2007年6月3日(日)掲載

◎スルメイカ漁解禁 初水揚げ
 道南近海でのスルメイカ(マイカ)漁が1日解禁され、2日早朝に函館市入舟町の函館漁港などで初水揚げされた。スルメイカは、市水産物地方卸売市場(豊川町)で早速競りにかけられ、仲卸業者らの威勢の良い声が飛び交う中、次々と競り落とされていった。

 市漁協からは、昨年の初日より1隻多い24隻が出漁。従来の松前沖に加え、函館沖(前浜)で操業する漁船もあった。

 上ノ国町や乙部町などから陸送された分と合わせた、全体の水揚げ量は、昨年の約25トンに対して約12トンと半減。このうち、いけす用の水揚げ量は、昨年同日比581キロ減の1282キロ。1匹当たりの重さは約70―100グラムと、例年並みかやや大きく、卸値は1キロ当たり880―1200円と、昨年の初値(600―820円)より4割ほど高かった。

 同市場の卸売会社、函館魚市場(松山征史社長)によると、「漁場の潮回りが悪かったため、全体の量としては少なめだったが、活イカの需要は高まっている。曜日の関係で、スーパーの仕入れが多く、高騰の引き金になった」と説明。「原油が高騰していることもあり、今後も前浜での操業が多くなりそう。今後に期待したい」と話していた。

 なお、スルメイカ漁は漁場を徐々に西へ移動しながら、7月中旬ごろに函館沖での操業がピークを迎え、来年1月末まで続けられる。(浜田孝輔)


◎函工 優勝逃がす…春季道高校野球
 【札幌】高校野球の第46回道春季大会の決勝へ6年ぶりに進んだ函館工業は2日、札幌市内の札幌円山球場で駒大苫小牧(室蘭支部)と戦った。健闘及ばず1―13で敗れたが、球場内からは温かい拍手が送られた。

 控えの野球部員や吹奏楽部員、生徒会役員らのほか父兄やOBら約200人が3塁側スタンドに陣取り、最後まで熱心に応援した。しかし、前半の大量失点が重くのしかかり、21年ぶりの栄冠はならなかった。

 前評判の高くなかった同校が、勝ち上がるたびに強くなる姿は高校野球ファンの心に残ったよう。スタンドからは「夏また来いよ」と期待の言葉が寄せられていた。(岡部彰広)


◎乗客数、料金収入ともに微増…函館市交通局06年度市電実績
 函館市交通局は2006年度の乗客利用実績をまとめた。福祉関係を含む乗客数は前年度比6万3061人(0・95%)減の656万6518人で、料金収入は同961万円(0・88%)減の10億7949万円だった。上期(4―9月)は乗客数、料金収入とも前年度を上回るペースで推移したが、下期(10―3月)は暖冬で降雪量も少なく、利用が伸び悩んだ。利用者の減少傾向は続いているが、乗客数、料金収入とも微減にとどまった。

 上期は、乗客数が前年度同期比3・03%増の343万1417人で、料金収入も同3・25%増の5億6451万円と好調。市交通局は、ガソリン価格高騰によるマイカー利用者の減少や、観光客の回復などを要因に挙げる。

 しかし、雪が少なかった下期は、利用が伸び悩んだ。乗客数が同4・97%減の313万5101人、料金収入も同5・05%減の5億1498万円。大雪で利用者数が伸びた05年度下期と比べると、大きく落ち込んだ。

 同局運輸部管理課では、バスやタクシーを含めた輸送業界全体の問題でもあり、人口減少が進む函館市内では、利用者減少の傾向は続くとみる。ただ、修学旅行生や団体客を中心に、一日乗車券の売り上げは伸びているという。

 同局は昨年度から電停の命名権を販売する「ネーミングライツ制度」を導入するなど、新たな増収対策に取り組んでいる。また、新型の超低床電車の導入や、JR函館駅前を中心に、沿線の活性化につながるホテル進出が相次ぐなど、市電復権に向けた明るい材料もある。

 同課は「05年度は大雪で下期の利用が伸びていたので、前年度と比べると反動は大きかったが、全体の減少幅は小さくなっている。市民にいかに乗ってもらえるか、PRに力を入れていきたい」と話している。(今井正一)


◎9月にユジノへ再派遣…昨年中止の中学生訪問団
 函館市は本年度、昨年9月に法定伝染病流行のため中止となったロシア・ユジノサハリンスク市への中学生海外派遣事業を、同じメンバーで実施する。現在、中学3年生となった6人、高校1年生となった9人の意向を聞いて、希望者で訪問団を結成する。過去には2001年9月の米同時多発テロで中止になったカナダ・ハリファクス市への派遣が、翌年に実施されたケースがある。

