2007年5月4日(金)掲載

◎水のある風景/五稜郭公園・優しい自然映す水面
 国の特別史跡五稜郭跡。花見客でにぎわう公園内の堀には、貸しボートが浮かぶ。静かな水面をゆっくり漕ぐと、日常のけん騒を忘れ、開放感に包まれる。

 ボートは二の橋付近から出発。星型の堀を左回りで、30―40分かけて1周する。ウミネコやカルガモの鳴き声を聞きながら、五稜郭タワーや今が盛りのサクラを見上げる。

 石垣に囲まれた中を進むと、箱館戦争の歴史の舞台に思いが及ぶ。激動の歴史を見詰めてきた水面は現在、自然の優しい様子を映している。

 堀の水は、築城時は亀田川の水を取り入れていた。戦後から約30年前までは、雨水だけに頼っていたが、今では、鍛治方面から導水菅を引き、水道水が入っている。(山崎純一)


◎退任支所長に聞く 工藤 篤さん(恵山) 自立する地域づくりを
 恵山町国保病院の不明朗な会計処理問題で当時の町長が辞職、2002年6月に行われた出直し町長選挙で、町教委社会教育担当参事を辞職して立候補し、再出馬した現職を破り初当選した。当選後は町議会議員の多数が野党となり、教育長の選任同意に7カ月かかるなど、苦しい船出だった。

 ――町長就任後、一番に取り組んだことは。

 移転建設が進められていた国保病院の開院に向けた準備です。医師や看護師の増員が必要で、渡島保健所などの関係機関と相談しながら準備を進めました。

 並行して前町長時代からの懸案だった小中学校の統廃合を進め、小学校は04年4月に4校を1校に、中学校は05年4月に2校を1校に再編しました。合併が04年12月ですので、中学校は町長時代に道筋を付けての再編です。また統廃合で空き校舎となった尻岸内中学校に、校舎が老朽化していた町立恵山高校を移転させました。

 公平で、透明性と中立性のある行政を心掛けてきました。

 ――合併の道を決断したのは。

 就任から3カ月後の02年9月、職員に「合併もあり得るから勉強しておくように」と伝えました。理由は大きく分けて地方分権、交付税削減、国保病院の起債償還問題の3点です。当時の町財政は火の車。新規事業が行えず、町の貯金に当たる基金は2億数千万円で、全道最下位でした。町長になったら町営住宅の補修を考えていましたが、いくら頑張っても200万円しかねん出できませんでした。「合併は避けられない」と腹を決めました。「第二の夕張」ではなく、単独の道を歩めば、最初に恵山町が財政破たんしていたかもしれません。

 ――町長就任1期目で「よく合併の決断をした」との声もあります。

 何とか町が生き延びる手はないかと考えたのも事実です。ただ、自分のことは脇に置いて、地域にとって何が最善かを考えました。合併までに風力発電の第3セクター会社を清算するなど、いろいろありました。

 ――合併して良かった点は。

 町長時代に約束した小中学校のトイレ改修や、恵山地区への水道管延伸、漁協のウニ移植放流などへの補助率拡大、ガゴメの増養殖などさまざまで、旧町単独ではできなかったでしょう。農林漁業用機械等購入資金貸付制度なども旧町にはなかった制度です。井上博司市長(当時)には感謝しています。

 ――地域の課題は。

 漁業振興で言えば、老朽化したコンブの種苗センターの改築や、コンブ養殖ブロックの更新などです。コンブ養殖は漁業者の生計の基盤で、後継者対策と合わせ、懸案です。子育て関係では大澗保育所の改築、観光はモンテローザ周辺の再開発などが挙げられます。

 ――これからの地域づくりと願いは。

 自立するコミュニティーづくりが必要です。何でも行政に支援を求めるのではなく、例えば恵山つつじ公園のツタ刈りなどは、住民主体で実践してもらいたい。住民でやれることはやる、そんなリーダーが出てくれることを望みます。誰もが笑顔で元気になれるような地域の活性化を願っています。(高柳 謙)


