2007年6月17日(日)掲載

◎中央競馬函館開催が開幕
 JRA(日本中央競馬会)の函館開催が16日、函館競馬場(函館市駒場町12)で開幕した。天候に恵まれ絶好の競馬日和となり、待ち望んでいたファンや親子連れらが続々と同競馬場に足を運んだ。

 同日から7月8日までを第1回、同14日から8月5日までを第2回とし、毎週土・日曜の計16日間で重賞3レース(いずれもJpnIII)を含む192レースを実施。第2回からは発走時間を1時間遅らせ、夏競馬を楽しむ「はくぼレース」を行う。

 間近で見る1年ぶりのレースに、来場者は「そのまま」「行けー」などとしきりに大声で声援を送るなど、会場は熱気に包まれた。

 開幕を記念したイベントもあり、先着5000人に色がついた抽選券を配布。メーンレース(第11レース)で1着になった馬と同じ枠の色だった人にオリジナルミニハンカチがプレゼントされた。(小林省吾)


◎06年函館市、出生率1・10に回復
 函館市の2006年の合計特殊出生率(女性1人が生涯に産む子どもの数)が1・10(概数)となり、3年ぶりに上昇したことが市立函館保健所のまとめで分かった。過去最低だった05年を0・03ポイント上回り、1・1台に回復したのは03年以来。一方、出生数は横ばいで推移し、3年連続で2000人を割り込んだ。

 市の合計特殊出生率は01年1・09、02年1・08で1・1に届かず、03年はいったん1・13まで上昇したが、04年1・09、05年1・07と再び減少に転じた。全国の1・32、全道の1・18を下回り、依然として国や道内よりも低い水準で推移している。

 出生数は過去最少だった04年と同数の1946人(男性1001人、女性945人)で、05年より1人減少した。統計を始めて以来、最も多い74年の5483人から3分の1近くにまで落ち込み、2000人を下回る状態が続いている。

 市では15―49歳の女子人口を5歳ごとに7区分し、母親の年齢別出生数を年齢別女子人口で割った年齢別出生率の合計を合計特殊出生率として算出。同保健所によると、06年の出生数は05年とほぼ同水準で、出産する15―49歳の女子人口は05年と比べ1592人減。同保健所は「出生数に大きな変動がなく、分母になる女子人口が減ったため合計特殊出生率が上昇した」と説明する。

 ただ年齢別で06年は20―24歳、25―29歳、40―44歳の層で05年より女子人口が減っているにもかかわらず、出生数が増加。35―39歳は女子人口も出生数も05年を上回り、いずれの階層でも出生率が伸びた。

 同保健所は「合計特殊出生率の上昇は首都圏などと違って、景気回復が要因とは考えにくい」と指摘。「女子人口は年々減少しており、出生数が減ると再び合計特殊出生率も下がることもある。少子化に歯止めがかかったとは言えない」と、今後の推移を慎重に見守る考えだ。

 一方、婚姻数は05年から35件減り1500件で過去2番目に少なく、離婚率は61件減少し、729件だった。死者数は05年より105人多い3201人(男性1688人、女性1513人)。死亡数が出生数を上回る「自然減」は05年より106人多い1255人で、1995年から12年連続で死亡数が上回っている。

 死因は(2)悪性新生物(がん)1014人(2)心疾患511人(3)脳血管疾患387人―の順で、がんが全体死因の30%を占めた。(宮木佳奈美)


◎フォーラムで新幹線時代の青函交流を巡り活発な論議
 本州・北海道架橋を考える会(福西秀和代表幹事)主催のフォーラム「津軽海峡からのメッセージ〜みんなで語ろう青函交流〜」が16日、函館市内のホテル函館ロイヤルで開かれた。時間的距離が大幅に短縮される新幹線時代を見据えた青函交流のあり方について意見を交わした。

 福西代表幹事は「青函交流というが、残念ながら活性化や大きな動きになっていない。新幹線開業で、交流人口を増やすことがこれからの大きな役割」とあいさつ。続いて、北大大学院工学研究科の高野伸栄准教授らが青函交流の可能性について提言した。

 高野准教授は新幹線開業により、地域間競争が激化する危険性を指摘。プラスの開業効果を願望として語るだけではなく、効果を生かすための戦略をつくる時期だとした。その上で、「(開業効果を)吸い寄せる戦略が必要。行政や企業、市民団体など、同じ方向に向かわせ、役割分担をしっかりするべきだ。青函地域として取り組まねば競争に立ち入れない」と述べた。

 続くパネルディスカッションでは、青森商工会議所青年部の鎌田慶弘前副会長、函館青年会議所の日光貴行理事長、工藤恵美函館市議がパネリストを務めた。

 このうち日光氏は、函館から1泊で旅行する場合「費用や労力から、道内という選択になってしまう」と指摘。高速フェリーや新幹線が開業しても「青函交流に変わりがないのでは」と述べ、陸路で本州と結ぶ架橋の重要性に変わりはないと訴えた。

 また、鎌田氏は、新幹線が札幌まで延伸した場合のストロー効果を危ぐ。「100万人規模の都市基盤がないと厳しい。札幌、仙台に挟まれる函館や青森はどうなるか。青森は、コンパクトシティーに取り組み、新幹線に耐えうる街づくりをしている」など、開業への備えについて語った。(今井正一)


◎日本海グリーンベルト構想、ドングリの芽吹かず
 【上ノ国】上ノ国町の日本海グリーンベルト構想―。豊かな日本海を取り戻そうと、荒廃した海岸にカシワの実(ドングリ)を20年間にわたり、町民ぐるみで植え続ける遠大なプロジェクトだ。昨秋初めて3000個のドングリを植えたが、この春に発芽を迎えたのはわずか6個だった。町は自然の厳しさを実感しながらも「希望の6本」に夢を託し、構想実現に向けた改善策を模索している。

