2007年6月14日(木)掲載

◎立待岬ハマナス咲き始める
 13日の函館市内は、引き続き高気圧に覆われ、最高気温は27・6度を観測。6月としては4番目に高い記録となった。晴れ間が広がった市内の道路わきなどでは、道の花ハマナスが目立ち始め、青空と赤い花が初夏の雰囲気を演出していた。

 函館の観光名所、立待岬では、訪れた観光客がにおいをかぎ、目と鼻で花を楽しんでいた。ハマナスは8月ごろに小さなトマトのような果実をつける。(山崎純一)


◎湯量5300立方メートル以下が適正…湯の川温泉
 函館市水道局は湯の川温泉の「温泉資源適正開発利用に関する研究」の報告をまとめた。報告書は、資源がなくなるなど危機的状況ではないが、保護対策を検討する時期に来ていると指摘。温泉の水位は、1960年代からの約40年間で約12メートル低下していることを踏まえ、1日当たり約6000立方メートルを使用している現状を、5300立方メートル以下にすべきと提言している。市水道局は「将来にわたり温泉を利用していくため、関係者に理解と認識を求め、対策を検討していきたい」としている。

 同研究調査は、温泉の水位低下が続いているため、恒久的な資源維持対策検討のため、道立地質研究所に委託し、2003年度から4年間にわたり実施。過去の供給状況や、水道局のデータなどを含め、分析した。

 湯の川温泉は地下深部から、地層の割れ目を上昇しわき上がる裂カ状泉。市内近郊では、1000メートル級のボーリングを行い掘り出した温泉はあるが、湯の川温泉は、いずれも60―100メートルほどと浅く、65度前後の高温やゆう出量など、優秀な泉源として評価されている。

 泉源は、ホテルや旅館を含め130戸に供給している水道局管理の22カ所と、民間所有の14カ所の計36カ所があり、このうち31カ所が使用されている。1975年ごろまでは各泉源では、自噴していたが、水位の低下から、現在はポンプでくみ上げている。

 ピーク時の96年には、1日に最大で約8900立方メートルを使用。現在は、人為的に供給量を制限したことや、水位低下による影響などで、約6000立方メートルに減少している。調査では、適正量は1日に3200―5300立方メートルとし、地区全体での削減が必要とした。

 また、水位の低下は続いているが、温度や泉質に大きな変化はなく、資源が枯渇するなどの「危機的状況とまでは判断できない」とした。

 具体的な対策としては、削減年次計画や行動計画策定を提言。供給者、民間の泉源所有者、利用者が連携し、適正な湯量に向けて対応するよう求めた。さらに、利用状況に適用可能な供給方法など、システム構築を図るべきとしている。

 水道局では、28日にも関係者向けの説明会を開く予定で、現状を関係者に報告した上で、温泉の使用状況調査など対策検討に協力を求める方針。(今井正一)


◎「無添加釣りタラコ」や「イカすり身かまぼこ」 新商品開発に着手へ…乙部商工会
 【乙部】乙部町商工会(三上岩雄会長)は本年度、新たな“乙部ブランド”の柱となる新商品として、健康志向や高級感を前面に打ち出した「無添加釣りタラコ」や「イカすり身かまぼこ」の新商品試作やテスト販売に取り組むことを決めた。

 製造主体となる町内の中小食品加工業者など7事業者が参加する。イカとタラコの2グループに分かれて商品開発を進めるほか、既存商品の改良も検討する。また、情報発信や販路開発などの分野で後方支援を行う「乙部ブランド創造支援グループ」も、商工会を中心に町、漁業者、町内でソフトウエア技術者育成に参画しているIT企業などが参画して活動する。

 「すり身かまぼこ」の試作は、町内で新鮮な原料が手に入る7月前後に開始する。「無添加釣りタラコ」は、延え縄漁で水揚げされ、抜群の鮮度を誇る町内産のスケトウダラのタラコを活用。保存料や着色料を一切使用しない高品質の商品開発を目指す。開発に参画する事業者間では味覚の統一も図る。原料のタラコが品薄なため、試作はスケトウ漁が始まる11月以降となる。

 新商品は首都圏など大消費地での販売を目標とし、乙部の歴史や文化をアピールするパッケージなどの開発も同時に進める。試作品は全国的な食品バイヤーの展示会にも出品するほか、乙部出身者でつくる「札幌おとべ会」「東京おとべ会」もPRに活用。商品への評価を受けるとともに、口コミでのPR効果も狙う。

 事業費は830万円。経産省が全国商工会連合会などを通じて、小規模事業者による全国市場を狙った新事業展開や特産品開発を支援する「地域資源・全国展開プロジェクト(小規模事業者新事業全国展開支援事業)」に採択され、全額補助を受ける。 

 同商工会では昨年度から、タラコやイカを活用した新商品開発を検討。中小企業基盤整備機構の「地域経済活性化F/S事業」の一環として、商品化に向けた市場調査や町内事業者の合意形成を進めてきた。(松浦 純)


◎白百合高・大谷さんが日本代表として「高校生のための国際科学学校」へ
 函館白百合学園高校の大谷奈津子さん(2年)が、7月にオーストラリアのシドニー大学で行われる「高校生のための国際科学学校」(同大物理学財団主催)に日本代表の奨学生として参加することが決まった。世界9カ国から約140人の高校生が集まり、約2週間にわたり科学についての講義を受け、交流も深める。大谷さんは「とにかく実験をたくさんやりたい」と楽しみにしている。

 1962年から隔年で行われており、費用は主催者が負担して生徒を招待している。最新の科学知識に触れると同時に、他国の生徒の交流を深めることが目的。ことしは「エコサイエンス」をテーマに、7月1―14日の2週間、同大で開かれる。

 大谷さんは各都道府県から1人に絞られる道代表として全国の審査に臨み、応募した24人から選ばれた8人の中に入った。事前選考のための英文での自己紹介文作成や、英語での口答試験のためには同校教諭陣の協力を得て、東京で行われた面接試験に臨んだ。

 合格通知は4月に到着。大谷さんは「全国から8人の狭い門なので無理だと思っていた。信じられなかった」と喜びを語り、「ほかの学生と科学についての意見交換をたくさんしたい」と意気込んでいる。

 担任の岡田美穂子教諭は大谷さんについて、「何にでも広く興味を持っているので、これを機会に新しい視点を切り開いてほしい」と期待している。(小泉まや)