2007年6月25日(月)掲載

◎はこだて駅スポ、小型SLに子どもら歓声
 JR函館駅駅前広場や同駅2階の「イカすホール」で24日、JR北海道発足20周年を記念したイベント「はこだて駅スポ2007」(JR北海道函館支社主催)が開かれた。小型SL「ミニ弁慶号」の乗車体験や縁日コーナーを楽しみに訪れた子どもたちは、晴天の下、元気な歓声を響かせた。

 午前9時半から、同広場でオープニングセレモニーを実施。地元有志でつくるちんどん屋「遊源会社・大黒笑事」や「鼓隆塾元流派・悠久四稜郭太鼓」が登場し、会場を盛り上げた後、松原光雄同駅長が「地域に密着する企業として、真心を込めてイベントを盛り上げたい」とあいさつした。

 ミニ弁慶号は、走路を例年の55メートルから90メートルに延長。子どもたちを乗せ、車掌の「出発進行」の合図で動き出した。乗車した古沢凪矢君(函館中央小1年)は「思ったよりも速くて、とても面白かった」と、笑顔だった。

 このほか、縁日コーナーでは、射的やヨーヨー釣りといった昔の遊びを体験できるとあって、親が子どもにコツを伝授する姿も見られた。 (浜田孝輔)


◎企画・函館山の嘆息(下)失われる貴重な植物
初夏を迎え、緑の彩りが濃くなった函館山。植物は約600種もあるといわれ、函館市の都市公園条例では、植物の採取を禁じている。だが、ラン科などの植物の盗掘が後を絶たない。

 2005年の初夏、環境省のレッドデータブックで、絶滅危惧(きぐ)種に分類されている野生ランのサルメンエビネの姿が消えた。通報を受けて駆けつけた、函館市住宅都市施設公社の職員はぼう然と立ち尽くした。

 今月中旬、函館山ふれあいセンターで12年間、自然観察指導員を務めていた木村マサ子さん(61)が、七曲りコースの一角にある石を指差した。「ここには1週間前、クマガイソウが咲いていた。2003年に初めて発見され、ことし4年ぶりに咲いたと聞き、見にきたらこのありさま」と怒り顔。花は盗掘されて、石が置かれていたのだ。

 木村さんが「コースわきの貴重な植物はすべて消える」と話しながら山を降りていた時、約20分前に昇っている時にはなかった、何らかの植物の盗掘跡が見つかった。木村さんは大きなため息をついた。

 函館山は現在、同公社の4人の職員が1日2回、午前と午後に山を巡回する。それでも盗掘は後を絶たない。手口も巧妙化している。木村さんによると、植物や山菜の採取と、バッグに隠して運ぶという連携作業をする2人組みを見かけたという。

 函館市の園芸店では、「昔、明らかに盗掘したと思われる野生種を買ってほしいと持ち込んでくる人はいた。店では相手にしないが、山から採ってきた植物はほとんど育たないだろう」と話す。

 同公社やボランティアガイドの人たちは、違法に植物を採ろうとした人を注意した場合、反抗される場合があるという。「相手は土を掘る道具などを持つ。自分の体が傷つけられる恐れがあるので深く注意できない」と話す。あるガイドは「注意を受けた人が怒るのは、自分にやましい心がある証拠」と話す。

 貴重な植物が目につきやすくなったのは、2004年9月の台風18号の倒木被害などの自然災害による影響もあるが、同公社や木村さんは、軍道跡など、開放コース以外を歩き、新しい道を作る登山者が多くなっため、草が踏まれて見通しが良くなったことを強く指摘する。

 同公社は現在、5年おきに改訂される函館山緑地整備計画を作成中。今月27日には函館市、同公社、函館植物研究会(宗像和明会長)の3者が、盗掘や立ち入り禁止区域の散策に対し、対策を考える予定。さまざまな問題を抱える中、同公社花と緑の課の佐藤敏治課長は、「規制を設けるより、山を大切にする気持ちを訴えたい」と話す。

 函館山にある三十三観音を清掃するグループの代表を務める山下寿津子さんは、「最近は観音像がきれいになっている。私たちの活動もあるが、心掛けてくれる登山者のおかげ。危険がなければ軍道を開放しても良いと思ったこともあったが、山が乱れる一方になる恐れがあるから、やめた方がいいのかも」と話す。

 山を敬い、大切にしようとする人がほとんどである。木村さんは、「山の使いっぱなしをするのは良くない。自己責任で山を守る気持ちを思いだしてほしい」と訴える。山の保護―。対策や規制を徹底するか、登山者の心に訴えるしかない中、傷つく山は無言で解決を望んでいる。 (山崎純一)


