2007年5月9日(水)掲載

◎木古内町チューリップやシバザクラ花盛り
 【木古内】木古内町内では、チューリップやシバザクラなどの花が今を盛りと咲き誇っている。付近には甘い香りが立ちこめ、訪れる人々を優しく包んでいる。

 国道228号沿いの更木岬(同町亀川)は、4万個のチューリップが見ごろを迎えている。津軽海峡から吹き込む潮風を受け、赤や黄、ピンク、紫など、色とりどりの花が揺れている。

 沖合に沈んだとされる旧幕府軍の戦艦・咸臨丸(かんりんまる)でまちおこし活動を展開する「咸臨丸とサラキ岬に夢見る会」が毎年整備。ことしは同船を模したモニュメントや巨大ないかりを設置した。観光客や子どもたちが訪れ、まちの歴史にも触れている。

 町内一円を見渡す薬師山山頂付近では、鮮やかなピンクのシバザクラがじゅうたんのよう。約830平方メートルの急斜面一帯が、かれんな花びらで埋め尽くされている。

 管理する木古内町森林組合によると、花は6日ごろに満開の状態となり、一部につぼみがあることからあと1週間ほどは楽しめるという。まちの喧騒(けんそう)を眼下に海峡を見渡せば、はるかに津軽半島がうっすらとかすんで見える。(小泉まや)


◎はこだてTMOと大門、函館朝市の3者が中心市街地来街者動向調査まとめ
 函館市の第3セクター、はこだてティーエムオー(渡辺良三社長)など3者は、JR函館駅前地区の飲食・物販店の利用客を対象に昨夏実施した「大門・朝市スタンプラリー」の応募状況を基に、客層や回遊性などについて分析した報告書をまとめた。観光客の半数近くが大門で夕食、朝市で朝食を取るルートをたどっていることや、朝市を利用する地元住民も少なくないことが分かった。

 参画したのは同社のほか、函館都心商店街振興組合(渡辺良三理事長)と函館朝市協同組合連合会(井上敏廣理事長)。同ラリーは2006年度、道中小企業総合支援センター(札幌)の「中心市街地商業活性化事業」に採択され、助成金に3者の負担を加えた総額約400万円以上をかけ、昨年8月下旬から26日間にわたって実施。

 同ラリーには同組合の73店舗、同連合会の103店舗、百貨店1店舗、シネマコンプレックス(複合映画館)1店舗が参加。スタンプカードはエリア別に3色に分け、1店舗利用ごとに1個のスタンプを押し、氏名や連絡先を記入してもらった上で、3カ所に設置した応募箱で回収した。

 回収総数は1066枚で、内訳は市内居住者分668枚(59%)、観光客分398枚(36%)だった。市内居住者のうち43%が駅前・西部地区居住者で、観光客分の75%が道外。近郊市町村やそのほかの渡島・桧山管内居住者は10%にも満たず、広域性に乏しいことが明らかになった。

 発券場所と回収場所から回遊性を見ると、「大門から朝市」「大門及び朝市から百貨店」という流れが多数を占めた。大門で買い物した後、市内居住者の59%が朝市を利用するが、観光客は買い物、飲食とも10%前後と利用度は高くない。また、大門で飲食した後の朝市利用者は、市内居住者が34%に対し、観光客は86%に上った。

 今回の結果について3者は(1)観光客の4割が、宿泊日の夜に大門で夕食、翌日に朝市で朝・昼食を取る(2)市内居住者の4割強が大門、朝市両エリアで買い物している(3)大門では、地元客は物販、観光客は飲食で利用(4)朝市では、地元客の6割強、観光客の5割強が買い物している(5)地元客の4割近くが利用する百貨店は集客核で、観光客の7割近くが利用する大門横丁は新たな観光スポットとしての役割が大きい―などと解析している。

 集客力や回遊性を高める方策としては(1)大門における商店街の魅力向上(2)地元客にも支持される朝市の魅力づくり(3)百貨店を核とした、大門、朝市両エリアの連携強化と、一体的な戦略ビジョンの構築―を挙げている。(浜田孝輔)


◎国民生活金融公庫 2006年度教育ローン融資、5年連続減少
 国民生活金融公庫函館支店(小島重樹支店長)は、渡島・桧山管内の2006年度「国の教育ローン」の融資実績をまとめた。融資件数は前年度比15・1%減の722件、融資総額は同10・5%減の9億5300万円で、ともに5年連続の減少。1件当たりの平均融資額は131万円で、前年度を約6万円上回った。

 資金別で、最も多いのは「入学資金」で488件(同16・3%減)、7億4234万円(同11・0%減)。次いで「在学資金」が234件(同12・7%減)、2億1112万円(同8・7%減)だった。

 利用した学校別内訳の構成比は、件数では大学が34・2%(同0・8ポイント減)、専修学校が34・1%(同3・5ポイント増)、高校が14・0%(同3・1ポイント減)、短大が5・4%(同0・6ポイント増)、その他が12・3%(同0・2ポイント減)。

 金額で見た場合、大学が38・7%(同2・6減)、専修学校が36・8%(同5・2ポイント増)、高校が7・5%(同2・5ポイント減)、短大が5・8%(同0・2ポイント増)、その他が11・2%(同0・3ポイント減)。

 件数、金額ともに、専修学校の割合が上昇する一方、大学と高校が下降した。

 なお、同ローンは大学や短大、高校、専門学校などに入学、または在学する学生・生徒をもつ保護者が対象。学校納付金、通学に必要な交通費、アパート・下宿代など住居費用などの資金を融資している。

