2007年6月9日(土)掲載

◎中空土偶が正式に国宝指定
 文部科学省は8日、函館市著保内野(ちょぼないの)遺跡出土の中空土偶を国宝に指定した。道内で初めて。考古資料では全国で42件目で、縄文関係の資料では3件目。同日、官報に告示した。

 中空土偶は1975年8月、同市尾札部町(旧南茅部町著保内野)で農作業中の主婦が発見し、79年6月に国の重要文化財に指定。ことし3月16日に文化審議会の答申で国宝指定が決定した。

 縄文時代後期(約3500年前)に作られたとみられる内部が空洞の土偶で、高さ41・5センチ、幅20・1センチで国内で最大級。国宝指定にあたり、精巧なつくりや芸術性の高さが評価され、当時の信仰・祭祀(さいし)の実態を明らかにする上で欠かせない資料と位置づけられた。

 正式な国宝指定を受け、西尾正範市長は「函館市にとっては意義深く、名誉なこと。国宝指定を弾みに縄文文化を生かした魅力あるまちづくりを一層推進したい」とのコメントを発表した。

 国宝指定を記念し、7月1日から8月19日まで市立函館博物館(青柳町17)の特別企画展で展示される。(宮木佳奈美)


◎昨年度の水産市場取扱実績、スルメイカの数量大幅減
 函館市水産物地方卸売市場と函館市中央卸売市場は、2006年度の取扱実績をまとめた。水産物市場の取扱数量は前年度比0・2%減の4万3958トン、取扱金額は同1・5%増の203億2280万円だった。主力のスルメイカ(生)は、津軽海峡での不漁の影響を受け、数量が同23・5%減の4784トンと大きく減少したが、単価は同27・6%増の310円で、全体の金額は同2・7%減の14億8148万円だった。

 昨年は、スルメイカが津軽海峡に回遊せず日本海を北上し、前浜の漁が打撃を受けた。4000トン台の取扱数量は水産物市場でも「記憶にないくらい」と話す。今月1日に解禁されたスルメイカ漁は現在、主に松前沖で行われていて、型、大きさとも昨年より良いという。「今年は前浜の漁に期待したい」と同市場。

 生鮮魚のうち、サケは数量が同15・3%減の2080トンと大きく減少したが、金額は同0・3%減の8億260万円にとどまった。ホタテは数量が同31・3%増の1248トンと豊漁。単価は下がったが金額は同11・4%増の4億7677万円だった。

 生鮮魚全体では、数量が同7・2%減の1万8992トン、金額は同1・2%減の97億6021万円。冷凍品は全体では、数量が、同6・4%増の2万3601トン、金額は同2・8%増の85億5106万円。特に冷凍イカが好調で数量が同7・6%増の1万9897トン、金額が同8・9%増の52億6405万円だった。

 一方、中央市場では、野菜数量は同0・1%減の4万2519トン、金額は同4・5%増の76億1776万円とほぼ前年度並み。青果は数量が同16・6%減の2万41トンと大幅に減少したが、金額は同2・3%増の63億5744万円。全体では、数量が同6・1%減の6万3324トン、金額は同3・3%増の143億4764万円だった。

 九州から関東にかけての豪雨や天候不順の影響で入荷が減った。青果は特に、かんきつ類の高値が続き、ミカンは数量が同36・0%減少したが、単価は同58・1%上昇。野菜、青果とも価格の高騰が続いたため、数量減を金額で補った。

 中央市場では「全体的に品薄の状態が続いた。青果は4月に入っても影響を受けているが、全体としては順調」と話している。(今井正一)


◎江差測候所が9月で廃止、無人化へ
 【江差】気象庁は8日、江差測候所(江差町姥神町)を9月末で廃止し、10月から無人の特別地域気象観測所に移行すると発表した。道内では本年度、江差、紋別(紋別市)の2測候所を廃止。全国では13測候所を廃止する。道内の測候所は浦河(日高管内浦河町)、寿都(後志管内寿都町)など5カ所になる。

