2007年6月6日(火)掲載

◎称名寺の庭 ツツジ見ごろ
 函館市船見町18の称名寺(須藤隆仙住職)の庭では、赤や白などのツツジが咲き誇っている。これからシャクナゲも見ごろを迎えるとあり、秋にイチイ(オンコ)の実がなるまで、までさまざまな色彩の変化が楽しめるという。

 称名寺は、1879(明治12)年、現在の函館弥生小付近にあったが、大火で本堂を焼失し、81(同14)年に現在地に移転した。その時、庭を手掛けたのは、江戸時代初期を代表する茶人で、建築や造園にも天才的な才能発揮した小堀遠州の系統を継ぐ庭師といわれる。

 須藤住職によると、小堀系の庭師が手掛けた特徴として、植物が段状に積み重なるように並べられていることが挙げられるという。約700坪の庭の奥には函館山がそびえ立ち、ふもとの木々と庭のコウヤマキなどの木がまとまり、ダイナミックな借景を演じている。

 また、園内に独特な形をした灯篭(とうろう)が小堀式の証になっているという。灯篭は高さ約140センチ。そのうち上部は約40センチあり、まるで虚無僧(こむそう)のいでたち。園内には松尾芭蕉の句が刻まれた石碑もあり、古い時代から函館を見つめる寺の様子を垣間見ることが出来る。庭の見物は社務所に申し込めば自由にできる。(山崎純一)


◎道教委、公立高校再編案/木古内高 募集停止へ
 道教委は5日、2008―10年度の3カ年にわたる公立高校の再編を盛り込んだ公立高校配置計画案を公表した。渡島管内では、木古内高校の生徒募集を09年度限りで停止して廃校とするほか、函館商業高校は学科再編を行った上で、10年度入学から1学級減らし5学級とする。福島商業高校は1学級のまま、熊石高校は08年度から特例の30人学級を廃止して1学級減らした上で、いずれも他校の教育活動支援を受ける地域キャンパス校に改める。檜山管内では、上ノ国高校の特例学級を08年度から廃止して1学級減の1学級とする。

 配置計画は、高校への進学希望者数などを踏まえ、高校の数や学級数を調整する。道内の中学卒業者見込み数は、08年度5万2300人、09年度5万500人、10年度5万1400人と減少傾向にあり、その後も右肩下がりの状況が続く見込み。増加が見込める高校は学級数を増やすなどの対応を取るが、入学者増が見込めない高校は学級数を減らしたり、統廃合したりして対処する。

 全道では、石狩管内と釧路管内で12学級を増やし、全域で35学級を減らす。このほか再編に伴って後志管内や上川管内9校の募集を停止し、4校に統合する。

 募集停止は11校で、停止年度は08年度が喜茂別(後志管内)、沼田(空知管内)、風連(上川管内)、和寒(同)、浦幌(十勝管内)の5校。09年度は浜益(石狩管内)由仁商業(空知管内)、愛別(上川管内)、増毛(留萌管内)の4校。10年度は木古内と三笠(空知管内)の2校。定時制は、6校を廃止して1校を新設する。

 木古内は、普通科1学級に対して07年度入学生が27人にとどまり、現在の生徒は全校で71人。(1)欠員が多い(2)今後も入学生増が見込めない(3)付近に別の高校(知内)がある―などを理由に募集しない。函館商業は、産業構造の変化に合わせた学科の変更を機に1学級削減。福島商業は08年度から函館商業の地域キャンパス校となる。熊石は、09年度から同じ八雲町内の八雲高校の地域キャンパス校になる。

 道教委は同案を5日の道議会文教常任委員会に報告。今後は各地で、関係自治体や市・町教委、PTAなどを交えた地域別検討協議会を計画していて、渡島管内では7月中旬ごろに開催する。計画の最終決定は9月上旬ごろ。

 また、公立特別支援学校の08年度の配置計画案も公表。進学希望者の有無によって学級設定を行う方針。道南では七飯養護の普通科を1学級(定員3)増やして5学級(同25)に、八雲養護は4学級ある普通科を2学級(同11)に減らす。(小泉まや)


◎06年度函館市議会/政務調査費使用率37・6%
 函館市議会は、2006年度の政務調査費収支報告書を公開した。全13会派の交付額に対する使用額の割合(使用率)は37・6%で、前年度に比べ4・2ポイント減少した。政務調査費の使途が一部不適切として、市民団体が市長を相手取り返還を求める2件の裁判を起こし、係争中であることも一因にありそうだ。

 旧4町村議員団の5会派の使用率は、前年度比0・1ポイントの17%になるなど、特に低い。

 政務調査費は、議員の調査研究に必要な経費の一部として市が各会派に交付し、議員1人当たりの交付額は月額5万円。議会改革の一環で、06年度から1人当たりの月額を2万円引き下げた。

 同年度の総交付額は4620万円で、使用額は1736万4000円。使われなかった額は2883万6000円で、市に返還された。

 1人会派(無所属議員3人)を除く旧市内会派の使用率は、民主・市民ネット46・7%、はこだて市民クラブ89・5%、市民自由クラブ63・9%、公明党59・1%、共産党75・4%だった。

 支出別では、コピー機やパソコンのリース代、デジタルカメラ購入費、人件費などの事務費、行政実例集や判例集などの資料購入費、視察や研修に使う研修研究費や調査旅費などがある。

 研修研究費の使途は▽地方議会議員のための自治体病院経営セミナー出席(東京)▽飛び地合併の現状視察(岐阜、群馬)▽地方議員のための行政評価講座出席(東京)―などがあった。

