2007年6月4日(月)掲載

◎37年ぶり「ツーマン市電」運行
 函館市交通局は3日、運転士と車掌が乗る「ツーマン市電」を37年ぶりに運行した。往時の雰囲気を再現するため、現役車両で最も古い530号(1952年製造)で実施。湯の川―西部地区を3往復し、年配の利用客からは「懐かしいね」との声が聞かれた。

 6月10日の「路面電車の日」に合わせたPRイベントの一環。経営合理化の流れで、市電は1968年からワンマン体制への切り替えが始まり、70年に完全移行した。

 交通局OBで、毎年、レトロ市電「函館ハイカラ號」の運転士を務めている後藤紘道さん(66)が車掌となり、テープ音声の代わりに肉声で停留所などを案内した。昔ながらの革製の車掌かばんの中に一日乗車券や回数券、乗継・乗換券などを入れて販売。現金での乗客にハイカラ號の乗車券を配り、行き先を尋ね、半券に該当料金のはさみを入れた。

 市電ファンで運行を楽しみにしていたという、ともに函館深堀中学校2年、嶋貫貴文君と伊藤尚貴君は、後藤さんや車両を撮影しながら、風情ある車内の雰囲気や車窓の景色を楽しんだ。2人は「市電はバスに比べ時間が正確で環境に優しく、雰囲気も温かい。530号がいつまでも走り続けることを祈っている」と笑顔だった。

 後藤さんは「西部地区の街並みなど、函館は市電がマッチしている街。大切な観光資源で、これからもPRしていきたい。70年以来の車掌体験ができたこともうれしい」と話していた。(高柳 謙)


◎「じんざい」11日から無料求人誌発行
 函館市美原で職業紹介事業を運営する「じんざい」(中村愛士社長)は11日から、無料求人誌「ワークステーションHAKODATE」を同市内で発行する。求職者が直接企業に採用を申し込む求人広告のほか、求職者、企業側の双方から希望条件を聞き、求職者を企業に近づける職業紹介の2つのパターンが盛り込まれている。中村さんは、「さまざまな問題がある函館の雇用問題を明るくし、地域活性化につなげたい」と話している。

 中村さんは同市内で飲食業を営む中、求人、求職の問題点に気付いた。企業側について「求人は大変な労力を要する。一度に多数の応募が来ると、書類選考、面接に時間がかかる。書類選考では応募者を把握しきれないこともある」と指摘する。

 求職者については「若い世代を対象とする求人が少ないこともあるが、若い人の中には、企業名や職種に格好よさを求めたりし、企業について調べず、地元に良い企業があるのに受けようとしないケースがみられる。その結果、人材の市、道外流失につながっている」と危ぐする。

 そこで、職業紹介を考え、昨年、同社を設立。厚生労働省の職業紹介事業の認可を取得した。「函館では、人材派遣はよく聞くが職業紹介は少ないと思う」と話す。同社では、働き手を求める企業に出向き、第3者的立場で会社のよい所を見て、求職者に伝える役目を果たす。求職者には適職診断などを行い、企業の条件に近い求職者を紹介する。

 企業には求人活動に関する時間、経費削減を提案し、求職者には良き相談相手となることを目指す。「地域でやる気のある人が、即戦力として地元企業に入ることができると思う」と期待する。

 地域密着にこだわるため、本州などへ社員を送るような求人は掲載しない予定。また、一部の風俗産業も取り扱いしないという。中村さんは「求職者は、心配せず来社してほしい。一緒に企業を調べ、自分に合った良い企業を見つけましょう」と呼びかける。

 同誌はA4判で20ページ。月曜に2000部を発行。函館市内の温泉施設、コンビニエンスストア、自動車用品店に置かれる。同社の問い合わせはTEL0138・34・5557。(山崎純一)


◎オンパクを個別初開催
 個別の団体旅行客に湯の川温泉の魅力を紹介する、初めてのオーダーメードオンパク(温泉博覧会)が3日、函館市湯川町1の旅館「一乃松」で開かれた。札幌の福祉関係者の一行約30人が宴席で日本舞踊などを楽しみ、湯の川の夜を満喫した。

