2007年7月11日(水)掲載

◎松前、上ノ国、江差 3町のまつり楽しんで…広域観光推進協がPR
 8月に松前、江差、上ノ国の3町で開かれるまつりをPRしようと、松前・上ノ国・江差3町広域観光推進協議会「北海道歴史倶楽部」(会長・疋田清美松前観光協会会長)のPR団が10日、JR函館駅前など函館市内3カ所を訪問した。祭りの衣装を身につけた一行が、市民らに珍味やちらし約600セットを配り、来場を呼び掛けた。

 一行は松前の「城下時代まつり」(13―15日)、上ノ国の「エゾ地の火まつり」(11、14日)、江差の姥神大神宮渡御祭(9―11日)の関係者22人。11日には札幌に出向き、道庁の表敬訪問やJR札幌駅前での街頭キャンペーンを行う。

 渡島合同庁舎の道民ホールでは、時代衣装に身を包んだ疋田会長が口上を述べ、出迎えた畑秀叔支庁長が「1人でも多くの観光客を呼び込めるよう、地域の魅力を大いにアピールして」と激励。江差町からの4人が、笛や太鼓で姥神大神宮渡御祭での祭りばやしを披露した。

 エゾ地の火まつりでは4年ぶりに野外ライブが復活。上ノ国町商工会の桝田敏明事務局長は「多くの人に3町を回って楽しんでもらいたい」と話していた。(原山知寿子)


◎造船関連会社が工事辞退…旧ドッグ跡地クレーン撤去
 旧函館ドック跡地の大型クレーン2基の撤去問題で、函館市土地開発公社が解体に向けて交渉中だった道外の造船関連会社が、工事の請け負いを辞退していたことが10日、分かった。同社は、海上からのつり上げ方式で撤去するために必要なクレーン船の手配が困難になったためと説明している。

 10日の市議会経済建設常任委員会(小山直子委員長)で、渡辺宏身港湾空港部長が明らかにした。

 公社によると、同社は2日付の文書で「諸般の事情で辞退することを決定した」と通知し、5日に受領した。理由は「サルベージ会社に海上から撤去をするためのクレーン船の手配を依頼していたが、他の工事の工期延長の影響で手配できなくなり、本年度中の着工が困難になったため」としている。

 同社は昨年3月、クレーン解体に向けて実施したプロポーザルで工事を請け負う候補業者として選定され、公社と交渉を進めてきた。公社では、6月中の工事開始を見込んでいたが、工法やスケジュールに関する計画書の提出が遅れるなどし、契約には至っていなかった。

 公社は今後、理事会を開き、業者の選定方法や公社独自の撤去なども含め、解体に向けた新たな方法を検討し、「市とも早急に協議したい」としている。

 クレーン撤去をめぐっては、2004年に市が委託し、函館どつくが製造元の石川島播磨重工と行った調査で「耐久性がなく、大規模地震の発生で転倒の恐れがあり、きわめて危険」と診断され、05年度までに市は撤去の方針を固めた。

 市の試算によると、解体にかかる費用は4億5000万円で、保存のための補修費は9億円。鋼板の腐食やボルト、ナットの欠損部分など、緊急性の高い応急措置的な補修だけでも5億3000万円が必要となる。この場合、数年置きに補修点検や、10年ごとに同程度の補修額の投資が必要となる。

 開会中の第2回市議会定例会の代表質問や個人質問で西尾正範市長は「他用途への転用や有効活用も難しい。補修や後年次の維持費など、財政状況を考えると保存は厳しい」などと答弁。市港湾空港部は「解体撤去の方針に変わりはない」と話している。(今井正一)


◎10年度に累積赤字解消…市営競輪収支推計
 2005年度から累積赤字を抱えている市営函館競輪が、法改正や業務の包括委託(民間委託)効果などにより、08年度に単年度黒字へ転じ、10年度には累積赤字が解消される見通しが立った。10日の市議会総務常任委員会(井田範行委員長)に、市競輪事業部の酒井哲美部長が報告した。

 競輪施行者は、車券売り上げの3%を日本自転車振興協会に交付金(負担金)として納めている。今国会で、本年度から5年間の時限措置として、前年度に納めた交付金の3分の1を還付する改正法が成立した。函館競輪の昨年度の売り上げは201億円で、交付金は約6億円。法改正で本年度、約2億円が還付される。

 市の収支見通しによると、交付金の還付のほか、検討を進めている業務の包括外部委託を来年度から始めることで年間1億3500万円の経費が節減される。さらに、グレードが低く収益性も低い普通競輪(F1、F2)を本年度は1節3日間、来年度以降は4節12日間削減することで、コストを削減。売り上げの増加も堅い線で見込むことで、大幅な収支改善が図られる。

 本年度は3億1500万円の収支改善効果を見込み、6900万円の単年度赤字になるが、05年度の4億6400万円、06年度の3億2900万円に比べると、大幅に圧縮される。08年度に単年度黒字へ転換し、10年度には最高で8億円以上あった累積赤字が解消されるという。

 酒井部長は「収支改善の道筋が立った。8月4日から4日間開かれるふるさとダービー(GII)の売り上げを見て、包括委託に踏み込むか判断したい」と説明。委員からは「包括委託の際、現在の雇用が失われることのないよう配慮を願う」などの意見が寄せられた。(高柳 謙)


