2007年6月7日(水)掲載

◎行革で函館市、民間登用などを推進
 行財政改革の一環で職員削減を進めている函館市は、能力のある人材の育成・確保が課題となっている。専門性を持つ任期付き職員の採用が始まった中、西尾正範市長は民間からの人材登用をさらに進め、職員の能力開発や意識改革につなげる考えを示している。行政改革課は「行政のプロとして、市民が納得する仕事の仕方をどう見せていくかが大切」と話す。

 現在の行財政改革後期5カ年計画で、2009年度までに職員600人を削減し、前期計画と合わせて1000人の削減を目指す。職員は約3500人になるが、前市長の時代から、市は長期的には類似都市並みの3000人規模にすることを目標にしている。西尾市長も行革のさらなる継続を公約に掲げたが、現在の業務や組織機構を維持したままでの職員削減は限界がある。

 スリムで小さな役所づくりは、どの自治体でも課題。市は事務事業の見直しを進め、行政が担うべき仕事と民間が行うべき仕事を見極め、業務の民間委託を進めながら簡素で効率的な行政運営を目指している。組織機構の見直しも、その過程で行われていく。

 そうした中で求められるのは、職員1人1人の能力開発で、市は行革後期計画でも「多様な人材の育成・確保」の取り組みを掲げている。行政課題に対する職員個々の企画や政策立案の能力向上を目指す。

 4月に貿易振興を担当する任期付き職員2人を民間から採用したが、西尾市長は民間人の登用や人事交流をさらに進める考えだ。副市長に民間人を起用する人事案を示したのも、職員には見えにくい民間の発想やノウハウを行政に生かす狙いがある。

 今後の民間人登用や人事交流について、人事課は「現時点で具体的な計画は決まっていないが、さまざまな部局や場面で民間の協力を得ながら交流や登用を進めていく。職員の刺激になり、能力開発にもつながるのではないか」と話している。 (高柳 謙)


◎西部地区フォローアップ委、施策の進ちょくを検証
 函館市の「西部地区(都市景観形成地域)のまちづくり構想」に基づく施策の検証や評価を行う「西部地区フォローアップ委員会」(星野裕委員長、委員5人)の本年度第1回会合が6日、市地域交流まちづくりセンターで開かれた。市が昨年度までの施策の進ちょく状況や、現状を報告し、本年度の取り組みに向けて意見を交わした。

 西部地区のまちづくり構想は2005年に策定。同委員会では、30項目にわたり、施策の実施状況を4段階で評価し、実施に向けた方向性などについて、提言している。

 市が規制強化を念頭に、本年度中の改正を目指す市屋外広告物条例については、市内の現状を検討。ビルなどの屋上の巨大な広告のうち、過度にライトアップされているものについて「夜景の美観を損ねているものがある。全体の調和を考え規制する必要がある」などと求めた。

 都市景観については、建築物の高さ制限だけではなく、周辺の建物との調和を図る目的で、高さをそろえることも必要と提言した。そのほか、地域コミュニティーの充実による西部地区の活性化など、さまざまな角度から、活発な意見が出された。 (今井正一)


◎コムスンの指定打ち切りで、函館にも影響懸念
 6日、厚生労働省が、訪問介護最大手の「コムスン」の新規事業指定と指定更新の打ち切りを決定したことを受け、道内の各自体も対応に追われた。函館市内にはコムスンによる介護関連事業所が9カ所あるが、市福祉部では、指定打ち切り後の利用者の新たな受け入れ先などのリストアップなどを進めている。

 函館市内では、4カ所の訪問介護事業所を中心に、合わせて約450人がコムスンによるサービスを受けている。このうち、居宅介護支援事業所の函館メディカルケアプランセンター(富岡町3)と訪問介護の函館的場ケアセンター(的場町18)が介護保険法に基づき、2008年3月に指定打ち切りとなるのをはじめ、2012年6月までに全事業所のサービスを打ち切られる見通し。函館市福祉部では「今回のような事態が起きたことは大変に残念。ただ、現在市内にある他の介護支援事業所で受け皿は確保できると考えているので、利用者の不安がないよう速やかに適切な対応策を検討していきたい」と話している。

 一方、4月10日現在、道内のコムスンの介護関連事業所は194カ所。このうち来年3月で更新期限を迎えるのは十数カ所と見られる。道では一連の不祥事に基づき、すでに今年5月に道内全域で介護事業所の一斉監査を行ったが、コムスン関連を含め現時点で不正は見つかっていない。 (小川俊之)


◎昨年度の福祉サービス苦情、前年度比2件増48件
 函館市は市の機関や民間事業者が提供する福祉サービスへの苦情を受ける「福祉サービス苦情処理制度」の2006年度利用状況をまとめた。問い合わせや相談なども含めた受付件数は84件。このうち福祉サービスに関する苦情が05年度より2件多い48件だった。医療に関する内容など福祉サービス以外の苦情や相談が05年度より17件増えており、全体の件数を押し上げた。

 同制度は01年度に始まり、福祉サービスに関する苦情は01年度19件、02年度34件、03年度39件、04年度32件、05年度46件とやや増加傾向。高齢者人口増に伴うサービス利用者の増加や、介護保険制度の浸透による利用者意識の高まりなどが一因とみられる。

 06年度の福祉サービスに関する苦情は、市のサービス提供(18件)、民間事業者による介護保険サービスの提供(14件)にかかわる内容が多くを占める。職員の対応への苦情が主で、要介護認定の申請から決定までの期間の長さや生活保護制度への不満などもあった。

 苦情は市福祉部内にある事務局で受け、弁護士と大学教授の2人の苦情処理委員が本人から詳細を聴取。利用者の苦情や委員の助言を市の所管課や事業者に伝え、改善や検討を求める。

 06年度は所管課や事業者に配慮を求めたのが22件、苦情に対する説明や助言で相談者の了解を得たのは10件。このほかは対応途中で解決したり、匿名で事実関係が把握できず、対応中止になったりした。

 市福祉推進課は「苦情をなくすのはもちろん、サービス提供者にサービスの質向上に努めてもらうのが制度の狙い。苦情や不満があったら遠慮なく連絡してほしい」と話している。問い合わせは事務局TEL0138・21・3297。 (宮木佳奈美)