2007年7月10日(火)掲載

◎北海道新幹線北斗鉄道建設所を開設
 【北斗】鉄道建設・運輸施設整備支援機構鉄道建設本部北海道新幹線建設局は、北斗市本町181に北斗鉄道建設所(竹下昭博所長)を開設し、9日に同所で開所式を行った。掘削工事中の渡島当別トンネルから新函館駅(仮称)までを所管し、区間内の道新幹線建設工事の監督業務に当たる。

 道内での鉄道建設所は、2005年に開設した木古内建設所に続き2カ所目。店舗兼事務所の2階部分約70平方メートルを借り、竹下所長ら職員5人が駐在する。開所式には同機構や北斗市、七飯町、函館市などの関係者約30人が出席した。

 竹下所長と海老沢順三北斗市長が、入り口に建設所のプレートを取り付けた。市橋学局長は「今後は安全第一で、渡島当別、新茂辺地トンネル工事を確実に進ちょくさせ、建設地の用地買収や地質調査などを進めたい」と述べた。来賓の海老沢市長、中宮安一七飯町長があいさつした。

 道新幹線建設工事は現在、渡島当別トンネル(8・1キロ)の掘削工事が、東西両坑口部から全体の約38%に当たる計約3・1キロで完了。また、七飯町、北斗市に建設予定の車両基地とその周辺の土地のうち23万平方メートルの用地買収契約を結んだ。本年度中にも新茂辺地トンネル(3・2キロ)の工事に着手する。(原山知寿子)


◎函館市議会、年金記録漏れ「市の責任なし」
 第2回函館市議会定例会は9日再開し、個人質問を続行した。5氏が質問に立ち、社会保険庁の年金記録問題を取り上げ、市の対応や現状についての質問が相次いだ。納付記録などの市民への情報提供の対応について西尾正範市長は「社会保険庁の動きを見ながら市としてできることは実施していきたい」との考えを示した。

 紺谷克孝(共産党)、板倉一幸(民主・市民ネット)両氏の質問に答えた。

 紺谷氏は、国の機関委任事務として国民年金の収納業務などを行っていた市にも責任があるのではと指摘。斎藤俊一市民部長は、システムの電算化前と後の業務を示した上で「(年金記録漏れについての)市としての責任はない」と答えた。

 さらに、紺谷氏は「保険料納付記録の写しを無料交付する八戸市のように、市として積極的に施策を打ち出す必要があるのでは」と指摘。西尾市長は「原本のある自治体とそうでない自治体があり、個々で対応すると混乱を招く可能性がある」と述べ、慎重に対処する考えを示した。

 板倉氏は「宙に浮いた年金の実態はあるのか」と質問。斎藤市民部長は、市の相談窓口の中で国民年金と厚生年金の未統合が6件あったとし、「いずれも本人の申し出により社会保険事務所で確認して解決した」と説明。社会保険事務所との連絡調整などについて同部長は「国から市町村に基本方針が示された際には、函館社会保険事務所長から直接説明を受け、取り組みなどについて協議している」と述べた。

 市はシステムが電算化される前の1980年度までは、被保険者名簿と社会保険事務所の台帳を毎年、照合していた。電算化後は納付記録を読み取ったデータを毎月、磁気テープで同事務所に提出し、自動的に納付確認が行われていた。未納者には、随時催告状を送付していたという。また、電算化前の1980年度までは台帳を保管している。(鈴木 潤、今井正一)


◎支庁制度改革 7市町が対応協議
 【札幌、江差】道の支庁制度改革に反対している、江差町など支庁廃止が見込まれる7市町は9日までに、札幌の道議会を訪れ、同改革に慎重姿勢を示している自民党など道議会会派と意見交換した。また、7市町は道が同改革の最終案を提示するとみられる9月の第3回定例道議会に向け、今月中旬から8月中旬までを存続運動のヤマ場と位置付け、高橋はるみ知事に対する要請活動など、道に対する攻勢強化に向けた協議を行った。

 支庁統廃合に反対する「ネットワーク自治体」から、濱谷一治江差町長をはじめ根室、室蘭、留萌、稚内の4市、後志管内倶知安、日高管内浦河の2町の合計7市町の首長や担当の幹部職員が参加した。空知支庁がある岩見沢市はネットワークに加わっていない。

 道議会を訪れた7市町は、釣部勲議長、鰹谷忠副議長をはじめ、自民党・道民会議、民主党・道民連合など全会派を回り、現行支庁の存続を要望。第3回定例会に向けた各会派の考え方や取り組みについて意見交換を行ったという。

 また、7市町は道が第3回定例会までに同改革の最終案を提示。年度内にも支庁設置条例を改正して、2009年4月の新支庁体制発足を目指す構えを示していることから、道や道議会の駆け引きが活発化する7月中旬―8月中旬までを存続運動のヤマ場とし、今後の取り組みを協議。高橋知事をはじめ、担当副知事・部長などへの要請行動や道議会への陳情などを通じ、道への攻勢を強化する方向で調整を進めることとした。

 また、支庁存続を求める住民団体がある、江差・浦河両町では、住民による札幌での要請行動についても、両町で検討する方針。江差町では12日、町役場で住民団体など26団体で組織する「桧山支庁存続と権限機能強化を求める江差町連絡会議」の総会を予定。町が道の考え方や道議会での意見交換について報告し、今後の取り組みを協議する方針だ。(松浦 純)


