2007年5月8日(火)掲載

◎水のある風景 元町配水場噴水池/水が永遠に街を潤いを与える願い
 1889(明治22)年、日本で2番目の近代水道として完成した函館の水道。その発祥地、函館市元町配水場にある噴水池には「清泉滾滾」(せいせんこんこん)と書かれ、函館の水が枯れることなく、永遠にまちを潤すことを願っている。

 函館は日本最初の貿易港となった一方、水の便が悪く、86(明治19)年にはコレラにより約1000人が亡くなった。水道普及は市民の大きな願いだった。

 同配水場は、水道創設100周年を記念して1989年から開放、同年に噴水池も造られた。現在、ここの水は函館山周辺の市民約2万人の生活を支えている。山のふもとにある噴水池から市内を望むと、水のある豊かな生活に感謝し、限りある資源“水”を大切にしようとあらためて思う。(山崎純一)


◎地域防災計画を策定 火山や急傾斜地対策 国民保護計画も
 函館市は、新しい地域防災計画と国民保護計画の策定を終えた。市防災会議(44機関)と市国民保護協議会(47機関)の構成委員に諮り、3月末に決定。議会に報告後、両計画を関係機関に配布する。地域防災計画は市町村合併で加わった活火山対策のほか、新たな急傾斜地崩壊危険個所や土石流危険個所などを加え、漁港を使った物資輸送に備え、市内全域の漁港の規模を調査し資料編に追加した。

 2004年12月の合併に伴い、地域防災計画は05、06年度の2カ年をかけて改定作業を進めた。

 活火山の駒ケ岳と恵山が加わったため、噴火の際の一時避難所や広域避難所を地域ごとに定めたほか、札幌管区気象台や北大大学院地震火山研究観測センター、道開発局などの関係機関と連携。普段から火山の監視強化を図り、噴火時は活動状況に応じて災害対策本部を設置し、5市町村で構成する駒ケ岳火山防災会議協議会などと連携、対応を進める。

 新市全体の急傾斜地崩壊や地滑り、がけ崩れなどの危険個所を資料編に追加し、図面に表示することで関係機関が情報を共有できるようにした。例えば全市の急傾斜地崩壊危険個所は337で、内訳は旧市内164、戸井54、恵山39、椴法華8、南茅部72。

 また災害時に陸路が寸断された場合を想定し、市内各漁港の施設名、延長、幅、水深を調査し、資料編に掲載した。救援物資や資材の運搬に使用できる船舶の規模が把握できる。

 対岸の青森県大間町に建設計画がある大間原発の原子力災害対策も、新たに加えた。原発はまだ着工していないが、津軽海峡に遮へい物がなく、海峡には函館の漁船も操業していることから、必要に応じて情報収集を行い、市民の不安解消に努める方針を示した。

 災害時の際の避難所は従前、地区ブロックごとに小学校や中学校を指定していたが、小学校の校区を基本に、小学校を拠点避難所とした。

 国民保護法に基づき、都道府県や各自治体で策定が義務付けられた国民保護計画は、平素からの備えや武力攻撃を受けた際の対処、災害復旧の方法などを定めた。

 策定した市総務部は「災害時に迅速な行動と対応を取る指針となり、日ごろから関係機関と連携し、新市全体の安全性を高めていきたい」と話している。(高柳 謙)


◎3月の道南地方金融経済動向、引き続き「足踏み感」
 日本銀行函館支店(服部誠弘支店長)は7日、3月の道南地方の金融経済動向を発表した。個人消費の一部や住宅を含む民間建設需要など、全般的に緩やかな持ち直し基調にあるものの、原材料の値上がりによる収益悪化や観光客の減少などから、前月に引き続いて「足踏み感がうかがわれる」とした。

 個人消費は、天候不順によって春物衣料や家庭用品が低調で、売れ行き好調だった食料品の伸びも鈍化。小売店(主要10社)の売上高は前年同月比1・0%減の62億7400万円と2カ月ぶりにマイナスに転化した。大型テレビや携帯電話、ゲーム関連商品などの家電販売は、堅調に推移している。

 設備投資は、非住宅着工の床面積(函館市内のみ)が前年同月の2・3倍に当たる1万5670平方メートルと4カ月連続のプラス。新設住宅着工(同)は、分譲が前年同月を上回ったものの、前月の早期着工の反動からか、持ち家や貸し家が減少し、全体では同47・3%減の98戸と、2カ月ぶりに前年を下回った。

 公共投資は、渡島・桧山管内の公共工事請負額が同71・4%増の114億9300万円と、4カ月ぶりに好転。道路や港湾整備など、補正予算の施工分が充当されたことで数字を引き上げた。

 生産では、電子部品関連の一部で高操業が続き、セメントが都市部でのマンション向けに需要が高まったが、水産加工が輸入品との競合から依然として低迷している。

 観光は、五稜郭タワーが同48・7%増の5万1800人と13カ月連続のプラス。しかし、函館山ロープウェイが同0・6%減の12万3600人、ホテル(主要17社)の宿泊客数が同11・5%減の11万5500人、函館空港の乗降客数が同6・2%減の14万3600人と、いずれも2カ月ぶりに前年割れとなった。(浜田孝輔)


◎スタテンダム入港、いか踊りで見送り
 アメリカの客船運航会社「ホーランド・アメリカ・ライン社」の豪華客船「スタテンダム」(オランダ船籍、5万5451トン)が7日午前7時、函館港に入港し、港町ふ頭に接岸した。同8時からの歓迎セレモニーで西尾正範市長は「短い滞在時間ですが存分に楽しんで」とあいさつ。ミスはこだての笠井絵美さんと函館遺愛女子高校の生徒4人から、フランス・コンセン船長らに花束や記念品が贈られた。