 旧4町村の5会派では事務費のほか、議員活動を伝える広報誌の発行代や郵送料、行政報告の会場代などに充てた広報広聴費が多い。

 政務調査費の使途をめぐる訴訟で、01年度分は被告の市が最高裁に上告中、04年度分は函館地裁で審理中。公明党議員団はこの2件の裁判が終わるまで、政務調査費の使用を自粛することを5月に表明した。

 収支報告書は29日まで、市役所7階の議会事務局で閲覧できる。(高柳 謙)


◎農作物の生育状況/各作物とも順調に推移
 渡島、桧山両支庁は5日、1日現在の農作物の生育状況をまとめた。渡島・桧山ともに5月中旬は雨や曇りの日が多く日照時間が少なめだったが、下旬にかけては日照時間にも恵まれ、降水量も平年並みかやや多い状態で、各作物とも順調な生育を続けている。

 活着期に入った水稲は、渡島で1日早く、桧山は平年並み。このうち渡島は草丈が14・2センチで平年比105%、葉数が4・2枚で同105%、茎数が106・4本で同104%。桧山は草丈が13・6センチで同94%、葉数が3・8枚で同97%、茎数が100・8本で同99%。

 バレイショは、渡島は植え付け作業が順調に進み平年並み。桧山は断続的な降雨により植え付けが遅れ、路地栽培で平年から3日の遅れ。てん菜は渡島で3日早く、桧山は平年並みとなっている。

 渡島のリンゴ(つがる)は好天により開花、落花が進み、平年より3日早い。牧草(オーチャードグラス)は一番草が、渡島、桧山とも1日早い。サイレージ用トウモロコシは、渡島で出芽が1日遅れ、桧山は1日早い。

 桧山の秋まき小麦は止葉が3日早く経過。大豆はは種作業が降雨の影響で2日遅れで推移している。 (小川俊之)


◎農漁業被害報告なし 上ノ国土石流から1カ月
 【上ノ国】上ノ国町の湯ノ岱国有林で、大規模な地滑りに伴う土石流が発生してから1カ月が経過した。下流の天の川流域では発生直後から多量の濁水が日本海まで流下したが、これまでのところ懸念された農漁業被害は発生していない。町は多雨期に入り再び水質汚濁が再び激しくなる可能性もあるとみて動向を注視している。

 5月下旬、檜山森林管理署や森林総合研究所(茨城県つくば市)の松浦純生・水土保全研究領域長らが行った現地調査によると、地滑りは七ツ岳(957メートル)北側の標高約500メートルの斜面で発生。融雪水や地下水位の上昇が原因で、幅約150―200メートル、長さ100―150メートル、深さ10―15メートルにわたり斜面が崩壊した。風化が著しい堆積物は、多量の水を含んで著しく流動化。このため土石流が2キロ以上も流下したという。現場周辺には過去の大規模な地滑り跡が多数あり、今回の地滑りも過去の堆積物が再び動き出した典型例という。

 調査では@膨大な堆積物が降雨などで再崩落する可能性があるA地滑り上端にある沼の周辺に亀裂があり現場一帯の地盤が不安定化している―ことも指摘された。同署は現場に隣接する「上の沢タケノコ園」を閉園。周辺に近付かないよう呼び掛けている。

 また、流出が続く濁水は、地滑り末端の堆積物や渓流に貯まった土砂が浸食されて発生。微粒な土砂は下流に沈殿池などを設けても除去が困難という。同署は林野庁と対策を協議中だが、現場が山奥で市街地への被害の恐れが低いため、早急な対応は難しい状況という。

 町によると、6月常住までに農漁業被害の報告は無いという。町内では5月下旬から雨が少なく濁水の流出も小康状態にあるが、多雨期には堆積物の浸食が激しくなり、濁水の流出が活発化する恐れもあるとみて、河川や農業用水などの点検を強化する方針だ。(松浦 純)


◎函館市自治基本条例/策定も市民参加型で
 函館市自治基本条例懇話会(会長・横山純一北海学園大教授)の4回目の会合が5日夜、同市末広町の地域交流まちづくりセンターで開かれ、自治基本条例の策定に向けた提言書案をまとめた。市民参加や市民協働を重視するため、策定に当たっても多くの市民が参加して作業を進めていくことを確認した。市民らで組織する策定委員会を立ち上げ、2009年4月の条例施行を目指す。

 自治基本条例は「自治体の憲法」といわれ、昨年5月の初会合から1年間にわたり検討作業を進めてきた。

 行政主導の市政運営から、市民参加や市民協働のまちづくりへの転換を図ることが大切であり、自立した自治体運営に向けたルールを定めることが必要である、というのが提言書案の前提。

 条例には、まちづくりや自治に関する市民と行政のルールを定め、行政と議会の役割や市民と行政の関係について明文化する。特定の分野を除外することなく、議会などの規定も網羅する「総合規定型」を目指す。

 10人から15人の市民らで組織する策定検討委員会を立ち上げ、10回程度の策定委員会を開く。市民に条例策定を周知するため、パブリックコメント(市民意見)の募集や住民説明会、市民と委員の意見交換会、フォーラムの開催などで機運を高める。

 市役所内にも若手職員を中心に庁内プロジェクトを立ち上げ、策定委員会の事務局的な役割を担うほか、策定委員会と同等の立場で条例素案の策定作業を進める。

 同懇話会は19日、西尾正範市長へ提言書を提出し、横山会長が提言内容を説明する。(高柳 謙)