 同庁は1996年度から、全国に当時97カ所あった測候所の無人化を推進。道南でも2002年に駒ケ岳の観測を担っていた森測候所(森町)が、札幌管区気象台の火山監視・情報センター発足に伴い廃止された。

 さらに、昨年6月に閣議決定された公務員削減対策では、2010年度までに残る46測候所も廃止する方針を打ち出した。昨年度、道内でも岩見沢(岩見沢市)、倶知安(後志管内倶知安町)の2測候所を廃止。1996年度以降に廃止された全国の測候所は55カ所に上る。

 無人観測所では、強化した機器による観測業務は継続。気温、降水量、風向、風速などのデータは、ネットワークを通じて近隣の気象台に集約する。これまでの観測データや気象情報の提供などは近隣の気象台が行い、江差測候所の場合は函館海洋気象台が担当となる。

 江差測候所は40年に江差町橋本町で業務開始。79年に江差合同庁舎に移転した。職員は8人。町は昨年度から全道の測候所所在地と連携し、国に測候所存続を要望していた。14日には同庁幹部が町役場を訪れ、測候所廃止を報告する予定という。(松浦 純)


◎YOSAKOI、道南2チームが演舞
 【札幌】札幌市で開かれている第16回YOSAKOIソーラン祭り(組織委員会主催)は8日、受賞、出場回数で実績のあるチームが集う「ソーランナイト」が開かれた。道南からは「函館躍魂いさり火」「夢限舞童」(ともに函館)の2チームが、活気あふれる演舞を披露。9日から行われるコンテストに向けて弾みをつけた。

 ソーランナイトは主会場の大通公園西8丁目の特設会場などで行われ、3年連続でコンテスト優勝の「新琴似天舞龍神」(札幌)など計34チームが競演。そろいの衣装を身にまとい、鳴る子を持った踊り子たちが力強い演舞を繰り広げ、観客を魅了した。

 9日からはコンテストがスタートする。道内外から341チームが参加し、道南から出場するのは12チーム。函館躍魂いさり火は4年連続の入賞、ジュニア部門に出場する夢限舞童は2年ぶりの大賞が期待されている。

 9日は市内29会場のほか、財政再建に取り組む夕張市を盛り上げようと同市内のシューパロ前で12チームが演舞する。

 最終日10日は、午後5時半からファイナルコンテストが行われ、今年の大賞チームが決定する。


◎松前沖に漂流船、船体に北朝鮮の地名
 【松前】松前町江良の江良漁港の沖合約1キロで7日午後、北朝鮮籍とみられる船が転覆したまま漂流しているのを地元の男性漁業者が見つけ、同町役場を通じて松前署や函館海上保安部に届け出た。2日に青森県深浦町沖で脱北者4人が乗った船が見つかったが、今回の船は貝類などの付着状況から長期間、無人で漂流していたとみられる。同署に不法上陸の情報なども入っていないという。

 函館海保によると、船は木造で、長さ6・9メートル、幅約1・6メートル、船底までの深さ約70センチ。船の外側に腐食を防ぐコールタールが塗られ、船尾付近には中国製の耕運機を改造したとみられるエンジンが残されていた。スクリューや積み荷はなかった。

 船体内部のプレートには「清津(チョンジン)…」と北朝鮮の地名が書かれた船舶番号があったほか、船尾には船名と思われる「ラクサン」と発音されるハングルが赤い塗料で記されていた。

 同海保は「北朝鮮の船の可能性が極めて高い。付着した貝類の状態から長期間、一定の場所で係留され、流失してから転覆したと思われる。事件性は低く、少なくとも1カ月以上は漂流していたのでは」とみている。

 地元の漁業者からは「(同漁港に)ハングルが書かれたポリタンクやお菓子の袋などが流れ着くことはざらにある」との声も。松前さくら漁協では「松前沖は南から北への潮流が速い。普通に操業していれば、こんなに貝は付かない」と話していた。