 スタテンダムの母港ははオランダ・ロッテルダムにある。全長は220メートル、全幅は30・8メートルで、船体は白と濃紺のツートンカラー。全長は、郵船クルーズの「飛鳥II」(5万142トン)より約20メートル短いが、総トン数は5000トン以上上回り、函館入港の船舶では過去最大となった。

 歓迎セレモニーでは、乗客、乗員約1500人を代表してコンセン船長が「素晴らしい歓迎に感謝します。美しい函館を訪れることができてうれしい。刺し身やすしを楽しみにしています」と陽気にあいさつ。乗客らは早速バスに乗り込み、同市内・近郊の観光地に向かった。

 また、同日午後4時半からは、遺愛高生徒や市民有志約400人が参加して恒例の「いか踊り」で見送り。乗客は船内デッキで手拍子したり、一緒に踊ったりする姿が見られた。

 同船は同5時、返礼の汽笛を鳴らしながら函館港を後にし、ロシア・ペトロパブロフスク・カムチャツキー港に向かった。(今井正一)


◎はたらく乗り物 函館海保「巡視艇ゆきぐも」自慢の「足」で海守る
 函館港や津軽海峡など北の重要航路を管轄する函館海上保安部。海は一見穏やかでも、常に危険がつきまとう。強い風、波、雨、雪、霧…。同海保の巡視艇「ゆきぐも」に出動要請があるのは悪天候の場合がほとんどだ。

 ゆきぐもは巡視船より小型の巡視艇に分類され、総トン数149トン、全長31メートル。北野利幸船長(41)ら10人の男たちが乗り組んでいる。領海の警備や密漁取り締まり、海難事故での人命救助など、海上の警察と消防、両方の役割を担う。

 同海保に所属する巡視船艇4隻の中で最高の時速約55キロを誇る。船体も軽量なアルミ製。機動力を生かし、昨年の検挙者数は55件・16人に上る。道内の同型巡視艇の中ではトップの実績だ。

 任務は“海の警察”の側面が強い。乗組員は防弾仕様のヘルメットや防刃用の救命胴衣を着用。船橋回りにも不審船からの襲撃に備え防弾設備が施され、船の甲板には13ミリ機銃も搭載されている。

 一方、ゆきぐもは1978年9月に就役。北村船長は「人間で言ったら、とっくに還暦は過ぎている」と苦笑する。船体や船内に残された多くの傷みが長年の功績を無言で物語る。

 すべては海の安全のため―。ゆきぐもに乗り組む海上保安官の思いは一つだ。有事に備え北村船長の双眼鏡を握る手にも力が入る。(森 健太郎)


◎GWの行楽地、昨年より盛況サクラ見ごろと重なる
 最長9日間となったことしのゴールデンウイーク(GW)は、2日に雨が降ったほかは行楽日和に恵まれた。サクラの見ごろも重なり、函館市内の五稜郭公園などのサクラの名所や七飯町の大沼公園などの観光スポットは、大勢の行楽客でにぎわった。各地とも道内をはじめ近場からの来場が多かったようだ。

 市住宅都市施設公社によると、五稜郭公園の入園者は4月28日―6日の9日間で約14万2000人。昨年のGW期間(29日―7日)より約1万人増で、函館海洋気象台が満開を発表した4日は、一日の入場者としては過去5年間で最高となる約3万9000人に上った。夜桜見物は連休後半の3―6日に約1万2000人が訪れ、昨年の3―7日を約3700人上回った。

 函館公園は約6万9100人で、昨年の約2万8500人より約4万人も多かった。同公社は「両公園ともサクラの見ごろが重なったおかげ。五稜郭公園は箱館奉行所庁舎復元工事がなければもっと伸びたかも」と話している。

 このほか、道警函館方面本部によると、松前町の松前公園は4月28日―5日で15万4100人(昨年比3万8100人増)。森町青葉ケ丘公園は3万1200人(同期間)で、昨年より4万6800人減。森町は、見ごろの時期と目玉のイベントが連休後のためとみている。

 函館山ロープウエーは6万5087人で、昨年より6972人減。同社は「道内への観光客の入り込みが減っているほか、昨年に比べ、台湾からの観光客が減っている」と話す。

 昨年4月に新タワーがオープンした五稜郭タワーは7万1388人で昨年より457人減。同社は「道内の入場者が多く、全体の7割を占めた」という。

 大沼国定公園でも、函館や道内各地から車で訪れる人が目立ち、駐車場は満車状態が続いた。自然公園大沼財団が管理する駐車場の利用台数は28日―6日で、普通乗用車が約3800台。昨年より約650台多かった。団体客を運ぶバスは、昨年より約40台少ない230台だった。同財団では「家族やグループが身近な場所で大沼を選んだ人が多かったのでは」とみている。

 Uターンは、陸、空とも5、6日に集中。JR、航空各社とも、函館空港から東京(JRは八戸)へ向かう便は両日とも終日満席だった。また、道警函本によると、札幌方面へ向かう国道5号は、5日午後1時から同6時までの間、七飯町峠下―同町西大沼間の上下線で最大8キロにわたり渋滞。期間中の管内の交通事故は40件で昨年より22件減。各署で幹線道路を中心に取り締まりを強化した結果としている。