2007年6月24日(日)掲載

◎夏の高校野球支部予選開幕
 夏の甲子園大会につながる第89回全国高校野球選手権大会南北海道大会函館支部予選(道高野連など主催)が23日、道内10支部のトップを切って函館市千代台町のオーシャンスタジアムで開幕した。26校が3つのブロックに分かれ、来月16日から始まる南北海道大会への代表権を争う。

 開会式では函館西高吹奏楽部の演奏で選手が入場行進。選手を代表し函館高専の佐藤亮太主将(2年)が力強く宣誓し熱戦がスタートした。代表3校が決まる大会最終日は30日。 (岡部彰広)


◎姉妹都市提携4都市、交流節目の年で記念式典準備
 函館市はことし、姉妹都市提携している3カ国4都市と締結25周年や15周年の節目を迎えた。25周年となるカナダ・ハリファクス市には、ピーター・ケリー市長の訪問を要請しており、ケリー市長も前向きの意向を示している。ロシアとオーストラリアの3都市とも相互訪問や記念式典などを予定している。

 このほど発表された市の本年度補正予算案に、一連の経費805万円が盛り込まれた。ロシアのウラジオストク市と15周年、ユジノサハリンスク市と10周年、オーストラリアのレイク・マコーリー市と15周年を迎え、ハリファクス市と合わせ、函館の交流団体や関係者とともに記念事業を計画している。

 市国際課によると、ハリファクス市のケリー市長は秋ごろの招待を考えている。はこだてクリスマスファンタジーで同市から毎年、モミの木の寄贈を受けているため、できれば12月に来函してもらいたい考えだったが、多忙であることから秋を軸に調整している。

 ケリー市長は提携25周年の節目の初訪問に意欲を見せているといい、函館ハリファックス協会(山崎文雄会長)とも連携する。

 ウラジオストク市とは2005年7月、ウラジオ建都145周年に合わせ函館から113人の訪問団を派遣したため、今回は同市からの訪問団を要請している。実現できれば年内を予定し、函館でレセプションなどを開き、市民と交流を図る。

 ユジノサハリンスク市は、9月に同市創建125周年記念式典があり、これに合わせて函館市に訪問要請が来ている。函館日ロ親善協会(倉崎六利会長)などの交流団体とともに、式典出席に向けて準備を進めている。

 レイク・マコーリー市には、秋に予定している中学生海外派遣に合わせ、函館オーストラリア協会(野沢義会長)やスポーツ関係団体、社会奉仕団体などと合同訪問団を結成する予定。現地でのレセプションのほか、学校訪問やスポーツ交流などで友好を深める。

 同課は「各姉妹都市とのきずなを深めるとともに、今後は市民が主体となって文化、スポーツ、青少年交流などが続くことを願い、民間交流がさらに進むよう支援していきたい」と話している。 (高柳 謙)


◎花と緑のフェスティバル開幕
 はこだて花と緑のフェスティバル2007(実行委主催)が23日、JR函館駅西口横のクィーンズポートはこだて前広場で開幕した。「ナチュラル&カラフル〜はこだて発!花の楽しさ新発見〜」がことしのテーマで、色彩感あふれる草花と多彩なイベントでにぎわいを見せている。

 17回目となる同フェスは、風土に根差した「花文化」をはぐくみ、市民が豊かさを実感できる「緑あふれる生活」を提案することを目的に、函館市や函館生花商協同組合など17団体が実行委を発足。

 この日は午前10時に「巴太鼓ジュニア」による力強い演奏とともに開幕。天気にも恵まれ、オープニングプレゼントとして先着500人に用意されたハーブの種は、15分でなくなる盛況ぶり。来場者は会場内に展示されているガーデニングやフラワーアーチ、サークル花壇などを鑑賞するとともに、フラワーマーケットに並んだ花の苗などを買い求めていた。

 同市上新川町から訪れた出口健三さん(80)、慶子さん(76)夫妻は「毎年楽しみにしている。今日はちょっと暑いけど、お祭り気分でととても楽しい」と笑顔を見せていた。

 最終日の24日は、マーチングバンドやフラダンスなどのステージイベントのほか、ガーデニングコンテストの表彰式も予定されている。 (小川俊之)


◎エンデューロIN木古内が開幕
 【木古内】腕自慢のライダーが豪快に疾走するオフロードバイクのロードレース「サバイバル2DaysエンデューロIN木古内」(木古内町主催)が23日、同町中野―亀川の特設会場で開幕した。全国から集った精鋭147人が、泥や水しぶきを上げながら約40キロの難コースを駆け抜けた。

 22回目を迎える木古内の初夏を熱く彩る一大イベント。昨年は国有林林道工事で中止となり、開催は2年ぶり。豊富な自然を生かしたコース設定で、山林や河川を縦横無尽に走破する。23日は4時間、24日は6時間以内の耐久レース。

 同町産業会館前で行われた開会式で木本護副大会長は「2年ぶりの大会に多くの人が参加してくれてうれしい。過酷なレースだが、日ごろの練習の成果を発揮してほしい」とあいさつ。選手を代表して前大会優勝者の鈴木健二さん(35)=静岡県=が「すばらしい木古内の大地を走れることに感謝し、2日間走り抜くことを誓います」と選手宣誓した。

