2007年5月5日(土)掲載

◎退任支所長に聞く3 船木英秀さん(椴法華)合併理解してくれ感謝
 1999年5月、当時の椴法華村を二分した村長選で、当選、落選両候補が公選法違反事件で逮捕された。村長辞職後、村は“後遺症”で候補者調整が進まず、村議会や商工会などが道へ村長候補のあっせんを依頼。道町村会事務局長を務めていた船木英秀氏が同年7月の村長選に出馬し、無投票で当選した。2003年に無投票で2選。

 ――村長就任時は村に大変なしこりがありましたね。

 村民にはあったと思いますが、札幌から来た私には関係ありませんでした。最初の取り組みは村民の融和で、町内会ごとに村民懇談会を開き、村民と対話を重ねました。選挙に対する恨みつらみもありましたが、早く村民が融和して、地域を活性化させてほしいという声が寄せられました。

 村については、生まれが網走管内佐呂間町なので、海を望む景色が故郷に似ていて、違和感なくとけ込めました。

 ――考えた政策は。

 漁業と観光、福祉を主要施策に考えていましたので、まずは福祉センターを2001年にオープンさせました。観光はホテル恵風や恵山岬を核に、漁業振興も力を尽くしました。ただ、自主財源は住民税で年間1億円ぐらいしかありません。遠くない将来、合併は避けて通れないと考えました。

 ――村民にも合併の話をしましたか。

 はい。03、04年には起債の償還がピークを迎える中、地方分権が叫ばれ、交付税も減ってきました。当初は4町村合併の方向で調整しましたが、渡島支庁の仲介があり、最後は函館市の井上博司市長(当時)が受け入れてくれました。本当にありがたかったし、住民も50年か100年に1回という村の大転換を受け入れてくれ、感謝しています。職員もよくやってくれました。

 ――合併後の地域振興は。

 合併建設計画に盛り込まれた共同墓地の整備や漁業振興などの取り組みが進んでいます。恵山岬を核とした観光振興など、地域でできる取り組みは地域がやらなければなりません。04年12月の合併を記念し、同年8月から始まった椴法華夏まつりは実行委員会の主催で根付いて3回を数え、今や椴法華を代表するイベントの一つです。

 こうした意識は徐々に住民に理解されてきており、今後さらに浸透させていくことが必要です。

 ――地域の課題は。

 漁業は後継者対策。これまで何十人も面接して漁業体験をしてもらいましたが、船酔いや重労働のためか、1人も残りませんでした。地域を活性化させるためには、漁業振興が欠かせません。高齢化や人口減、財政難という大変な時に合併させてもらったことを考えると、住民サービスは向上を求めるのではなく、現状維持でいいと思わなければなりません。

 ――地域選出の議員に望むことは。

 全市的な視点に立った上での地域の活性化です。地域の声はいろいろあり、大変かもしれませんが、いろいろな声を吸い上げて漁業や観光振興、福祉の充実、定住促進などに住民とともに力を尽くしてもらいたい。

 恵風に至る新しい道道整備や、付近にパークゴルフ場と定住地を整備する計画もあります。そうした懸案を実現し、地域が元気づくよう、応援し続けます。(高柳 謙)


◎サクラ満開/五稜郭公園ピンク一色
 函館市内のサクラが4日、満開になった。函館海洋気象台が、標本木としている五稜郭公園内にあるソメイヨシノの花が80%以上咲いているのを確認した。ことしは平年より3日早く、昨年より8日早かった。同公園では、ピンク一色に染まったサクラ並木を見上げ風情を楽しむ市民や観光客でにぎわった。

 函館市では、開花が発表された4月30日以降、気温は日増しに上がり、この日はことし最高の19度まで上がった。陽気に誘われ、サクラは見ごろの最盛期を迎えた。

 ゴールデンウイークも終盤に入り、市内各地は花見客のにぎわいがピークに達している。同気象台によると5日の同市内は、明け方まで雨で、日中は曇りのち晴れ。6日は、曇り時々晴れと予想している。(山崎純一)


◎函館西高校、100年記念誌完成
 2006年に開校100年を迎えた函館西高校(対馬敏幸校長)はこのほど、記念誌「この坂から」を発行した。同校100年間の沿革のほか、人物伝、随所に散りばめたコラムなど読み応えある内容となっている。同誌編集の中心となった記念誌編集委員長の奥村浩之さん(西13回生)は「次の世代へと引き継ぐ資料ができあがった。ぜひ多くの人に見てもらいたい」と紹介している。

