2007年6月26日(火)掲載

◎「北海道のビーナス」…池坊文科副大臣が中空土偶視察
 池坊保子文部科学副大臣は25日、国宝となった著保内野(ちょぼないの)遺跡出土の「中空土偶」視察のため、函館市を訪れた。市立函館博物館では、展示準備中の中空土偶を西尾正範市長と鑑賞。池坊副大臣は「顔がほほえましく心が和みます。北海道の誇りにして、日本や世界中に発信してほしい。文化庁も協力させてもらいます」と述べ、市が計画している縄文文化交流センターについて支援を約束した。

 池坊副大臣は、24日に苫小牧市で開かれた全国植樹祭のために来道。この日は公明党の横山信一、佐藤英道、森成之道議らも随行し、国の指定史跡大船遺跡や五稜郭公園などを視察した。

 大船遺跡では、埋蔵文化財展示館や、竪穴住居の遺構などを見学。市教委の阿部千春参事から、南茅部地区の縄文遺跡群や、垣ノ島遺跡出土の世界最古の漆細工などについて説明を受け、年代の鑑定方法など熱心に質問していた。

 博物館で中空土偶と対面した池坊副大臣は「北のビーナス。未来へのメッセージ」と即興のキャッチコピーを披露。「海に面し、自然の中で生きてきた人々がいたことに歴史の深さや、北海道らしいおおらかさを感じる。来年のサミットの際には多くの海外の人にも見てもらいたい」と述べた。

 また、西尾市長に対し積極的に情報発信するよう求め、「日本の遺跡は点で存在しているので、秋田や青森と遺跡群の線としてつなげ、魅力をつくりたい」などと述べた。(今井正一)


◎小動物触れ合いゾーンも 実施設計950万計上…函館公園の動物施設リニューアル
 函館市は函館公園整備基本計画に基づき、同公園内の動物施設リニューアルに向け、本年度の補正予算案に実施設計費950万円を計上した。実施設計には、ウサギやポニーなどの小動物と直接触れ合える新たなスペースのほか、公園全体を管理するセンター設置などを盛り込む。予算の承認後、実施設計を委託し、2008年度着工を目指す。

 同基本計画は、緑の基本計画(2000年策定)に基づき、02年に策定。これまでに中央広場の噴水整備などを終えている。

 現在、同公園ではヒグマやヤギのほか、インドクジャクやハヤブサなど獣類8種25頭、鳥類31種95羽を飼育。道の傷病鳥獣協力機関としての役割も担っている。

 古くは1877年にキツネ飼育の記事が当時の新聞に掲載されている。本格的には、1933年ごろから飼育施設を設け、35年ごろには、クマやアザラシ、カモメなどがいたと記録にある。38年には、故カール・レイモン氏が、ライオンなどを寄贈。戦後も、公園内の噴水で、オットセイやアザラシなどの海獣類を飼育していたことがある。

 改修する動物施設区画は0・5ヘクタール。老朽化し、敷地が手狭であることから飼育環境の改善を図る。親子で動物と親しむことができる「ふれあいゾーン」の設置により、アニマルセラピーの役割も期待される。

 また、傷ついた野鳥などを療養させる鳥獣保護用ゲージの設置や、敷地内の段差を減らし、訪れた市民の休憩スペースとなる公園センターなどが設計に盛り込まれる見通し。

 完成予定は09年度で、同区画の整備を最後に同公園全体のリニューアルが完了する。(今井正一)


◎魚介類の輸出入額最多…昨年のコンテナ貿易概況
 函館税関がまとめた道内における2006年のコンテナ貿易概況によると、海路のみを輸送手段とした海上コンテナ詰め貨物の「コンテナ貿易額」は、輸出が前年比17・9%増の1149億円、輸入が同5・5%増の2166億円だった。すべての貿易額に占めるコンテナ貿易額の割合を示す「コンテナ化率」は、輸出が同0・2ポイント増の37・2%、輸入が同4・0ポイント減の17・3%。

 主要品目別で見ると、魚介類・同調製品が輸出入額ともに最も多く、輸出が同35・5%増の304億円、輸入が同8・5%減の359億円。コンテナ化率が高いのは、輸出が原皮・毛皮(未仕上)や飼料、紙・板紙でいずれも前年と同じ100%、輸入が肉類・同調製品で同0・1ポイント増の100%、家具が前年と同じ99・8%で続く。

 主要国別では、輸出入額ともに中国がトップで、輸出が同25・3%の340億円、輸入が同11・7%増の658億円。コンテナ化率は、輸出がエジプトと南アフリカの100%、輸入がルーマニアの100%で、それぞれ最多だった。

 同税関管内の道内14署所では、苫小牧が輸出額(同20・5%増の840億8100万円)、輸入額(同14・8%増の1341億7500万円)で、ともに1位。

 函館のコンテナ貿易額は、輸出が前年の2・3倍に相当する12億2000万円で8位、輸入が同5・3%減の57億9900万円で7位。コンテナ化率は、輸出が同4・4ポイント増の8・4%、輸入が同4・8ポイント増の38・0%だった。

 主要品目は、輸出入ともに魚介類・同調製品が最も多く、輸出が前年の2・4倍に当たる11億4120万円、輸入が同12・3%減の50億5463万円。主要国別では、中国が輸出(前年の2・1倍に当たる10億3352万円)、輸入(同16・3%減の32億7528万円)ともにトップだった。(浜田孝輔)