◎文教通の整備着手決まる…まちづくり懇談会 記念イベント開催へ
 函館市の重点懸案事項の一つ、都市計画道路文教通(延長2・4キロ、日吉町―戸倉町)の事業認可がこのほど、官報で告示され、本年度から整備に着手することが決まった。事業認可を受け、市と沿道周辺町会・自治会14団体でつくる「文教通周辺地域まちづくり懇談会」が10日夜、湯川支所で開かれ、今月下旬に同懇談会主催で記念の着手式を開くことなどを決めた。

 事業着手が決定したのは、未整備の日吉中央通から市道湯川高丘線までの約1・4キロ。本年度は、日吉中央通から見晴公園通までの420メートルの区間の測量や物件調査などを行い、来年度以降の用地買収に向けた準備に取りかかる。

 工事開始は2010年度を目指し、整備終了は13年度末を予定。見晴公園通から湯川高丘線までの残りの区間は、順次整備が進められることになった。

 懇談会では、会長に日吉第六団地自治会会長の小川昭夫氏を選出。函館土木現業所から、19、20日に開く地権者らを対象にした説明会の概要や、事業計画について報告があった。また、記念の着手式として、ヤマボウシ4本を滝沢児童公園内に植樹することを決めた。

 文教通は、産業道路(道道函館上磯線)と道道函館南茅部線が交わる湯の川橋付近の渋滞解消策の一環として、1985年に都市計画決定し、88年に事業を開始。94年までに一部区間の整備が終了した。

 当初計画では、高架橋方式を採用する予定だったが、騒音や沿道の環境に及ぼす影響が大きいとして、事業が一時停滞。2001年に、工法を土中に四角いコンクリート製の構造物を埋め込む「掘割ボックスカルバート」方式に変更し、協議を進め、05年8月に計画変更を決定している。(今井正一)


◎警備艇、漁網用ロープに絡まる…西署
 10日午前10時45分ごろ、函館市の立待岬から北東約400メートル沖合で、海上パトロール中の函館西署の警備艇「おしま」(19トン、福沢孝博船長ら3人乗り組み)のスクリューに漁網用ロープが絡まり、航行不能となった。同艇は函館海上保安部の巡視艇などに救出され、けが人はいなかった。

 同海保によると、救助要請を受けた第1管区海上保安本部函館航空基地の機動救難士がヘリから同艇に降下し、潜水して調べたところ、船尾にある2つのスクリューに小型定置網をつなぐロープなどが何重にも絡み合っていることが判明。ロープの一部を切断し、同海保の巡視艇で函館港までえい航した。

 同署によると、おしまは同10時10分ごろ、パトロールのため函館港を出港。立待岬沖合を湯川方向に航行中、現場海域にいた1人乗りのゴムボートを避けようと待機していた際に流されたという。同艇はほぼ毎日、海浜パトロールに出動しており、現場も通常の沿岸警備のルートだという。

 現場は水深約10メートルの浅瀬で、当時は南東の風7メートル、波の高さは50センチ―1メートル程度。視界は良好だった。同海保は「プロであれば考えられないような事故。乗組員の見張りや船長の判断が不十分だったと言わざるを得ない」として、船長らから業務上過失往来危険の疑いで事情を聴き、原因などを調べている。

 同署は「今はコメントできるような状況ではない。原因を調査して事実関係を明らかにしたい」と話している。


◎祭りシーズン到来 今年の浴衣の流行は?
 14、15両日の大門祭と15日の函館港花火大会を皮切りに、いよいよ今夏の祭りシーズンが本格化する。夏祭りといえば、街中を華やかに彩る女性の浴衣姿も見逃せない。今や和服の世界も毎年の流行が反映される時代。ことしの浴衣の最先端のトレンドを探った。

 ここ数年、夏のおしゃれとしての浴衣は若者にすっかり定着。丸井今井函館店(函館市本町32)では5階きもの売り場の一角に、さわやかなディスプレーとともに浴衣コーナーを設置。色とりどりのカラフルな浴衣に多彩な小物類が所狭しと並べられている。

 和装小物担当の田中伸美さんによると、今夏は浴衣自体は白地や紺地などの比較的落ち着いた色が人気を集める一方、帯の上に大柄のコサージュをあしらったり、カラフルなかんざしを組み合わせたりするなど、ワンポイントとしてのカラフルな小物類が特徴的だという。

 また、浴衣には一般的に使用されない“半襟(はんえり)”を使い、着物風にアレンジするスタイルも広まっており、若者ならではの独自の感性が伝統的な浴衣に新風を吹き込んでいる。

 テーオーデパート(同市梁川町10)は、2階ヤングレディースコーナーに浴衣の特設売り場を設置。営業課長の若生隆さんによると、今年は独自のオリジナルブランドが人気で、中でもトップモデル、押切もえさんがデザインした浴衣が注目されているという。白地に金魚をあしらったものなど、シンプルながら愛らしいデザインが若者の心をとらえているようだ。

 小物類にも力を入れており、さまざまな形をあしらって結ぶことができる「三尺帯」や、トンボ玉が付属した帯締めなど、工夫を凝らしたおしゃれが、浴衣の着こなしを大きく左右するという。

 昨年は7月半ばまで天候不順が続き、売り上げが低迷。ことしは6月から高温多湿傾向で、2割近く売り上げが伸びているという。しかし「天気がいいので、祭りの当日に新しい浴衣を買ってそのまま出かける人が多いので、天気が一番気になる」と若生さん。まずは今週末の天気がこの夏全体の浴衣商戦を占う大事な要素になりそうだ。(小川俊之)