2007年6月19日(火)掲載

◎辛味大根あす初出荷
 函館市と同市亀尾地区の農家が共同で試験栽培してきた「辛味(からみ)大根」が、20日に初出荷される。湯の川温泉街の旅館やホテル、同市内にある一部のそば店などが、主に薬味として活用する。特産品として函館の知名度を全国区に押し上げているイカやガゴメ(トロロコンブの仲間)といった水産物に続いて、特産品としての地位を確立できるか、販路拡大に期待がかかる。

 市が2003年7月に策定した「農村地域活性化構想」に基づき、同地区をモデルケースとして04年度から辛味大根の試験栽培に着手。函館湯の川温泉旅館協同組合(金道太朗理事長)に加盟するホテル・旅館などに、試食として持ち込んで意見や要望を受けると同時に、流通ルートの開拓を模索してきた。

 4カ年にわたって栽培してきた辛味大根は、7品種。この中から、種の安定入荷や調理のしやすさなどを基準に選定を進めた結果、見た目と味覚がワサビに似た「カザフ辛味」、おろしとして活用できる「からいね(白)」、もみじおろしを連想させる「からいね(赤)」を栽培することに決めた。

 作付け面積は、2軒の農家合わせて約2000平方メートルで、無農薬または低農薬で栽培。ことしは、4月中旬に今期初の種まきをし、約2カ月の生育期間を経て収穫できるまでになった。旅館・ホテルやそば店などには、注文に応じて産地直送で出荷し、価格は市価より3割ほど安い、1キロ当たり400円前後を想定している。

 調理法は、刺し身やそば、てんぷらの薬味としてが大半だが、サラダとしての活用も一例に挙がるなど、アイデア次第では食材としての幅を広げそうだ。今後、種は2週間おきにまかれ、年間の収穫量はカザフ辛味が1万3500本、からいねは赤白各4300本を目指す。

 栽培を手掛ける同市庵原町193の富樫光彦さん(71)は「最初は栽培方法で悩んだこともあったが、ようやく出荷できるまでにこぎ着けた。行政の努力をふいにしないよう、函館のブランドとして定着できるよう頑張って育てたい」と意気込む。

 市農林課の筑田誠一課長は「味に対する一定の評価を得られたと確信している。来年は、すべてを無農薬とし、安心して食べられる食材として、一般消費者向けを含めて収穫量を倍増させたい」と話している。(浜田孝輔)


◎イカロボット、花フェスでイカ踊りお披露目
 函館の新たな観光シンボルとして、市民団体が産学連携で製作した「イカロボット」がこの夏、4回のイベントで市民にお披露目される。クィーンズポートはこだて前広場で23、24両日に開かれる「花と緑のフェスティバル」では、イカ踊りを披露するほか、踊りや動作のプログラムを作っている公立はこだて未来大学の学生が、ロボットとの寸劇を演じてイベントを盛り上げる。

 7月14、15両日の大門祭、8月2、3両日の港まつり、8月4―7日の函館競輪ふるさとダービーに登場し、函館観光の活性化に一役買う。

 ロボットは昨年11月に完成し、未来大のプロジェクト学習で3年生の学生たちが動作のプログラムを開発している。パソコンで操作し、頭と両まぶた、足2本が動き、512通りの動作ができる。イカ踊りに加え、今後は子供向けに童謡に合わせた踊りなどを増やしていく計画。

 18日に同大体育館で行われたプロジェクト学習では、ロボットの動きや操作を確認した後、花フェスで披露する演目のリハーサルをした。博士役の学生とロボットが掛け合う内容で、ロボットが人工音で自己紹介した後、博士がロボットの性能や部品について3つの質問をして、ロボットが答える。その後、音楽に合わせてイカ踊りを披露した。

 プロジェクトのリーダーを務める野村俊介さん(20)は「今後はタッチパネルのほか、ゲーム機のようなリモコンで操作できるよう、改良を目指す。踊りの数も増やし、地域のイベントを盛り上げていきたい」と話していた。

 ロボット製作を主導した「ロボットフェス・インはこだて」市民の会事務局の中江捷二さんは「若い学生たちのエネルギーがイカロボットに集約され、この力が次の時代をつくっていく」と期待。市民の会も、ロボットとともに“バージョンアップ”していく考えだ。(高柳 謙)


◎町議選の日程変更?…参院選で気をもむ江差町
 【江差】年金記録問題や国家公務員法改正案への対応をめぐり、通常国会の会期延長論が取りざたされる中、江差町では7月の参院選と町議選(7月24日告示・29日投開票)の投開票日が重複する可能性があるため、終盤国会の情勢に気をもんでいる。

 国会は23日閉会予定の会期について延長論が急浮上。延長が5日間となれば、参院選の日程は当初予定の7月5日公示―22日投開票となるが、12日間となれば日程は1週間ずれ込み、同12日公示―29日投開票となる。

 町選管は2日、参院選や姥神大神宮渡御祭(8月9―11日)の日程などを考慮し、町議選の日程を7月24日告示―29日投開票に決めたばかり。参院選が同22日投開票でも、同24日には町議選の告示が迫っており、町選管は選挙担当の職員を増員して臨む方針だった。

 しかし、参院選と町議選の“ダブル選挙”となれば、両選挙では、転出入などの時期により選挙資格が異なるほか、期日前投票などの日程も重複。開票時にも、開票所の面積や従事する職員、集計機器類が不足する可能性があるという。町は「参院選は投票方式が複雑化しており開票には時間を要する。町議選と重なれば開票時刻が大幅に遅れる」と話し、国会情勢に神経をとがらせている。

