2007年6月12日(火)掲載

◎ホッキ漁始まる
 【北斗】北斗市内で11日、ホッキ漁が始まった。漁船に乗った漁業者はヤスを器用に操りながら、貝を次々と水揚げした。ホッキは主に函館や札幌の市場に出荷される。

 ホッキ漁は5月に週1回行った抱卵調査の結果、開始時期を決定。ことしは昨年より1日早く、平年並みのスタートとなった。初日は同市七重浜から富川の沿岸約10キロで漁船44隻が出漁。資源保護のため、漁の時間を午前8時から同11時までと限って行った。

 漁業者は、専用のヤスを使った伝統の漁法「突き漁」で貝の場所を探り当て、肉厚な貝を次々と船内へと引き揚げた。

 この日は計1084キロを水揚げ。昨年は年間99トンの水揚げがあり、ことしは昨年並みの100トンを目標に、産卵期を迎える来年3月末まで漁は続く。(笠原郁実)


◎函館市補正予算案、一般会計21億1500万円
 函館市の西尾正範市長は11日、市長就任後初の政策予算となる本年度の各会計補正予算案を発表した。補正額は一般会計21億1500万円、特別会計9億9700万円、企業会計900万円で、計31億2100万円。補正後の一般会計総額は1242億6500万円(前年度当初比1・9%減)で、全会計総額は、2764億9800万円(同0・2%増)。西尾市長の選挙公約でもあった人材育成施策として市立学校長の「知恵の予算」に5600万円や、コンベンション施設建設に向けた調査費30万円などを盛り込んだ。28日開会予定の定例市議会に提案する。

 補正後の特別会計は、総額1106億400万円(同4・3%増)、企業会計は、416億2900万円(同3・7%減)。また、一般会計の事業費総額は105億6600万円(同14・3%)となった。

 市が昨年発表した中期財政試算では、本年度の基金からの繰入金は6億円と見込んでいたが、前年度繰越金や行政改革推進債などで収支均衡を図り、基金の活用は当初予算で2億円、補正予算で1億円の計3億円。退職手当債など市債を含め、補正後の財源不足額は30億8000万円となった。前年度当初予算の財源不足額44億2000万円と比較し、職員削減など、行財政改革の効果で、13億4000万円を圧縮した。

 主な事業では、校長の知恵の予算(創意ある学校づくり推進事業費)は、市立の小中高の学校規模に応じて100、80、60万円を配分。総額5600万円を計上した。校長の裁量で、福祉ボランティア活動や地域住民との交流会、伝統芸能の継承活動などに活用される見込み。

 コンベンション施設について西尾市長は「わたしの思いとしては、緑の島で500人規模だが、市場調査をし、規模を含めて検討する」と述べた。国宝に指定された中空土偶を展示する縄文文化交流センター(仮称)は、整備推進費500万円を充て、建設方法についてプロポーザル(提案型公募)を実施する。

 このほか、保護施設整備費補助金として6億4522万円、西桔梗野球場の夜間照明設備整備などに1億4980万円、港湾特別会計に開港150周年記念事業の準備経費50万円などを計上した。(今井正一)


◎駒ケ岳年3回「随行登山」へ、規制は継続
 【森】駒ケ岳火山防災会議協議会(会長・湊美喜夫森町長)は11日、駒ケ岳自然休養林保護管理協議会(同)と合同会議を開き、7月から9月まで月1回の計3回、会関係者らとともに6合目から頂上まで歩き、火山防災教育などを行う「随行登山」を実施することを決めた。1998年10月から実施している駒ケ岳の登山規制は継続する。

 駒ケ岳は42年以降静穏だったが、96年の噴火以降、98年、2000年と小噴火を繰り返している。01年火山性微動が観測されたが、以降、目立った活動はない。

 駒ケ岳火山防災会議協議会事務局(森町防災消防対策室)によると、5月までの地震活動は「静穏」を保っているが、「昭和4年火口」からの弱い噴気は引き続き観測。同協議会は慎重な姿勢を見せながらも、専門家らのさまざまな意見や「登山できないか」といった登山愛好者らの声を受け、年3回の随行登山の実施を決めた。

 随行登山は同協議会メンバーとともにバスで「赤井川森の味ゲート」を経て6合目駐車場へ移動。ヘルメットを着用するなど万全な防災対策を取った上で、頂上まで歩く。また、本年度内に6合目駐車場に無線施設の設置なども検討。随行登山の詳しい内容・日程などは今後、決定する。

 入山規制にかかわる周知ちらしは、駒ケ岳自然休養林保護管理協議会が2300枚を作成し、関係市町、観光協会、JR森、大沼公園各駅など公共施設などで配布する。また、森町のホームページでも関連情報を随時提供する。(笠原郁実)