◎親からの暴力や性的虐待、6日にミーティング
 幼少期に親からの暴力や性的虐待などを受け、心に傷を持った人同士が集まり、互いの悩みや経験を話し合う「第1回ミーティング」(インクルーシブ友の会主催)が6日午後1時から、函館市総合福祉センターで開かれる。友の会の島信一朗代表は「誰にも話すことができなかったことを吐き出し、受け止め合うことのできる場所が必要。すべてを肯定することで、心の痛みから解放できる集会になれば」と話している。

 虐待の経験を持ち、悩みを抱えている人のことを「サバイバー」(生き残った人)といい、その多くが他人に思いを打ち明けられずにいる。サバイバーは、対人関係を築くのが苦手であったり、その人が親になったときに、子に対しても虐待を繰り返したりする傾向にあるという。

 企画したのは「自助グループ万華鏡」の鈴木三千恵さん(47)。鈴木さんも幼少期に虐待を受けた経験を持つ。同じ境遇の仲間と出会い、悩みを打ち明け、受け入れてもらうことで心が開かれていったという。

 市内にいる別の女性とインターネット上で偶然知り合い、「ほかのサバイバーにも手を差し伸べたい」と万華鏡を立ち上げた。集会開催は、友の会の島代表に相談し、準備を進めてきた。市内で同様の集会が開かれるのは「初めてのことで道内でも珍しいのでは」(島代表)という。

 鈴木さんは「同じ境遇の悩みを抱えている人は多い。話すことだけが解決ではなく、黙って一緒にいてあげることも大切なこと。『自分が1人じゃないんだ』と、身近に仲間がいれば駆けつけてあげることもできる」と集会の意義を話す。

 集会は午後1時から同3時まで。6月にも開催を予定している。本名は出さず、聞いた話を外に持ち出さないことや、相手の気持ちを尊重し、安心して話し合える環境にすることなどを基本原則とする。

 参加希望者は、電子メールで(1)会場で呼ばれたい名前(匿名可)(2)性別(3)参加動機―を書き、kaledoscope_jijo@yahoo.co.jpまで送る。万華鏡のホームページはhttp://jijyokaledoscope.blog96.fc2.com:80/

 問い合わせは島代表TEL0138・57・3157。(今井正一)


◎はこだてわいん「ゴールデンウイークフェア」盛況
 【七飯】はこだてわいん葡萄(ぶどう)館本店(七飯町上藤城11)で3日から、ワインの割安販売や抽選会などをするイベント「ゴールデンウイークフェア」が始まり、多くの買い物客でにぎわいを見せた。5日まで。

 イベントの目玉は、七飯町産のリンゴ100%を使用した「ななえはこだてわいん2007」の限定販売。仕込みから2カ月で蔵出しをし、非加熱処理で瓶詰めした商品で、風味の強さなどに特徴がある。

 同社の永田英利社長は「評判は上々。地産地消の観点から、町を一層盛り上げていければ」と話していた。500本限定で1本1000円。

 このほか、1本720ミリリットル「入りのワイン(通常価格1000円以上)から好みの6本を選べる「ワイン詰め合わせ」(3000円)や、空くじなしの抽選会(1回400円)なども人気を集めていた。

 時間は、いずれも午前10時―午後6時。問い合わせは、同社TEL0138・65・8115。(浜田孝輔)


◎江差いにしえ夢開道 盛大に開幕
 【江差】江差町の“いにしえ街道”を舞台とする観光イベント「第15回春の江差いにしえ夢開道(ゆめかいどう)」(実行委主催)が3日に開幕した。

 街道内の旧家が所有する色とりどりの和服や由緒ある半天を玄関や軒先で展示する「江差着もの語り」が行われ、訪れた人たちの目を楽しませた。姥神大神宮では笛や太鼓に合わせた神楽舞曲の公開練習、民謡ショー、陶芸や絵画の展示など多彩なイベントが行われた。

 この日は、4年目を迎える「江差朝市・新鮮組―北のめぐみ愛食フェア2007」も同神宮前広場で今シーズンの出店をスタート。大勢の観光客が新鮮な農水産物を買い求めていた。

 また、町会所会館(中歌町)では「体験・実演 江差手ほどき工房館」も開催。和小物、裂き織り、陶芸、ネーチャークラフトなどが体験できる。

 イベントは4日まで。開会は午前10時。イベント・朝市の問い合わせは江差商工会TEL0139・52・0531へ。(松浦 純)