度外視した料金設定をしたこともあり、一定程度の需要の高さはうかがえた。夏場のゴルフシーズンに向けて、プラスに成長してくるはず。

 逆に、アウトバウンド(出国)は、知名度不足、宣伝努力の不足からか厳しい状況にある。函館空港は利便性を考えると、コンパクトな大きさで、市内中心部からのアクセスも近いなどメリットが多い。また、ソウルの仁川(インチョン)空港では、比較的に日本語が通じるため、言葉の問題をクリアしている。乗り継ぐ場合の手続きも簡素化されているので、その辺りのPRが課題と言える。

 ――搭乗実績をどう評価するか。

 はっきり言って、かなり厳しい数字。函館―ソウル間は、生活路線ではなく、観光路線。団体客は単価が高くないし、70%を確保していく上でも、市の支援は必要不可欠となる。

 日本国内で15路線を展開しているが、他の空港は都道府県の対応だが、函館は唯一、市の対応となっている。厳しい財政状況は察するが、空港施設使用料減免などの直接的支援、路線周知徹底などの側面的支援を求めたい。

 ――2年目に向けた抱負を。

 函館市民が思っている以上に、韓国は身近で、九州や沖縄といった国内より時間がかからず、料金的にもリーズナブル。温泉での癒やしも必要だが、国内感覚でどんどん利用してほしい。また、乗り継ぎで世界各国に行けることを理解してもらうため、韓国以外の目的地の誘致強化にも取り組んでいかなければならない。

 韓国からの団体はリピーター率が高まり、ゴルフを目的とした需要層も動いている。言葉の問題が旅行における一番の不安につながるので、安心感を与えつつ、また来たいと思えるような体制の構築をお願いしたい。(浜田孝輔)


◎市長査定スタート…市補正 西尾氏初の政策予算
 函館市長選後の政策予算などを盛り込む、市の本年度補正予算の市長査定が30日、始まった。西尾正範市長の初めての政策予算で、6月定例市議会に提出する。財政状況が厳しい中、公約実現に向けた予算をどれだけ措置できるか注目される。

 査定を前に市長は、公約の中で早期にできる政策は着手し、事業や政策の制度設計が必要なものは9月議会への提出か来年度からの実施になる見通しを示した。財源調整については「2、3年のスパンで考えたい」と述べた。補正額の規模は未定。

 公約の中で、市立小中学校・高校の校長の裁量で使える「知恵の予算」は、市長が6月定例会への提出に意欲を見せてきた。公約では1校100万円だが、学校の規模で減額することも考えられる。国宝指定が決まった「中空土偶」を核とした縄文文化交流センター整備は昨年度、基本計画の策定を終えた。乳幼児医療費助成の拡大や保育料軽減などは、対象者の範囲や規模などを決める必要がある。

 2月に前市長が発表した当初予算(一般会計で1221億5000万円)は、市長選を控えていたため新規事業を極力抑えた骨格編成となり、今回の補正予算が肉付けとなる。

 査定には工藤寿樹副市長をはじめ、企画・総務・財務の3部長らが同席。入江洋之財政課長が各部局から予算要求のあった事業について説明した。査定は6月2日までの予定。(高柳 謙)


◎ゴミゼロ!レジ袋削減…消費者協会
 函館消費者協会(米田イツ会長)や函館市などは、30日の「消費者の日」「ごみゼロの日」に合わせて、函館市内の百貨店前など3カ所で、街頭啓発運動を実施した。道行く市民らにチラシやポケットティッシュを手渡しながら、住みよい生活を送るための意識向上に理解を求めた。

 同協会と市が1992年から毎年行っていて、啓発物1000セットを用意。チラシには、悪質商法やクレジットカードにまつわるトラブル防止、レジ袋削減、ごみのポイ捨て防止といった内容が記載されており、職員らが足を止めた市民らに説明にあたった。