 開会式後、選手らは交通安全を呼び掛けながら町内をパレードし、競技は午前11時から開始。5―4人ずつが一定の間隔を置いてスタートし、コースを2周してタイムを競った。初心者向けのチャレンジクラスは1周で争った。完走した139人が、2日目のレースに進んだ。 (田中陽介)


◎市電の運転体験会
 函館市交通局は23日、駒場車庫構内(函館市駒場町)で一般市民を対象にした市電の運転体験会を開いた。参加者は、交通局職員から制御装置の仕組みなどを教わり、最後は約100メートルの自力走行に挑戦。貴重な体験を終えた“臨時運転手”たちは、満足げな笑顔を見せていた。

 同局が車両を使った体験運転会を開くのは初めて。全国的にも珍しい試みとあって、29人から申し込みがあった。当初は1回15人を対象に行う予定だったが、午前と午後の計2回の開催となった。遠くは札幌市や新潟県、東京都、神奈川県、和歌山県など道外から5人の参加があった。

 初めに運転士が操作している様子を見学しながら、マニュアルやDVDを使って事前講習を行った後、乗務員養成用の模擬運転台で操作教習。最後に車両の運転席に座り、指導運転士が見守る中、同車庫構内の約100メートルの直線路を3回にわたって車両を動かした。

 函館市杉並町の金道慶太君(函高専1年)は「運転席に座ってみると、実際のスピード以上に速く感じ、思わずブレーキを強めにかけてしまった。小さいころから身近で市電を見てきたので、運転できて本当にうれしい」と興奮気味だった。

 体験を終えた参加者には、運転体験証明書、運転体験記念8000形ペーパークラフト、白手袋などがプレゼントされた。

 同局は「全国から応募があるなど、これほど注目を集めるとは思っていなかった。函館独自のイベントとして、定期的に開催していければ」と話していた。 (小川俊之)


◎企画・函館山の嘆息(上)感謝の気持ちがない…
 函館山(334メートル)は、1899(明治29)年に旧日本軍の要塞となり、太平洋戦争が終わる1945(昭和20)年まで一般の人の立ち入りが禁止された。この間に緑豊かな森が形づくられた。一般公開されるようになったのは46年から。山を愛する市民の保護活動で、野鳥や植物の宝庫としてその姿を保ってきた。

 北海道アウトドアガイドで、91年から2003年まで函館山ふれあいセンターで自然観察指導員を務めた木村マサ子さん(61)はかつて、要塞を調査したことがある。「そのころはクモの巣をかき分けるように進んでいた所が、最近は道ができ、容易に歩けるようになった」と困惑する。

 函館市住宅都市施設公社によると、函館山には「旧登山道」「観音コース」など、開放されている登山道は12ある。ほかに、要塞時代、軍道として使われた道がいくつかあるが、現在は立ち入り禁止している。ところが、ことしに入り、軍道など「知る人ぞ知る道」に多くの人が入り込み、植物が踏み荒らされているという。

 同公社は職員4人が交代で1日2回、各コースを巡回する。立ち入り禁止場所にはロープを張り、看板を設ける。その数は10カ所以上に上り、さらに増やす予定。ことしに入り、ロープから数?離れた所にできた新たな「入り口」に遭遇する機会が増えている。同公社花と緑課の佐藤敏治課長は「開放しているコース外に道ができ、山が荒れている」と危機感を募らせる。

 登山者はここ数年急増中だ。函館山ボランティアガイドの女性は「最近は常連より新しい人をよく見かけるが、ガイドを依頼する数は減っている」という。木村さんは「インターネットの個人のホームページや口コミで、一般に知られていない情報が出回り、多くの人があちこちに分け入っている」と分析する。

 この女性ガイドは「一般のコースを歩いていると、鳥の声しか聞こえないはずの場所から人の声が聞こえることが何度もある」と話す。初めて来た人が間違えてコース外や軍道を進んでいる可能性はないのか。ガイド、公社、木村さんの3者は「進入禁止の看板の脇から入るなど、故意に入っている」とそんな見方を否定する。

 コース外の現状を調べていた木村さんは、深い森の中で、大きな棒を持った男性を見かけたことがあるという。声を掛けると「何か変わったものがないか探している」との答え。自分だけの発見をするために歩き回わり、新しい道が生まれる。見つけ出した“道”の評判が広まり、また別の人が入り込む。この繰り返しで植物は次々と踏み荒らされていく。

 木村さんによると、ツレサギソウやミヤマエンレイソウが激減しているという。「みんなが守ってきた函館山に対し、感謝する気持ちがないから植物を踏みにじる」。先人が守ってきた山の姿が変わりつつあるのは、山に対する意識の変化の表れともいえる。山の傷はあらゆる方向に広がっている。

                         ◇

 貴重な動植物が生息する函館山。とりわけ植物は種類が豊富で希少種も多い。心ない入山者による盗掘や立ち入り禁止区域への侵入が後を絶たず、山は悲鳴を上げている。そんな現状を上下2回で紹介する。