2007年6月8日(金)掲載

◎12年かけ「恵山町史」刊行
 行財政改革の一環で職員削減を進めている函館市は、能力のある人材の育成・確保が課題となっている。専門性を持つ任期付き職員の採用が始まった中、西尾正範市長は民間からの人材登用をさらに進め、職員の能力開発や意識改革につなげる考えを示している。行政改革課は「行政のプロとして、市民が納得する仕事の仕方をどう見せていくかが大切」と話す。

 現在の行財政改革後期5カ年計画で、2009年度までに職員600人を削減し、前期計画と合わせて1000人の削減を目指す。職員は約3500人になるが、前市長の時代から、市は長期的には類似都市並みの3000人規模にすることを目標にしている。西尾市長も行革のさらなる継続を公約に掲げたが、現在の業務や組織機構を維持したままでの職員削減は限界がある。

 スリムで小さな役所づくりは、どの自治体でも課題。市は事務事業の見直しを進め、行政が担うべき仕事と民間が行うべき仕事を見極め、業務の民間委託を進めながら簡素で効率的な行政運営を目指している。組織機構の見直しも、その過程で行われていく。

 そうした中で求められるのは、職員1人1人の能力開発で、市は行革後期計画でも「多様な人材の育成・確保」の取り組みを掲げている。行政課題に対する職員個々の企画や政策立案の能力向上を目指す。

 4月に貿易振興を担当する任期付き職員2人を民間から採用したが、西尾市長は民間人の登用や人事交流をさらに進める考えだ。副市長に民間人を起用する人事案を示したのも、職員には見えにくい民間の発想やノウハウを行政に生かす狙いがある。

 今後の民間人登用や人事交流について、人事課は「現時点で具体的な計画は決まっていないが、さまざまな部局や場面で民間の協力を得ながら交流や登用を進めていく。職員の刺激になり、能力開発にもつながるのではないか」と話している。 (高柳 謙)


◎DV相談 06年度も千件超…函館市対策会議
 配偶者らからの暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)に関する函館市内の相談件数が2006年度は延べ1029件に上ることが、市のまとめで分かった。05年度を298件下回ったが、2000年度以降、相談件数は毎年1000件を超える。加害者から被害者を避難させる保護件数は横ばいで、依然として深刻なケースが後を絶たないのが実態だ。

 7日の市女性に対する暴力対策関係機関会議の定例会で市が報告し、「引き続きDV防止の啓発、相談窓口の周知が必要」と述べた。

 相談件数は市内3カ所の相談窓口から集計。NPO法人(特定非営利活動法人)「ウイメンズネット函館」(古川満寿子理事長)に寄せられた相談は964件と全相談件数の90%以上を占めた。市役所の市民相談が11件、市総合福祉センターの女性・母子相談が54件。

 保護件数は05年度より2件多い47件で、このうち同法人の一時保護施設(シェルター)入居は42件、民生事業協会の施設入居は5件だった。

 同法人によると、06年度は電話相談が05年度より260件少ない559件、面談は18件減の405件。相談件数の減少について「以前は相談するのをためらって電話での問い合わせが多かったが、最近は初めから相談の意思があり、一度で面談を予約する人が増えた。一人で複数回にわたって相談するケースは減った」と指摘。相談機関が増えたことも要因とみられる。

 相談者は20代から60代までと幅広く、男性に対し、女性や子どもへの接近を6カ月間禁じる保護命令を申請したケースがほとんど。原則2週間の一時保護施設入居は、被害者の心の傷の回復、生活再建に要する問題解決に時間がかかるため、延長することも少なくない。

 同法人への相談では、殴るけるなどの身体的暴力だけでなく、「子どもに影響を及ぼすのが耐えられない」というケースが増えているという。また本年度に入ってから「生活費を渡さない」「家から追い出す」など、配偶者を扶養しない経済的暴力の相談も相次いでいる。

 古川理事長は「“デートDV”(交際相手からの暴力)も実はもっとあるはず。DV根絶には大人の再教育も大事だが、若いうちから暴力の芽を摘み、教育する必要がある」と指摘している。(宮木佳奈美)


◎伝統の名産品ずらり…京都老舗まつり
 古都伝統の名産品が一堂に会する「第10回京都老舗まつり」が7日、丸井今井函館店(函館市本町32)の7階大催事場で始まった。あんを用いた和菓子をはじめ、京野菜の総菜、奥ゆかしい日用品などが店頭に所狭しと並べられ、買い物客の目を引いていた。12日まで。