 創立100周年記念事業協賛会(本間麟太郎会長)発行。奥村さんらが04年6月から編集作業を始め、約2年半で仕上げた。1905年北海道庁立函館高等女学校として開校して以来、本格的な記念誌などはなく、資料集めは困難を極めた。だが、清野きみさん(高女36回生)を中心に高等女学校の歴史をひもとき、当時の教育方針や入試問題、写真など、貴重な資料とともに紹介している。

 同校にかかわる人物を取り上げた「函館西の群像」では作家・辻仁成さんや歌手・北島三郎さん、前函館市長の井上博司さんなど卒業生のほか、初代校長や教員を取り上げ、当時の同級生や生徒が、思い出を語る。卒業生が当時を振り返る「100人100景」は戦乱の中、勤労動員として高校時代を過ごした思い出や、寄宿舎、部活動、定時制、函館山など高校時代の一端を写真とともに生き生きと描いた原稿が並ぶ。

 資料編には校舎の見取り図や同校の歩みのほか、函館、道、国内外の出来事をまとめた年表も添付。100年間の歴史が一目で分かると好評を得ているという。

 奥村さんは「西高の生徒に何かメッセージとして伝わればうれしい。記念誌作りを通じ、次代へ記録・資料を伝えていく重要性を痛切に感じた。今後、資料整備を行っていきたいので、卒業生のみなさんに多くの資料提供を呼びかけたい」と話す。

 記念誌は全624ページ。1500部を作成し卒業生などに配布。200部限定で販売(1部6500円と送料)も行う。問い合わせは同校(藤井教諭)TEL0138・23・8415。(笠原郁実)


◎市立函館保健所 医療相談が倍増74件
 市立函館保健所への医療相談が2006年度74件に上り、前年度から倍増していることが同保健所のまとめで分かった。医師や看護師らの対応への不満・苦情が主。同保健所は「医療事故の報道が増え、市民の関心の高まりが相談件数増につながったのでは」とみている。

 近年、医療事故が増加傾向にあるのを背景に、03年9月から医療相談を開始した渡島、江差、八雲の各保健所に続き、市立函館保健所も04年4月から対応している。患者救済だけでなく、患者の相談・苦情を病院に伝え、医療側の認識を深めてもらう狙いもある。

 同保健所の相談件数は04年度が26件、05年度が31件、06年度が74件と年々増加している。06年度の相談内訳は、診療時の説明不足や接遇など医療従事者への苦情が24件と最多。続いて処置や手術などの医療行為・内容が18件、診療拒否や医療従事者の資格の有無についてなど医療法に関連する内容が16件。相談者の大半が本人かその家族だった。

 同保健所は「当事者間での話し合いで解決する内容でも、患者が言いづらい状況も考えられる」と分析。相談者の苦情を医療機関に伝え、事実関係を確認し、改善を求めるほか、匿名でない場合は当事者で話し合うよう医療機関に指導する。ただ医療事故に関する判断は行えないため、弁護士への相談を促す。

 相談は午前8時45分から午後5時15分まで、来所か電話で受け付ける。担当は同保健所医務薬事係TEL0138・32・1513。(宮木佳奈美)


◎道教大附属函館中学校 シニア学級生徒募集
 もう一度「中学生」に戻ってみませんか―?道教育大附属函館中学校(函館市美原3、冨田幸雄校長)は本年度の「シニア学級」の生徒を募集している。市内近郊の社会人であれば参加可能。5月から9月までの毎週金曜日午後同校で、てん刻や琴演奏の2講座を中学生と一緒に受講する。

 同校が地域貢献の一環として、昨年から行う事業。社会人は中学生と学ぶ喜びを分かち合う生涯学習の場として、中学生は人生の先輩からさまざまなことを学んでいく場として活用する。

 社会人に開講するのは日本の伝統楽器「琴」(高市雅楽司峰講師)と、自分だけの落款づくり「てん刻」(高橋海堂講師)。それぞれ生徒の選択授業になっており、琴は10月1日に開かれる同校学校祭で生徒と一緒に演奏、てん刻は同校生徒会誌に掲載される。

 第1回は5月18日を予定。同校では「たくさんの参加を待っています」と呼びかける。受講は無料(材料費別途)。申し込み、問い合わせは同校TEL0138・46・2233。(笠原郁実)