 融資額は学生・生徒1人につき200万円以内、返済期間は10年以内。金利は年2・3%で、10日から年2・5%に引き上げられる見込み。(浜田孝輔)


◎企画 はたらく乗り物 市消防本部「救助工作車」一台何役も
 火事や交通事故、自然災害などの現場に駆け付け、人命救助の“縁の下の力持ち”となる「救助工作車」。函館市内では現在、市消防本部(東雲町5)と東消防署(高松町269)に1台ずつ配備され、一刻を争う救助現場で何役もこなす。

 全長9・3メートル、高さ3・7メートル、総重量15・2トン。車両の前部にはけん引能力が最大5トンのウインチ(巻き上げ機)、後部には地上12・5メートルまで伸びるクレーン、さらに上部には300メートル先でも新聞が読める明るさの照明装置も。

 荷台両サイドのシャッターを上げると、まるで巨大な工具箱のよう。油圧で金属を切断する「カッター」やすき間を拡張する「スプレッダー」のほか、赤外線カメラ、化学・放射線防護服など、あらゆる事態を想定した54種類・約250点の資機材を積載する。

 隊員は現場で素早く機材を使いこなせるよう、廃車を解体したり、ブロックや木材を切断したりする訓練に精を出す。石田州永(くにえい)隊長(44)は「救助には『安全』『確実』『迅速』の3拍子が不可欠。一つも欠落してはならない」と力を込める。

 同じ現場は二つとしてない。能力をフルに発揮するため、隊員らは日々厳しい訓練を続けている。「函館の市民30万人を助け出すのはおれたちだ、という自負がある」―。石田隊長の日焼けした肌に白い歯がのぞいた。(森 健太郎)


◎貿易振興担当発足1カ月「魅力的な商品開発を」
 函館市が本年度から新設した商工観光部商工振興室貿易振興担当の発足から1カ月が過ぎた。民間から任期付き職員として採用された、清水大令(もとよし)参事(58)と萬谷佳恵主幹(49)は、ともに商社や貿易会社で長年培った経験や知識を生かし、地場産品を中心とした函館の貿易振興に意欲を見せている。

 貿易振興担当は、清水参事、萬谷主幹と主査の3人体制。任期は2010年3月末までの3年間だが、最大で5年まで更新できる。市内企業からの貿易に関するあらゆるニーズに応えるため、海外バイヤーとの仲介役や、販路・商機拡大をサポートする。4月の1カ月間は、関係機関や地元企業へのあいさつ回りをこなし、現在は現状把握など情報整理に努めている。

 清水参事は、小樽市出身。北大工学部卒業後、日商岩井(現双日)に入社。貿易だけでなく1982年から2年間は中東のイエメン・アラブ共和国で上水道の開発プロジェクトにも携わった。

 「食べ物、自然環境、温泉と住むには良い街」と印象を語る函館の可能性として、水産物や加工品を挙げ、商品開発の重要性を指摘する。「東アジア各国は経済力が付きつつあり、函館ブランドを広める余地はある」と話し、函館の貿易振興の効果が道内全体に広がることを期待する。

 これからの貿易は「世界を相手に競争力を高めていく時代」と言い、経済発展の著しいアジアからの資本流入も想定する。「過去の経験をフルに活用してアドバイスする。意欲のある企業にはこちらからも働きかけていく。いつでも相談してほしい」と話している。

 一方、萬谷主幹は釧路市出身で、道武蔵女子短大英文学科卒。06年1月に関西の貿易会社を退職し、北海道に戻った。自宅は京都にあるが、夫は札幌、2人の娘も本州の大学に通い、函館には単身赴任。「元気のない北海道経済に少しでも役に立てたら」と、これまでの経験を発揮しようと意気込む。

 世界的にも健康志向が高まる中、豊富な水産資源は魅力的なビジネスチャンスだという。しかし「今ある商品ではなく、輸出先の実情や味覚に合った商品開発が必要」と市場調査の重要性を説く。

 萬谷主幹は、水産関連業だけではなく、広くIT(情報技術)関連業や他業種にも貿易機会はあるとし、「国内の販路が頭打ちになってから貿易を始めるのではなく、疲弊する前にチャンスを生かしてほしい。一つでも多くの仕事を実現していきたい」と語る。(今井正一)


◎市内小学校各校で遠足
 函館市内の小学校では「春の遠足」シーズンを迎え、仲良く歩く児童の姿が各地で見られる。4月に入学したばかりの1年生も水筒や弁当が入ったリュックサックを背に目的地を目指して一歩また一歩。遠足は、今週をピークに来週までにほぼすべての学校で行われる。

 函館石崎小学校(筑土清彦校長、児童40人)は8日、青空が広がる中、元気に学校を出発。児童に体力を付けてもらうとともに地域のことを知ってもらおうと、校区内の牧場や寺などを巡った後、最終目的地の石崎地主海神社(白石町248)まで各クラスが異なるコースで3―4キロを歩いた。

 1年生は勝願寺(石崎町600)で住職の講話に耳を傾けた後、同神社を目指した。約100本の八重桜「カンザン」が並ぶ「サクラのトンネル」を笑顔で通り抜け境内へ。全員がそろうと弁当を広げ、おにぎりやおかずをペロリ。食後は敷地内に広がる芝生で、鬼ごっこやゴム跳びなど楽しい時間を過ごした。(笠原郁実)