 同事業は、中学生を市の姉妹都市や友好交流都市に派遣することで異文化を体験し、見聞や国際感覚を広げてもらうことなどを目的に2000年度から始まった。例年、3回に分けて派遣しており、昨年9月のユジノ派遣団は出発直前、風邪に似た症状が出る脳脊髄(せきずい)膜炎が現地で流行し、7泊8日の派遣を急きょ取りやめた。

 市教委学務課によると、本年度は4回実施し、9月に昨年度の分を合わせてユジノへ2回、10月にロシア・ウラジオストク市とオーストラリアのレイク・マコーリー市へ各1回、派遣する予定。

 再実施となるユジノ訪問は、5泊6日の日程。現地でホームステイをしながら市民や中学生と交流を深め、ユジノ市役所や日本領事館などへの訪問も予定している。昨年の派遣団は文化交流の一環で、現地の中学生たちに披露するYOSAKOIソーランや合唱などを練習したが、そうした出し物ができるかなどは今後検討する。中学校長を団長に、教諭1人、市教委職員1人が同行する。

 同課は「昨年は突然の中止で、生徒たちに残念な思いをさせた。異文化を学び、体験するさまざまなことを今後の学業や人生に生かしてほしい」と話している。(高柳 謙)


◎空港緑地高松西広場オープン
 函館空港に隣接する「空港緑地高松西広場」(函館市高松町281)が2日、オープンした。大勢の家族連れや保育園児らが詰め掛け、初夏の暖かい日差しが降り注ぐ中、自然あふれる空間で楽しいひとときを過ごした。

 同広場の総面積は約1万6000平方メートル。国有地だった土地を空港環境整備協会の助成を受け、2005年9月に造成に着手した。総事業費は約1487万円。広場内には、倒木を利用した手作りのベンチ71基を設けたほか、函館海峡ライオンズクラブから寄贈されたウメ151本、市民記念植樹のサクラ20本が植えられている。

 オープンに先立って行われた記念式典で渡辺宏身市港湾空港部長は「市民で作り上げた公園として育てていきたい」とあいさつ。市消防音楽隊によるファンファーレの下、同空港や周辺町会の関係者らとテープカットし、門出を祝った。

 福沢有咲さん(函館湯川小1年)は「広い公園なので、友達と鬼ごっこをして遊びたい」と笑顔で話していた。(浜田孝輔)


◎「函館ふるさと紀行」自費出版…郷土史家・近江幸雄さん
 函館市白鳥町の郷土史家、近江幸雄さん(70)は、1997年から99年まで函館新聞に連載した「函館ふるさと紀行」の24話と、91年から99年までタウン誌「はこだでぃ」(休刊中)に連載した「はこだてウオッチング」47話をまとめた「函館ふるさと紀行」を自費出版した。自ら調査、研究した函館の歴史、名勝などを詳しく案内している。約900人が函館歴史文化観光検定(はこだて検定)を受検するなど、函館を知ろうとする人が増えており、近江さんは「函館を知り、広めたいとする人は多い。少しでも参考になれば」と話している。

 函館ふるさと紀行は、函館新聞創刊時、毎週日曜に掲載していた。函館市のほか旧上磯町と旧大野町(現北斗市)、七飯町の話題を、各地域の郷土史家が寄稿していた。このうち近江さんが執筆した函館市分24話が収録されている。

 高砂通は、願乗寺川として開削された跡地であることや、かつて箱館戦争の舞台だった弁天台場などについて解説。市立函館図書館に収蔵されていた写真や資料などを添え、硬い内容にならない工夫を凝らしている。

 「はこだでぃ」は49号で休刊となった。近江さんは、創刊から2度休み、最終刊までに「はこだてウオッチング」を47話連載。函館を散歩するような軽いタッチで紹介している。

 それぞれの話には、近江さんの思い出も込められている。「市場と言わない中島廉売」「想いふかし水道道路」など、親しみやすいタイトルを付けている。

 近江さんは「10年前の執筆時には存在していたが、今は姿がないものもある。函館の景観は10年のペースではなく、1日ペースで変化している。知らないうちになくなるものがたくさんある」と危ぐし、出版を決意したという。

 完成した本を手に「郷土史家として、函館の歴史と文化を後世に伝える義務がある。小さな本だが、活動の小さな明かりを消すことはできない」と力を込める。

 A4判、71ページ。200部作製。市内の中学校に寄贈するほか、同市駒場町の浪月堂書店で1部800円で販売中。問い合わせは近江さんTEL0138・43・3058。(山崎純一)