 同海保によると、ハングルが記載された不審漂着船は2002年4月から、旧熊石町(現八雲町)、福島町、函館市、北斗市、上ノ国町で計6隻見つかっている。

 現場は日本海に面した松前町の北西部。木造船は今後、町が漂流物として約6カ月間保管した後、廃棄処分される見通し。


◎ヤマムラ時計宝飾店に日時計や水時計展示
 函館市本町のヤマムラ時計宝飾店(山村豊社長)は、10日の「時の記念日」を広く知ってもらおうと、古代エジプトの日時計や古代中国の火時計、約1300年前に作られた日本最古の水時計の模型を10日まで店内で展示している。山村社長は「時を刻む原点の仕組みを楽しんで、時間の大切さを感じてもらえれば」と来店を呼びかけている。

 時の記念日は、671年6月10日(現在の暦)に、天智天皇が水時計を設置し、日本で初めて時を知らせたとされることから、1920(大正9)年に生活改善同盟会が制定した。

 時計商歴約50年の山村社長(72)は「記念日の制定は、時間をきちんと守り、生活を向上させる目標があったが、現在は遅刻するのが当たり前のようになっており、時間が粗末に扱われているように感じる」と話す。

 あらためて時間の大切さを知ってもらおうと毎年、時の記念日にさまざまな時計の展覧会を開催したり、学校などに時計を寄贈したりしてきた。今回は、時計の原点といわれるものを出展。「私も時計商として原点に返る気分」という。

 日時計は、地面に1本の棒を立て、影の長さで時を計る。火時計は、龍の背中につるされた重りが、線香の火でつっていた糸が焼かれると落ち、下にあるドラを鳴らして時を知らせる。

 水時計は、4つある箱の一番上の箱に水を入れ、水が流れ落ちていくと、下の箱にある矢が浮かび、矢にある目印で時刻を知らせた。模型は、東京の博物館などから設計図を取り寄せるなどし、地元の人に作ってもらった。

 山村社長は「古代から高度な物理学があったことは感心の限り」と話している。

 営業時間は午前9時から午後6時半まで。(山崎純一)


◎渡島総合開発期成会、会長に海老沢北斗市長
 渡島管内11市町の首長と議会議長で構成する渡島総合開発期成会の本年度定期総会が8日、函館市大森町のホテル函館ロイヤルで開かれた。北海道新幹線に関しては新青森―新函館間の早期開業と、札幌延伸の認可を継続して要望するとともに、高速道路や高規格道路などの早期整備も国や道などに粘り強く働きかけていくことを確認した。役員改選が行われ、会長には副会長だった海老沢順三北斗市長が就任した。

 総会には会員のほか、道南選出の国会議員や道議、渡島支庁、函館開発建設部の職員ら合わせて約40人が出席。各市町から挙げられた重点懸案事項を取りまとめた来年度の要望事項を原案通り決めた。

 国や道に対する来年度の要望事項をまとめた主要要望項目は(1)交通ネットワークの形成(2)農業の振興(3)林業の振興(4)水産業の振興(5)安全な地域づくり(6)生活環境の整備や環境に配慮した地域づくり(7)保健・医療・福祉の充実(8)創造性豊な人材の育成(9)歴史や文化を生かした地域づくり―など10点。

 新規要望は44事業で、函館市の「縄文文化交流センター整備推進事業(仮称)」や「介護保険制度の円滑な運営」、「国民健康保険財政の健全化」などを盛り込んだ。

 同期成会は21日に札幌市、同22日に東京都を訪れ、関係機関に要望する。

 会長以外の主な新役員は次の通り。

 ▽副会長=西尾正範函館市長、湊美喜夫森町長(渡島町村会会長)、阿部善一函館市議会議長、竹田實木古内町議会議長(渡島町村議会議長会会長)(小川俊之)