 函館湯の川温泉旅館協同組合(金道太朗理事長)が主体となり、これまで2回開催してきたオンパクのプログラムを常時、提供する試み。今年4月に実施した第2回の様子をNHKテレビが紹介。これを見た関係者が「自分たちの旅行でも体験できないか」と旅行代理店に照会し、要望を受けた同協同組合とオンパク実行委員会(刈田真司委員長)が実現させた。

 浴衣姿で夕食を楽しむ一行に、市の市史編さん室前参事、紺野哲也さんが「函館湯の川歴史ばなし」と題し、温泉の秘話を紹介。戦前の湯川村では竹筒で温泉を引いていたが、湯の花が多いため竹筒を1年で交換しなければならなかったことなどを軽妙に語った。

 続いて「女将の日本舞踊」として、丸仙旅館の佐藤てる子さんがステージに立ち、扇を使ったたおやかな舞を披露した。背筋の通った佐藤さんが見せる優美な舞に、団体客は料理を忘れてうっとりしていた。

 刈田委員長は「取り組みが浸透し、旅行代理店の中には独自にオンパクのプログラムを組み入れたツアーを企画するところも出てきた。定期開催以外に随時、利用客らの要望に応えられるプログラムの提供を目指したい」と話していた。

 第3回オンパクは、今秋実施の予定。(高柳 謙)


◎江差小運動会、全校児童で餅つき囃子
 【江差】桧山管内各町の小学校で運動会が開かれた3日、町立江差小(後藤實校長、児童220人)では、全校児童と教諭がニシン漁全盛期の繁栄を伝える「江差餅つき囃子(もちつきばやし)」のユーモラスな踊りを披露した。

 同日は澄み切った青空に恵まれた桧山管内。同小グラウンドでは、全校児童が輪になって餅をついたり、きねを振り回す様子を元気いっぱいの踊りで表現。会場に詰め掛けた大勢の家族や住民を楽しませた。

 同小は、児童に貴重な郷土芸能に親しんでもらおうと、運動会のプログラムに餅つき囃子を取り入れている。グラウンドで踊ることができるよう独自のアレンジも加えた。児童と教諭は本番を前に、町内に住む踊りの師匠・川端幸子さんの指導を受けて特訓を重ねた。「勤務が長い先生はかなり上手です。新任の先生も頑張って覚えました」(後藤校長)。

 「ことしゃ豊年満作で、山は豊作浜大漁、この家じゃ黄金の餅をつく」という歌で始まる餅つき囃子。ニシン漁で繁栄を極めた網元で、正月を控えて夜通し行われた餅つきの情景をユーモラスな歌と踊りで再現している。町内では江差追分をはじめ、餅つき囃子など5つもの郷土芸能が、道の無形民俗文化財に指定されている。(松浦 純)


◎江差町議選、7月29日投開票
 【江差】江差町選挙管理員会(赤石重徳委員長)は2日、任期満了に伴う町議選(定数12)の日程を7月24日告示、同29日投開票とすることを決めた。

 29日の投票は午前7時―午後8時。開票は同9時半から町保健センターで行い、2003年度の前回選挙並みの同11時前後に大勢が判明する見通しという。

 選挙日程をめぐっては、通常国会の会期延長がなければ7月22日に投開票が行われる参院選と町議選の事務日程が重複する可能性があり、8月上旬の実施も検討された。だが、8月は姥神大神宮渡御祭の開催も控えており、前回選挙同様の7月第4週の実施に落ち着いた。

 町選管は参院選の投開票が行われる見通しの7月22日前後は、告示を控えた町議選と2つの選挙事務を並行して進めることになるほか、告示前日の23日には事務が集中する恐れがあるため、職員を増員するなど万全の体制で臨む方針だ。

 一方、今回の町議選からは定数が16から12に4減する。これまでに現職16人のうち約半数が引退する方向という。5人前後の新人が立候補しなければ、定数割れとなるため、立候補予定者の支持母体となる政党、労組、地域では、新人擁立の動きが活発化している。(松浦 純)