 出店したのは、食料品の43店、工芸品の22店。地元住民が毎年楽しみにしている常連店が大勢を占める中、伝統の技法で一枚一枚丁寧に手作りで仕上げた和紙を取り扱う店舗が、唯一初出店となった。

 ことしは、丸井今井の創業135周年を記念し、特別企画品を用意。もなかやもち、調度品など11品が厳選され、数量限定の商品で開店早々に売り切れるものも。このほか、夏の野菜をふんだんに取り入れた懐石料理の弁当や、高級感漂う着物なども人気を集めていた。

 会場の一角には、地元の茶道流派がもてなしをする茶席、そばや団子などをその場で味わえる茶屋が設置されている。

 時間は午前10時から午後7時半(最終日は同5時)まで。問い合わせは同店TEL0138・32・1151。(浜田孝輔)


◎飲酒運転検挙 大幅減…道警函本管内1−5月
 道警函館方面本部管内の酒気帯び運転と酒酔い運転の検挙件数が、過去3年間で最も少ないペースで推移している。1月から5月末までの件数は91件で前年同期を60件下回った。同本部交通課は飲酒運転の社会問題化を受け、運転者側の意識が定着したと分析。一方、飲酒運転で事故を起こし、逮捕されたのは前年と同じ17人で、運転理由は言い逃れ的な内容が目立つという。同課は重大事故につながる悪質なドライバーは依然多いとみて、厳しく取り締まっていく方針。

 検挙件数は2004年が643件、05年が619件、06年が532件と減少を続け、ことしはさらに大幅減が見込まれる。署別では松前、八雲署以外が軒並み減少か横ばい。函館中央署が34件(前年比12件減)と最も多く、次いで函館西署の9件(同2件減)、八雲署の5件(同1件増)など。

 ことしこれまでに実施した7回の一斉取り締まりで検挙したのは43人(男性33人、女性10人)。年代別では20歳代が16人と最も多く、次いで30歳代の13人と若い世代が目立つ。時間帯では午前零時から同1時までが10人と最多で、同5時以降も8人に上った。

 職業は会社員が18人と約4割に達し、飲食店従業員も6人いた。飲酒相手は「友人」が18人、「1人」が16人のほか、「接待」とした飲食店従業員らが3人で、常習性もうかがえる。運転理由は「他の交通機関がない」が14人、「運転しても捕まらないと思った」が12人、「通勤で使用するため」が8人など、「言い訳的な内容が目立つ」(同課)。

 取り締まりを重点的に行う交通機動隊による検挙件数は、前年同期より41件減って26件で、同課は「飲酒運転者自体は減少している」とみる。しかし、1月には函館市内で酒気帯びで高速運転の車が対向車線にはみ出してパトカーと衝突し、警察官2人が負傷。同課は「今後も歓楽街、住宅街での取り締まりを強化する」と話している。


◎牛乳消費拡大へ理解…乳製品使い調理講習会
 牛乳や乳製品を使った料理講習会(函館消費者協会、農林水産省道農政事務所主催)が7日、函館市青年センターで開かれ、同協会の会員15人がチャーハンなど3品の調理を学び、牛乳・乳製品の消費拡大へ理解を深めた。

 酪農家でつくるNPO法人(特定非営利活動法人)八雲ハンドメイドの会の戸田美恵子会長(57)が講師となり、ちりめんじゃこやチーズを使ったカルシウムたっぷりのチャーハン、牛乳で煮込む野菜スープ、チーズ入りフレッシュサラダを調理。会員たちは手際よく野菜を切り、フライパンや鍋で次々と作り上げていった。

 戸田さんは「牛乳はとても賢い食材」と語り、生産者自らが牛乳を有効活用することで、一般消費者への普及・拡大を進めているNPO(民間非営利団体)の活動を伝えた。同協会の米田イツ会長は「生産者の顔の見える料理講習会で、牛乳・乳製品の良さを見直し、健康のためにも消費拡大をさらに進めたい」と話していた。

 講習に先立ち、共催の道農政事務所地域第二課の大沼雅敏課長補佐が、日豪2国間の農産物輸入交渉など、わが国の農業を取り巻く情勢について説明した。(高柳 謙)