2007年6月30日(土)掲載

◎スーパーアークスがオープン
 道南ラルズ(函館市港町1、馬場利昭社長)初の複合型商業施設「ポールスターショッピングセンター」の中核施設となる「スーパーアークス港町店」(港町1)が29日、オープンした。予定より20分繰り上げて午前8時40分に開店。大勢の市民が詰めかけ、買い物かごを手に、お目当ての商品を目指して店内に駆け込んでいった。

 道南初のスーパーアークス業態の店舗で、延べ床面積は3359平方メートル。食品スーパーのほか、テナント店8店が入居している。9月上旬までに別棟2棟もオープンする予定。

 セレモニー出席した道南ラルズの会長でアークス(札幌)の横山清社長は「建物は立派でも、中身が大切です。消費者のニーズの変化に追いつくのも大変ですが、皆さまからアドバイスをいただき、函館のため、港町のために頑張っていきたい」と抱負を述べた。

 続いて、午前6時ごろから並び、一番乗りを果たした買い物客の代表者や周辺町会関係者とともにテープカット。新しい店舗の門出を祝った。

 元日を除き年中無休。7月1日まで午前9時開店。通常の営業時間は午前10時から午後9時45分まで。(土・日曜は午前9時から)。問い合わせは同店TEL0138・62・2000。(今井正一)


◎10月から函館でも導入…民間駐車監視員
 道警函館方面本部が10月から、函館市内・近郊の函館中央、函館西の両署管内で民間の「駐車監視員」制度を導入する方針を固めたことが29日、分かった。道内では札幌市内に続いて2例目。同制度は、違法駐車の取り締まりを強化した改正道路交通法の柱の一つで、悪質な放置車両を減少させることで渋滞緩和や事故抑止などの効果が期待される。

 道内での駐車監視員制度は、昨年6月から札幌市内の9署で実施しており、3社38人が取り締まりに当たっている。ことし10月からは函館、北斗、七飯の2市1町を管轄する函館中央、函館西両署でも2組4人が活動する予定。7月の道議会で予算案が議決された時点で正式決定となる。

 同制度は道公安委員会から認定された駐車監視員が二人一組で活動。違法駐車を確認した際、「確認標章」と呼ばれるステッカーを張り、違反車両をデジタルカメラで撮影した上で、各警察署に引き継ぐ。警察はそのデータを基に交通反則切符を切る仕組みだ。

 10月から新たに駐車違反の取り締まりが民間委託される地域は、道内では函館の両署管内だけ。背景には函館方面の交通モラルの低さという事情もある。

 昨年6月の改正道交法施行以来、1年間の摘発件数を、札幌を除く4方面で比較すると、函館は前年同期(1418件)に比べ約9倍の1万2634件で、旭川方面(4378件)、釧路方面(8060件)、北見方面(1355件)と比べて突出している。「中には二度、三度と検挙されるドライバーもいるため、函館の運転者の意識は低いと言わざるを得ない」(函館方面本部交通課)。

 同課によると、駐車監視員制度の導入によって、札幌市内での違法駐車は激減。「緊急車両が通りやすくなった」「渋滞が減った」「バスが定刻通り運行できる」などの効果が表れているという。同課の川村博次席は「駐車違反取り締まりの民間委託は、警察が重大な犯罪捜査に力を入れられるメリットもある。円滑な交通環境が整備され、違反者を厳しく取り締まることで事故防止につながれば」と期待を寄せている。(森 健太郎)


◎政治姿勢や公約問う…函館市議会代表・個人質問
 函館市の第2回定例市議会で、7月3日から始まる代表質問・個人質問の要旨がまとまった。代表質問では全5会派が、西尾正範市長の政治姿勢や公約実現に向けた考えをただす。個人質問でも政治姿勢に加え、助役辞任の理由や市長選での対立候補(前市長)らに対する発言について問う議員がいる。議会各会派は西尾市長の「出方」をうかがう構えで、市長がどのような軸足で答弁するか、注目される。