◎養護老人ホーム「清和荘」を移転改築し民営化へ
 函館市はこのほど、養護老人ホーム「清和荘」(同市湯川町1、定員150人)を民営化し、旧市立函館病院分院跡地(同市西旭岡町3)に移転改築する計画を明らかにした。民間活力による効率的な施設運営と質の高いサービス提供に期待している。

 養護老人ホームは、主に経済的な理由から居宅での養護を受けることが困難な65歳以上の自立者が入所する施設。特別養護老人ホームと違い、介護保険施設ではない。行政による措置施設であり、市に対して入居の申し込みをする。

 市内の養護老人ホームは現在、清和荘のほかに、民営の施設(定員150人)が1カ所ある。清和荘は1974年に現在地に建設されたが、老朽化が激しいことに加え、国が進めている個室化が遅れていることなどから改築が急務となっている。

 現在地での改築が敷地面積上、困難であることから、市では移転先を検討し、買い物の便や散策時の自然の豊かさなどの周辺環境から、旧函病跡地が最適と判断した。本年度中に運営法人を選定し、同跡地4万5000平方メートル中9000平方メートルを貸与。2009年4月から民営による運営を目指す。

 現在の清和荘は4人部屋と6人部屋が大部分を占めているが、移転後は個人のプライバシー保護や健康管理面での配慮から、1人または2人部屋を中心に整備する方針。定員については市と運営法人側が検討していく。

 市福祉推進課は「介護事業におけるコムスンのように利益優先ではなく、十分な実績としっかりとした理念を持った法人に運営を任せたい。移転先は自然が豊かで周辺環境にも恵まれていることに加え、近くに学校も多いので、地域との交流も深まることに期待したい」と話している。 (小川俊之)


◎コンサート「公民館マチネ」
 函館市公民館活性化ネットワーク「イキ!ネット」(松石隆代表)が主催するクラシックコンサート「公民館マチネ第参回」が24日、同市青柳町の同公民館で開かれた。今回は「チェンバロを囲んで」と題し、チェンバロ奏者の森洋子さんがプロデュース。チェンバロの独奏のほか、バイオリン、リコーダー、声楽との重奏が繰り広げられ、約300人の観客が洗練された演奏を楽しんだ。

 公民館マチネは、市の歴史的建造物の同公民館を音楽ホールとして活用していこうと企画されたミニコンサートで、今年2月、4月に続き今回で3度目の開催。

 コンサートは、森さんとリコーダー奏者の星典子さんの2重奏で幕開け。その後、森さんは野寺美友紀さんや次藤正代さんといったソプラノ歌手、バイオリン奏者の天野裕子さんと共演し、ヘンデルやバッハなどバロック音楽を披露した。アンコールでは全演奏者が舞台に登場して演奏。観客もチェンバロと他の楽器のハーモニーを堪能していた。

 演奏会終了後には、近くのホテルで交流会が開かれ、観客と演奏者、運営スタッフらが菓子を味わいながら親ぼくを深めた。

 次回は9月30日を予定している。 (鈴木 潤)


◎花と緑のフェス・ガーデニングコンテスト、田中潦風園が優勝
 クィーンズポートはこだて前広場で開かれた「はこだて花と緑のフェスティバル2007」(実行委主催)は最終日の24日も大勢の市民でにぎわった。この日は、市内近郊の造園業者7社が技術や庭の美しさを競ったガーデニングコンテストの表彰式が行われ、優勝となる函館市長賞には田中潦風園(東山町、田中猛社長)が輝いた。

 同コンテストは、6メートル×4メートルの区画で庭を造り、全体のバランスや立体感、色調などを審査員が採点。さらに来場者の投票分を加点し、順位を争った。市長賞のほか、第2位の市住宅都市施設公社理事長賞には、高瀬環境緑化(赤川町)、第3位のフェスティバル実行委員長賞には島津清樹園(宮前町)が選ばれた。

 優勝した田中潦風園のテーマは「新緑の息吹」。約20種類の草花を使用した。セイヨウブナなどに囲まれた庭には噴水が置かれ、水の流れ落ちる音が清涼感を演出。中央に置かれた作業用の一輪車にカリーを植え、その回りをブルーサルビアやペチュニアなどで彩りを添えた。

 今回が初優勝となった同社の田中社長(62)は「3週間前にできた図面を元に準備を進めてきた。入賞できればいいなとは思っていたが、うれしいです」と、市長賞を手に喜んでいた。 (今井正一)