◎漁業体験で青少年育成
 【乙部】乙部町内の「明和地区青少年を守る会」(宮本知仁会長)は、地域住民の団結で漁業体験や異世代交流といったユニークな青少年健全育成に取り組んでいる。「イカ釣り体験」がこのほど開かれ、児童や保護者がイカ漁などを体験しながら漁業者や高齢者と交流を深めた。

 乙部明和小学校(吉田耕一校長)と、農村部にある乙部姫川小(高橋良輔校長)の児童31人が参加した。豊浜・花磯地区の自治会や豊浜船主船頭会(田畑眞成会長)が全面的に協力。第6幸榮丸、伍宝丸、長栄丸の3隻が児童を乗せて沖に出た。

 出発式で田畑会長は「豊浜地区は皆さんを応援しています。イカの鳴き声や漁の様子を思い出にしてください」とあいさつ。児童は救命胴衣を着込み笑顔で漁船に乗り込んだ。

 田畑会長の第6幸榮丸には児童ら15人が乗船。沖合に出ると船の両側にあるイカ釣りロボットが始動。針を付けた縄が慌ただしく上下してスルメイカを続々と釣り上げた。真っ黒なイカが「キュウ!」と鳴き声を上げ、墨を吐きながらはね回る様子に児童は大喜び。イカが釣り上がるたびに子供たちの歓声が響いた。

 漁港に戻ると、ひやま漁協女性部をはじめ、地域の主婦らが新鮮なイカを素早く刺し身やポンポン焼きに。脂が乗ったヒラメの刺し身など海の幸に子供たちは舌鼓を打っていた。

 姫川小4年の大橋直季君は「イカを触ったり水をかけられたりして楽しかった。家は農家だけど漁業の仕事も大切だと思った」と笑顔。明和小6年の葛西美佳さんは「たくさんのイカがとれてうれしかった。姫川の子と一緒に体験ができて良い思い出になった」と語った。

 同会が主催するイカ釣り体験は、漁業者や住民との触れ合いを通じ、地域全体で子供たちを見守り育てる独自の取り組み。活動が評価されて昨年度の檜山管内教育実践表彰を受賞した。

 同町の阿部喜美夫教育長は「大上段に構えることなく地域で頑張っている大人の姿を伝えることが大切。長年の取り組みで明和校区では地域の一体感が根強い」と話す。(松浦 純)


◎函館ハーバービューホテルのパティシエ関さん・道洋菓子作品コンテストで最高賞
 函館ハーバービューホテル(函館市若松町14)のパティシエ、関健作さん(28)がこのほど、札幌市内で開かれた「北海道洋菓子作品コンテスト」(道洋菓子協会主催)の「アントルメの部」で、最高賞に当たる日本洋菓子協会連合会会長賞に輝いた。同ホテル初の出品での快挙に、関さんは「周囲も自分のように喜んでくれて、うれしいの一言」と満面に笑みを浮かべる。

 道内のパティシエが腕を競うコンテストで、出品数は過去最多の236点。関さんの作品は、直径18センチのホールケーキ「アントルメ」で、ミルクとホワイトチョコレートのムース、クレープの皮を乾燥させた「フィーアンティーヌ」を用いた層、アーモンド風味の生地と、4層からなる。側面にはクルミをまぶしてある。

 出来上がるまでの全工程に3時間を費やす、手間をかけた一品。ラム酒の効いた大人向けで、フィーアンティーヌのサクサク感とクルミの香ばしさが相まった風味には、関さんのこだわりが凝縮されている。

 「優勝する気で出品した」という関さん。審査員の評価は厳しかったものの、試食する市民らが次々と手に取り、盛り付けていた皿が、出品作品のうち唯一空いたのを見て、パティシエとしてのやりがいを感じるとともに、優勝を確信したという。

 中学生時代に北海道を旅行した際、その雄大さに感動。故郷・長野県を離れ、函館に移り住んで十余年がたつ。偉業の余韻に浸る間もなく、「できるだけ早く、商品化にこぎ着けたい」と、待ちわびる来店客の姿に思いを巡らせている。(浜田孝輔)


◎函館大学が森高校と高大連携へ
 函館大学(小笠原愈長)と森高校(渡辺政美校長、生徒401人)が、高大連携協定を結ぶ。同大にとっては6校目で、総合学科は初。26日に渡島教育局で調印式を予定しており、その後組織する高大連携推進協議会を年間数回開き、連携内容を調整しながら進める。

 同大は入学生がいる近隣高校を中心に連携を呼び掛けており、2004年の函館西高校を皮切りに、函館商業、知内、八雲、青森県立青森商業と連携高校を拡大してきた。森高からは例年、最大5人程度の入学生がある。

 森高の学科は、普通科に比べて専門的な選択科目を選べる総合学科。文理総合や食文化、情報ビジネス、地域国際、生活福祉の5系列に分かれた科目を選択できる。

 森高は「出前授業や特別講義などで、より専門的な知識がもたらされる」と、生徒の学習機会増加に期待。「(推進協で)定期的に対話し、より良い方法を探したい」と連携のあり方を積極的に向上させる考えだ。

 大学側は、学校への理解を深めてもらうと同時に、新入生を対象に学習の基礎を伝える初年次時教育への応用を目指す。小笠原学長は「高校生の実態を把握することは、初年次教育の計画を立てる上でメリットは大きい」と話している。(小泉まや)