 代表質問は3日午前10時10分から石井満氏(民主・市民ネット)、午後1時から吉田崇仁氏(新生クラブ)、同2時50分から北原善通氏(市民クラブ)、4日午前10時から瀬尾保雄氏(公明党)、同11時40分と休憩を挟み午後1時から高橋佳大氏(共産党)が登壇する。

 石井氏と吉田氏、瀬尾氏は、市政運営の基本姿勢や4年間の目標について質問する。市長はマニフェスト(選挙公約)に、4年間で出生者や就業機会、正規雇用者、市民所得の10%増を掲げて当選した。行政の力だけでの達成は難しい目標で、実現に向けた市長の考えや具体的な方策を問う。

 瀬尾氏はこのほか、民間からの副市長の登用や校長の「知恵の予算」、函館市の活性化策、医療費助成の拡大、保育料の大幅軽減など、公約全般についてただす。

 北原氏は、乳幼児医療費助成拡大のほか、市民と行政の協働のまちづくりなど、高橋氏は、構造改革や憲法9条と平和などに対する市長の政治認識についての発言を通告した。

 市長選関連の内容は、個人質問で取り上げられる。4日午後3時10分から福島恭二氏(民主・市民ネット)が、助役辞任の理由や雑誌社からの非難の要因などを問う。6日午後3時からは黒島宇吉郎氏(新生クラブ)が、市長選時の西尾氏の発言や一連の福祉施設建設問題について、考えをただす。 (高柳 謙)


◎企画 20年目の歴史絵巻き 函館野外劇の歩み(1)
 ことしで20回目を迎え、いまや函館の夏の風物詩となった市民創作函館野外劇「星の城、明日に輝け」(公演全10回)。7月6日の開幕まで1週間を切った。運営するNPO法人(特定非営利活動法人)市民創作「函館野外劇」の会(フィリップ・グロード理事長)のスタッフは準備に余念がなく、キャストは練習を重ねている。スタッフ約100人とキャスト約400人の計約500人は毎回、すべて市民ボランティア。ことしも地域のまちづくりへの気運を高めていく。

 函館野外劇は、国の特別史跡「五稜郭跡」の堀や特設の水舞台、土手など、史跡を最大限に活用したステージで行われる。恵まれたロケーションで演じられる75分間のストーリーは、照明や音響効果で、函館の歴史絵巻をダイナミックに伝える。主役は、函館の歴史、それぞれの時代を決死の思いで生きてきた人々だ。

 コロポックルが華やかにオープニングを演じ、函館ゆかりの人が次々と登場する。江戸時代、函館発展に尽力した高田屋嘉兵衛。登場シーンは水舞台の威力が発揮される。海に囲まれた港町・函館の地形、街の魅力が表現されている。

 アメリカから訪れ、函館を絶賛したペリー提督をはじめ各国の要人が次々と現れる。国際化の波は、大人数のフラッグダンスで演出。ロケーションに適したスケールの大きさ、華やかな踊りは、観客の目をくぎ付けにする。

 やがて、武田斐三郎が“星の城”五稜郭を建設。奇しくも、城郭を有名にしたのは箱館戦争。榎本武楊、土方歳三らのドラマは弁士が語る。ここでも堀の中で、甲鉄丸から大砲の攻撃戦を展開。戦闘シーンは海上での歴史再現そのもの。

 その後、日露戦争後に北洋漁業が盛んになり、堀には北前船が往来。港町の繁栄を象徴する。

 だが、街を大火が襲う。1907(明治40)年の大火では、街の回復を絶望視した石川啄木が函館を去る。市民は、大火の経験は無駄にせず、街は姿を取り戻す。「港まつり」が復活のシンボルだ。しかし、今度は戦争の火が街を包む。

 あらゆる時代を躍動感いっぱいに演出するのは、舞台照明家の沢田祐二さんが率いるプロスタッフによる照明効果。深い緑を包んだ夜空は、未来に期待をかける青、惨劇の赤やオレンジなどの照明、スモッグ、レーザー光線などで彩る。堀の水面への反射が幻想的で、水舞台の魅力が増す。

