2007年6月27日(水)掲載

◎音更町のガラス作家・勝野さん「吹き硝子展」
 十勝管内音更町在住のガラス作家、勝野好則さん(43)の個展「吹き硝子(ガラス)展」が26日、函館市本町31のギャラリー文林館で始まった。吹きガラスならではぬくもりが伝わる器など100点が並んでいる。7月1日まで。

 勝野さんは大自然を表現した北海道らしいガラス器を創造し、オーダーメードは飲食店などで使用されている。

 函館での個展は2年ぶり2回目で、吹きガラスを中心に空き瓶を再生したガラスなども展示。

 上川管内東川町の喫茶店のために制作した「ひがしかわ」は、透明地に雪や雲を表す白、実りの秋を示す赤、稲穂の緑などを配色した柔らかい印象のシリーズ。ほかにも気泡で星を表し、夜空をイメージした器など、心癒やされる作品が訪れた人の目を楽しませている。

 勝野さんは「新たな創造につながるよう函館の方から多くの感想を聞かせてもらいたい」と来場を呼び掛けている。

 時間は午前10時から午後6時(最終日は同4時)まで。


◎函館市副市長人事、採決日程めぐり議運空転
 函館市議会の議会運営委員会(能川邦夫委員長)が26日、函館市役所で開かれた。西尾正範市長が定例会初日に提案して同意を求める予定だった副市長の人事案件の採決日をめぐり、各会派で意見が分かれ、7時間にわたり審議が中断した。最終的に、代表質問終了後に議案を上程し、採決することで合意。副市長の採用は、早くても7月4日以降にずれ込む見通しとなった。西尾市長にとって、市政改革の象徴ともいえる初の民間副市長誕生は、“産みの苦しみ”を伴う形となりそうだ。

 西尾市長は5月22日の記者会見で、副市長に北海道ガスの谷沢広前函館支店長(現営業本部長付)を登用する方針を発表。定例会初日に人事案件を提案し、7月1日付で採用する意向を示していた。

 この日の委員会審議で副市長の人事案件の取り扱いについて、当初、能川委員長が、開会日に上程し、質疑終了後に採決―の案を提案。民主・市民ネット、市民クラブ、共産党は同意したが、新生クラブは、代表質問終了後、公明党が議会最終日の採決を主張した。

 意見調整のため開会直後の午前10時10分ごろから休憩に入った。各会派の調整は難航し、午後5時10分にようやく再開。能川委員長は、7月4日の代表質問終了後に議案を上程し、採決―とする代替案を提案。一部会派から「本意ではないが」との意見はあったが、全会一致で合意を得た。

 委員会終了後、能川委員長は「民間からの副市長登用は初めてのこと。会派からは『市長の思いがよく分からない』といった意見もあり、市民の理解を深めるため、議会としても市長の考えを聞くべきだと判断した」と語った。(今井正一)


◎函館市総合計画素案、人口減の面から雇用対策
 函館市は、本年度から10カ年の新総合計画の素案をまとめた。昨年12月に発表した原案に対する市議会や市民の意見を反映し、作成した。「人口減少や少子化対策の立場からの雇用対策が重要」との意見を受け、重点プロジェクトの中に人材育成や雇用に関する施策を追加した。

 新たに「地域の産業を支える担い手の育成と雇用環境の向上」を加え、経済界と連携し、若者などが地元に定着できるよう、魅力ある就業の場の創出などを目指す。主要施策として▽各産業分野における担い手・後継者の育成・支援▽地域産業の振興や企業誘致による魅力ある就業の場の創出▽企業や各種団体との連携による、若者から高齢者、女性、障害者の就業機会の確保・拡大―などを掲げた。

 市企画部によると、市議会総合計画特別委員会と市民代表、有志による総合計画審議会、広く市民から公募したパブリックコメントを参考に、施策の修正や肉付けをした。5部10章49節の構成は原案と変わらないが、「健康づくりの推進」や「幼児教育の充実」などの施策を、関係する節で追加した。

 2月に実施したパブリックコメントは、14人から48件が寄せられた。「地産地消の推進」についての表現が弱い、との指摘を受け、宿泊施設や飲食店との連携によるイベント開催や地元水産物を活用したメニュー開発などの主要施策を追記した。

 市はまた、計画期間の10年間に予想される建設事業と概算事業費をまとめた。道路や公営住宅、上下水道整備など生活基盤整備の事業を含め、総額は1688億5000万円。

 今後の社会情勢や市民ニーズ、財政状況などにより変化するが、政策的な事業では総合博物館整備に40億円、総合的スポーツ施設整備に62億5000万円、国際水産・海洋総合研究センター整備に30億円、コンベンション施設整備に20億円―などがある。(高柳 謙)


◎渡島管内自動車税、期限内納付率は微増
 渡島支庁管内で5月末の期限内に納付された自動車税は、納税予定額の62・1%で、前年度(60・7%)をわずかに上回った。本年度から始めたコンビニエンスストアでの納税が全体の15・8%を占め、全道平均を1・9ポイント上回った。同支庁は「企業などへのPRや利便性向上が納付率アップにつながった」(納税課)と分析。しかし、期限内納付率は全道21の支庁・道税事務所中税額で18位にとどまっており、同支庁は督促状送付などで納付を促していく。