◎「サポーター」の人員不足が課題…ウイメンズネットなど
 配偶者や恋人からの暴力、ドメスティックバイオレンス(DV)に関し、函館市やNPO法人(特定非営利活動法人)ウイメンズネット函館(古川満寿子理事長)などに寄せられる相談件数は毎年1000件を越す。全件数の9割以上を受ける同NPOは、被害者の相談支援に当たる「サポーター」の人員不足が課題となっている。このため市が6月補正予算案に計上した「DV被害者サポーター養成事業」に期待を寄せている。

 現在、同NPOでは古川理事長ら2人が常駐し、主婦や公的機関の元相談員ら7人のボランティアのサポーターが交代で対応しているが、一日3、4人体制を確保するのが精いっぱいという。

 相談業務だけでなく、道の委託で被害者が一時避難する保護施設「シェルター」も運営。同NPOによると、面談だけで多い時は一日4組が訪れ、1組当たり2時間程度かかる。このほかシェルター入居者の日常生活の援助、外出時の付き添いなどもボランティアが担っている。

 また被害者やその子どもへの接近を6カ月間禁じる保護命令や離婚調停の申し立て、生活保護の申請などさまざまな手続きも補助する。古川理事長は「全体の状況を把握できる常勤が2人だけでは足りない」と漏らす。

 函館市が予算計上した養成事業はサポーターの養成と資質向上を図り、円滑な支援を行うのが目的。同NPOに事業を委託する方針で、DV被害者支援の理念をはじめ、法律や心のケアなどを学ぶ講座を早ければ今秋にも開く計画だ。

 DVへの理解不足から、公的機関の職員や調停員の発言が被害者の心を傷つける「2次被害」は後を絶たない。サポーターはDV被害者支援の理念に理解を深め、知識を身に付けて専門性を高める必要がある。

 古川理事長は「講座を通じてサポーターの技量を高め、被害者の意向に沿った形で支えたい。DVに理解ある人に新たなサポーターになってもらえたら」と話している。(宮木佳奈美)


◎旧幕府軍兵士 安らかに…碧血碑慰霊祭
 1869(明治2)年の箱館戦争で戦死した旧幕府軍兵士の霊を慰める「碧血碑(へっけつひ)慰霊祭」が25日、函館市谷地頭町の碧血碑前で行われた。約100人が参列。碑に手を合わせ、祭られている約800人の兵士をしのんだ。

 慰霊祭は、柳川熊吉の4代目に当たる柳川昭祈治さん(79)が会長を務める箱館碧血会が主催し、ことしで139回目。碧血碑は、箱館戦争終結から5年後の1874年に建立。この日は旧暦の5月16日で、旧幕府軍の運命が決した千代岡陣屋陥落の日に当たる。1941(昭和16)年の同会会合で法要日とした。

 同市船見町の実行寺の住職らが読経する中、会員、一般の順に焼香。柳川会長のほか、伊庭八郎の弟、武司の子孫で千葉県浦安市の金田秀昭さん(62)ら遺族が多数出席した。毎年恒例となっている、谷地頭保育園の園児による手作りだんごが、碑前に供えられた。

 柳川会長は「毎年この日は晴れる。多くの参加者のおかげで戦死者も感謝の気持ちを持ってるだろう。良い国づくりのために挑んだ兵士たちの人間性を尊重し、このような人を育てなければ」とあいさつした。

 金田さんは、慰霊祭に先立ち、南北海道史研究会員の近江幸雄さん(70)の案内で、五稜郭公園内の同公園管理事務所近くにある、伊庭八郎が埋葬されたとされる場所を初めて訪れた。アカマツが植えられた山に手を合わせ、祖先の霊を慰めた。

 金田さんはこれまでも何度か同公園を訪れていたが、明確な場所を知ったのは初めて。高さ約1メートル50センチの山やアカマツを眺め、「五稜郭に眠っていることは聞いていたが、場所が分かって感無量。八郎は、木の上で被弾したが、その木はこのアカマツのような形だったのだろう」と話していた。(山崎純一)


◎今被告が病死…亀田農協1億円窃盗
 【札幌】昨年12月の函館市亀田農協1億円窃盗事件での有罪判決を不服として控訴し、札幌刑務所の札幌拘置支所(札幌市東区)に拘置されていた同農協元金融部運用課長の今正光被告(58)が病死したことが25日、分かった。同刑務所は「プライバシー保護」の観点から死亡した収容者の氏名などは公表していないが、関係者の話で明らかになった。

 同刑務所によると、24日午前7時50分ごろ、巡回中の男性刑務官が単独室(独居房)で布団の上にうつぶせの状態で反応がない今被告を発見。意識不明のまま札幌市内の病院に運ばれたが、同8時40分ごろ、死亡が確認された。目立った外傷などはなかった。

 検察当局が25日に司法解剖した結果、死因は急性心不全だった。今被告は6月上旬から同支所に拘置され、糖尿病や精神疾患の投薬治療を受けていたという。

 今被告は昨年12月、函館市亀田農協本店から現金約1億円を盗んだとして窃盗などの罪に問われ、函館地裁で4月下旬、懲役3年(求刑・懲役5年)の実刑判決を言い渡された。この判決を不服として札幌高裁に控訴していた。

 同刑務所の南部良明総務部長は「拘置中の被告人が死亡したことは誠に遺憾だが、健康管理は適切だったと認識している。再びこのようなことがないように被収容者の動静を一層気を付けていきたい」と話している。