 また、桧山管内では参院選の日程を考慮し、観光イベントの日程を変更した町も。「元和台マリンフェスティバル」を7月22日から同29日に変更した乙部町でも動向を注視。参院選の投開票日がずれ込めば、日程の再変更も検討する考えだ。(松浦 純)


◎油流出事故 異常事態…ことしすでに9件
 函館港や津軽海峡など函館海上保安部管内で油の流出事故が相次いでいる。ことしの発生件数は18日現在9件(原因不明分も含む)。昨年1年間の海洋汚染防止法違反容疑(油の排出)での検挙件数の約3倍に当たる異常事態だ。同海保は港湾関係者対象の緊急会議を開くなど海洋環境の保全指導に躍起となっているが、抜本的な対策は見いだせず「最終的には関係者の自覚に頼るしかない」(警備救難課)のが現状だ。

 4月に函館港内でカーフェリーから潤滑油約60リットルが海に排出されたのを皮切りに、4月に2件、5月に5件と船舶からの油流出事故が続発。6月も立待岬沖の津軽海峡や函館(入舟)漁港で海面に帯状に浮かぶ油が確認されている。

 道内を所管する第1管区海上保安本部管内の油流出事故の検挙数は12件(同日現在)。このうち道南海域での発生が7割近くを占める事態に陥っている。同課は急増した理由を「環境問題が注目されていることに加え、発見時の通報体制が確立されつつあり、水面下の実態が浮かび上がってきたのでは」と分析する。

 主な流出原因は給油時に燃料があふれ出したり、燃料タンクのバルブの閉め忘れだったり、初歩的なミスがほとんど。流出量はいずれも数十リットル程度だが、「油は牛乳瓶1本分(200ミリリットル)でも海上に流出すれば約100メートルにわたって広がる」(同課)という。

 こうした現状に同海保は5月下旬、漁協や石油関連会社など27機関の関係者を集め、海洋汚染防止法の罰則規定などを指導。巡視船艇によるパトロールや漁船への立ち入り検査も強化しているが、検挙者からは「基本的な確認動作を怠った」「まさか自分がやるとは思ってもみなかった」などと無責任な言い逃れが目立つという。

 同海保は「船の操業時には経験などを過信せず、基本動作の確認を徹底してほしい」と呼び掛ける一方、「迅速な通報が事件、事故を減らすことにもつながる。海上で異常があればすぐに118番を」と話している。(森 健太郎)


◎青森ねぶた搬入…港まつりに参加
 開港148周年記念函館港まつりに参加する青森ねぶたが18日、フェリーで函館に到着し、市内の倉庫に運び込まれた。ねぶたは、青森市在住のねぶた師、穐元和生(あきもと・わせい)さん作「項羽の馬投げ」。勇ましい武将と対峙(たいじ)する馬の姿が生き生きと再現されている。8月2日の「ワッショイはこだて」十字街・松風コースに跳人(はねと)とともに登場する予定。

 函館、青森両市が1989年に締結した「青函ツインシティ」のまつり交流事業の一環で、青森からは「ねぶた」、函館からは「いか踊り」が双方の祭りに隔年で参加している。ねぶたの来函は10回目。

 ねぶたは横7・2メートル、奥行き5メートル、高さ2・5メートルで、約3カ月間かけて制作された。約2200年前の中国・秦王朝末期の戦乱の時代に、楚の武将「項羽」が敵の馬を頭上高く持ち上げ、敵陣に投げ込んだとする伝説がモチーフ。勇ましい項羽の立ち振る舞いや、迫力ある馬がリアルに表現されている。

 港まつりは8月1日から同5日まで。青森ねぶた祭りは、青森市内で同2日から同7日まで開かれる。(今井正一)


◎前年度比61件減…06年度子どもの悩み相談電話
 函館市教委が開設している「子どもの悩み相談電話」(市南北海道教育センター内)に寄せられた2006年度の相談電話は、前年度より61件少ない42件だった。保護者からが29件と約7割を占め、小学生は9件、中学生は4件だった。市教委は「1人で何回も相談する例もあり、件数が減ったからといって悩んでいる人が減ったとは言えない」と話している。

 相談件数は、04年度32件、05年度は103件と増加したが、06年度は前年度と比べ6割ほど減少。04年度以降の相談者の多くは保護者で、05年度は小中高生からの相談も比較的多かったのに対し、本年度は04年度並みだった。

 相談内容では、保護者からは「親子の関係について」が最も多く、次いで「いじめ」や「学習」など。児童・生徒からは「いじめ」が最多で、ほかに「学習」などが寄せられた。

 市教委は「相談内容は多岐にわたり、数字だけで全体的な傾向は判断できない」としている。受付時間は月―金曜の午後3―5時。留守番電話での相談案内はTEL0138・59・3009、子ども専用フリーダイヤルはTEL0800・800・5783。

 相談の件数や内容は、市役所でこのほど開かれた「函館市いじめ等対策委員会」(委員長・岩瀬幸雄函館戸倉中学校長)の本年度初会合で示された。

 委員からは、いじめの傾向について質問があったが、事務局は「今はまったくない」と特徴がつかめないと回答。また「この委員会の最終目的が見えない」との声もあり、いじめをなくすようなロゴやスローガンなどを募集することが提案された。

 同委員会は本年度3回開く予定。委員長以外のメンバーは次の通り。(敬称略)

 ▽副委員長=若杉充宏(市PTA連合会長)▽委員=細川和成(函館凌雲中教諭)千賀享子(函館深堀小養護教諭)塚本賞子(函館家庭生活カウンセラークラブ)小笠原康夫、堀畑和男(小泉まや)