 本年度の同支庁管内の納税対象は、16万8746台、税額は61億5476万円。納期内に納付されたのは台数で10万3142台(61・7%)、税額で37億8140万円(62・1%)。前年度を台数で1・0ポイント、税額で1・4ポイント上回ったが、台数、税額とも全道を1・9%下回った。

 コンビニ納付は全道のコンビニ7業者で実施し、渡島管内でも一部を除いて受け付けている。納期内納付のうち1万5821台分の5億9651万円が納付された。全体に占める割合は、全道の支庁・道税事務所中、札幌の15・97%に次いで2番目に高く、便利で手軽な納付方法として受け入れられたことがうかがえる。

 一方、期限内納付率の順位は前年度17位、2005年度21位、04年度20位(いずれも24支庁・道税事務所中)と、例年最下位グループに位置している。同支庁、函館土現などは幹部7人が中心となって企業や団体を訪問するなどして呼び掛けたが、大幅アップにはつながらなかった。

 道が徴収する自動車税は、ディーゼル車の減少や軽自動車へのシフトなどで台数、税額とも減少傾向にある。貴重な財源だけに同課は「今後も早めの納付を促していきたい」と話している。(原山知寿子)


◎市民団体、フジ棚の現状維持を要望
 函館市内の特別史跡五稜郭跡(五稜郭公園)での箱館奉行所復元整備事業に伴い、市教委が移設を検討しているフジ棚について、市民団体「五稜郭藤棚を守る会」(山崎淳子代表)は26日、フジ棚の現状維持などを求める要望書を西尾正範市長、市議会の阿部善一議長あてに提出した。

 市教委は文化庁の指導の下、1866(慶応2)年ごろの建造当時の姿を復元するのを前提に整備計画を推進。昨年着工した奉行所庁舎に続き、2009年度に表門の復元工事を予定している。

 表門はかつて園内の「二の橋」を渡ってすぐ正面にあるフジ棚の場所にあったとみられる。文化庁などから表門の復元について「正面から石垣がよく見えるように」と指導されたのを踏まえ、フジ棚の移設を検討。今秋にも表門の位置を確認する発掘調査を実施し、フジ棚の場所と合致すれば年度内に移設先や手法などの方向性を示す方針だ。

 要望書を出した山崎代表(61)=同市美原3=は、6月中旬に友人や知人を通じて集まった賛同者100人で「守る会」を発足した。

 山崎代表は「復元した偽物の門を造るために歴史ある樹木を移設するのは許されない。現在の場所だから土手からの眺めも美しい」と移設に反対し、計画再考を求めている。7月末までに要望書に対し、文書で回答するよう求め、西尾市長との面会も申し入れた。

 市緑化推進課などによると、フジ棚は1913年の五稜郭公園開設後、園内の食堂経営者が別の場所に植栽。20年以降に市が現在の場所に移設したという。市教委生涯学習部の須田正晴部長は「初夏の風物詩として市民や観光客に親しまれているので、園内の別の場所で残したい」と話している。(宮木佳奈美)


◎函館理容美容専門学校生が道大会で1―3位独占
 函館理容美容専門学校(中島眞之校長)の理容科生徒3人が、室蘭市でこのほど行われた「第60回北海道理容競技大会」(道理容生活衛生同業組合主催)のChallenge(チャレンジ)メンズ部門で1―3位を独占した。同校生徒が同部門のベスト3に名を連ねる快挙を成し遂げたのは昨年に続き2回目。3人は、理容師としてさらに技術を高める決意を新たにしている。

 優勝したのは吉川恵太さん(20)、2位は皆川悠太さん(19)、3位は伊東剛さん(19)。

 同大会には全道の理容師が参加。「クラシックカット&スタイル」や「レディスカットヘア」「ウイックモード・フリースタイル」など7部門でカットやブローの技術を競った。吉川さんらまだ理容師免許を取得していない学生が挑戦するのは、メンズとレディスに分かれたチャレンジの2部門。メンズには16人、レディスには14人が出場した。

 同校からは、2年生全5人のうち、メンズに4人、レディスに1人が挑戦。出場者は、3月下旬ごろから髪型やカラーの試行錯誤を繰り返した。5月には同組合函館支部の練習会に参加してブローなどの練習を重ね、技術に磨きをかけて臨んだ。本番では、事前にカットやカラーを施した人形の髪型を25分の制限時間内にセットする。

 優勝した吉川さんの作品は、長く伸ばした右側側頭部の毛髪を横に流し、頭頂部などは束を作るように細かにブロック分けをして立たせた動きのあるスタイル。好きな紫のカラーを効果的に使った。吉川さんは「長い片方にはドライヤーを丁寧にかけるように心掛けた」といい、「優勝は予想していなかったので驚いた」と喜ぶ。

 2位の皆川さんも長い右側頭部の毛髪を横に流し、色は赤を使用。「生きているように見えるよう、動きにこだわった」という。3位の伊東さんは対照的に、側頭部を短く押さえて頭頂部を膨らませた。「4色を使い分けた」という紫のグラデーションが美しい。

 3人を指導した同校教員(理容専任)の三春和也さんは「直前には一日に3回のセット練習を重ねた。これを機にさらに飛躍してほしい」と願っている。(小泉まや)