 函館は不死鳥のように何度もよみがえり、現代を迎える。それらを見つめてきたのは星の城。これからも未来へ羽ばたく函館を星の城は見守り続ける。あらゆる激動の中で時代を築いた人たちがフィナーレを飾り、幕を下ろす。

 函館は不死鳥のように何度もよみがえり、現代を迎える。それらを見つめてきたのは星の城。これからも未来へ羽ばたく函館を星の城は見守り続ける。あらゆる激動の中で時代を築いた人たちがフィナーレを飾り、幕を下ろす。

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 国内最大規模の市民創作「函館野外劇」は、歴史とロマンの街・函館の観光資源として、全国から高い評価を得るまでに成長した。20年の足跡や果たす役割に触れながら、その魅力を探る。

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 公演は7月の毎週金・土曜と8月4、5日の全10回。開演は午後7時半。会場は五稜郭公園内野外劇特設会場。入場料は、大人2000円(前売り1800円)、高校・短大・大学生1000円(前売り900円)、小中学生500円(前売り400円)。親子セット(大人1人と小中学生のいずれか1人)2000円(前売りだけ)。前売り券発売所は、函館野外劇事務局(?0138・56・8601)のほか、市内各プレイガイド、JR北海道みどりの窓口ツインクルプラザなど。問い合わせは野外劇事務局。


◎管内の温泉施設 緊急安全点検…渡島保健所
 東京都渋谷区の女性専用温泉施設での爆発事故を受け、渡島保健所は管内の温泉施設の緊急安全点検を実施している。くみ上げた湯内にメタンガスなど可燃性の天然ガスが含まれているかなどを施設から聞き取り、ガスを含有する湯をくみ上げる施設内に職員が立ち入り、排気設備などを調べている。早ければ4日までに調査を終えて道に報告し、施設によっては再調査などが行われる可能性もある。

 同保健所によると、同保健所管内には約300の泉源があり、うち約200で温泉施設などとして利用。泉源のうち、森町濁川地区が未利用も含めて約130あるが、ガスが含まれていないことを確認したという。

 立ち入り調査は、1000メートル以上掘削してくみ上げている施設、温泉中にメタンガスを含有する施設約20カ所を対象に実施。くみ上げた温泉をためるタンクから、含まれたガスを分離して屋外に排出する通気管の有無などをチェックしている。

 29日には、職員2人がホテル海王館・函館スパビーチ(北斗市七重浜8)を訪問。温泉と混入したガスとを分離する「ガスセパレーター」の設置を確認した。佐々木敏則支配人は「含有するガスはセパレーター設置の必要はない量だが、事故を受けてあらためて点検した」と話していた。(原山知寿子)


◎ブロッコリーの収穫スタート
 【乙部】乙部町では例年より10日ほど早くブロッコリーの収穫がスタートした。30日には首都圏への出荷作業も始まる。東京などで高い評価を受けている乙部産ブロッコリーは本年度、札幌圏での販売も本格化する予定という。

 町契約野菜生産出荷組合(林義秀組合長)によるブロッコリー栽培は3年目。ことしは初年度の2倍に当たる約24?の作付けを予定。8000万円余りの売り上げを見込んでいる。姫川の集出荷施設は栽培面積の拡大に伴い、製氷器を増設するなど設備の充実も図った。

 春先から温暖な天候に恵まれ生育は順調で、収穫は28日から行われている。農家の人たちは早朝から手作業で収穫し、施設に運び込む。パートの女性が茎を切りそろえて発泡スチロールの容器で氷詰めにする。保冷トラックで東京に運んだブロッコリーは、同組合と栽培契約を結んでいる大手農産物卸売商社・ベジテック(東京)を通じ、首都圏のスーパーで店頭に並ぶ。

 また、同社を通じて昨年度は試験的に行われた札幌圏への出荷も本格化する予定で、同組合は「距離が短い分だけ鮮度の高いブロッコリーを出荷できる」と意気込んでいる。(松浦 純)