 また、棒二森屋前(同市若松町)での啓発には、函館地方裁判所の職員が初めて参加。2009年にスタートする「裁判員制度」の文字が入ったマイバッグを配布し、周知に努めた。(浜田孝輔)


◎西中生徒がクジラ供養塔を清掃
 函館西中学校(玉手道男校長、生徒数95人)の生徒会役員や地元の有志は30日、クジラをまつるために建立されている鯨族供養塔(函館市弥生町9)の清掃を行った。6月1日に開催予定の「鯨族供養慰霊祭」(函館くじら普及協議会主催)に向けて、準備を整えた。

 供養塔は、函館を拠点にクジラ漁をしていた砲手の天野大輔が1957年9月に建立。3年前に、鯨類捕獲調査船団が函館に寄港したのを機に、地元有志が慰霊祭を企画し、2年前から同協議会(藤原厚会長)が実施している。

 清掃活動には、同校の生徒5人らが参加し、クジラ像をたわしで磨いたり、周囲のごみを拾うなどして美化に努めた。また、供養塔の説明板に見入ったり、有志から設置された経緯などについて説明を受けた。

 生徒会長の森谷一洋君(3年)は「日ごろ見慣れている像がこんなに汚れているとは思わなかったので、きれいになって良かった。これを機会に、クジラについてもっと知識を深めたい」と話していた。

 慰霊祭は、1日に称名寺(船見町18)で、地元住民ら約50人を集めて実施。なお、供養塔は同日までの午後7―10時ごろにライトアップされる。(浜田孝輔)


◎寺島乙部町長を再任
 【札幌、乙部】道町村会の第61回定期総会が30日に札幌市で開かれ、寺島光一郎会長(63)=乙部町長=の再任を決めた。

 総会に先立つ選考委員会では、全会一致で寺島氏の再任を決定。総会で了承された。

 会長職は2期目。任期は2009年までの2年間。寺島氏は03年に道町村会筆頭副会長に就任。05年4月に海老沢順三・旧上磯町長(現北斗市長)の後任として会長に選出された。

 寺島氏は乙部町出身。北大農学部卒。67(昭和42)年兵庫県庁入庁(農水省派遣)。68年農水省入省。農水省大臣官房企画官、岡山県津山営林署長、林野庁職員部企画官などを経て83年5月乙部町長に初当選し、現在7期目。01年から桧山支庁管内町村会長。(松浦 純)


◎後絶たぬ廃棄物不法処理 監視強化、厳しく摘発
 2007年度道南地域廃棄物不法処理対策戦略会議総会(須藤学・渡島支庁地域振興部長主宰)が30日、渡島合同庁舎で開かれた。増加傾向にある道南地域における廃棄物の不法処理を抑制するため、監視体制を強化するとともに、業者や住民への啓発活動を継続強化することなどを確認した。

 同会議は、渡島、桧山両支庁、道南地域の各自治体、北海道警察など各関係機関が連携し、廃棄物の不法処理を未然防止するとともに、じん速な対応により生活環境の保全と公衆衛生の向上を目的に組織。この日の会議には約50人が出席した。

 はじめに道環境生活部環境局循環型社会推進課の田村厚己主幹が、全道における不法投棄の現状を説明。「啓発と監視だけでは抑制効果は期待できない。悪質な事例には警察との連携により厳しく摘発、処分を行うことが必要。(1)未然防止(2)早期発見早期対応(3)厳格な処置(4)起因者に対する原状回復――の4つの戦略的な柱で活動を進めていくべき」と訴えた。

 議事では、昨年度の道南地域における不法処理事例として、森町でホタテのウロが大量に不法投棄された事件や、違法な野焼きが後を絶たない現状などが報告された。また今年度の事業計画では、6月の「環境月間」と10月の「適正処理推進月間」を中心に海上保安庁のヘリコプターによる監視や、各種広報媒体を利用した普及啓発の強化などを決めた。(小川俊之)