◎ハイカラ號号とらっくる号並走
 6月10日の「路面電車の日」を記念し、函館市電復元チンチン電車「函館ハイカラ號」と、4月にデビューした超低床電車「らっくる号」の2台が、撮影のため市内西部地区で並走した。路面電車ファンら約40人が集まり、製造年が1世紀ほど異なる新旧の電車が街に溶け込む姿をカメラに収めた。

 市交通局が「路面電車の走る街・函館」をPRしようと企画。ダイヤの都合上、2台がすれ違う場面は少なく、「函館らしい場所での並走シーンを撮りたい」というファンの声にも応えた。通常ダイヤに影響しないよう始発の運行前に行われた。

 午前6時半、十字街電停付近の地域交流まちづくりセンター前で2台が前後に並んだ。この後、末広町―大町電停間の基坂付近に移動。横に並んだり、歴史的建造物や新緑が美しい函館山、旧函館区公会堂を背に停車したりしてファンを喜ばせた。

 最後に、青柳町―谷地頭電停間で撮影が行われた。訪れた市内の男性(34)は「大変良い企画。自分のホームページで写真を掲載し、函館の路面電車をPRしたい」と喜んでいた。市交通局は「想像以上に人が集まり、好評を得た。秋の鉄道の日(10月14日)にも企画を考えたい」と話していた。(山崎純一)


◎道南小中学校の耐震化率、道内で渡島ワースト3、桧山はトップ
 文部科学省がまとめた公立学校の耐震化率調査で、道南の公立小中学校の耐震化率(2007年4月1日現在)は、渡島管内が37・6%と道内14支庁中3番目に低く、桧山管内はトップの58・5%だった。このうち、現在の耐震基準が適用される1981(昭和56)年以前の古い耐震基準で建てられた施設の耐震化率は、渡島が2・9%と道内で最も低く、桧山は13・6%だった。各自治体は調査や耐震化工事を実施したい意向だが、財政難などを理由に先延ばしせざるを得ない状況だ。

 文科省が公表した全国の公立小中学校の耐震化率は58・6%で、81年以前の建物の耐震化率は33・6%。これに対して道内の耐震化率は、全国47都道府県中42位の44・8%。渡島は全国的にも低水準といえる。

 道南の自治体別の耐震化率は、81年以前の建物がない上ノ国町がトップの100%。70%以上は、厚沢部(75・0%)、乙部(73・3%)、知内(72・7%)の3町。厚沢部は、81年以前の建物12棟中8棟の耐震診断を行い耐震性を確保。

 しかし、木古内町が最も低い28・6%、次いで低い函館市は31・2%にとどまり、老朽化施設の継続使用と耐震化未実施の現状が浮き彫りとなった。

 耐震診断も十分には行われていない。81年以前の建物すべてに実施したのは七飯、鹿部、奥尻の3町だけ。函館は、診断基準のないブロック造りなどで未実施のため93・0%。これらの自治体は「住民に不安を与える」(函館)などの理由で診断結果の公表には慎重だ。

 まったく行っていない自治体も8あり、このうち森、長万部、乙部、今金の4町は統廃合や改築なども予定していない。森では町議会の一般質問で取り上げられたことから耐震化を含む診断を実施しようと費用を試算し、中学校2校分で約1340万円となることが分かり断念。森町教委は「財政難の中、優先度の高いほかの事業を先に行っている」と釈明する。(小泉まや)


◎農業体験会、親子連れら160人参加
 函館市主催の農業(稲作)体験会が10日、同市米原町の水田で開かれた。親子連れら市民約160人が参加。初夏の日差しを受けながら、子どもたちは泥まみれになって田植え作業に夢中になっていた。

 同体験会は、市農村地域活性化事業の一環で、2004年度から実施している。約1000平方メートルの水田で、道南生まれの「ふっくりんこ」を育て、秋には約500キロの収穫が見込める。7月に草取り、10月に稲刈り、11月には脱穀と試食会を開く。昔ながらの農作業を通じ、大地の恵みの大切さを学ぶ。

 この日の田植えでは、はだしになって田んぼに入り、足を取られて転ぶ子どもも。それでも「冷たい」「ぬるぬるする」などと、歓声を上げながら苗を植えていた。また、ドサンコ乗馬体験や、水田の周りにいるアメンボやオタマジャクシ、ヘビなどの小動物を発見すると、子どもたちは珍しそうにはしゃいでいた。

 両親と弟と参加し、稲作体験も水田に入るのも初めてという道教大附属函館小2年の船山沙樹さん(7)は「まっすぐ植えるのは大変だった。泥がちょっと気持ち悪かったけれど、楽しかった」と話していた。(今井正一)