 町は昨年10月、町民の協力で集めたドングリ3000個を汐吹地区に植えた。海岸の緑化事業は、風雪や塩害に強い針葉樹の大規模植林が常識だ。しかし、上ノ国町など過疎化が進む日本海沿岸の自治体は財政事情が厳しく、植林事業に巨額の予算を投じる余裕はない。

 町村レベルでも可能な方法を―と考え出したのが、種子そのものが持つ自然力を生かした植生回復。芽が成長しても防風施設は作らないなど、緑化事業の常識を覆す挑戦だ。

 しかし、町を支援する檜山森づくりセンターが、昨年植えたドングリの生育状況を調査した結果、確認された新芽はわずか6本。町は「3000分の6」という厳しい現実を突き付けられた。同センターは(1)ドングリの質が悪い(2)暖冬で雪が少なく土が乾燥して枯死した(3)種そのものが確認できずネズミなどに食べられた―など複数の原因があるとみている。

 報告を受けた工藤昇町長は「6本しかなかったではなく『6本もあった』と考える発想が必要。厳しい自然環境の中で発芽した6本は“希望の芽”。チャレンジには困難は付き物だ。豊かな海を取り戻したいという町民の思いは揺るがない」と力を込める。

 町はドングリを紙製容器などで乾燥やネズミの食害から守るなど、発芽に最適な条件を再検討。同センターもこうした対策で発芽や芽の成長は可能との見方を町に示している。

 工藤町長は「失敗を糧に研究を重ねて最適な方法を編み出したい」と語り、構想に深い理解を示す道の武内良雄水産林務部長(前桧山支庁長)にも意見を求め、日本海沿岸全域に同構想を拡大させたい考えだ。

 調査結果を町ホームページで自ら公表した工藤町長。文末では、日本初の南極越冬隊を指揮した故西堀栄三郎さんの言葉を引用して町民に呼び掛けた。「とにかくやってみなはれ。やる前からあきらめる奴(やつ)は一番つまらん人間だ」(松浦 純)


◎夷王山まつり開幕
 【上ノ国】夷王山(いおうざん)神社例大祭・夷王山まつり(上ノ国町観光協会主催)が16日、開幕した。宵宮祭が行われ、町内の剣道、柔道、空手の各少年団に所属する児童約40人が、赤々と燃えるたいまつを掲げながら、夕闇が迫る夷王山を駆け上った。

 同祭の伝統行事となっているたいまつ行列は、午後7時前に国道沿いの上ノ国八幡宮を出発。胴着姿の子どもたちは武道の上達を願いながら、たいまつを片手に標高159メートルの山頂にある夷王山神社を目指した。

 同神社では日本海の雄大な夕焼けを背景に神楽や獅子舞を奉納。参拝客は、海と空があかね色に染まる中で繰り広げられる幻想的な舞に見入っていた。

 本祭の17日も多彩なイベントを予定している。午前10時からは夷王山特設コースで「道南地区ばん馬大会」が開幕。午後1時40分からは「第19回演歌まつり」(STVラジオ公開録音)も開かれる。出演者は韓国出身の演歌歌手、チェウニさんら。いずれも入場無料。夷王山には無料駐車場を用意している。(松浦 純)


◎北海道東照宮子供みこし
 函館市陣川町の北海道東照宮(大谷長道宮司)で16日、例大祭が始まった。恒例の「子供みこし行列」が行われ、子供たちは東照宮周辺のほか、近くの老人保健施設などを訪問。威勢の良い声で、地域住民やお年寄りを元気づけた。

 施設へのみこし訪問は4年前から実施。参加者は毎年約50人だったが、ことしは約100人に増えた。地元の陣川あさひ町会の上野山隆一さん(42)手づくりのみこしも新調された。

 この日は境内でおはらいを受けた後、父母の車で同町の老人保健施設「響きの杜」へ。子供たちは、真新しいみこしを担ぎ、長寿と健康を祈りながら「ワッショイ、ワッショイ」と力強く声を上げ、集まった約50人にみこし行列を披露した。午後からは東照宮周辺を練り歩いた。

 みこし行列は17日も行われる。午前中は同市赤川町の介護老人福祉施設「ももハウス」を訪れ、午後からは陣川町周辺を練り歩く。(山崎純一)


◎熱帯植物園でホタル観賞会
 函館市営熱帯植物園(湯川町3)を管理運営するNPO法人(特定非営利活動法人)函館エコロジークラブ(福西秀和理事長)は15日夜、第3回ホタル観賞会を開いた。温室内で繁殖したヘイケボタル数匹が幻想的な光を放ち、訪れた親子連れやカップルらの目を楽しませた。

 同園では4年前から温室内に造成した川「ホタルのせせらぎ」に幼虫を放して繁殖させ、3年前から観賞会を開いている。今年は自然繁殖に成功し、1センチほどに成長。12日現在21匹のホタルが確認された。

 午後8時前から、続々と見物客が訪れ、同法人の坂井正治さんが「成虫になったホタルはmノを食べず、水をなめて1週間から10日間生きます。その間に結婚相手を見つけなくてはいけないので大忙しです」などと説明。

 辺りがすっかり暗くなったころには水辺の草の陰でポツリポツリと小さく瞬く姿が見られ、「いた、いた」と来場者は歓声を上げていた。家族4人で訪れた長内亮太君(北日吉小6年)は「別の所で見たホタルより大きくてきれいだった」と見入っていた。

 観賞会は19日まで毎日午後8時から同9時まで開かれる。入場無料。問い合わせは同法人TEL0138・57・8039。(宮木佳奈美)